経営企画部の仕事内容とは<年次業務・月次業務別で解説>

経営企画部(企業によっては経営企画職・事業企画など)は、経営層が立てた方針・企業のミッションを戦略化し、実践に落とし込む役割を担います。目標値(KGI/KPI)を予算内で達成するために、各部署をまとめ、進捗確認、競合調査といった分析、上層部への報告などに取り組むため、その役割は多岐にわたるのが特徴です。

今回は経営企画部が行う、具体的な仕事内容について触れていきます。
会社の状況により、多種多様な業務を担うことのある経営企画ですが、今回は通常よくある経営企画部の業務を年次業務、月次業務に分類しそれぞれについて解説させて頂きます。
経営企画部への転職等、実際の業務内容に関心のある方は、ぜひ最後までお付き合いください。

【目次】

  1. 経営企画部の仕事・役割はRunning業務とProject業務に分けられる
  2. 経営企画部の役割・年次業務①予算策定
  3. 経営企画部の役割・年次業務②業績評価
  4. 経営企画部の役割・月次業務①予実分析・着地見込みの更新
  5. 経営企画部の役割・月次業務②経営会議資料の作成・会議の運営

経営企画部の仕事・役割はRunning業務とProject業務に分けられる

経営企画部は、経営課題の解決方法をPlanningするミッションを負っています。

そのため、対応する業務は、会社の抱える課題によって変わるケースが多く、営業部や経理部のように、どんな会社でも役割が明確な部門ではありません。

しかしながら一般的に経営企画部に任されることの多い業務もあり、ここではそういった定型業務をRunning業務、その他会社の状況により様々な案件をSpotで行う類の業務をProject業務と定義し、Running業務に絞って基本的な業務内容やの業務の流れを説明していきます。尚、Project業務については、会社の状況や案件内容に業務が大きく左右されるため、ここでは割愛させて頂きます。

一般的な経営企画部の業務

Runningの業務には、主に予算関連の業務が当たります。予算策定に始まり、予実管理、着地見込み(フォーキャスト)の作成、経営会議資料の作成、予算に基づく業績評価といった業務がこの中に入ります。
それぞれ年次、月次業務に分類できますので、まずは年次の業務から詳しく見ていきましょう。

経営企画部の役割・年次業務①予算策定

予算策定は経営企画部の代表的な業務の一つです。全社の予算を策定し、次年度の売上・利益目標を定めることは、全社を動かすための羅針盤の作成であり、無くてはならない業務です。
また特に上場会社だと、予算を基準に投資判断がなされるため、開示基準も厳しく、高い精度が求められる、非常に重要度の高い業務となります。

作業の流れとしては、実際の動きは会社に寄るところもありますが、以下が一般的です。

キックオフ実施→各部から各種データのとりまとめ(売上・KPI・費用・投資予算等)
→モデリング実施(売上原価・減価償却費等)→PL作成→BS・CF作成→1次提出
→マネジメントの意見を入れて修正→2次提出→説明資料作成→取締役会上程→承認

特に骨が折れるのが各部からデータを集めるところで、部門側の情報の質が悪いと経営企画部側で大幅な修正をかけることになるため、日頃から各部の責任者クラスには、最低限の会計知識を身につけてもらうよう、研修等で意識を高めてもらう努力が大切です。

またレイヤー別の関わり方としては、一般的には、キックオフには部長レベルも出席、それ以外の業務は、基本的にスタッフレベルの社員が担当します。
データ収集その他のコミュニケーションもスタッフ主導で実施し、課長・マネージャークラスが成果物を見て指摘・直すといった関与となります。

そのためスタッフクラスの人材からも、正しい会計知識とコミュニケーション能力、またエクセルスキルを身に着けておく必要があります。

その他、会社によっては四半期に一度または半期に一度、予算を修正する機会を設けることもあります。その場合は各部の負荷をできるだけ低減すべく、提出項目を絞る、提出フォームを最適化する等、全体をアレンジするのも経営企画部の役割となります。

経営企画部の役割・年次業務②業績評価

決算の着地が見えた段階で、当期の業績が予算に比してどうだったのか、部単位で結果が出たのかを振り返る業績評価は、予算策定の前提を熟知している経営企画部が関わることが多い業務の一つです。
人事制度にもよりますが、少しでも自部門の評価を上げたい部門側と、業績も鑑みて可能な限り出費を抑えたい経営陣との間でバランスをとる役割となり、いかに透明性を保ちながら、双方納得感のある解を提示できるかが重要な業務です。
時に人事部と連携して行う等、会社によって関係者やタスクが異なる傾向があるのも特徴です。

尚、業績評価の一般的な業務の流れとしては、以下です。

キックオフ→実績・KPI見込み作成(各部からもらうケースもある)→各部に定性情報のヒアリング→定性情報加味し、経営企画部で評価→人事部と議論→経営陣と議論

主には数字上と実態のギャップを埋める、定性情報をいかに引き出し、納得感のある形で人事部、経営陣へ伝えるかが、経営企画部の腕の見せ所となります。

よくある失敗としては、各部からの情報を聞きすぎ、予算未達の言い訳リストづくりに終始、結果人事部や経営陣にポイントが伝わらず、全体の評価が下がるといったことが挙げられます。
こういった事態を避けるためにも、各部の予算乖離要因が外部環境によるものか、内部環境によるものか、それぞれの責は部門にあるのかそうではないのかを冷静に判断し、得たい評価を勝ち取るストーリーをきちんと描いて、次のステップへ臨むことが重要です。

経営企画部の役割・月次業務①予実分析・着地見込みの更新

ここからは経営企画の役割の中でも、月次業務について見ていきます。まず代表的な業務として、予実分析業務が挙げられます。予実分析業務とは、期初に作成した予算と実績の比較を行い、意図した通り売上は上がったのか、費用は使いすぎていないか等を分析し、予算と実績の間に生じた差異の要因を把握する業務になります。

この業務への経営企画部の関わり方も会社によって様々で、差異まで経理部が出して要因分析を経営企画部主導で各部と行うケースや、実績情報だけ経理から取得し、比較・分析全般を経営企画部が担うケース等がございます。

いずれのケースでも、各部からの情報の取りまとめ役として経営企画部が存在する他、経営陣へ伝えるべき情報の取捨選択、本業務を通じて見えてきた課題の報告・優先順位付けを主導することで、社内に軋轢を生まずに進めることができることから、経営企画部の行う業務として一般認知されています。

業務の流れは以下の通りです。

実績情報を受領→勘定科目ごとに予算との差異を抽出→差異要因を部門別にヒアリング
→結果をとりまとめて経営会議資料(後述)に反映

以上の作業になりますが、実際には比較作業を行う中で、多くの問題が発生します。

よくあるのが、予算と実績で取れる情報に違いがあり、単純比較が出来ないことです。
例えば、あるストックビジネスを運営する企業の売上予算が、次のような数式で成り立っているとします。

(月末累積人数 + 新規加入者数 - 月中退会者数(月末累積人数 × 退会率))× 単価

この予測自体は妥当な数式に見えますが、実績と比較するためには、月末累積人数、新規加入者数、月中退会者数、退会率といった実績情報を毎月タイムリーに取得する必要があります。

ところが多くの企業でこのようなプロセスKPI情報が取得できず、結局のところ新規加入が少なかったのか、退会者数が多かったのか、退会率がコントロールできなかったのかといった、本質的な原因がわからない状況に直面します。

こういった状況において、必要な情報を取れるように社内システムに手を加えたり、予算自体の前提を修正したりといった課題対応も、経営企画部が担う業務となりますので、足元の課題も踏まえて全体の予実分析業務を設計することが経営企画部に求められる重要なミッションとなります。

また予実分析と同じタイミングでよく実施されるのが、直近の実績を踏まえた着地見込みの更新で、KPIや費用、その他の実績数値や各部からの定性情報を踏まえ、将来の数字を予測し経営層へレポートする業務となります。

常に半期または通期の着地見込みを見ながら議論することで、予算とのギャップを埋める方法論の議論が活発化する等の効果があり、会社によっては、上述の実績の差異よりも着地見込みを重用するところもございます。
ただしこちらも見込情報を適切に入手、反映する仕組みが必要で、仕組みづくりにはその浸透も含めて数年単位の時間がかかることも珍しくありませんので、導入時には十分なリソースを確保した上で、実施することが重要です。

経営企画部の役割・月次業務②経営会議資料の作成・会議の運営

もう一つ、経営企画部が月次で実施する業務は経営会議資料の作成です。

経営会議資料とは、会社の方針を決定する重要な会議体で使用する資料であり、毎月の運営に関わる、重要な業務の一つといえるでしょう。
また実際に会議にも参加し、議論をファシリテートしていくことも経営企画部の大事な役割ですので、自分たちでも話しやすくかつ誰もが意見しやすい議論になるよう、適切な情報量に絞りながら、必要な情報はしっかりと織り込む、高いレベルの資料作成能力が求められます。

よくある失敗例としては、数十~数百ページにも及ぶデータブックを仕上げてしまい、作成に大きな労力がかかる一方で実際にはほとんど読まれない資料をつくってしまうことです。実際の議論を想定しながら、見たい情報を必要最低限の量で織り込み、中途半端な情報は勇気を持って削除することが重要です。

一般的に、良しとされている経営会議資料には以下の情報が含まれます。
✓ 直近月次の実績・予算比較、分析結果の報告
✓ 足元を踏まえた半期(長期)の着地見込み
✓ KPIの実績、着地見込み
✓ 足元の各種プロジェクトの進捗状況
✓ その他共有情報・トラブル報告・アップデート(あれば)

こちらの業務の流れとしては、

予実分析・着地見込みの更新を実施(上述)→定性情報をヒアリング→資料作成
→フィードバックを受けて修正→ファイナライズ

となり、主に資料に反映する作業をスタッフクラスが担い、マネージャーがチェックの上、部長クラスに提出、当日話してもらう、といった流れになります。

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>経営企画へのキャリアに関する記事

経営企画部の仕事は本当に「花形」なのか?【生の声】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanning_real

“ITコンサル”から事業会社”経営企画”へのキャリアパス【転職後活かせるスキル・キャッチアップが必要なスキルとは】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/itconsultant_corporateplanning

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一般的に経営企画部が担うRunning業務を取り上げて解説してきました。これら業務をこなしながら、いくつかのProject業務を受け持つ働き方が一般的であり、対応する業務の量は、他部門と比して多い傾向にあります。

一方で会社をダイナミックに動かしていく瞬間を肌で感じることができるので、やりがいも大きいため、本記事を通じて経営企画部の業務に関心を持つ方が一人でも増えれば幸いです。

また、企業によって業務には違いがあることも多いです、企業フェーズや規模ごとの経営企画の業務について詳しく知りたい方や、経営企画への転職をご検討の方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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