CRMコンサルタントの仕事内容、必要なスキル、年収

【目次】

  1. CRMとは
  2. ビジネスでCRMが重視される背景
  3. CRMツール
  4. CRMコンサルタントの仕事内容
  5. CRMプロジェクト事例
  6. CRMコンサルタントに必要なスキル
  7. CRMコンサルタントに必要な資格・経験
  8. CRMコンサルタントの年収
  9. CRMコンサルタントのキャリア
  10. CRMコンサルタントが在籍するコンサルティングファーム

CRMとは

CRMとはCustomer Relationship Managementの略であり、顧客との関係に焦点を当てた取り組みのことを指します。例えば、顧客分析や顧客コミュニケーション戦略等、顧客接点に関するものであれば大半のものがCRM案件といえるでしょう。そのため、CRMコンサルタントが扱う領域はとても幅広くなっています。

ビジネスでCRMが重視される背景

近年はモノやサービスといった商品自体の良さだけではなく、顧客へどのようにアプローチするかを重視した企業戦略が目立っています。顧客が商品を手にするまでに、どのような気持ちを感じるのか。商品を手にしたとき、そして手にした後に、どのような体験をできるのか。このような顧客体験、すなわちCX(Customer Experience)を設計し、顧客とより良い関係を長期的に構築するためにCRMは重視されています。高品質の商品が溢れている現代では、顧客に選んでもらうため、どのような企業もCRM戦略について検討せざるを得ないでしょう。

CRMツール

CRMを効率的に行うために企業が導入するツールとしては、SalesforceやMicrosoft、Oracle、SAP等様々なものがあります。ある程度の規模以上の企業であれば、膨大な顧客情報を管理し活用するために、何らかのツールを導入しているはずです。近年はクラウドサービスを採用する企業が増加しており、自社システムを作り込むことが主流だった時代に比べると、導入や改修にかかる期間は短くなってきています。そうとはいえ、企業の業務内容や商品に合わせた設定やカスタマイズが必要であり、要件定義やスケジュール管理の難易度が高いことから、ツール導入を社外のCRMコンサルタントが支援するケースは少なくありません。

CRMコンサルタントの仕事内容

CRMコンサルタントがアサインされるプロジェクトのテーマ例を見てみましょう。コンサルティングファームによって分類は様々ですが、主なテーマには以下のようなものがあります。

テーマ1. 営業改革
企業内で最も顧客の顔を知っているのは、営業部門の社員であることが多いのではないでしょうか。多忙な営業担当者は、潜在顧客や既存顧客との関係を深めるために継続的なコミュニケーションをとりながら、書類準備や社内調整、承認手続き等の業務に追われています。営業改革では、既存業務の見直しやデジタル化等によって、本来時間を割くべき営業活動に集中できるよう業務改善を行います。この場合、ニーズのヒアリングは営業部長や営業担当者に行います。

テーマ2. マーケティング戦略
マーケティング手法の進化は一般消費者の立場からも実感しやすいのではないでしょうか。近年はSNSマーケティングに注力している企業が増えています。LINEやInstagram、Twitter等のSNS上で企業の公式ページを運用する他、インフルエンサーマーケティング等も行われています。一方で、対面コミュニケーションにも様々な工夫が生まれています。店舗やポップアップショップにおいてARやVRを体験できるプロモーション等、企業側の一方的な発信ではなく、双方向コミュニケーションによって顧客の興味を喚起する仕組みが取り入れられています。このような領域では、CRMコンサルタントは企業のビジョンやブランディングにも関わる議論を行いながら、マーケティング戦略や施策の立案を支援します。

テーマ3. DX(Digital Transformation)
近年、大幅に増加しているプロジェクトテーマの一つです。最先端の技術を用いて、生産性の向上や職場環境の改善等を行います。よく取り上げられるテーマには、RPAやIoT、AI、ペーパーレス化等があります。実際のプロジェクトでは、新たにツールを導入するだけではなく、既に導入済みではあるが社内で十分に活用されていないツールについて、周知や活用促進を行うこともあります。時間とコストをかけてツールを導入したものの、利用者が限られている、機能を使いこなせていないという課題は多くの企業で挙げられます。そもそも、DXを推進できる人材が社内に不足しているという問題を抱えている企業は数えきれないほどあり、CRMコンサルタントが参画するプロジェクトのテーマとして最もメジャーなものになりつつあります。

テーマ4. 顧客分析
急速に成長している分野の一つです。AI導入等によって、企業が持つ膨大な顧客データを管理・分析・活用し、企業の成長に結びつけようとする動きがあります。例えば、顧客のプロフィールや購買履歴から、最も顧客が魅力的に感じる営業アプローチやキャンペーン施策を自動的に見つけ出すといったことが行われています。ただ現状では、すべてを自動化することは難しく、AIや機械学習によって処理されたデータを分析担当者が解釈して施策に落とし込む等、人間による介入が必要であることが珍しくありません。それでも、将来性を含め企業の成長のために最も期待されており、専門性を持つ人材が必要とされている領域です。現状では専門知識を持つ人材が不足しており、社外のコンサルタントが支援しているケースが多く見られます。

テーマ5. カスタマーサービス
コンタクトセンターの業務改善等、商品購入前後の顧客サポートに関する業務も多くの課題を抱えています。顧客からの問合せはチャット、メール、電話等複数のチャネルがあり、近年ではSNSによるサポートを行っている企業も多いため、問合せ対応や履歴管理に関する業務は膨らむ一方です。しかし、世の中のコンプライアンスに対する意識が高まりを見せる中、顧客情報を適切に管理し、かつ顧客が求めている情報を迅速に探し出し、対応するスタッフの業務を効率化するためには、チャネルの棲み分けや情報管理体制の構築、業務の見直し等が必要となります。商品購入後のサポート内容や対応時のサービス品質は顧客のリピート率に影響し、企業イメージにも直結しますから、企業は顧客サポートを疎かにすることはできません。コンタクトセンターの業務やアフターサービスの体制・内容について課題抽出や改善を支援することも、CRMコンサルタントの仕事の一つです。

上記5つ以外にも様々な案件テーマがありますが、実際のプロジェクトには複数のテーマが含まれていることがほとんどです。そのため、得意領域が異なるCRMコンサルタント同士や、全く異なる部門のコンサルタントと協働してプロジェクトを進行することになります。このことからも分かるように、コンサルタントの仕事は通常チームで行うため、個人のスキルだけではなくチームワークが重要となります。どれほど個人としてのパフォーマンスが高くても、プロジェクトメンバーとの連携に穴があると問題が起こりやすくなります。逆に言えば、スキルや経験が多少不足している人材でも、丁寧なコミュニケーションでメンバー同士がカバーすることによりプロジェクトが順調に進むことも珍しくありません。
どのようなテーマのプロジェクトであっても、現状およびニーズ把握のためのヒアリングや課題整理、対応策の検討、投資対効果の算出等はタスクとして含まれることが多いようです。

CRMプロジェクト事例

CRMコンサルタントが参画するプロジェクトの事例を3つ紹介します。

事例1. シニアコンサルタントAさんの経験談
テーマ:営業改革(営業活動の高度化、営業力強化)
クライアント:大手銀行
「営業部門の長時間労働が常態化していることに加え、売上目標を達成できない月が続いている状態からプロジェクトを開始しました。まずは営業部門の社員に業務上困っていること等をヒアリングしたところ、書類作成や管理業務に追われ、既存顧客のフォローや新規顧客開拓を十分に行えていないことが分かりました。課題に優先順位を付けて、時間がかかる業務にツールを導入して自動化する、ルーティンワークの業務プロセスを見直して効率化するといった取り組みを行った結果、営業活動のための時間を創出できました。さらに営業担当者向けのトレーニングを開催し、提案力や交渉力の向上を図っています。」

事例2. マネージャーBさんの経験談
テーマ:チャネル戦略立案
クライアント:大手家電メーカー
「SNSなど顧客とのコンタクトチャネルを次々と増やしていった結果、運用コストが膨らんだ上に顧客情報を管理しきれなくなっていました。チャネルによって運用チームが異なり、コンタクト履歴の管理場所がExcelや社内システムなどバラバラだったのです。そのため、必要な情報を探す際に余計な手間と時間がかかっていました。対応策として、コンタクト履歴を含む顧客情報を一元管理するように業務改善を行いつつ、どのチャネルをどんな目的で運用するのか、チャネル戦略を策定しました。チャネルごとに使い方や期待することを明確にしたことで、人員の配置を見直すことができましたし、顧客コミュニケーションの内容やタイミングを検討しやすくなっています。」

事例3. アナリストCさんの経験談
テーマ:全社DXの推進
クライアント:大手総合商社
「元々クライアント社内のDX推進チームが活動していたのですが、思うようにDXが浸透していない状態でした。チャットツールも部署によって活用度に差があり、メールや電話ばかりで全く活用できていない部署もありました。DX推進チームに言われたことは渋々やるけれども、これまでのやり方を変えることに積極的ではない社員が多かったです。早速、DX推進活動が停滞している部署にインタビューをしたところ、目の前の業務で手一杯になってしまい、新しいやり方を覚えたり試したりする時間も気力もない、という現状が浮き彫りになりました。そこで手始めに、Quick Winの施策を手厚くサポートしながら実行することにしました。低コストで実行の難易度も低く、短期間で一定の効果が見込めるようなQuick Winの施策を優先的に実施することで、DXの意義を感じてもらいたかったのです。狙い通り、施策の効果を実感した方々がDX推進活動に前向きに取り組むようになり、業務で困っていることを相談してもらえるようになりました。今では定期的に課題を共有して対応策を検討する機会を設けており、導入済みであるツールの活用や最新テクノロジーの導入を支援することもあれば、デジタル化ではなく業務プロセス改善を勧めることもあります。徐々にDXを通して働きやすい環境をつくろうというマインドが醸成されています。」

CRMコンサルタントに必要なスキル

必須スキル:
CRMコンサルタントに限らず、ビジネスコンサルタントに求められる基礎スキルとして、下記のようなものがあります。

1.ロジカルシンキング
2.ドキュメンテーション
3.ファシリテーション
4.プレゼンテーション
5.コミュニケーション

コンサルティングファームに新卒入社した人であれば、新卒研修で基礎を学びプロジェクトの現場で実践的にスキルアップしていくことができますが、中途入社であれば数日間の研修後すぐに現場に配属されることが大半です。そのため、初めてコンサルタント職に就く場合は、上記のような基礎スキルを現場でキャッチアップすることが求められます。他にも、進捗管理や課題管理のスキルはポジションに関わらず必要になります。若手のうちは自分のタスクが主な管理対象ですが、役職が上がるにつれて、プロジェクト全体の管理をすることになりますから、予め学んでおくと役立ちそうですね。

持っていると役立つスキル:
重宝されるスキルとして、ITスキルや語学力が挙げられます。CRM案件はITプロジェクトとは限りませんが、顧客コミュニケーションをはじめ業務にITが欠かせない現代では、ITに無縁なCRMコンサルタントは少ないでしょう。クライアントとの議論でもITの話題は避けがたく、ITに関する知識や経験があることは大きな長所となります。

また、語学力があるとアサイン可能な案件の幅が広がります。国内案件で日本語のみ使用するプロジェクトもありますが、コンサルティングファームのクライアントは海外展開している大手企業が多いため、グローバル案件も豊富です。資料作成時に読み書きができれば良いのか、現地とのオンライン会議を英語で進行できれば良いのか、一人で出張し交渉をまとめることができれば良いのか等、求められる語学力は案件により様々ですが身につけておいて損はありません。コンサルティングファームによっては、全社的にプロモーション時の必須条件として、TOEICやTOFELの点数を定めていることもあります。

案件によって必要なスキル:
その他、案件に応じて求められるものとして、クライアントの業界知識等が挙げられます。例えばクライアントが銀行や保険会社であれば金融業界、百貨店やスーパーであれば小売業界といったように、クライアントとの議論ではある程度の業界知識が求められます。異業種からコンサルティングファームへ転職する場合、前職の業界に関連するプロジェクトにアサインされることが多いようです。それまでの業務経験や知識が重宝され、意見を求められる等、プロジェクト貢献のきっかけにもなりやすいですね。

CRMコンサルタントに必要な資格・経験

CRMコンサルタントの必須資格はありませんが、コンサルティングファームによっては、SalesforceやSAP等、CRMツールに関する認定資格の取得を推奨していることがあります。また資格だけではなく、経験も大きな武器です。営業改革プロジェクトであれば前職のポジションが営業担当者である、マーケティング戦略立案プロジェクトであれば前職がWebマーケターや広報担当者であると、貴重な資産を持っていることになりますね。アサイン先のプロジェクトは、各コンサルタントの前職を含めた過去のキャリアを考慮して検討されますので、自分でも思いがけない点が評価・期待されてアサインが決まることもあるのです。

CRMコンサルタントの年収

コンサルティングファームによって基本給や賞与の基準が異なるため幅がありますが、大まかに以下が目安となります。
若手クラス(アナリスト、コンサルタント、シニアコンサルタント等):500万~900万円
管理職クラス(マネージャー、シニアマネージャー等):1,000万~1,200万円
役員クラス(ディレクター、パートナー等):1,500万~
転職してコンサルティングファームに入社する場合、同じポジションでもコンサルティング業界経験の有無や前職の給与等によって基本給に差が出ることがあります。

CRMコンサルタントのキャリア

CRMコンサルタントのキャリアの始まり方は実に様々です。中途入社の場合は、前職の知識・経験を活かせるプロジェクトが豊富な部門に配属されるでしょう。ただ、本人の希望や会社の意向によっては、ポテンシャル採用でほぼ経験がない業界やテーマのプロジェクトを扱う部門に配属されることもあるようです。

CRMはどのコンサルティングファームも専門の部門を置いているようなメジャーな領域であり、今後も需要が見込まれるため、CRMコンサルタントとして社内でキャリアを積んでいくことも選択肢の一つです。しかし、コンサルティング業界は転職によるステップアップやキャリアチェンジが珍しくありません。他のコンサルティングファームに転職する人、事業会社に転職する人、起業する人等、CRMコンサルタントのキャリアは人によって全く異なります。

CRMという、どの企業でも戦略上無視できない領域の専門性を持っているからこそキャリアの選択肢が広いことは、CRMコンサルタントの強みといえるかもしれません。

CRMコンサルタントが在籍するコンサルティングファーム

下記はCRMチームを持つコンサルティングファームの一例です。

  • PwCコンサルティング
  • アクセンチュア
  • アビームコンサルティング
  • デロイトトーマツコンサルティング
  • EY
  • KPMGコンサルティング

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>CRMに関する記事

「アビームのCRMセクターが真価を発揮する時代になった」/アビームコンサルティング株式会社 CRMセクター長 水野美歩様、ダイレクター 財部透様 インタビュー
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/AB-CRM

“CRMマーケター”とは何か?「必要なスキル」から「Webマーケターとの違い」まで
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/crmmarketing

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CRMコンサルタントは今後も多くの活躍の場が見込まれます。クライアントの企業イメージや業績の向上を支援していく、やりがいを感じられる仕事に関わる機会が豊富だといえるでしょう。ご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。


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