データアナリストには、働く場所の選択肢としてコンサルか事業会社かという2つの選択肢があります。今回は、コンサルと事業会社を比較して、求められるスキル、働き方や役割、キャリアの志向性にどのような違いがあるのかについてお伝えします。
【目次】
コンサル vs 事業会社 データアナリストの違い①:スキル
まず前提として、コンサル、事業会社のどちらで働く場合でも、データアナリストとして求められるスキルには共通する部分も多いです。
データベースやSQLの扱いに精通し、統計学や機械学習のアルゴリズムに知見を有していることは前提として必要となります。それらの専門性を活かし、データからビジネスの成果につながる示唆を導き出すというスキルは、コンサルと事業会社のどちらで働く場合も変わりません。
その一方で、コンサルと事業会社ではその業態の違いから、求められるスキルには次のような違いもあります。
コンサル:プロのコンサルタントとしてのスキルも必要
コンサルで働く場合、データアナリストであると同時に、当然ながらプロのコンサルタントでもあります。そのため、データ分析力に加えて、コンサルタントとしてのベーシックなスキルも身につける必要があります。例えば、次のようなスキルです。
・ビジネス上の課題を整理し、打ち手を提案する力
・プロジェクトマネジメントスキル
・ファシリテーションやプレゼンテーションのスキル
・高品質な資料をスピーディに作成する力
これらのスキルは、一般に事業会社よりも、コンサルで働く場合のほうが高い水準を要求されます。例えば、資料作成一つをとっても、コンサルにとっては資料自体も一つの商品となります。そのため、スライド一枚一枚に練り込まれたメッセージと、緻密に構造化されたチャートを作成する必要があり、事業会社で働く場合よりも高い品質が求められるのです。
コンサルで働く場合は、データ分析の専門性に加えて、このようなプロのコンサルタントとしてのスキルにもキャッチアップする必要があります。
事業会社:データ分析力に加え、ドメインに関する深い知見が必要
事業会社で働く場合は、上記のようなスキルはコンサルほど高くは求められません。もちろん事業会社のデータアナリストにも、現場の課題を整理して、分析結果を分かりやすくコミュニケーションするというコンサル的なスキルは必要ですが、クライアントワークではないためです。
一方で、事業会社の場合、自社の業界やサービスのことなど、ドメインに関する深い知見が求められるでしょう。データアナリストが活躍する業界は、金融、製薬からメディアやEC、ソーシャルゲームまで多岐にわたり、かつ各業界によって、扱うデータのタイプやKPIも大きく異なります。
事業会社のデータアナリストには、分析を通して自社サービスの成長に中長期的にコミットすることが求められます。そのため分析スキルに加えて、業界やサービス、ユーザーの動向といったドメインに関する知見も深めていく必要があるでしょう。例えば、ソーシャルゲーム会社のデータアナリストであれば、自社や競合他社のゲームを自分でもやり込み、ユーザの課金や離脱につながる要素は何かといったことを常に考えることが、分析にも活きてきます。事業会社の場合、関わるドメインのエキスパートにもなることが求められるといえます。
コンサル vs 事業会社 データアナリストの違い②:働き方と役割
コンサルはプロジェクトベースで働き、事業会社であれば自社サービスを継続的に改善していく働き方になります。そのようなスタイルの違いから、期待される役割にも違いが出てきます。
コンサル:限られた期間で分析テーマやデータ、環境にキャッチアップして価値を出す
コンサルでデータアナリストとして働く場合、プロジェクトベースでさまざまなクライアントのデータ分析を支援します。そのため、数ヶ月間という限られた契約期間内で、コンサルフィー以上の成果を出し続けることが期待される役割となります。
プロジェクトベースのため、扱うデータのタイプはクライアントが属する業界によってさまざまです。例えば、金融機関で信用リスクに関するデータを分析した後に、Webサービスの会社でサイトの閲覧、購買履歴を分析し、その次のプロジェクトでは工場のセンサーデータを分析する……といった働き方となります。
また、分析のテーマもプロジェクトによって多岐にわたります。販売予測モデルを構築して納品するようなタイプから、分析の環境や組織体制の整備を支援するようなものまで、分析に関するさまざまなテーマの案件に携わる機会があります。
また、環境面もプロジェクトごとに変わっていきます。例えば、クライアントからデータを受領して自社の環境で分析できることもありますが、案件によってはクライアント先に常駐する場合もあります。クライアントと机を並べて、分析の企画実行を一定の期間伴走するといったタイプのプロジェクトです。その場合は、クライアント先で用意された分析環境やツールにキャッチアップする必要があります。
このようにコンサルの場合、プロジェクトベースという特性上、限られた期間内に分析のテーマやデータのタイプ、環境などにスピーディにキャッチアップし、期待を超える価値を出し続けることが求められます。
キャッチアップの大変さやプレッシャーもありますが、分析に関するスキルや経験の幅を大きく広げやすいというよさがあります。
事業会社:データ分析を通して自社サービスを継続的に改善する
事業会社でデータアナリストとして働く場合は、データ分析を通して自社サービスの成長に中長期的にコミットすることが期待される役割となります。プロジェクトを渡り歩くのではなく、分析を専門とする部署やチームに所属し、データ分析を通して自社サービスを日々改善していくことがメインの業務です。
事業会社の場合は、基本的に自社が保有するデータが分析の対象となるため、コンサルほど扱うデータや分析のテーマが頻繁に変わることはありません。そのため、特定サービスのデータ分析に腰を据えて取り組み、PDCAを繰り返してサービスを伸ばしていく経験ができます。
また、分析の環境も自分たちが構築したものを使い続けることができ、仕事の関係者も、所属チームやビジネスサイドの固定メンバーと働くことが基本となります。
事業会社のデータアナリストには、事業の当事者として、自分が情熱を持てるサービスの成長にデータ分析を通して貢献できるよさがあります。
コンサル vs 事業会社 データアナリストの違い③:キャリアの志向性
以上で見てきたような働き方の違いから、コンサルと事業会社にはそれぞれ、以下のようなキャリア志向を持った方が向いています。
コンサル:多様なデータや分析テーマを扱い、スキルの幅を広げたいならコンサル
事業会社との最も大きな違いは、プロジェクトベースでさまざまなクライアントのデータ分析を支援できることです。そのため、データアナリストとしてハンドリングできるデータの幅を広げ、多様な分析テーマを経験したい場合は、コンサルが向いています。
その分毎回のキャッチアップは大変なものの、さまざまなデータで分析手法を試せるため、知的好奇心が旺盛でつぎつぎに新しいチャレンジをしたい方には魅力的な環境です。
またコンサルで働く場合は、データ分析に高い専門性を持ったコンサルタントという立ち位置となるため、コンサルスキルを身につけたい方にも向いています。仮説・論点思考やプロジェクトマネジメント、プレゼンテーション力やドキュメンテーション力など汎用性の高いスキルが鍛えられるため、業界を問わず活躍できる力がつきます。
扱えるデータや分析テーマの幅を広げ、コンサルとしての汎用的なスキルも身につけることで、業界を問わず活躍したいという志向性が強ければ、コンサルをおすすめします。
事業会社:情熱を持てるサービスの成長にデータ分析で貢献したければ事業会社
自分が共感でき、情熱を持てる事業やサービスがあり、データ分析を通してその成長に中長期的にコミットしたい場合は事業会社を選ぶとよいでしょう。
分析の対象は基本的に自社のサービスに蓄積されているデータとなりますが、既存のデータを組み合わせて、新しい分析のテーマを企画することはいくらでもできます。また、メガベンチャー企業など、多数のWebサービスやメディア、ECやゲームなどを展開する事業会社でデータアナリストになれば、コンサルに劣らず多様なデータを扱えるケースもあります。
また、PDCAを回してサービスを継続的に改善していく経験を積めるのも、事業会社のよいところです。コンサルの場合は、数ヶ月間の契約期間内での集中的な支援を繰り返していきます。そのためどうしても、中長期的に特定のサービスを伸ばす経験は、事業会社よりは積みにくくなります。
また、分析環境も自分達で構築したものを使い続けることができ、仕事で関わるメンバーもそれほど大きくは変わらないため、腰を据えて分析業務に集中することができます。
情熱を注げる事業やサービスがあってデータ分析を通してその成長に貢献したい、またその業界のデータ分析に関するエキスパートになりたいという志向性があるなら、事業会社が向いています。
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今回はデータアナリストの仕事が、コンサルと事業会社でスキル、働き方や役割、キャリア志向の点でどう違うのかについてご紹介してきました。
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