データアナリストが取得しておきたい資格は多くありますが、自分にとって本当に必要な資格がどれなのか、迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事では、データアナリストを目指す方や、データアナリスト1~2年目の方に向けて、データアナリストのキャリア・スキルアップに役立つおすすめの資格をご紹介します。
【目次】
データアナリストが資格を取得する意味
資格の取得は、データアナリストのスキルアップの手段の一つとしておすすめです。もちろん分析のスキルは実践の中でこそ最も磨かれるものですが、データアナリストの仕事には理論的な知識が求められる場面も多いのです。そのような知識は、資格の取得を目指すことで効率的に吸収できます。
データアナリストの専門性は、大きくビジネススキル、統計スキル、ITスキルの3つから構成されます。
・ビジネススキル:ビジネス上の課題を整理して適切な分析を企画できる力、分析結果を分かりやすく伝えるコミュニケーション力
・統計スキル:統計学や機械学習のアルゴリズムに関する理論的知識、実装スキル
・ITスキル:データベースやSQLを扱うスキル、PythonやRなどのプログラミングスキル
上記のうち、ビジネススキルはソフトスキルに分類されるため、資格などの座学で学べることは限定的であり、スキルのほとんどは実践の中で身につくものといえます。一方で統計スキルやITスキルはハードスキルに分類されるため、座学で習得した知識もある程度は実際の業務に活かせます。そのため資格の取得を目指す場合は、統計スキルやITスキルに関連したものを選ぶとよいでしょう。
資格の取得は、未経験からデータアナリストへの転職を目指す場合はもちろん、1~2年程度の実務経験を積んだ方にも役立ちます。
・未経験からの転職を目指す方:転職の選考において一定の知識レベルを客観的に証明でき
る。 分析専門職につくことに対する意欲を示せる。
・1~2年目のデータアナリスト:普段の業務に対して、理論的な裏付けを得られる。そのことにより、分析手法や分析結果を周囲に説明する際に説得力が増す。
もちろん理論的な知識は書籍を読むことでも得られます。しかし資格の取得は問題を解くことを伴うため知識の定着度が高いこと、また専門性を客観的に示す材料にもなることからおすすめできます。
以下では、データアナリストのキャリアに役立つ統計、ITスキルに関する資格をご紹介します。
データアナリストに必要な統計スキルに関するおすすめ資格
データアナリストに必要な統計スキルのおすすめ資格①統計検定
統計に関する知識や活用力を測定する試験です。4級から1級までのレベル別試験のほか、統計調査士、専門統計調査士といった試験区分があります。取得を検討する場合は、大学基礎課程(1、2年次)のレベルまでをカバーした2級を目指すのがよいでしょう。2級を取得できれば、データアナリストの業務に必要な統計理論の知識はひとまず十分です。
統計検定2級の取得がデータアナリストのキャリアに役立つ理由は、記述統計をマスターでき、推測統計の基礎を学べるためです。
記述統計では、基本的な統計指標について学びます。例えば、平均値や中央値、最頻値、標準偏差、相関係数といった指標の計算方法や意味を習得していきます。
データ分析の業務は、まずは対象データの傾向をさまざまな角度から理解することから始まります。そのようなデータ理解は、各種の統計指標を把握することによって進められるのです。そのため記述統計は分析業務における共通言語のようなものであり、まずはここを十分に理解しておくことが大前提となります。
一方推測統計では、回帰分析など予測モデルの理論を学びます。理論が分かると以下のようなことが判断できるため、普段の業務にも活きてきます。
・代表的な統計分析の手法にはどのようなものがあり、またそれらはどのようなデータの分析に適しているのか
・予測モデルが出した結果の信頼性はどのように評価するべきなのか
例えば、売上や客数の予測モデルを構築する場合、それらを説明する変数にはさまざまな要因があります。モデルを分析した結果、特定のキャンペーンに効果があるため今後もっと行うべき、という結論を出したとしましょう。その際、データアナリストは周囲のメンバーにその結論の統計的根拠を説明する必要があります。「統計検定」の学習をすることで、そのような場合に必要となる理論的知識を学ぶことができるのです。
データアナリストに必要な統計スキルのおすすめ資格②G資格、E資格
G資格とE資格は、日本ディープラーニング協会が認定するAI領域の知識や実装スキルを証明する資格試験です。G資格とE資格で、対象とする受験者層が区別されています。
G資格:AIをビジネスに活用するジェネラリスト人材を認定。機械学習の代表的な手法やAIのビジネス活用、プロジェクトの進め方などに関する知識を問う
E資格:AIを実装するエンジニア人材を認定。ディープラーニングの理論的背景や、実装方法に関する理解を問
データアナリストがAIを業務で活用することを想定すると、より実践に近い内容となっている、エンジニア向けのE資格の取得を目指すのがおすすめです。ディープラーニングといえば、画像や音声、自然言語の解析でもよく使われる技術です。一例ですが、顔認証技術やチャットボットなどに携わる機会がある場合は、まずはE資格で体系的な知識を習得しておくとスムーズです。
統計スキルに関しては、「統計検定」がメジャーな資格となります。「統計検定」でベーシックな統計理論を押さえたうえで、ディープラーニングなどAI領域の専門性を深めたい場合は「G資格・E資格」にチャレンジしてみましょう。
データアナリストに必要なITスキルに関するおすすめ資格
データアナリストに必要なITスキルのおすすめ資格①情報処理技術者試験(基本、応用)
次に、ITスキルに関するおすすめの資格を紹介します。
ITの基礎知識に関する資格としては、「情報処理技術者試験(基本、応用)」がメジャーな存在です。IT業界で取得が広く推奨されている資格としても知られています。ネットワークやセキュリティ、データベース、プロジェクトマネジメントなど、ITの基礎知識が幅広く問われる試験です。
データアナリストの仕事は、システムやプログラムについても一定の知見が求められます。例えば、クラウドのプラットフォーム上に分析環境を構築し、SQLを使ってデータベースからデータを抽出してRやPythonでコードを書いて分析する、といった業務を行うためです。情報処理技術者試験の勉強をすることで、サーバなどシステムに関する基礎知識を一通り学ぶことができ、またプログラミングの基本概念であるアルゴリズムについても、概要を習得できます。
そのため、IT知識に不安がある場合は、まずは情報処理技術者試験で学び、ITについて全体像を知ることからはじめることをおすすめします。
またエンジニア以外から転職を目指す場合など、ITに関する実績がない場合は、この資格を取得することで一定のITリテラシーを証明できます。まずは基本の方から取得し、次のステップとして応用の取得を目指すとよいでしょう。
続いて、IT分野の中でもデータアナリストの仕事と特に関連性が高いデータベースに関して、代表的な資格をご紹介します。
データアナリストに必要なITスキルのおすすめ資格②オラクルマスター
データベース製品として世界的にシェアが高い「Oracle Database」を扱うスキルを証明する資格です。グレードは「Bronze」「Silver」「Gold」「Platinum」の4段階に分かれています。ステップアップ方式の資格となっており、最も基礎的なグレードである「Bronze」からスタートする必要があります。資格取得の過程で、「Oracle Database」の管理・運用とSQLについて基礎知識を習得することができます。
データアナリストに必要なITスキルのおすすめ資格③Python3エンジニア認定データ分析試験
AIを使った開発に必須の言語・Pythonを使った、データ分析の習得スキルを証明するための資格試験です。AIに関するスキル習得は避けて通れない現代において、データアナリストに不可欠な言語とも言えるPythonを学んだ証として、ぜひ取得したいところ。受験料は税込み11,000円(税込)とやや高額ですが、合格率は約75%のため、Pythonを中心にプログラミングやデータ分析に触れたことがあれば一発合格も狙えるでしょう。『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』(寺田学, 翔泳社)のような書籍での対策もおすすめです。
データアナリストに必要なITスキルのおすすめ資格④OSS-DB技術者認定資格
オープンソースデータベースを扱うスキルを証明する資格となります。試験の内容は、オープンソースデータベースの中でも「PostgreSQL」に準拠しています。グレードは「Silver」と「Gold」の2段階があります。「Silver」では比較的小規模なデータベースの導入スキルとSQLの基礎知識、「Gold」では大規模データベースの管理・運用、パフォーマンスの改善に関する知識が問われます。
データアナリストに必要なITスキルのおすすめ資格⑤データベーススペシャリスト試験
「情報処理技術者試験(基本、応用)」と同じく、IPAが主催する国家資格です。正規化などデータベースの基礎理論からSQL、データベース設計のケーススタディなど幅広く出題されます。この資格を取得することで、データベース一般に関する専門家として認められます。「情報処理技術者試験(基本、応用)」の資格を取得後、データベース関連の知識を更に深堀りしたい場合に目指すとよいでしょう。
上記3つのデータベース系資格のいずれを通しても、データベースの管理・運用やSQLなど、データアナリストの業務に必要な知識を習得できます。勤務先の会社が「Oracle Database」を導入しているならオラクルマスター、オープンソース系のデータベースを使うことが多ければ「OSS-DB技術者認定資格」を受けてみるとよいでしょう。製品を問わず、データベース一般の理論的知識を網羅したい場合は「データベーススペシャリスト試験」がおすすめです。
データアナリストの業務ではSQLの使用はもちろん、データベースやテーブルの設計をすることも多いです。また分析業務ではスピードも重要であり、データ抽出のパフォーマンスをチューニングをする知識も備えているとベターです。データベース系の資格試験では、そのような業務を行うにあたってのベースとなる知識を学ぶことができます。
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>データアナリストへのキャリアに関する記事
データアナリストからコンサルに転職して必要になるスキル、マインドとは?
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/fromdataanalyst_toconsul
データアナリストの仕事は、コンサルと事業会社でどう違うのか?
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/dataanalyst_consuldifference
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今回は、データアナリストのキャリアに役立つ資格について、統計とITのそれぞれで複数ご紹介しました。転職にあたってのスキル証明や、データアナリストとしてのスキルアップの一手段として、ぜひ資格の取得を検討してみてください。
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