近年では人命救助や観光地のPRなど、様々な分野において、ドローンの活用が進んでいます。2023年度、日本国内のドローンビジネスの市場規模は、前年度比743億円増加の3,854億円と推測されました。
2024年度には前年度比21.5%増の4,684億円に達し、さらに2028年度には9,054億円に達すると見込まれています。
出典:インプレス総合研究所『ドローンビジネス調査報告書2024』
今回は、拡大しているドローン産業で活躍する現在注目の企業を17社に厳選してご紹介します。
※2024年10月時点での情報です。
【ドローンベンチャー事業会社一覧目次】
テラドローン株式会社
アメリカでMBAを取得しシリコンバレーで日本人起業家の会社設立などに携わった経歴を持つ徳重徹氏が、2016年に設立した企業です。ドローンを活用した土木測量や鉱山測量、橋梁を含む施設点検やオイル・ガスの点検作業サービスなどを展開しています。
また、自社機体開発などのハードウェア開発やドローンの自動航行アプリ、ドローン専用の画像処理・画像認識ソフトの自社開発などソフトウェア開発なども事業範囲です。
独自の技術・ノウハウによるデータ解析高速化や柔軟な対応力、自社開発のソフトウェア等に強みを持っています。大手ゼネコンや建機メーカー等からの受注を中心に世界でもトップクラスとなる1,500件以上のドローン測量・点検実績があります。
また、ドローン運行管理システム事業では世界有数のUnifly社と提携し、筆頭株主として次世代のシステム開発を行っています。
さらに点検分野においては、ヨーロッパの大手オイル・ガス会社を中心に200件以上の実績をもつTerra Inspectioneeringと連携しました。そして特許取得済みのUTドローンを用いた検査技術を導入するなど、着々と活動の幅を広げている企業です。
株式会社FLIGHTS
リクルート社MediaTechnologyLabにて複数の事業開発に携わった経験を持つ峠下周平氏が2016年に創業した株式会社FLIGHTSは、全方位型のドローン企業です。空からのデータ取得・解析をあらゆる産業で実現し、ドローン・ロボティクス前提社会を「より早く・より良い形」で創ることをビジョンとしています。
「DroneAgent」というドローンのスペシャリスト集団が運営するサービスを基点に活動しており、その活動内容は様々です。例えばプロ向けドローン販売サイトの運営やドローンを使った空撮の代行、産業用ドローンの導入コンサルなどを行っています。
ドローン販売やソリューション提供においては、全国270社のドローン代理店と提携しています。また、農業分野においては、農薬散布ドローン「FLIGHTS-AG」を開発・リリースしており、防除作業における低コスト化や生産性向上に寄与しています。
株式会社センシンロボティクス
大学在学中からビジネスコミュニケーション事業を展開し、ロボティクス活用による社会課題の解決を目指してきた真下直晃氏が2015年に設立した企業です。ロボティクスの力で社会の「当たり前」を進化させていくことをミッションとして、設備点検や災害対策、警備・監視を中心とした喫緊の社会課題解決に取り組んでいます。
交通機関等社会インフラを担う企業やプラントなど大規模の工場をもつ企業などに向けて、ドローンを活用した保守・点検を行っています。また、被災地などの状況をドローンによってリアルタイムで把握することで、自治体等の災害対策にも協力しています。
同社は完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN Drone Hub」により、自動離着陸・自動充電・撮影データ自動転送を実現しました。「SENSYN Drone Hub」は、エナジー・ソリューションズ株式会社の太陽光発電設備における無人点検システム開発に採用されています。
株式会社FullDepth
株式会社FullDepthは、筑波大学在学中よりベンチャー企業でロボットの試作開発に従事していた伊藤昌平氏が、2014年に独立して立ち上げた企業です。産業用水中ドローンを中心として、水中作業をサポートするサービスを提供しています。
自社開発の産業用水中ドローン「DiveUnit300」は、潜水士が業務で潜水できる深さである40mを超える範囲での探索が可能です。また、潜行情報を利用できる独自のクラウドサービスは、日本全国約50箇所で水中インフラや水産関連アセットの点検や漁業などに活用されています。また、代表取締役社長の伊藤昌平氏は、MITテクノロジーレビューによる国内初開催のグローバル・アワード「Innovators Under 35 Japan 2020」を受賞しました。
2020年末には総合ものづくり支援企業・株式会社菊池製作所と資本・業務提携をしており、DiveUnit300の品質向上や次世代産業用水中ドローンのハードウェアプラットフォーム研究開発や商品化等を進めています。2024年7月には、島根県と共同で「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業」(内閣府総合海洋政策推進事務局が公募)に採択されたことを発表しました。既存のAUV によって実際にデータを取得していき、2030年までの事業化を目指しています。
株式会社SkyDrive
日本発の「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」を開発・製造・販売するスタートアップとして、2018年に設立された企業です。「空飛ぶクルマ」と呼ぶ有人試験機のSkyDriveや、航空機開発を用いた安全な重量物運搬ドローンであるCargo Droneを開発・製造・販売しています。
創業者である福澤知浩氏は、東大工学部を卒業した後トヨタ自動車に入社し、2017年には福澤商店株式会社を設立して中小企業を中心とした製造業の経営コンサルを手掛けた経歴を持ちます。
同社は、2020年以降の空飛ぶクルマ実用化に向けて生まれた団体「CARTIVATOR」から生まれたスタートアップです。空飛ぶクルマは今後益々人口が増えていく発展途上国の人々に取って新たな移動手段になると考えており、2021年5月には物流や建設事業等を展開し75年の歴史を持つ三栄工業株式会社と共同開発を始めるに至っています。
2024年9月28日には、国立競技場で開催された清水エスパルスのホームゲーム「OLE FES2024」において、試合開始前に300台超のドローンを一斉に放ち、夜空に文字を描く演出を実施。競技場内を沸き立たせ、ドローンの魅力のアピールに成功していました。
株式会社ナイルワークス
永田幸生氏が2015年に創業した、農薬散布用ドローン「Nile -T20」などの企画・製造・販売を行う企業です。「Nile -T20」は圃場の上空30~50mを完全自動で飛行し農薬を散布してくれるため、誰が作業をしても毎回同じ精度での農薬散布ができるようになり、作業の軽減が図れます。高精度ドローンによって均質な農薬散布が実現でき、大型機械の入りにくい小規模圃場や複雑な形の圃場を持つ農家に対して非常に優位性が高いと言えます。
日本では農家の高齢化や高齢者不足といった課題があり、ドローンやICTなどを活用した農作業の効率化・省力化に関する市場規模は、今後も高まっていくと見込まれます。
そして同社は2021年に入り、住友商事株式会社とダイハツ工業株式会社、三井住友ファイナンス&リース株式会社の3社より第三者割当増資を引き受けました。そのため今後は、これら3社のノウハウを活用したさらなる成長も期待されます。
株式会社CLUE
東京大学大学院工学系研究科修了後に株式会社ディー・エヌ・エーでWebサービスの運用開発をした経歴を持つ阿部亮介氏が、2014年に創業した企業です。「テクノロジーを社会実装し、世の中の不を解決する」をミッションとして、企業向けのドローンソフトウェアを提供しています。
主力サービスである「Drone Roofer」は、ドローンを活用した屋根外装点検サービスです。iPadの操作のみでドローンを手軽に操作できるため、安全性と業務効率を同時に向上させることが期待できます。
アジア太平洋地域向けIT情報誌『APAC CIOoutlook』の2020年8月10日号では、「ドローンサービス企業グローバルランキングTOP10」にランクインしました。
2020年12月にはSTRIVEをリード投資家とした約20億円の資金調達を実施しており、開発や人材採用等の加速に尽力していることがうかがえます。
2023年3月9日には、「ドローン施工管理くん」が新技術情報提供システム「NETIS」(国土交通省)に登録されました。ドローンを使った定点写真撮影によって、施工管理用の情報収集がしやすくなった結果、徒歩での巡回と比較して8割の時間短縮を実現しています。ドローンの活用による業務効率化の良い事例です。
株式会社プロドローン
プロドローンは、大学卒業後に様々な形で映像機器や映像システムの構築・販売に携わってきた河野雅一氏が2015年に創業した企業です。世界一の産業用ドローンシステムメーカーとなって世界を変えることを目指す同社は、高い技術力によって高品質・高機能・高安定の基本プラットフォーム機の販売等を行っています。
産業用ドローンの必須特許取得数は2020年5月時点で94あり、これは大手企業を抜いて国内ドローンメーカーの中でトップです。長距離輸送を行えるヘリコプターや重量物を搭載できる6枚機など、産業用ドローンに求められる機能を数多く盛り込んだプラットフォームを多数用意しています。また2020年9月には、鎌倉インベストメントを引受先とする第三者割後増資を実施売るとともに、同創業者・代表パートナーの千葉功太郎氏を社外取締役として迎え入れました。経営体制を新たにしたことで、今後の事業成長の加速化が期待されます。
ブルーイノベーション株式会社
現代表取締役である熊田貴之氏の父親が1999年に創業したアイコムネット社を前身として2013年に現社名へと生まれ変わった、ドローン市場を主軸として事業展開する企業です。
独自のデバイス統合プラットフォームである「Blue Earth Platform(BEP)」を中心に、プラントや公共インフラ、物流など様々な業界にソリューションを提供しています。また、様々な移動体への連携を可能とする「クラウドモビリティ」構想のファーストステップとして、ドローンポートシステム「BIポート」も開発しています。ドローンやAI、ロボットによる自律分散型社会の社会インフラ構築の実現に取り組んでいる企業です。
2020年には医療イノベーション分野で活躍するHTG株式会社と、医療業界向けソリューションの共同開発に向けて資本業務提携契約を締結しています。
株式会社エアロネクスト
次世代において整備されるべき社会インフラは「空」だと考え、次世代型ドローンの研究開発を行うドローン企業です。バルーン空撮による眺望撮影の第一人者として知られる鈴木陽一氏が産業ドローン市場の創造などを目的として2017年に設立しました。
産業用ドローンの機体設計構造技術の研究開発や特許ポートフォリオ開発、そしてライセンスビジネスなどを主な事業として展開しています。「4D GRAVITY」と呼ばれる独自の構造設計技術を持っており、機体重心を最適化させることで産業用ドローンの安定性や機動性などの基本性能の向上に成功しました。また、UAVコンサルにも力を入れており、UAVに関わる包括的なサービスやビジネスソリューションに関する助言を行っています。
2019年にはチェンジを引受先として第三者割当増資を実施しており、2020年にはANAHD、2021年にはセノイーHDと業務提携するなど、サービス拡大の地盤を着々と整えています。
株式会社リアルグローブ
「もっと自在に、ちょうどいい世界を」というミッションを掲げて、世界の全てをWebAPI化することで持続可能な社会を実現することを目指す企業です。現代表取締役である大畑貴弘氏が、東京大学理学部情報科学科在学中の2008年に設立しました。AIやロボティクスのテクノロジーを活用することで、災害対応や救急医療の分野でも活躍しています。
同社が開発したリモート情報共有システム「Hec-Eye(ヘックアイ)」は、ドローンが取得した情報を地図上に集約し、共有できるプラットフォームです。Hec-Eyeは現場と本部をリアルタイムにつなぎ正確・迅速な情報収集が期待できることから、「Best of Japan Drone Award 2019」のソフトウェア部門 最優秀賞を受賞しました。千葉県八千代市の消防本部をはじめ、様々な自治体がHec-Eyeの試験運用・運用を始めています。
AUTHENTIC JAPAN株式会社
事故や災害によって命を落とす人を1人でも多く救うべく、会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」などのサービスを提供する企業です。パナソニックシステムネットワークスのSCM部門や商品企画部門で活躍した経歴を持つ久我一氏が、2011年に起業しました。
主力サービスのココヘリは、山での遭難時などに会員を見つけ出してくれるサービスです。全国の警察や消防航空隊が、ココヘリ会員証の電波を受信する専用受信機を導入しています。また、捜索活動においては航空会社との提携ネットワークを活用し、全国の山域をカバーしています。
ココヘリで培ったノウハウは、スマホで探せる発信機「LIFE BEACON」や子供の見守りサービス「COCO KIDS」、ペット捜索サービス「COCO SIPPO」などにも活かされています。2021年3月には総額で2億2,000万円の資金調達を実施しており、今後の事業展開が注目される企業です。
株式会社テラ・ラボ
モバイルITコンサルティング会社の経営や中部大学GISセンターの研究員としての活動経験がある松浦孝英氏が2014年に創業した、中央大学発のドローンベンチャーです。長距離固定翼ドローンの開発に特化し、衛星通信で制御できる長距離固定翼ドローンや車両型地上支援システムを活用した大規模災害対策システムの研究開発に取り組んでいます。
同社は創業当初より南海トラフ巨大地震などを見据えた大規模災害時における長距離ドローンの研究開発を進めています。2020年5月にはDRONE FUNDや商工組合中央金庫などから総額3億円の資金調達を実施し、長距離固定翼ドローンのさらなる実用化・事業化に向けた取り組みを行っています。さらに2021年1月にはリアルテックホールディングスより資金調達を行っており、災害対策プラットフォームの構築を加速していくことが期待されます。
株式会社トラジェクトリー
航空管制業務の自動化に関する研究開発を長年行ってきた小関賢次氏が2018年に創業した、AI航空管制システムの開発を主に手掛ける企業です。管制の自動化を通じて、誰もが安全かつ簡単に無人航空機の恩恵を享受できる社会の実現を目指しています。
トラジェクトリー社がリリースするAI管制プラットフォーム「TRJX」は、複数のドローンが同時に飛行可能な点飛行可能なルートを自動生成可能です。このシステムを展開していくことで、ドローン社会の実現に貢献します。
また同社は、長時間飛行マルチコプター型ドローンの販売も行っています。より広い範囲を網羅的に飛行でき、災害時の捜索活動や、警備・監視業務などの実効性向上が望めます。
自治体との事業も精力的に行っており、2020年には愛知県豊川市や新城市、国際航業株式会社と地方創生に関する包括連携協定を締結しています。
楽天ドローン株式会社(旧:SKYESTATE株式会社)
国土交通省認定管理団体・ドローンパイロットライセンススクール「Drone Biz School」の運営を中心として、外壁調査や太陽光パネル調査などドローンを使ったサービスを提供してきた企業です。銀行や出版社への勤務経験がある青木達也氏が、「空に、未来を」をテーマとして2016年に立ち上げました。
ローンによる空撮についても取り組んでおり、専門の空撮・編集チームによって顧客の要望に応じた動画制作を実施しています。
2022年には楽天のグループ会社となり、社名を「楽天ドローン株式会社」に変更しました。
運営していた「Drone Biz School」は、「楽天ドローンアカデミー」に統合。Drone Biz Schoolでは、基本的なドローン操作に加えて調査や点検など実務に活かせる専門スキル・知識を学べるカリキュラムも用意していました。
1,759もの体験コースを用意して、これまでに1,500人のパイロットを育成しており、受講満足度も96.3%と品質の高さがうかがえるスクールでした。
統合後は新たに「国家資格コース」を開設し、二等無人航空機操縦士の資格取得が目指せる学科講習や実地講習を用意し、ドローン人材の育成に力を注いでいます。
株式会社Spiral
「屋内」の自律飛行ドローン導入を検討している「現場技術者」の救世主となることをミッションとし、屋内ドローンをはじめとする研究開発を行う企業です。大学在学中より飛行ロボットベンチャー創業に参画していた石川知寛氏が、2016年に創業しています。
同社の事業展開は、非GPS環境下におけるドローン自律飛行システム「MarkFlexAir」の開発が中心です。MarkFlexAirは複雑な知識を持たない方でも比較的容易にドローンを扱えるシステムであり、建築・土木業界をはじめとする様々な業界のソリューションとなることが期待できます。
2020年4月には、MIRAISEやテックアクセルベンチャーズ、静岡キャピタルを出資元とした資金調達を実施しました。さらに2020年11月にはベルテクス・パートナーズとの資本業務提携を締結しており、今後は両社の協業による事業展開が期待されます。
DroneDeploy
ドローンの飛行管理や、モバイルアプリを利用したドローンの空撮による地図作成サービスなどを提供しています。ジョノ・ミリン氏とマイケル・ウィン氏、ニコラス・ピルキントン氏の3名によって2013年に創業されました。2020年末までに1億ドル超の資金を調達し、5,000を超える顧客を抱える企業です。
空撮画像を分析し、詳細な解析に使用できる高解像度の地図や3Dモデルを作成し、可視化します。その活用範囲は幅広く、農業や建設、測量から屋根点検に至るまで様々な産業で利用されています。
2018年には日本のマーケットに進出し、SB C&S社とパートナーシップを組んでおり、日本においても大きな需要を見込んだ活動を展開していく方針です。
2020年には、新たなサービス「360Walkthrough」を発表しました。これはドローン写真と地上のカメラ、地上ロボットなどとを組み合わせる仕組みのことであり、各現場の状況をより手軽かつ詳細に確認することに役立ちます。2020年には多くの企業がリモートでの作業を導入していったこともあり、DroneDeployのドローン飛行時間が前年比度2.5倍に増えたと言われています。
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【テラドローン株式会社インタビュー】「入社9か月で営業メンバーから拠点長に昇格」初めてのスタートアップも最短で結果を残せた理由とは?/東日本営業マネージャー 森田雄志様
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/terradrone_japan
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