今回の記事では、コンサルティングファーム(主に戦略~FAS)が行うデューデリジェンスと、PEファンドが行うデューデリジェンスの内容の違いについて、それぞれの担当する範囲や、コンサルとPEファンドの関係性からお伝えします。
【目次】
戦略コンサルが担うことの多い「ビジネスデューデリジェンス」
まず、マッキンゼー、ベイン、ボストンコンサルティングなど、主に外資系戦略コンサルティングファームが担うことの多いデューデリジェンスは、買収もしくは売却を検討している事業の成長性・競合環境・事業計画分析(主に損益計算書を中心にトップラインを検討)・市場でのポジショニング等をゼロベースで案件に応じて仮説を作成し、綿密なリサーチと分析を経てレポートを作成する「ビジネスデューデリジェンス」を指すケースがメインです。
ビジネスデューデリジェンスでは、買収を検討する企業の属する業界の成長可能性はどうか、将来的な事業の動向はどうか、競合環境を勘案して対象会社の事業計画の妥当性はどうか、という点を総合的に検討することがポイントになります。
FASが担うことの多い「財務デューデリジェンス」
FASがおこなうデューデリジェンスは、基本的には「財務デューデリジェンス」がメインです。財務デューデリジェンスとは、一般的に「買収監査」とも呼ばれ、企業を買収・売却する際に、対象会社の財務的なリスクや検討すべき論点を網羅的に洗い出す作業です。
財務デューデリジェンスの目的は、企業を買収ないし売却する場合にM&Aのプロセスの中で早期に財務上のリスクや収益力、財政状態(運転資本や有利子負債の状況)などを事前に把握することで効果的なM&Aを実施することです。
財務デューデリジェンスの結果は、クライアントである買収側企業または売却主体である事業会社・PEファンドおよびファイナンシャルアドバイザーである投資銀行に共有され、対象会社の収益性や財務上のリスク・論点(潜在的債務の有無や、運転資本の水準など)の理解を促します。
実質的な収益力(EBITDAや売上高の水準)、運転資本や設備投資に関するキャッシュアウトの水準への吟味はバリュエーションを行う際に必須であり、ディールの財務上の論点・バリュエーションへ使用するEBITDAの水準や、状況によってはリスクの高い買収などを事前に防ぐことを可能にします。
PEファンドは、デューデリジェンスレポートの依頼・調整~投資検討などが主
PEファンドの場合、ファンド自身がデューデリジェンスレポートの作成等の業務を行うことは基本的にはない一方で、企業への出資ないし買収を検討するにあたり、デューデリジェンス業務の範囲、重点的に調べてほしい論点、報酬を勘案してどこのコンサルティングファームが最適かを決定します。
また特に若手の重要な役目として、デューデリジェンスのプロセスが進むにあたり、各コンサルティングファームとのコミュニケーションや、報告会の日程決め等をファイナンシャルアドバイザーと協働して調整するといったタスクもあります。
他にも、デューデリジェンスでの検出事項を、財務モデルや株式譲渡契約書にどのように反映させていくかも重要なプロセスになります。
投資銀行のM&AチームでデューデリジェンスのQ&Aとりまとめを行ったりする経験を持っている方であれば、ファンド入社後にすぐそのスキルを横移動できます。コンサルティングファーム出身のメンバーであれば、ファーム在籍時のビジネスデューデリジェンス経験を活かし、初期的な投資仮説や市場分析等に役立てることが可能です。
このように、デューデリジェンスにおいては、PEもコンサルティングファームも歩幅を合わせて業務を進めていくことになります。
コンサルティングファームにとって、PEはクライアントになります。逆にPEファンドにとってコンサルティングファームは「外部アドバイザー」という関係になります。
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>PEファンドのキャリアに関する記事
PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear
FASからPEファンドに転職して活かせるスキル・キャッチアップが必要なスキルとは
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/fas_pe
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今回の記事では、コンサルティングファーム(主に戦略~FAS)が行うデューデリジェンスと、PEファンドが行うデューデリジェンスの内容の違いについてご説明しました。
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