今回はコンサルティングファームが手がけたDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例とコンサルティングファームが得意とする領域、成功の秘訣を解説し、最後にリアルな現状についても紹介いたします。
DX領域のコンサルティングに関わるか迷われた際に、ぜひご参考ください。
【目次】
- コンサルティングファームの主なDX(デジタルトランスフォーメーション)成功事例
- コンサルティングファームがDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる理由
- コンサルティングファームが手掛けるDXのリアルな現状
コンサルティングファームの主なDX(デジタルトランスフォーメーション)成功事例
(1)3Dボディスキャナーと接客AIで顧客のペインポイントを解消/IBM
IBMが手掛けた顧客体験創出の事例を紹介します。
IBMはワコールを支援し、リアル店舗のデジタル化を推進しました。ワコールは女性用インナーウェアを販売していますが、「女性同士であっても、販売員からインナーウェアを購入することに抵抗がある」という意見や、「自分のサイズに合った最適な商品を選びたいけれど、計測してもらうのは恥ずかしい」という意見を顧客から得ていました。この課題を解決するために、IBMのAIにワコールの接客ノウハウを学習させた接客AIと、試着室の中で自分の身体のあらゆるサイズを5秒で計測できる3Dボディスキャナーを独自に開発しました。
接客AIによって店舗に置いてあるタブレットから簡単に操作可能なため、気兼ねなく自分に合うインナーウェアを探すことができるようになり、3Dボディスキャナーによって、販売員による計測のわずらわしさや恥ずかしさを感じることもなくなりました。
顧客が抱えていたペインポイントをテクノロジーの力で見事に解消したコンサルDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例であるといえます。
(参考)「テクノロジーでお客様と寄り添う未来」に向けたワコールのデジタル変革
https://www.ibm.com/think/jp-ja/business/wacoal-ai/
(2)IoTやAIを活用し顧客にパーソナライズされたスキンケアを届ける/野村総合研究所(NRI)
野村総合研究所(NRI)が手掛けた顧客体験創出の事例を紹介します。
野村総合研究所(NRI)は資生堂を支援し、一人ひとりの肌に最適なケアをお届けするスキンケアシステム「Optune(オプチューン)」の開発をサポートしました。従来のように同じ化粧品を常に同量を使い続けるのではなく、「肌の状態の“揺らぎ”に合わせて、使う化粧品や使用量を変える」という常識破りのコンセプトで開発はスタートしました。
Optune(オプチューン)の仕組みは、まずスマートフォン用アプリで肌画像を取得し、その日の肌の状態を測定します。さらに肌の状態だけでなく気候やその日の気分などの情報を加味した上で、クラウド上のサーバーで独自のアルゴリズムに基づき、美容液と乳液の最適な組み合わせと使用量を割り出します。その結果を顧客の家に置かれた専用抽出マシンにリアルタイム伝達するというものです。これにより、その時々の肌の状態に合わせたスキンケアを実現しました。顧客体験のポイントは「リッチ」と「パーソナライズ」の2つだと言われていますが、デジタル・テクノロジーの観点から支援しこの2つを見事に実現したコンサルDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例であるといえます。
(参考)資生堂ジャパン×NRI 最先端の皮膚科学とテクノロジーの融合
https://www.nri.com/jp/journal/2018/1003
コンサルティングファームがDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる理由
そもそもなぜ自社だけでDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進せず、フィーが高いコンサルティングファームに支援を求めるのでしょうか?結論から言うとその理由は第一に「テック系人材の不足」にあります。
事例では、大手化粧品メーカー、インナーウェアメーカーを紹介しましたが、どの企業も商品の企画、開発、販売のサイクルを回すことが重要です。
そのような企業では、意識的に人材投資しない限り急に新しいテクノロジーを持ち合わせた人材が育つ可能性は極めて低いと言えます。
一方で、コンサルティングファームはコンサルタント以外にも、SEやデータサイエンティストなどテクノロジーの知見を持った人材を多数抱えており、積極的に人材育成に関する投資をしています。
事業会社がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する際に最もコンサルティングファームに求めていることは、ある意味「テック人材を調達するため」だと言い換えられるでしょうか。
さらに、「そもそもこの事業や業務にデジタル化は必要か?」「今後の経営方針を立てる上で、どのようなデジタル関連のプロダクトを生み出せば良いのか」といった上流を考えるプロフェッショナルのコンサルタントから、実際にプロダクトを作って提供するエンジニアまで、同じ会社に抱えるファームも多く、無駄のないデジタル推進ができる点も魅力の一つでしょうか。
また、外資系ファームでは、海外の日本より一歩進んだDX事例が入ってきます。事業会社単体では手に入りにくいこのようなDX成功のためのノウハウを提供できることも、コンサルティングファームが今のDX推進において注目される一つの理由だと言えます。
コンサルティングファームが手掛けるDXのリアルな現状
最後にコンサルDXのリアルな現状を紹介します。実は、上記で述べた顧客体験の創出といったプロジェクトは、2020年時点では、まだまだコンサルティングファームでも大きな成功事例があまりなく、案件自体少ないのも事実です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するには、まずは既存の業務オペレーション、業務システム、組織体制などを段階的に高度化させ、変革のボトルネックを解消していく必要があります。
例えば、最近コンサルティングファームで増加している案件としては「需要予測の高度化」が挙げられます。エクセルなどで人が手計算し属人化していた業務を、ANAPLAN などのシステムを導入することで自動化し、サプライチェーン領域からデジタル変革を起こすといった機能・領域単位での段階的な変革に取り込んでいることが多いです。
まだまだ既存業務の中で可視化された課題に追われていることが多く、新規事業の位置付けである顧客体験の創出といった本当のDX(デジタルトランスフォーメーション)の段階まで進めていないケースが多いこともご認識ください。
<DXコンサルのキャリアに関するコラム>
「DX推進」フェーズ毎に求められる人材・役割(スキル・経験)とは?
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/DX-Capability
大手ベンダーや総合商社の「DXコンサルポジション」求人特集
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/dxcpositiontc
「Big4」各ファーム独自の「DX推進ポジション」特徴・転職年収事例・キャリアパスまとめ
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/big4dx2019
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今回の記事では、コンサルティングファームの”DX成功事例”と”現状の課題”についてご紹介しました。
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