著名CTOの経歴に見る「キャリアパス・なり方」【パターン別】

ご存じの通り、「CTO」とは「Chief Technology Officer」または「Chief Technical Officer」の略称で、日本語では「最高技術責任者」になります。しかし、ひとえに「CTO」といってもバックグラウンドや就任までのキャリアには様々なケースがあります。
そこで、今回の記事では、有名CTOの経歴をもとに、CTOへのキャリアパス・なり方をいくつかのパターンに分けてお伝えします。

【目次】

    1. 長年の功績でCTOに内部昇格
    2. 最初からCTOとしてジョイン
    3. ご指名の一本釣りでCTO
    4. CTOとして引っ張りだこ
    5. CTO業績からCEOに昇進というキャリアパスも
    6. (参考)技術系のバックグランドを持たずにCTOになれるのか

長年の功績でCTOに内部昇格

エンジニアとしてジョインして、開発の現場でリーダー経験を積むなど実績・信頼を徐々に重ねた後に、企業内部で評価を受けて(もしくは社内事情で技術部門のまとめ役のポジションが必要になったため)昇格したというケースです。

このカテゴリーのCTO

Sansan株式会社 CTO 藤倉成太

名刺管理の大手SansanのCTOです。
株式会社オージス総研に入社し、ミドルウエア製品の導入コンサルティング業務に従事。赴任先の米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールやプロセスの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院(現・KIT虎ノ門大学院)で経営やビジネスを学び、同大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ中途入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に携わった後、開発部長に就任。16年からはプロダクトマネジャーを兼務。18年、CTOに就任し、全社の技術戦略を指揮。

※参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000039886.html

メドピア 執行役員CTO 福村 彰展

医療の領域で医師向けコミュニティサイトであるメドピアのCTOです。
2004年に横浜市立大学理学部卒業後、SIerに入社。主に大手ISPのサービス開発に従事。2006年に株式会社ミクシィに入社。同社の転職サイト「Find Job!」の開発責任者を務めた後、新規事業室に移り、新サービスの開発をリード。2012年3月にメドピアに入社し、2014年に執行役員に就任。「MedPeer」をはじめとした、サービス開発を統括。

※参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000063503.html

株式会社アカツキ CTO 田中 勇輔

スマホ向けキャラクター系ゲームの大手アカツキのCTOです。
1984年 佐賀県生まれ。
少年時代は、ポケットコンピューターに夢中だったとのこと。またファミリーコンピュータのゲームにも夢中でゲーム好きでした。その頃からプログラミングにも知見があった模様。
その後福岡のコンピューター専門学校卒業と同時にSIer入社のため上京。
SEとして工場の基幹システムなどを担当。7年間の勤務を経て2012年アカツキに入社。「鬼神BLADE」などのタイトルの開発に関わります。その後CTOに就任。

※参照:https://aktsk.jp/company/executive/

株式会社エウレカ 取締役CTO 金子 慎太郎(かねしん)

マッチングアプリのPairsで有名なエウレカのCTOです。
2010年、東京理科大学理学部を卒業後、組込系企業に入社し品質保証に従事。2011年、カナダ留学。帰国後、東京理科大学の研究室OBとして最適化理論の研究に携わる。2012年、株式会社エウレカに入社。「Pairs」および「Couples」の立ち上げメンバーとして開発に参画。2017年10月、取締役CTOに就任。

※参照:https://startup-db.com/officers/DdjqmN4TMg790XBr

最初からCTOとしてジョイン

これは非常によくあるパターンで、スタートアップの初期からエンジニアとして参加していてCTOの肩書がついているというケースです。

このカテゴリーのCTO

dely 株式会社執行役員CTO 大竹雅登

レシピ動画で有名なクラシルの会社のCTOです。
2014年、慶應義塾大学在学中にdely株式会社を共同創業し、CTOに就任。2016年にレシピ動画サービス「クラシル」をリリースして日本最大のレシピ動画サービスに成長させる。創業期はCTOとしてフルスタックに開発を担い、拡大後はエンジニアやデザイナーの組織づくりに注力。2017年にはその年最も輝いたCTOを選ぶ、TechCrunch主催の「CTO of the year」を受賞。2019年からはクラシルのEC事業責任者に就任し、食品EC「クラシルストア」を牽引しました。

※参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000316.000019382.html

BASE株式会社 取締役EVP of Development 藤川 真一

ECを簡単に立ち上げられるBASEの元CTOの藤川氏です。
FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わる傍ら、07年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。10年、想創社を設立し、12年4月まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。14年8月からBASEのCTOに就任。17年9月に慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士課程を単位取得満期退学、18年1月博士(メディアデザイン学)取得、同学科研究員。
元々CEOの鶴岡氏とは知り合いでしたが、BASEが始まったころに開発への参加を申し出たことから意気投合したという話です。

※参照:https://gs.dhw.ac.jp/faculty/shinichi-fujikawa/

RevComm CTO 平村健勝

スタートアップの登竜門IVSでも話題になった営業分析のRevCommのCTOです。
東京工業大学大学院修了後、アクセンチュア入社。マネジャーとしてCRM導入や機械学習・深層学習を用いたプロダクト開発を担当。2018年6月より株式会社RevCommに参画。
会社の初期にRevCommのCEOからスカウトがあったとのこと。最初の頃はプライベートでサービスの開発に従事。その後CTOとしてジョインしたそうです。

※参照:https://www.revcomm.co.jp/%E5%B9%B3%E6%9D%91-%E5%81%A5%E5%8B%9D-2/

株式会社アンドパッド 取締役CTO 金近望

TVCMで建設現場のDXアプリとして有名なアンドパッドのCTOです。
1983年生まれ。神奈川県出身。東京工業大学理学部情報科学科を卒業。2009年よりベンチャー企業にて事業立ち上げに参加し、2012年CEOである稲田氏とともにオクトを設立。創業当初はANDPADの前身となるサービスである「みんなのリフォーム」や「ReformPad」をローンチ、2014年に施工管理アプリ「&ANDPAD」をリリース開発・運営。
最初に立ち上げていた会社の受託開発で知り合ったクライアントがアンドパッドのアイデアを共有されて一緒にやろうというオファーを受けたことからジョインしたそうです。

※参照:https://engineer.andpad.co.jp/interviewone

株式会社タイミー CTO取締役 阿部 勇一郎

最近はTVCMも放映されていますが、スマホでスキマ時間のアルバイトを簡単に探せるタイミーというアプリのCTOです。
神奈川工科大学情報学部卒業。大学院に進学したものの、Wantedlyで就職活動中にタイミー代表の小川氏と遭遇。開発を週5で手伝ううちにジョイン。その後大学院中退。

※参照:https://logmi.jp/tech/articles/322540

ご指名の一本釣りでCTO

紹介や何かで特筆すべき仕事の成果のある人にはCTOとしてのオファーがご指名で来ることがあります。

このカテゴリーのCTO

Kaizen Platform, Inc. CTO 渡部拓也

Kaizen Platformは顧客体験DXのプラットフォームです。
2004年、一橋大学 商学部卒業。同年NTTコミュニケーションズに入社、その後、グラファイトやニフティなどでエンジニアとして活躍。10年にグリーにてNative Game事業本部で開発と事業の責任者を務める。14年スマートニュースで広告プロダクトマネージャを務め、16年10月にKaizen Platform, Inc.に中途で参画、CTOに就任しました。

この2016年に当時のCTOが退職意向を出したのですが、そのときに当時スマニューの広告プロジェクトマネージャーをやっていました。Kaizen社内のエンジニアからの推薦で紹介されて須藤CEOと当時のCTOと面談して転職を決意したそうです。

現職ではありませんが、飲食店のDXツール・トレタの元CTO増井雄一郎氏もエンジニア界隈ではかなりの著名人でした。Railsなどの技術書で彼の名前を目にした人は多いでしょう。増井氏は自身のサイトで、今後やりたいことを列挙している中に飲食系のアプリというのがありました。その後Twitterマーケティングでやはり有名人で飲食系アプリを作ろうと考えていた中村仁氏と共通の知り合いを通じて知り合います。ここから以降の開発案件は一緒にやることになったようです。

※参照:https://kaizenplatform.co.jp/news/2019-04-02-new-coo

CTOとして引っ張りだこ

CTOという職業は所属している企業が有名になると同時に名前も知られるようになります。特に技術広報に力を入れている企業であれば露出も比例して増えてきます。その結果他の企業からもオファーが来るため各所でCTOとしての引き合いが増えるということになります。およそ平均所属年数は2,3年というところなので現在はどこのCTOなのかがわからなくなり、むしろ個人としての名前のほうがバリューを持っているというケースです。

このカテゴリーのCTO

デジタルハーツ CTO 城倉和孝 氏

ゲームなどのテストツールの会社デジタルハーツでCTOをされてますが、元DMMのCTOの方です。以下で紹介する松本氏を後任としてDMM会長の亀山氏に紹介したことでも有名です。
バイナリー合同会社 代表社員。 バンド活動に没頭した10代・20代を経て未経験で独立系SIerに入社。企業システム受託開発やパッケージビジネスの立ち上げ、プロジェクトマネジャー、ジョイントベンチャーでの取締役CTOなどを経験し、2011年から株式会社DMM.comラボ(現合同会社DMM.com)へ入社。CTOとして7年間にわたり同社のエンジニア組織拡大と育成に従事する。その後ロジャースのアンバサダーを経て、デジタルハーツのCTOに就任。

※参照:https://www.sentankyo.jp/articles/76b55f03-aaf6-4cfa-815d-08af98dc715d

LayerX CTO 松本勇気

経理処理のDXのLayerXでCTOをされています。元DMM、Gunosyのという方がご存じの方も多いかもしれません。
東京大在学中に、創業直後の株式会社Gunosyに入社し、マザーズ上場後にCTOに就任するなど技術組織全体を長く統括。新規事業開発室の室長も務め、現在の株式会社LayerXの前身となるブロックチェーンR&D組織の立ち上げも担った。2018年10月、合同会社DMM.comに移り、CTOに就任。プロダクトの基盤移行など、開発組織の変革を主導した。2021年3月、Gunosy創業者・福島良典氏率いるLayerXにジョインし、代表取締役CTOに就任。

Gunosy時代は内部昇格でCTOとなりました。その後上記の通り、DMMへは城倉氏よりCTOの推薦がありました。現職のLayerXは創業者(この方はGunosyの元CEO)からの勧誘で就任しました。現在は共同代表のような形になっています。

※参照:https://note.com/umihey/n/nc6368b570a2e

CTO業績からCEOに昇進というキャリアパスも

CTOとしての業績と経営へのコミットからついにCEOにまでなったというパターンもあります。

このカテゴリーのCTO

MUGENUP CEO/CTO 伊藤 勝悟

ゲームクリエイターなどのソーシングプラットフォームのMUGENUPの元CTOで現CEOです。
2009年度未踏ユースエンジニア 首都大学東京卒業。
2011年12月大学院在学中に仲間と起業。そのままMUGENUPにCTOとしてジョイン。取締役CTOを経て2015年10月代表取締役CEO就任しました。
元のCEO一岡氏はシリアルアントレプレナーで現在はファウンダーズという企業のCEOをしています。

※参照:https://career.levtech.jp/guide/pickup/column/8/

Chatwork代表取締役CEO/CTO 山本正喜

SlackにならぶB向けコミュニケーションツールであるChatWorkのCEOも元はCTOでした。 電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中に兄と共に、EC studio(現Chatwork株式会社)を2000年に創業。以来、CTOとして多数のサービス開発に携わり、Chatworkを開発。2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の提供開始。2018年6月、当社の代表取締役CEOに就任。

※参照:https://note.com/cwmasaki/

(参考)技術系のバックグランドを持たずにCTOになれるのか

技術系のバックグラウンドを持たずにCTOになれるのかという問題について数年前にハッカーニュースで議論になったことがあります。が、ChiefTechnologyと言っているのにnon-techというのは矛盾しているのではないかという話でオチがついています。海外ではCTOの募集要項に厳格に学位や職歴の条件が決まっているので難しいのでしょう。
https://news.ycombinator.com/item?id=14627460

しかし、上に挙げたCTOの中には変わった経歴の人もいます。
デジタルハーツ CTOの城倉氏は元ミュージシャンでコンピューター系の仕事につくまでは肉屋で店頭販売のアルバイトをしていたとのことです。中には、元々キャリアの前半は営業を6年ほどやっていて、その後エンジニアになったという人もいます。エンジニアは独学で知識はつけられますが組織成果を上げる開発手法やプロセスなどは現場経験がないと身につけられません。この延長にCTOがあります。
将来CTOを目指す方には、開発スキルとマネジメントスキルをいち早く身につけられる場に置くことをおすすめします。

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>CTOへのキャリアに関する記事

“スタートアップCTO”の「よくある苦労」と「乗り越え方」
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/startup_cto_case

CTO採用の「方法・ステップ」と「入社前後の注意点」【現役CTOからの生の声】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/cto_recruitment

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今回の記事では、CTOへのキャリアパス・なり方をいくつかのパターンに分けてお伝えしました。CTO(候補)求人や、同ポジションにご興味をお持ちの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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