【財務コンサルタントとは何か?】仕事内容を流れに沿って解説

今回の記事では、財務コンサルタントの仕事内容について、仕事の流れに沿って詳しく解説していきます。

【目次】

  1. 財務コンサルタントとは、経営課題の解決を財務面からサポートする機能別コンサルタントの一種
  2. 財務コンサルタントの仕事の内容を種類分け(PDCA別分類)
  3. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容①チームアップ
  4. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容②Q&A、資料依頼
  5. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容③分析
  6. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容④中間報告会
  7. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑤分析・レポーティング
  8. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑥審査
  9. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑦最終報告会
  10. 財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑧最終報告後のフォロー対応

財務コンサルタントとは、経営課題の解決を財務面からサポートする機能別コンサルタントの一種

財務コンサルタントとは、企業が抱える経営課題の解決を、財務面からサポートするコンサルタントです。

会社の組織の代表的な機能には、営業・購買・マーケティング・人事・財務・ITなどがあると思います。

財務コンサルタントはこの中の「財務」に着目し、経営目標の達成や経営課題の解決のために財務的な手法を用いたり、財務機能そのものが抱える課題を解決する仕事であり、機能別コンサルタントの一種です。主に公認会計士や税理士といった資格を取得した人材が、財務コンサルタントとして機能しています。
(よく「無資格でも財務コンサルタントになれますか」と質問をいただきますが、「自称」であればもちろん可能とはいえ、クライアントからは門前払いされると考えた方がいいです。)

財務コンサルタントの仕事の内容を種類分け(PDCA別分類)

会社の財務機能に着目するコンサルタントですので、PDCAに当てはめると、主に以下のような内容の仕事に従事します。

①PLAN

M&A戦略(プレ・ポスト)、資金調達戦略、IR戦略、財務分析、市場調査

②DO

財務DD、PMI支援、債権者交渉、IR活動、事業計画策定、資産価値算定

③CHECK

予算実績管理、進捗管理

④ACTION

リストラクチャリング戦略、再生型M&A、会社清算

コンサルティングファームによって特徴あり

コンサルティングファームによって仕事内容に特徴があり、また1つのファームの中でもPDCAのどれを主に担うかによって部署が分かれているケースもあります。財務戦略といったPLANに強いファームや部署もあれば、実行支援に強みをもつDOに強いファームもあります。また、PDCAを回し続けた結果どれもうまくいかない場合は、最終的には上のACTIONに書いたようなリストラクチャリング系の仕事が始まります。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容①チームアップ

財務コンサルタントの仕事は多岐にわたり、どの仕事に関わるかによって仕事の流れは変わってきますが、コンサルティングファームのプロジェクトであれば大きな流れは変わらないと思います。

今回は財務コンサルタントの代表的な仕事として、M&Aプロジェクトの財務DDを例にとって紹介します。※クライアントが買い手のケースを想定しています。

まずはチームアップです。

チーム編成

ディレクターからシニアマネージャークラスの役職者を中心にプロジェクトに参加するチームが編成されます。スタッフからマネージャークラスは前回のプロジェクトが終了してからアサインされることがほとんどですが、コンサルティングファームによってはアサインが重複してプロジェクトを掛け持ちする人もいるでしょう。前のプロジェクトと新たなプロジェクトが並行で進行する場合は、一気に稼働が高まり1ヶ月ぐらいの間、毎日遅くまで仕事するということも珍しくないです。

事業会社とは異なる評価制度

コンサルティングファームでは、このようにプロジェクト単位で動きますので一緒に働くメンバーはその時々で変わります。つまり、人間関係を新しく作っていく必要があり、これが苦手な人は苦労します。事業会社のように自分のことをよく知る直属の上司がいるわけではなく、毎回ゼロから自分のことを評価してもらわなければなりません。一方で、プロジェクトが終われば嫌いな人と一緒に仕事をせずに済むというメリットがあります。

キックオフミーティング

プロジェクトを仕切るシニアマネージャーが中心となって、多くの場合、チームでキックオフミーティングを行います。このミーティングの主な目的は、プロジェクトゴールや成果物の共有、スケジュールの共有、プロジェクトメンバーの顔合わせ・挨拶・役割分担、などです。プロジェクトによっては全く知らない人達でチーム組成が行われますので、ミーティング後に親睦を深めるための食事会が開催されたりします。こういう食事会で、指示を出すマネージャーの性格や特徴を早く掴んだほうが働きやすくなります。

初回インタビュー

1.プロジェクトゴールはなにか

多くの場合、まず最初にクライアントにインタビューをします。このインタビューの目的は、プロジェクトゴールの認識をクライアントと合わせることです。最終成果物は何なのか、納期はいつか、連絡窓口は誰か、を最初に確認します。実際に顔を合わせて挨拶することで、その後の資料のやり取りやQA対応が円滑になる効果もあるでしょう。また、M&Aによっては売り手側にも財務コンサルタントがついているケースがあります。その場合には、資料のやり取りやQA対応は売り手の財務コンサルタントが担いますので、彼らもミーティングに参加している場合があります。

2.ディールブレーカーの存在

M&Aの場合は、対象会社の何に魅力を感じて買おうとしているのか、仮にその魅力が粉飾されたものだったらディールブレーカーになりうるか、買収資金はどこから調達するのか、といったM&Aを進めるための必要条件を確認していきます。DDの過程でこの必要条件が揃わないことが分かれば、すぐにプロジェクトを止めることになるからです。これに加えて、対象会社の財務情報のうち、買い手の現時点における仮説を聞き出します。在庫が滞留しているのではないか、繰延税金資産が回収されないのではないか、粗利が大きすぎないか、といったことです。これらの買い手の仮説を次フェーズ以降で検証します。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容②Q&A、資料依頼

キックオフミーティングで決まった役割分担に応じて、DDを進めていきます。進めていく過程で対象会社へ質問や資料依頼をすることになります。他の人がした質問や資料依頼と重複しないように依頼するのはもちろんですが、質問の仕方にもポイントがあります。

自分の担当科目が棚卸資産である場合に、滞留してないかどうかを検証します。この時に、「滞留してないですか?」と聞くのではなく「業界平均の回転期間と比較して長いようですが、滞留してないですか?」と聞くことがポイントです。前者の場合は、「滞留してないです」という答えに対してこちらは何も言えませんが、後者の場合は、業界平均よりも長い理由=対象会社特有の情報を聞き出すことができ、クライアントにとって有益な情報となり得ます。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容③分析

回転期間分析、投資利益率分析、売上利益率分析、現預金水準分析、商品別損益など、あらゆる観点から対象企業を分析します。競合他社のデータと比較することもありますし、清算価値と継続価値を計算して投資の合理性を分析することもあります。財務DDの価値は、この分析フェーズにあります。

また、分析フェーズにおいては膨大なデータを扱うことがあります。その場合はエクセルの作業スピードで分析の進捗度が大きく変わってきますので、エクセルの扱いには慣れておいたほうがいいでしょう。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容④中間報告会

資料が出てきて分析が進んだ頃に中間報告会を設定します。これまでの分析の結果、ディールブレーカーが発見されたかどうか、ディールブレーカーは発見されてなくても他に問題が発見されたかどうか、について報告します。中間報告後に買い手から新たに分析の依頼が出ることもあります。買い手も独自に分析を進めていますので、分析が進むにつれて気になるところが新たに出てきます。そうすると、コンサルタントとしては新たにやることが増えて最終報告会まで忙しくなります。クライアントによってはこのリクエストが多く、時間が経つにつれてやることがどんどん増えてコンサルタントの寝る時間がなくなってきます。財務コンサルタントの忙しさはこういうところに原因があります。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑤分析・レポーティング

中間報告会が無事に終われば、あとはレポーティングをして最終報告会に臨むだけです。レポートの肝の部分は中間報告会で作成されているか、少なくとも基礎資料はエクセルベースであるはずなのでそれをパワーポイントにまとめます。コンサルティングファームごとにパワーポイントの基本フォーマットが用意されていて、細かいルールもあると思います。具体的にはレイアウト、色、フォント、表やグラフの形式などです。そのルールにしたがって作成します。レポーティングの段階では特に考えることはありません。すでに分析が終わって結論が出ている内容をクライアントにわかりやすいようにまとめるだけです。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑥審査

パートナーの審査よりもマネージャーのチェックが大事

最終報告書が出来上がったらクライアントに提出する前にプロジェクトを担当するパートナーが審査します。審査パートナーのチェックが細かい場合は修正が多くやり直しに時間がかかりますが、中間報告が終わっているのに最終報告書の段階で大幅な修正が起きることはまずないでしょう。パートナーの審査よりも日々のマネージャーのチェックやクライアントへの確認の方が重要です。

複数のパートナー審査

コンサルティングファームによっては、複数のパートナーが審査します。このプロジェクトに直接関与するパートナーの他に、あえて全く関与しないパートナーが審査することで成果物の品質を担保します。しかし、プロジェクトに関与しないパートナーからしたら売上が増えるわけじゃないので、そのプロジェクトに興味がないことがほとんどです。なのでレポートを全く見ずにサインだけするパターンもあります。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑦最終報告会

プロジェクトの最終的な成果をクライアントへ報告します。中間報告から内容にほとんど変化がない場合は、レポートだけメールで送って電話やオンラインで報告を済ませる場合もあります。反対に中間報告で宿題が出ている場合は、それを中心に報告することになります。その宿題が自分の担当範囲の場合は、自分がほぼずっとプレゼンをすることになりますので練習は必須となります。最終報告までにディールブレーカーが発見されたりM&Aの必要条件が満たされない場合は、最終報告はなくなります。実際に、LBOのプロジェクトで銀行が融資を断ったという事象はありました。

財務コンサルタントの具体的な仕事内容⑧最終報告後のフォロー対応

通常のM&Aの場合であればこういうことはほとんど起きません。対象会社が会社更生法を適用して、そのスポンサーとしての買い手のM&Aにおいて、清算価値の算定を細かい部分に至るまで比較的長期間関与することはあります。この場合は、法務DDを行った法律事務所との協働となります。

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>財務コンサルタントに関する記事

FASの「財務コンサル(財務DDチーム)」の仕事内容・採用要件・キャリア
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/fas_ddteam

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今回の記事では、財務コンサルタントの仕事内容について、仕事の流れに沿ってお伝えしました。

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