Mckinsey、Bain、BCG等、戦略系と総称される外資戦略コンサルティングファームの戦略部門と、アクセンチュア、デロイト、PwC等、総合系と称されるコンサルティングファーム内の戦略部門の違いについて説明します。
前者はMBBのほか、AT カーニー、ローランドベルガー、ADL等を指す一方で、後者はアクセンチュアストラテジーやPwC傘下のStrategy&等を指します。実際に両方で働かれた方々の生の声などから具体的な違いについて説明します。
【目次】
思考アプローチの違い
上述の両者を比較する場合、プロジェクトに対峙する時の思考アプローチが大きな違いと言えます。戦略系コンサルティングファームの場合、会社自体の規模が小さく言わば少数精鋭の集団であるため、情報量では総合系には及ばず、その差はインターネット等の通信インフラが普及した近年では顕著に差が広がっています。
そのため、情報量での勝負ではなく、情報の質とその活用で勝負する様相が強くなっています。例えば、社内のグローバルメンバーにプロジェクト獲得前からコンタクトを取り、業界の最先端の動きやボトルネックとなっているポイント、その解決策等のディスカッションを通じて知見を深め、Day0から既に質の高い情報を収集しメンバーへ展開できる準備が完了されている事が往々にしてあります。
また、その質の高い情報を踏まえパートナーからコンサルタントまで含めたメンバー間での徹底的なディスカッションを通じて、初期仮説の磨き込みやプロジェクトデリバリー時の洞察ポイントの導出に時間を費やす傾向が強いです。要は、少ない情報を如何に自分達の頭で料理をして、自分達にもクライアントにも刺さる示唆を導出できるかに重点を置いていると言い換えられます。
他方で、総合系コンサルティングファームの戦略チームの場合、戦略チームの周りの組織、例えばIT部門、業務コンサルティング部門、会計部門等の規模の大きさも相まって、社内における情報量は大きな強みと言えます。戦略領域だけでなく、上流から下流まで一貫して自社内で完結できる・しているため、クライアント先の内部の情報の解像度が高く、情報の鮮度も比較的高い傾向がある点も強みと言えます。
そのため、如何に数多ある情報を社内から回収してクライアント先の内情・コンテキストを浮き彫りにして、その内情・コンテキストに合わせて刺さる鮮度の高い情報を選定し、初期仮説に組み込んで納得感・満足度を上げるかが重要と言えます。別の言い方をすれば、顧客の期待値の把握や顧客が喜ぶ最新の情報を如何に収集するかに力点を置く傾向があると言えます。
コンサルタントに求められるロール
違いの二つ目として、戦略コンサルタントに求められるロールの差異が挙げられます。戦略系コンサルティングファームの場合、如何に少ない情報からクライアントに刺さる示唆を出すかに思考を傾けるため、アナリストやアソシエイトクラスからもデリバリー時にストーリーへの見解を求められるケースが多くなります。そのため、戦略系コンサルティングは様々な業界を経験した中途入社のメンバーが多く、そのバックグラウンドを通じた視点や現場感が重宝される傾向が強いです。
他方で、総合系コンサルティングの戦略チームの場合、もちろんストーリーへの見解を求められるケースはあるものの、アソシエイトやアナリストクラスは如何に社内外から新鮮な情報を収集・理解できるか、その情報をクライアントのコンテキストに合わせて迅速に綺麗なスライドにまとめられるかを求められる傾向が強い印象を受けます。
この差異を象徴する顕著な例として、基本的に戦略系のコンサルティングファームにはスライドを専門に作成する部隊が実運用レベルで配備されています。実運用レベルの意味は、総合系のコンサルティングファームにも似たような部隊がいるものの、人数が限られているため一部の人しか使えないorほとんどの人が使えず手作業で作成しており実運用レベルにない事を意味します。
戦略系のコンサルティングファームのカルチャーとしてスライドはダーティー&クイックで良く、詳細はスライド作成チームに依頼して任せる代わりに、ひたすら仮説を磨きこむ時間に充てる傾向が強いため、結果的にアナリスト・アソシエイトレベルに求められるロールも変わってくると言えるのかもしれません。
また、この差異はファームの規模、違う表現をするとファーム内の組織の数にも起因すると言えます。戦略系コンサルティングファームの場合、少数精鋭のファームが多く、近年デジタル部門やオペレーションよりの案件をこなすために積極採用しているBCGを除いて、おおよそ国内で80~300人程度のファームが主流です。
他方で、総合系コンサルティングファームは戦略部隊こそこの規模感であるものの、他にも業務コンサルティングやITコンサルティング等の人材を含めると桁が一つ、アクセンチュアの場合は桁が二つ違います。この規模の違いが何を意味するかというと、社内に評価対象となる比較軸が存在してしまう、嚙み砕いて言い換えれば、社内に評価のライバルと言える組織が多数存在する事を意味します。
戦略系コンサルティングファームの場合は、ライバルは格好良く言えば自分達自身、強いて言えば競合ファームと言えます。そのため、競合ファームと如何に違った解を導出するか、比較的腰を据えて対峙する事が許容されていると言えます。許容度が比較的大きいため、アソシエイト・アナリストクラスに対してもチャレンジする余裕があり、クライアントの部課長クラスに対してプレゼンさせるといったケースも珍しくありません。
他方で総合系コンサルティングファームの場合は、ライバルはまず社内の別組織であり、社内での立ち位置を確立する・自分達の存在意義を認めてもらう必要があります。その結果、売上至上主義の側面が強い傾向があり、売上を上げるにはプロジェクトの数を増やす、そのためには解決ソリューションをパッケージ化(汎用化)して横展開し、効率良く案件を受注してデリバリーを回す事が求められるため、コンサルタントの役職毎にロールが明確に分かれていて、そのロールを遂行する事に徹底的に注力する側面が強くなります。
あくまでどちらが良い悪いではなく、腰を据えて頭を使う事を重視したいのであれば戦略系コンサルティングの方が親和性は高く、逆に業界最先端の情報にリーチしてクイックに情報処理する事を重視したい場合は総合系コンサルティングファームの方が親和性は高いと言えるかもしれません。
対峙する業界/提供機能のカバー範囲
違いの三つめは、コンサルタントが対峙する業界のカバー範囲の多寡が挙げられます。
戦略系コンサルティングファームの場合、前述の通り少数精鋭の傾向が強いためコンサルタントの数が足りず、様々な領域をカバーする必要が生じます。
また、提供する機能、例えば、IT戦略系、会計系、SCM系等の括りに収められることはなく、対峙するプロジェクトを通じて様々な機能を提供する中で、結果的に実績が積み重なってコンサルタントの色が自然と付いていく傾向があります。
特に、思考アプローチにも密接に関係しますが、戦略系コンサルティングファームの場合は腰を据えてファーム独自の解を導出する事に重きを置くため、多様性や自己主張を受け止める土壌が備わっており、コンサルタントの気持ち次第で手を挙げて様々な業界/提供機能のプロジェクトに参画する事ができます。
例えば、家電業界を見ていた半年後に化学品業界のプロジェクトに参画することもあれば、その半年後にヘルスケアやアパレルの業界に対峙するということも往々にして起こります。格闘技でいえば、総合格闘技のように様々な手段を通して相手を負かすジェネラリスト的な人材が多い印象を受けます。
他方で、総合系コンサルティングファームの戦略チームの場合は、人数が多いこともありインダストリー軸、例えば、通信&ハイテク、製造、金融、ヘルスケア、素材等の括りで早い段階で色分けをされた上で、該当するプロジェクトにアサインされるため対峙する業界の範囲は小さく、ある意味業界に特化したキャリアを歩みます。
また、場合によっては機能軸でも色分けされ、マトリックス上で自分の位置付けが定められ、そのマトリックスの中の領域を掘り下げていくことも多い印象を受けます。
例えば、通信業界や精密機器メーカーをクライアントに、主にIT戦略に特化して従事していた、というコンサルタントの方もざらに存在します。もちろん、マトリックス間の移動もオプションとして与えられますが、あるマトリックスにずっといるコンサルタントと比較すると別のマトリックスから移動してきたコンサルタントとでは、初期知識のレベルが圧倒的に追いつかず相当のキャッチアップを覚悟しなければパフォームできないので、結果的に移動は少なくなり業界・機能特化型が生まれやすい、と言えると考えます。
こちらは格闘技でいうと、ボクシングのように手だけを使って相手を負かすスペシャリスト的な人材が多い印象を受けます。
これも、どちらが良い悪いという話ではなく、様々な業界に対して多様な機能を通じてクライアントを支援したい場合は戦略系コンサルティングファーム、業界特化型で一つの機能軸を極めたい人は総合系コンサルティングファームの戦略チームに親和性があると言えるかもしれません。
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>コンサルティングファームへのキャリアに関する記事
「戦略ファームの役員になれる」ITコンサル、「システム屋で終わる」ITコンサル
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/itconsultantst
PwCコンサルティング合同会社/PwCサイバーサービス合同会社
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/pwccyberintv
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今回は、「戦略系ファームの戦略コンサル」と「総合系ファームの戦略コンサル(またはチーム)」の違いについてお伝えしました。
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