【外資系コンサルの資料作成】「考え方のテンプレート」と「4つの観点・ポイント」

相手に何かを伝える際には、口頭のみでなく資料を用いることで相手の理解を効率的/効果的に促進することができます。コンサルタントは支援する立場にあるため、クライアントが最終決定をします。そのため、いかにクライアントへ理解してもらうか、最適な方向性へ導けるかが勝負になります。その勝負に勝つために、目的が達成できる資料を作成することが必須になります。今回の記事では、外資系コンサルティングファームで活躍するマネージャーの方々からお聞きした、「日々の業務中に資料作成を行う際に気を付けているポイント」「考え方」をご紹介します。

※本稿の対象は資料全体構成ではなく、資料中の各ページの作成です。また、ツールとしてはMicrosoft PowerPointを活用することを前提としています。

【目次】

  1. 明確な資料の位置付け・目的
  2. 伝わりやすいメッセージの作成
  3. わかりやすいページ構成
  4. PowerPoint上での作業

①明確な資料の位置付け・目的

文章中心の資料、写真や図などのイメージ中心の資料、どちらが良い資料と言えるのかは、その資料が何を目的として、どのように利用されるのかに依ります。それらを明確にしないとせっかく作成した資料もピントがずれたものとなってしまい、手戻りしてしまうか相手には全く刺さらない事態になってしまいます。
では位置付け・目的を明確にするためには具体的にどのようなことを把握すればよいのでしょうか。

②伝わりやすいメッセージの作成

各ページにはそれぞれ役割が存在します。市場調査報告書であれば、調査の背景や前提を伝えるページ、市場トレンドを説明するページ、トレンドを踏まえた今後の予測を伝えるページなど様々な役割があります。
資料作成時に気を付けたいのは、各ページに伝えたいことを盛り込みすぎないことです。シンプルに1つだけが原則です。1メッセージ1スライドというワードを聞いたことがありますでしょうか。まさにそれです。相手には自分が思っているほど情報が伝わっていない/理解されていないケースが多いです。伝わる/理解してもらうためには、いかに自分がシンプルにできるかがキーポイントです。
そのため、目的を達成するために自分が伝えたいことはページ上部にメッセージとして書き出すことをオススメします。
その際には、いくつかのコツがあります。

・伝えたい内容を書く。自分の作業プロセス等はメッセージにはならない。
 例) 〇:A市場における市場トレンドとして、主には〇〇〇が浸透している
     ×:A市場における市場トレンドを調査・分析した

・シンプルで読みやすい文章を書く。1文が長い文章は、相手にとって非常に読みづらい。
 目安⇒ 1文は30~60文字以内におさめる

・メッセージはボディのサマリであることを心掛ける。
 メッセージ文とその下のチャートの内容に乖離があると相手は混乱する。

③わかりやすいページ構成

伝えたいことが明確になった後は、それを相手にしっかり伝えるためのコンテンツを用意します。そのコンテンツは、メッセージ文の内容を証明するような図やグラフを用いたファクトかもしれませんし、メッセージ文を詳細化した具体例などかもしれません。
メッセージを伝えるためには、どのようなコンテンツが適切かをまずは判断し、その上で、どのようなビジュアルとするかを検討します。その際、気を付けたいポイントは2つあります。

  1.  プレゼンする流れにあった設計とする
    自分がこのスライドを説明するとしたら、何を、どのような順序で、どれくらいの情報量で話すのか、これを意識してから資料を構成します。
  2. 人間工学に沿った情報配置とする
    人間にはものごとを理解する際の目線の自然な動きというものがあります。それに沿って情報を並べてあげることが重要です。
    <人間工学に基づいた視線の動き>
    ・→ (左⇒右)
    ・↓ (上⇒下)
    ・Z (ゼット 左⇒右⇒左下⇒右)
    ・И (逆N 上⇒下⇒右上⇒下)

次にコンテンツを表現するデザインの選定です。重要なことは、コンテンツに適した意味合いを持つチャートやグラフを選択することです。
例えば、下記が挙げられます。

  • 複数の事柄について、同じ項目で比較したい際にはマトリクスを使って表現するとわかりやすい
  • 論点の詳細化/計算ロジックなど何かの構造分解を行いたい際にはロジックツリーが便利
  • 今後のロードマップやステップなどを表現したい際には、段階図が便利

このように伝えたい内容によって表現方法は異なってきます。チャートありきで考えてしまうケースが多く見られますが、デザインを決めるにはこれまで記載したようなプロセスを経る必要があります。それを抜かしてしまうと何を伝えたいのかわからないページになってしまう可能性が高くなります。

最後に、次の工程④PowerPoint上での作業へ移る前に行うべきことは、まずは紙とペンでどのようなPowerPointを作成するかのイメージを粗々でもいいので書いてみることです。このプロセスを経る/経ないでPowerPoint上での作業に大きく影響します。
なぜ紙に書くかと言うと、頭だけで考えている状態だと実は案外詰められていないことが多いからです。その状態でPowerPoint上での作業を始めると、途中でそれに気付き、手が止まり再度考え始める、考えた結果、今まで作ったPowerPointを作り直すという事態に陥ってしまいます。また、より悪い状態として、本当は異なるデザイン等になるはずなのに、それらを直す手間を考え、これまで作った内容に無理に合わせたデザインとしてしまうことがあります。
それらの危険性を排除するためにも、紙とペンを用いることで様々な制約がない状態で、あるべきページとは何かを考えながら、ラフに書いてみることが有効となります。
一手間かかっているように思えるかもしれませんが、最終的には近道なのです。

④PowerPoint上での作業

伝えたいメッセージとコンテンツを決めたら、最終的にPowerPointへそれを落とし込みます。
その際に気を付けたいのは、作業の正確さ/スピードを上げる工夫をすることです。
数々の手法があるかと思いますが、ここでは3つ紹介します。

1つ目は、ショートカットキーを可能な限り駆使することです。Ctrl + Cでコピー、Ctrl + Vで貼り付けはあまりにも有名ですが、同じことが多くの作業で実行可能です。Ctrl + Shift + C/Vでオブジェクトの書式(色、枠線、フォント種類・サイズ等)のコピーと貼り付けができたり、オブジェクト内の文章を選択してShift + Alt + ↑/↓で文章の上下を入れ替えることができたり、Altを押下し、画面上部のタブに表示されるアルファベットや数字を押すことでクリックせずとも様々な機能が使えたりします。他にも多種多様なショートカットキーがありますので、検索しながら習得していくことをオススメします。

2つ目は、クイックアクセスツールバーの活用です。よく使う機能はクイックアクセスツールバーに出しておくことで作業スピードが向上します。例えば、2つの図形を左揃えにしたい際には、ショートカットキーを使ったとしてもAlt + JD + AA + Lという様に多くのキーを押さなければなりませんが、クイックアクセスツールバーの最初に設定しておくと、Alt + 1で完結します。とてもシンプル化できますので是非お試しください。

3つ目は、可能な限りマニュアル調整を排除し、機械的に行うことです。前述の様に図形を左揃えにする際には、手動で図形を動かして揃えることもできますが、それだとやはり誤差が生じてしまいます。そのため、PowerPointの図形の左揃えの機能を使うことが有効です。また、図形の大きさ調整や線を引く際にも、手動で行わず、図形のサイズ調整を行うボックス内で数字にて調整することがオススメです。線も縦/横いずれか(線を引く方向による)を0にすることで真っすぐ引けるようになります。手に頼るとどうしても斜めになりがちです。

最後に、PowerPoint作成におけるルール設定をしておくと統一感のある資料作成が可能となります。例えば、フォント、フォントサイズ、オブジェクトの色・枠線の有無など体裁に関してルール設定することが多いです。これらについて自分はもちろん、チーム間で共通認識を作っておくことでアウトプットがスムーズに進むのでオススメです。

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>資料作成のスキルに関する記事

コンサル・投資銀行・アセマネの”パワーポイント資料”での違い
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/powerpoint_thedifference

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相手に伝わる資料作成ができるようになることで仕事の進み方が大幅に違ってきます。自分の目的が達成できる資料作成は一朝一夕では身に付きません。日々の積み重ねの中で培われていきます。その積み重ねの中で、今回ご紹介したポイントを意識していただき、レベルアップに繋げてもらえれば幸いです。

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