FP&Aと経営企画の違いは?必要なスキルや業務内容を解説

fp&a

日本ではまだまだ職種として導入している企業は少ないFP&Aですが、外資系企業を中心に、企業戦略において重要な役割を果たす財務分野の専門職種として一般的となっています。

逆に日本においては、近い職種として経営企画職やCFOが挙げられ、FP&Aが実施している業務をこれらの職種において行っているといえるでしょう。

今回は、財務分野の専門的な職種であるFP&Aを取り上げ、
・具体的な職種の内容や役割
・同列に挙げられやすい経営企画職やCFOとの違い
・FP&Aとして活躍するために持っておきたいスキルやマインド
・将来的にFP&Aのキャリアを見据える際に経験しておきたい職種
について解説します。

最後に、日本CFO協会が主催するFP&A(経営企画スキル検定)の紹介についても紹介します。

【目次】

  1. FP&Aとは
  2. FP&Aと経営企画職、CFOの違い
  3. FP&Aの役割と重要性、業務内容
  4. FP&Aとして活躍するために必要なスキルやマインド、経験職種
  5. FP&A(経営企画スキル検定)の紹介
  6. FP&Aと経営企画の違いまとめ

FP&Aとは

FP&Aは「Financial Planning & Analysis」の略であり、直訳すれば財務の計画や分析となり、これらを専門的に実行する職種です。

日本CFO協会におけるFP&Aの説明によれば、「分析、予測、計画の策定、業績報告といった業務を通じて、経営や事業の意思決定プロセスに貢献する」(引用:日本CFO協会)というのがFP&Aの主な業務として紹介されています。

とりわけ外資系企業においては、コーポレート部門だけにFP&Aが配置されるのではなく、事業部門にそれぞれFP&Aが配置されることもあります。

日本においては、まだひか馴染みがない職種ですが、おもに外資系企業においては重要な職種として位置づけられており、CFOとともに経営意思決定の際に重要な役割を果たします。

CFOとの違いについては後述しますが、どちらも財務や経理といった会社数値に密接にかかわる役職といえるでしょう。

FP&Aの将来性はますます重要になりつつある

グローバルで展開する日本の大企業においては、外資系企業同様にFP&Aを設置している企業も見られます。

ビジネスの先端をいく外資系企業においては、FP&Aを重要な役割として位置づけており、日本企業においても今後そのようになる可能性があります。

企業の意思決定においては、企画や戦略等の定性的な事象の裏には必ず定量的な根拠が必要となり、財務的な裏付けは不可欠です。

またコーポレートスタッフである経理や財務職とは違って、より経営かつ事業寄りの立場であるため、今後グローバル展開する企業や財務の位置づけを強く意識する企業においては、ますます重要になってくるでしょう。

FP&Aからのキャリアパスは

FP&AはCFOの傘下であったり部下であったりすることから、将来的にはCFOを目指すのが一般的なキャリアパスでしょう。

FP&Aは実務上でも、経営や事業について理解しておくことが求められるため、キャリアを通じて将来的にはCFOを目指すことは自然な流れかと考えられます。

そのほか、直接CFOになるための一定のハードルや、着実にキャリアを積んでいく必要がある場合、その間に財務や経理、さらには経営企画の責任者を経験することも考えられます。

経営、事業双方に関わってくるFP&Aは、コーポレート寄りでも事業寄りでもない中立的な立場として関わるため、企業内においてバランスの取れたキャリアを形成することができるでしょう。

その点においては、「コーポレート部門」「事業部門」と区分けする日本の組織において、良い意味で少し異質な経験が積めるといえるかもしれません。

FP&Aと経営企画職、CFOの違い

次に、FP&Aと業務が比較的近い経営企画職やCFOとの違いについて確認します。

FP&Aと経営企画職との違い

まず、各職種の位置づけの違いが考えられます。

FP&Aは、CFOの傘下や部下として、そのチームに配置されます。対して経営企画職は、CEOや社長の直轄組織として、経営企画室や経営企画部として配置され、その中で活動することが中心です。

また、外資系企業の場合は、FP&Aは事業部門に対して各担当が配置される場合もあり、CFOと事業部長等の事業部門との間のハブ的な役割を果たすこともあります。

すなわち、事業部長というミドルマネジメントに位置づけられるメンバーの支援も行うのです。

経営企画職においては、事業部門に配置されるということはなく、あくまでもトップマネジメントの支援に徹する形であることから、その点においては支援対象がやや異なってくることが想定されます。

続いて業務についてですが、支援対象がそれぞれ違うことから、業務内容も各企業の方針によって考え方はあるものの、異なってくることが想定されるでしょう。

FP&Aにおいては、事業面における財務や予算の支援役として、事業企画的な立ち回りを行うとともに、経営面における支援役としての経営企画的な立ち回りも要請されることが考えられます。

対して、経営企画職は事業面よりも経営面の支援が中心であることから、経営における幅広い財務や予算の支援と実行を行っていくこととなります。

また大きな違いとして、FP&Aは財務や企業数値にフォーカスされる業務が中心である反面、経営企画は全社会議体の事務局や全社プロジェクトのまとめ役等、財務や企業数値以外の全社的なイベントにおける中心的な役割を担うことが挙げられます。

FP&AとCFOの違い

CFOの傘下に位置づけられるFP&Aはおもに財務計画や分析等、経営、事業側双方において実際に自らが業務を行うことで、手を動かす役割が多くなってくると考えられます。

対して、FP&Aの上長でもあるCFOは最高財務責任者として、会社を代表する財務担当役員という位置づけが色濃く、FP&Aのように手を動かすというよりも、むしろ財務経理部門や管理部門、そして全社をまとめていく重要な役割を果たさなければなりません。

事業側を含めた現場業務を中心とした手を動かす役割を果たすFP&Aと、トップマネジメントに紐づくマネジメント層という、レイヤーの違いも考えられるでしょう。

FP&Aの役割と重要性、業務内容

FP&Aの果たすべき役割やその重要性、そしておもな業務内容について確認していきます。

FP&Aの役割と重要性

企業の経営戦略を理解する上で、自社における各事業の戦略について深く理解を示しておく必要があります。

しかしながら、特に大企業であればあるほど、CEOやCFOは幅広い視点を持って経営に当たらなければならないことから、各事業の戦略について細部まで把握することは難しく、またそれを自ら行うことは現実的ではありません。

そのため、事業とCFOや経営のハブ役としてのFP&Aが、経営全般に加えて事業面での計画や分析を的確に行うことで、上位層へのレポーティングをしていくことが重要となってきます。

スタートアップ企業や小規模企業においては、経営陣が事業全体を的確に把握できることから、FP&Aの役割はCFOをはじめとした、経営陣自ら担うことも可能でしょう。

一方で、とりわけ外資系企業とともに世界市場で戦っていかなければならない、グローバル展開を行う大企業においては、スタートアップ企業のように柔軟に動き回ることは難しく、FP&Aという役割を配置して、事業を数値面から支援する必要が出てくることとなります。

FP&Aの業務内容

すでに一部で紹介していますが、改めてFP&Aの業務内容について確認します。

FP&Aは、財務的な視点から、全社や事業における計画数値の立案や取りまとめ、分析が主な業務となります。

特に大企業においては、グループ各社の企業群や各社における各事業体、さらにその中に位置づけられる製品・サービスが非常に多岐にわたるでしょう。

グループ各社における製品・サービス、事業単位での分析もFP&Aが財務や会計の観点だけではなく、KPI(重要業績指標)やKGI(重要目標達成指標)の観点からも細かく行うことが求められます。

このように、全社に影響を与える事象や企業として取るべき戦略を、経営陣や事業部長に財務や会計、KPI、KGI等の数値的な観点から提示することで、迅速な意思決定を支援していくことがおもな業務となります。

FP&Aとして活躍するために必要なスキルやマインド、経験職種

FP&Aとして活躍していくためには、どのようなスキルやマインドを持っておく必要があるのでしょうか。

必要とされるスキルやマインド、経験について、ポイントを絞って紹介します。

FP&Aに必要なスキル

まず、FP&Aに必要なスキルとして持っておくべきものは、FP&Aの「FP/Financial Planning」に関する、会計における全般的なスキルです。

これはFP&Aの大きな武器となるため、必ず持っておきたいスキルといえるでしょう。

具体的には、財務会計に関するスキルとして、全社の損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書が細かく理解できることが必要です。

企業グループであれば、連結におけるこれらの計算書の理解が必要となります。

担当する事業部門や子会社において、全社への影響がどの程度あるのかを理解しておく意味でも重要といえます。

また、予実管理やCVP分析等、管理会計面におけるスキルも欠かせません。

企業が属する業種によって管理会計において把握すべき内容が異なってくることから、サービス業や製造業等、業種における管理会計上の特徴も踏まえておく必要があります。

さらに、FP&Aの「A/Analysis」に関するデータ分析・提案スキルも重要です。

膨大な企業内データを分かりやすくかつ上手くまとめ上げて、企業としての傾向と取るべき対策を提示できるような、分析力や提案力も求められるでしょう。

そして、FP&Aは事業部長をはじめとした事業部門と、CEO、CFOとのハブ役になる必要があることから、コミュニケーション能力や、数値や具体例を用いて分かりやすく説明を行うプレゼンテーション力にも秀でている必要があると言えます。

FP&Aに必要なマインド

FP&Aに必要なマインドとしては、事業部門側には専門性を出し過ぎないようにする姿勢が大切かもしれません。
職種柄コーポレート色が強い一方、事業部門側にも一定程度入っていかなければならないという、難しい両面を持ち合わせる必要があるためです。

事業部門側においては、財務の専門的な知識を持っていない方も一定数いることから、分かりやすく理解できるような用語と、丁寧なコミュニケーション対応が必要になってくると考えられます。

そもそもコーポレート側と事業側は相反する立場であることが一般的です。

コーポレート色が強く、コーポレートの論理で事業部門側に物事を強要することがないように、協働、支援する姿勢で臨んでいくのが、双方にとって円滑に業務ができるポイントといえるでしょう。

FP&Aを将来のキャリアにするなら経験しておきたい職種

FP&Aを将来のキャリアとして据える場合において、どのような職種を経験しておいた方がよいのでしょうか。

これまでにも紹介したとおり、FP&AはCFOの傘下でありコーポレート色が強い業務である反面、事業部門の支援も行うことで事業にも精通しているという特徴があります。

そのため、コーポレートの経験と事業での経験、双方あればスムーズに業務に入っていける可能性があると考えられます。

具体的にコーポレート側の職種としては、財務や経理、経営企画をはじめとした、財務に関する会計や分析を行うことがある職種がより望ましいと言えるでしょう。

また、事業会社出身ではない場合、会計事務所において会計士や税理士の経験、さらには経営コンサルティング会社も親和性があるかもしれません。

一方で、事業部門の経験としては、事業責任者や事業企画、事業管理や事業推進等、事業数値を扱うことが多い職種を経験していることが望まれます。

FP&A検定の紹介

FP&Aの実力を測る検定試験として、日本CFO協会が手掛ける「FP&A(経営企画スキル検定)」があります。

最後に、この検定試験の概要について紹介します。

FP&A検定とは

試験実施団体である日本CFP協会のホームページによると、FP&A検定はアメリカの財務関連組織であるAFP(ASSOCIATION FOR FINANCIAL PROFESSIONALS)が世界的に認定しているFP&A資格とのことです。

検定の受験を通じて、分析や予測、さらには計画策定、業績報告等、経営や事業の意思決定のための、経営企画や経営管理における実務スキルを可視化するものとなっています。

また、世界的にその価値が認められているFP&A資格プログラムを、日本企業における実態を改めて配慮し、試験範囲や難易度を調整しながら、日本版のFP&A検定として独自に開発されたものとなっています。

受験資格

受験資格は、経験年数を問わず、経営企画や経営管理、事業管理等の業務に従事している方や、今後FP&Aの業務を目指していかれる方が対象となります。

さらに、FP&Aに関する知識を学び、経営や事業についての知見を向上させたい方も対象となっており、必ずしも経験が必要という訳ではなく、FP&Aの従事者でなくても受験資格があります。

そのため、将来的にFP&Aをキャリアとして目指している方にとって、是非受けておきたい試験といえるかもしれません。

試験内容

試験は5月〜7月末日の上期と、11月〜1月末日の下期の二期にて開催され、それぞれの期間内で1回のみ受験が可能です。

出題範囲は、
「戦略、組織及び業界」
「予算管理(計画と統制)」
「財務モデリングのプロセス」
「財務予測の作成」
「投資決定のプロセス」
です。

この分野より、四肢択一100問が出題されますが、試験時間は90分間であるため、1問当たりかなりのスピードで解いていく必要があり、試験時における現場の柔軟な対応が重要でしょう。

また、試験は全国にある試験センターでのコンピューター受験となります。

試験結果について

試験結果は日本CFO協会が発行する成績証明書として提供され、合否ではなく、総合点からA(高い)からE(低い)の5段階のレベルでスキル評価されます。

そして、出題範囲における「FP&Aとは」を除く各5つの分野ごとの達成度合いもレーダーチャートにより表示されるため、受験者の得意または不得意分野が明確化されます。

当検定は経営企画・経営管理の実務スキルを測定するものであるため、業務スキルを測るうえで最も重要な指標はスコアであるとのことです。

全体のスコアを伸ばしていくためにも、苦手である分野や、スコアが低い分野の達成度を上げていくことが求められます。

また試験終了後に試験会場にて結果が手渡されるため、自らの実力が即時に判明する試験であるといえます。

FP&Aと経営企画の違いまとめ

今回は外資系企業では一般的な職種であるFP&Aについて、経営企画職やCFOとの比較も交えて紹介しました。

日本ではまだ採用している企業も大企業の一部であり、まだまだ馴染みがないものですが、企業における事業戦略の重要性から、その必要性は増してきているといえる職種です。

そして、経営面、事業面双方に関わってくる財務専門職として、しっかりと経験を積めばスキルアップに繋がる職種でもあります。

FP&Aは将来的に、経営に必要なスキルとマインドを兼ね備えたCFOを目指せる重要なポジションとして、今後ますます注目されるでしょう。

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>経営企画へのキャリアに関する記事

「経営企画室」の組織図と特徴【日系・外資系別】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporate_planning_organizationchart

経営企画で必要な英語力と活用シーンを<日系・外資系別>に解説
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanning_english_skill

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今回の記事では、FP&Aと経営企画の違い、必要なスキルや業務内容についてお伝えしました。

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