コンサルが独立する上で事業会社を挟むメリットとは?【体験談】

現在コンサルティングファームにお勤めの方で、将来フリーコンサルタントとして独立したいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、コンサルティングファームから事業会社へ移り、その後コンサルタントとして独立された方に、独立する上で事業会社を経験するメリットについてお話を伺ってみました。

<プロフィール>

32歳男性:総合コンサルティングファーム→ITベンチャーで事業開発マネージャー→現在フリーコンサルタントとして独立

【目次】

  1. コンサルが独立する際に事業会社を挟むメリットは主に6つ
  2. メリット①:事業会社の意思決定プロセス、組織力学が分かる
  3. メリット②:事業会社の現場やオペレーションが分かる
  4. メリット③:クライアントに好かれる人になれる
  5. メリット④:特定の業界や領域に詳しくなる
  6. メリット⑤:営業力が身につく
  7. メリット⑥:独立後の仕事が確保しやすい

コンサルが独立する際に事業会社を挟むメリットは主に6つ

コンサルタントというと、プロジェクトに参画してマネジメントや顧客へのプレゼン、分析、資料作りなどして、、、というイメージをお持ちかもしれません。いわゆるプロジェクトデリバリーです。

プロジェクトデリバリーにおいて価値を出さなければいけないのは、ファームのコンサルタントであろうと、フリーのコンサルタントであろうと同様です。

しかし、フリーのコンサルタントとなるともう一つ大事なものがあります。

それが、営業です。

もちろんファームに在籍されていても提案活動など営業に携わっていらっしゃる方もいるかと思いますが、独立したコンサルタントにとっての営業にはまた特別な意味合いがあります。

案件がなければ、稼働ゼロ。そしてその案件も誰かが取って来てくれるわけでもなく、自分で能動的に取りに行かなくてはいけないのです。

今回は、コンサルが独立する際に事業会社を挟むメリットを6つご紹介いたします。

以下のメリット①〜④までが主にプロジェクトデリバリーに関するメリット、⑤及び⑥が営業に関するメリットです。

●メリット①:事業会社の意思決定プロセス、組織力学が分かる
●メリット②:事業会社の現場やオペレーションが分かる
●メリット③:クライアントに好かれる人になれる
●メリット④:特定の業界や領域に詳しくなる
●メリット⑤:営業力が身につく
●メリット⑥:独立後の仕事が確保しやすい

以降、詳しく解説していきます。

メリット①:事業会社の意思決定プロセス、組織力学が分かる

コンサルとしてプロジェクトを推進していれば、必ずクライアントの意思決定の場面に関わります。多くの関係者がいる中でそれぞれに立場と思惑があり、意思決定の構造も違うため合意形成がとにかく難しい。

もちろん外部のプロとしてクライアントのプロジェクトに入るコンサルだからこそ合意形成力、ネゴシエーション力が身に付くという側面もあります。一方事業会社では、自分自身が意思決定を数多く、そしてスピード感を持って行う、という経験ができます。

私がコンサルティングファームから移った事業会社がITベンチャーだったこともあり、事業開発における意思決定の場面を数多く経験することができました。ベンチャーというと社内政治などはないと思われがちですが、実は部門間の対立や利害関係の不一致というのは往々にしてあります。そのための社内の部門間での調整も必要ですし、根回しも必要です。ただし大企業と異なり、スピード感はあります。ITベンチャーでは意思決定ごとのインパクトは小さいかもしれませんが、多くの意思決定を行う場面には恵まれていたと思います。

自分で意思決定を行なった経験、組織の中で調整を行った経験というのが、独立した今でも大いに役に立っています。クライアントの立場への理解度もコンサル時代より上がり、合意形成のスピード、質も向上したと感じています。

メリット②:事業会社の現場やオペレーションが分かる

コンサルとしてクライアントのことを理解しようと現場に行ったり関係者にヒアリングをしたりしても、結局それは事業会社の業務の一部でしかなく、事業会社では表からは見えない日々のオペレーションが大量に存在します。コンサルティングファームに在籍していたときは、恥ずかしながらそこまで想像できておりませんでした。実際に事業会社に移ると、プロジェクトベースの仕事以外にもたくさんの業務があることに気付きました。

事業会社で実際に売上を生んでいるのは現場ですし、コスト削減のための施策を泥臭く回しているのも現場です。現場には細かいオペレーションがあり、それを日々回す人々がいます。

私が在籍していたITベンチャーでも、目先の数字を追うためのオペレーションが大量にありました。もちろん効率化したいのは山々なのですが、数字を作らないとベンチャーとしての成長も止まってしまいます。効率化のために目先の数値目標は後回しに、とはなかなかいかないのです。

このような経験をしたことで、改めてコンサルとして企業の支援をする際に、クライアントに対する想像力が高まったと感じます。相対しているクライアントのその裏側で、必死に事業を回し現場で汗水流してオペレーションを担う人が大勢いる。コンサルとして関わっていることなんて、事業会社のごく僅か一部で、ある一面しか見えていない。そう想像できるようになり、自分自身を小さく捉えられるようになりました。またクライアントに対するリスペクトの精神も高まり、コミュニケーションスタイルも変わりました。

メリット③:クライアントに好かれる人になれる

コンサルタントとして、スキルが高いことは当然求められますが、実は人間としてクライアントに好かれる人かどうかというのは大事なポイントなのではないでしょうか。コンサルというのはクライアントワークであり、ロジックだけでなくクライアントの感情的な面こそ押さえにいく必要があると考えています。

その点、事業会社の経験は大いに役に立ちました。

事業会社ではコンサルティングファームと異なり、社内政治的な側面も多分にありますし、意思決定の仕方や仕事の進め方も異なります。メンバーのやる気もスキルもバラバラであり、集まっている人という観点では事業会社の方が圧倒的に多様性があります。

元コンサルがそのような環境に順応しようとする中で、どこかコンサルタントっぽさが良い意味で消えていき、より人としてのチャーミングさが増していきます。ファーム時代、商社出身のコンサルタントがクライアントの心を掴むのが上手かった印象がありましたが、チャーミングさがあるとはまさにそのイメージです。

私自身、今もチャーミングさにはそこまで自信があるわけではないですが、事業会社を経て所謂コンサルっぽさが薄くなりましたし、事業開発・営業経験も相まってファーム時代よりクライアントとうまく信頼関係を築けているのではと思います。コンサルティングファームからそのまま独立していると、もしかするとプライドが高くコミュニケーションの取りづらいコンサルタントになっていたかもしれません。

メリット④:特定の業界や領域に詳しくなる

事業会社を経ることで、その事業会社の属する業界や領域の案件をこなすためのベースが整います。後ほど【メリット⑥:独立後の仕事が確保しやすい】でもご紹介しますが、この特定の業界・領域に詳しくなるというのは営業目線でもメリットが大きいですが、ここではプロジェクトデリバリー観点のメリットをご紹介します。

当然ですが、事業会社で経験している直接の業界やそれに近しい業界のクライアントの案件ではバリューを発揮しやすいです。組織構造も分かりますし、経営の課題感もすぐに理解できます。もちろんコンサルとして特定の業界・領域に詳しくなる方も多いですが、事業における深い課題や現場レベルでのオペレーションについては、当然事業会社で経験している方がクライアントに寄り添えます。アウトプットのスピードや品質にも影響してきます。

私の場合、元々在籍していたITベンチャーと近しい業界・領域での案件をお受けした経験があり、そこでは業務関連のキャッチアップもスムーズに行えましたし、自信を持ってアウトプットを出すことができました。今はその経験をもとに、さらにその業界・領域の知見を深めたり広げたり、という形で良い循環に入っています。

事業会社を経て特定の業界や領域に一つ強みを持つことは、長期的に見てもメリットがあると言えます。

メリット⑤:営業力が身につく

記事冒頭で、独立したコンサルの大事な要素に営業があるというお話をしましたが、まさに独立したコンサルにとって自身の営業力は生命線です。案件がないと報酬も貰えません。

自身でクライアントに直接営業する際に営業力が必要なのはもちろん、今はフリーコンサルに案件を紹介してくれるエージェントの存在があるものの、それでもクライアントとの面談では自分を売り込む必要があります。

事業会社にて営業やアライアンス、事業開発等のロールを担えば、直接的に営業力が身につきます。

私自身も、ITベンチャーにて事業開発の経験を経て、商品やサービスを売り込む力、顧客のニーズを汲み取る力などが否が応でも身につきました。コンサルとして独立した後の案件獲得の際に、その営業経験が大いに役立っているのは、言うまでもありません。実際、面談の際はスキル面も重要視されますが、むしろ人間性、キャラクターの方が重要視されているのではないかと思うほどです。そうなると、営業力がより大事になってくるわけです。

営業系部門で営業力が身につくのは当然として、企画、管理部門だとしても実は営業力は身につきます。非営業系部門では多くのツールやサービスを利用する側になり、実際多くの営業を受ける側になります。そうすると、営業マンの目利きもかなりできるようになります。

元々コンサルタントであった方であれば、直接的な営業経験をせずとも、営業を受けるだけでも「この営業マンの課題はこれこれだな」「このサービスを訴求する際には、このポイントでまとめて話すと効果的だな」と勝手に考えてしまうもの。ニーズの汲み取り力や提案力も自ずと磨かれます。

またコンサルティングファームというのはある種閉じた環境であり、特に若手はプロジェクトデリバリーに専念するためマーケット感覚を養いづらかったと感じています。

一方事業会社では、営業系のロールに限らず、自社のサービス・商品含め常にマーケットに晒されているという感覚が強いです。コンサルティングファームと比較し、マーケット感覚を養うのに適した環境だと考えています。これは事業会社とコンサルティングファームの両方を経験して感じた、両者の大きな違いの一つです。

事業会社を経験し独立した際には、そこで身に付けた営業力・マーケット感覚を活かして営業を行うことが可能になります。これは事業会社を経験し独立する大きなメリットと考えています。

メリット⑥:独立後の仕事が確保しやすい

コンサルとして独立する前に事業会社を挟むと、独立後に安定して案件獲得しやすくなるというメリットがあります。

まず、事業会社を経験して形成される人脈をもとに、案件をいただける場合があります。取引先や同僚の知人、はたまたその事業会社自体から案件をいただくなど、パターンもいくつかあります。

私自身も独立後、元々いたITベンチャーの事業支援をしている時期もありました。信頼関係が築けていたからこそ、お互いが納得のいく条件で業務委託契約を結ぶことができたと思っております。例えばリクルートでも、このように元社員と取引していることが多いと聞いたことがあります。ただし、メガベンチャーならまだしも所謂日系の大企業となると、元社員と業務委託契約というのは、現時点ではなかなか理解いただけないのかもしれません。

このように、特にITベンチャーやメガベンチャーなどの事業会社では、ぜひまた仕事を一緒にしたいとお互いに思える関係・人脈を作ることが可能です。リファラルで案件をもらえるルートがあるというのは、一定程度のセーフティーネットとして機能しますし、独立した際には気持ちに余裕が出てきます。

また【メリット④:特定の業界や領域に詳しくなる】と重なる部分もあるのですが、事業会社を挟むことによって、特定の業界・領域に強くなるため、その業界・領域に特化した案件を獲得しやすくなる、という面があります。

例えば私の場合は、勤めていたITベンチャーの業界に近しい業界の企業から声をかけられることが何度かありました。場合によってはコンプライアンス的に案件を受けられるか難しい面もあるのですが、前職の競合やそれに近しい企業から、アドバイザーとして参画してくれないかと声がかかったこともあります。

事業会社でキャリアを積むことで、特定業界・領域に詳しいというブランディングが出来上がり、それが案件獲得にも分かりやすく効いてきます。これは、独立したコンサルタントの営業観点でのメリットの一つです。

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<コンサルタントの独立に関する記事>

ファーム在籍者が意外と知らない「フリーコンサル」のメリット
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/freemerit

【経験・スキル別】SAPフリーコンサル案件の単価相場まとめ+今後のトレンド・将来性について
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/freeconsultantsaptrend

「ファーム在籍」から「フリーコンサルとしてのday01」を迎えるまでの具体的な推奨手順とタイムライン
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/freeday01

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今回の記事では、コンサルタントが独立する上で一度事業会社を挟むメリットについてご紹介しました。

独立をお考えの方や、キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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