前回、「ファーム在籍」から「フリーコンサルとしてのday01」を迎えるまでの具体的な推奨手順とタイムラインについてお伝えしました。上記の「タイムライン」に次いで、多くの方から質問をいただくのが「フリーコンサルの「営業」はどうやればいいのか?」という点です。
そこで今回は、実際にフリーコンサルとして活躍している方の声を中心に、「営業」活動の具体的な施策と注意点をまとめました。
【目次】
- 「リード」は「今までの人脈」と「実績」をベースに生み出す
- 「元在籍ファームや元クライアント」に営業する際には慎重に準備&確認を
- 「案件化」する際には「顧客の事情」「自身の希望」「マーケットの相場」を考慮する
- 「値上げ交渉」は「契約更新時」に。事前に「if-then」で条件を握っておけるとスムーズ
- (参考)案件が途絶えた時の「保険」としても、「ネットワークのメンテナンス」は定期的に
「リード」は「今までの人脈」と「実績」をベースに生み出す
フリーコンサルになる方の多くは、月の稼働単価が100万円以上というのが一つの目安となるでしょうか。
通常のフリーランス案件と異なり、この金額帯の案件や課題を保有する発注元は限られてくるため、営業の方法もそれに応じて変わってきます。
実際にフリーコンサルとして活躍している方に伺うと、多くの場合で最初のきっかけは「今までの人脈から」というケースが多く、一番は過去に所属していた「コンサルファームでの繋がり」が強力のようです。
ファーム在籍時代の先輩や同僚との繋がり、アルムナイ(卒業生のネットワーク)を基に、元在籍ファームから案件を直接受注したり、案件を紹介してもらったり、というケースはよく耳にします。また、ファームに在籍していた際のクライアントも有力な候補となります。
そして、目の前の案件でしっかり「実績」を出すことで、別の企業の経営者や、同じ企業の別の部署を紹介してもらう、というサイクルをうまく作っている方もいらっしゃいます。このあたりはどんな営業にも当てはまる王道の施策でしょうか。
(参考)フリーコンサルにおける「アルムナイの活用」と「ネットワーキング」について
「元在籍ファームや元クライアント」に営業する際には慎重に準備&確認を
「マネージャー視点で言えば、フリーランスを使う=調達費がかかる=自身の評価に響くため、『本音としては社員を使いたいが、この案件にこの人がいないとデリバリーできない』と思わせるくらい自分のバリューを高めておくことで初めて対等な交渉ができる」との声もあるように、元在籍ファームから案件を受注する際には、独立前から「自分が抜けると回らない案件」を作っておくことが大切なようです。
この時、案件先のクライアントと直接契約するにあたっては、上記の「自分のバリューを高める」という点に加えて、契約違反や不義理にならないか?という確認が必要になります。
ご存知の通り、多くの場合でクライアントとファームの間には 「社員の引き抜き禁止」 「●●社のプロジェクトに関わったコンサルタントは●年間引き抜きすることを禁じる」 といった契約が結ばれています。
これに抵触してしまったり、元在籍ファームに不義理と思われてしまうと、短期的には案件化出来たとしても、長期的には自身の評判を落とすことになり、後々の活動に大きく影響してしまいます。上記の契約は1年間など期限が決められていることが大半ですので、契約に抵触しないように最初は別の案件をこなし、契約が終わるまで待つというのも一手でしょうか。
「案件化」する際には「顧客の事情」「自身の希望」「マーケットの相場」を考慮する
リードを作った後は、何をいくらでやるかを具体的に案件化していきます。
企業側から「何をいくらでこのような条件で」という指定をされる場合もありますが、そこまでクリアに固まっていないケースもままあります。 その際には、案件ごとに初回の商談でオーダーメイド的に条件を決めていくということもできますが、「自分はそもそも何ができて、週●稼働で何をすると、単価いくらくらい」という希望を先に決めておくとスムーズです。
いくつかのパターンを提示して先方にその中から選んでもらう、という流れを作れると、商談がなかなかまとまらない…ということも少なくなるようです。また、この自身の「メニュー化」は、誰かに誰かを紹介をしてもらうときにも、伝達が楽になり有効に機能します。
また当然のことながら、ファームに在籍している際のチャージ額と、フリーコンサルとして直に案件にアサインした際の単価は異なります。 既に独立して活動している方などから、実際に自分と同じスキル・経歴のフリーコンサルが、どのくらいの単価で働いているのか、事前に「マーケットの相場」を確認しておけるとよりよいでしょう。
その他、契約の詳細を詰める際の注意点には、
・最初から無理やり単価を釣り上げすぎないこと
・「アウトプットの出し方」について事前チェック
・「残業代の有無」「交通費」「支払いサイト」などトラブルになりやすい報酬に関しても事前確認
などがあるでしょうか。ぜひ以下も合わせてご確認ください
(参考)フリーコンサル「初回の」単価(ギャラ)交渉・契約時における注意点
「値上げ交渉」は「契約更新時」に。事前に「if-then」で条件を握っておけるとスムーズ
営業活動において最もセンシティブなのが「値上げ交渉」でしょうか。
上記でお伝えした通り、初回で金額を釣り上げすぎるのは自身の首を締めることになりかねません。
また、フリーコンサルの場合は、明確な評価基準がなく、あくまで外注費のため、自分から言い出さない限り単価が上がるということはありえません。
また、案件途中で突然「来月から単価を上げて欲しい」と切り出しても、契約を修正するなど工数がかかるといった理由から、当然ながら見送られるケースが多いです。 そのため、「プロジェクトの契約更新期」を見計らって、交渉を切り出すケースが大半となり、現実的に交渉できるタイミングは限られています。
そして、これはファーム特有の事象となりますが、「ファーム社員がプロモーションする際に、クライアントにチャージ額の変更を伝えますが、そのタイミングでフリーコンサルのチャージ額分も合わせて変更を依頼できることが多いため、ファームのプロモーション時期を押さえておき、そこに間に合うよう交渉することが大切」という声もあります。
また、交渉の際にも、唐突に依頼をしても必然性や納得感がなくNGとなってしまいますので、そうならないためには、契約時や業務の合間合間で「次の更新のタイミングで●●の結果を残していた際には、単価を●●まで上げて欲しい」と明確な条件とともにコンセンサスを取っておくことが大切です。
別の手法としては、「契約に含まれない業務」も自主的にボランティア的にやっておいて、次の契約更新のタイミングで、業務内容の見直しとともに交渉するという手もあるようです。
(参考)案件が途絶えた時の「保険」としても、「ネットワークのメンテナンス」は定期的に
リード獲得のパートでもお伝えしましたが、実は独立後こそネットワークの重要性が高まります。
フリーランスは「スキルの切り売りになることが多い」という悩みもよくお聞きしますが、新しい情報を手に入れスキル・ナレッジをバージョンアップする際にも、同じ立場で働く人たちのネットワークが後々重要になります。 また、「まだ関わる業界を決めてない」「何をして良いか分からない」「今いる案件やファームからは抜け出したい」という場合にも、より広いスコープから案件を探せるといったメリットもあります。
そのためには、今まで培ったネットワークを活用することはもちろん、それを広げることや、定期的にメンテナンスすることも大切です。
普段からSNSなどで情報発信を行ったり、かつて一緒に働いた同僚の伝をたどるといったTakeの挙動はもちろん、それだけではなく、自分のスキルを周囲に提供したり、同じ立場のフリーコンサルに案件を紹介するといったGiveの挙動もときには必要となります。
そして「何よりまずは目の前の案件でしっかり実績を出すことが、実は急がば回れ的に紹介やネットワークの拡大につながる」という声もあり、デリバリーこそが営業の第一歩となることも多いようです。
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今回の記事では、【月単価100万円~】フリーコンサルの「営業」活動の具体的な施策と注意点(リード獲得~案件化~値上げ交渉まで)についてお伝えしました。
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