コンサルのネクストキャリアとしてITベンチャーへ転職する際の心構え

今回の記事では、コンサルのネクストキャリア、所謂ポストコンサルとしてITベンチャーへ進む場合に、多くの方が感じる「3つのギャップ」についてお伝えします。

【目次】

  1. ギャップ①周りにいるメンバーの得意領域や思考方法など質の違い
  2. ギャップ②職務領域の不明瞭さ
  3. ギャップ③研究・開発リソースの不十分さ

ギャップ①周りにいるメンバーの得意領域や思考方法など質の違い

一つ目のギャップは、周りにいるメンバーの質の違いです。コンサルで働いていた方は、往々にして入社後に周りのプロフェッショナルとしての人材の質の高さに驚き揉まれ、ご自身の質を高めていった・高めて生き残ってきた方が多いと思います。現に、コンサルという職種は非常に狭き門で名立たるファームは少数精鋭を貫いているため、粒揃いでプロ意識の高い人材が集っており、高いジェネラリストとしての素養を持ったスペシャリストがお互い切磋琢磨しながら、プロフェッショナル同士としての信頼関係を互いに構築してきた方が多いと考えます。

しかし、ポストコンサルとしてITベンチャーへ進んだ場合、人材の質の壁がまず待ち構えていると考えた方が良いでしょう。ITベンチャーでは、トップマネジメント層の人材は粒揃いのタレントが集っているものの、トップマネジメント以下の人材については、まだまだ充分にタレントは揃っていない、もしくは特定領域に強みを持つ型破りなスペシャリストが多い傾向にあります。

そのため、粒揃いのジェネラリストという側面が強いコンサル経験者と、型破りなスペシャリストの側面が強いITベンチャーの人材との質の違いにより、コンサル経験者にとってコミュニケーションやプロジェクトを推進するにあたって、非常にストレスがかかる、最悪の場合ハレーションが互いに生じてしまう可能性があります。

例えば、コンサル経験者であれば、コミュニケーションを取る際にロジックツリーのピラミッド構造を意識しながら結論ファーストで話す事が染み付いていますが、ITベンチャーの人材はコンサル経験者ほど話し方のお作法を気にする方は少なく、意思疎通を図る際に余計な時間を要してしまう事も少なくありません。

また、コンサル経験者であれば当たり前のように染み付いている論点思考や仮説思考を前提にITベンチャー側の人材に対して(特に若手~中堅に対して)アウトプットを期待すると、論点設定がそもそもなされておらず何に対しての見解や主張であるのかが不明瞭であったり、なぜその論点にフォーカスしているのかが読み取れない場合も多々見受けられ、結果的に自分で巻き取らざるをえずストレスが溜まるケースも少なくない事も覚悟する必要があります。

加えて、コンサルティングファームが粒揃いの人材が集っているとは、言い換えれば、画一された統制、教育、運用等が行いやすい環境であったのに対して、ITベンチャーはある種若手~中堅まで多様な特徴を持つ人材が集うため、統制、教育、運用等を画一した方法で行いにくい環境であると言えます。従って、コンサル時代の感覚で教育を行う、別の言葉にすれば教育対象者に対して一定の自走を期待したお決まりの教育方法は成り立たず、教育対象者各々の特徴・性格や強み・弱みを把握したうえで、対象者に適した寄り添い度合で、各々を教育しなければならない事(時間を費やされる事)も覚悟する必要があります。

ギャップ②職務領域の不明瞭さ

二つ目のギャップは、職務領域の不明瞭さです。コンサルで働いていた方であれば、ファーム及びポジションによってロールの差異はあるものの、職務の領域はある程度明確に区分されている事が多いと思います。パートナー/プリンシパルクラスがクライアントへ営業をかけて案件を受注し、プロジェクトリーダー/マネージャークラスがプロジェクト設計及びクライアントミーティング時のストーリーラインを受け持ち、コンサルタント/アソシエイトクラスがストーリーラインを複数のモジュールに分けて仮説/示唆を導出し、アナリストクラスがファクトを収集する、という様に大まかな領域が各々分けられています。

しかし、コンサル経験者が一度ITベンチャーに入社すると、何でも直ぐにキャッチアップでき処理スピードが鬼の様に速い人材、という目で往々にして見られます。事実、コンサル出身者であれば、大概の事はクイックに構造化して頭の中で整理し足りない情報は必要に応じてインプットを行うため、直ぐにキャッチアップできてしまう点は否めません。また、ITベンチャーでは事業化の蓋然性が定かでないパイプラインを複数走らせていることが多く、コンサル経験者の器用さゆえに多くのパイプラインのPMOとして身を置かされることが多くなります。

そのため、ITベンチャーのトップマネジメント層や上司からは大変重宝され、プロジェクトパイプラインを複数掛け持ちするだけでなく、様々な領域の業務を任せられることが多い傾向にあります。この傾向の背景には、ITベンチャーでは常に人材不足状態にあるため、職務領域を表向きは分けて募集をかけるものの、実際には様々な領域をカバーする(兼務を強制される)事が求められる事を覚悟する必要があると考えます。

従って、仕事量が増え続ける一方でアウトプットの質/ハードルの高さはコンサル時代と比較すると低下するため、如何に自身が最低限納得する水準のアウトプットに妥協するか、対峙する各々の職務に対してリソースを投下するか/妥協するかの判断を迫られることを同時に覚悟する必要があると考えます。別の言い方をすると、数多任される業務の中で自分がリソースを投下したい領域を見極めた上で、いかにその周辺領域を手を抜いてアウトプットの質を下げて経営トップ層や周りのメンバーを納得させるかを考える覚悟が必要となります。

ギャップ③研究・開発リソースの不十分さ

三つ目のギャップは、研究・開発リソースの不十分さです。コンサル経験者の場合、クライアント先は大企業が中心となるため、戦略上重要と認識された案件であればエンジニアリソースの確保は比較的融通が利きやすい傾向にあったと考えます。また、そもそもコンサルタントはクライアントの研究開発リソース確保の領域はクライアント任せであったため、リソースの確保の調整を強いられたりストレスがかかる局面は多くはなかったと認識しています。

しかし、コンサル経験者がITベンチャーへ入社すると、研究開発リソースが枯渇状態に陥っている事に驚く事は珍しくありません。研究開発の成果をIRで確認したり、採用面談時の説明を通してある程度リソースは充実しているように見えても、実際には社内で研究開発リソースの奪い合いや外部へアウトソースしてなんとか捻出しているケースも多々あります。特に、外部へ開発をアウトソースしている場合は、コストがかかるだけでなくリードタイムが長くなる傾向にあるほか、事前に要件定義を綿密にしておかなければ後々火だるまになるリスクもあるため、前準備へ投下する時間が多くなる傾向にあります。

そのため、研究・開発リソースを確保するために、社内での多部門との調整業務に時間を費やす覚悟が必要となります。また、開発リソースとして予算やエンジニアを確保できたとしても、社内でブリッジエンジニアが枯渇している場合はエンジニアと向き合って要件定義や細かいディレクションを自分で行う必要が出てくるため、その対応負荷についても場合によっては覚悟する必要があります。

また、仮に比較的研究・開発リソースが揃っていたとしても、研究・開発サイドを使いこなせるかは別問題となります。作業を行えるエンジニア、ディレクションを行えるエンジニアをある程度抱えていたとしても、研究・開発の方向性をエンジニアが注力したい方向に引っ張られてしまう事も往々にして存在します。

もちろん、優秀なエンジニアを抱え込むために彼等の知的欲求にもアラインした研究/開発テーマも時には必要となりますが、往々にしてエンジニア側の論理に組織全体が巻き込まれ、結果として投下すべきプロジェクトへ研究・開発リソースが割り振れないジレンマにも遭遇する可能性があります。コンサル経験者の場合、投下すべきプロジェクトを洗い出し優先順位を付けてリソースを配分したいところですが、既に研究/開発が進んでいる案件を止めることは非常に大きな負荷(会社のトップマネジメント層とのネゴシエーションやCTO以下のエンジニアを中間層で束ねるエンジニアリーダーへの説明等)がかかるため、実際には非効率な開発投資の中でいかにリソースを確保するかの調整役を行うことを覚悟する必要があります。

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>PEファンドへのキャリアに関する記事

ポストコンサル転職でITベンチャーに入社し驚いたこと【実話】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/postconsulitstartup

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今回の記事では、コンサルのネクストキャリア、所謂ポストコンサルとしてITベンチャーへ進む場合に、多くの方が感じる「3つのギャップ」についてお伝えしました。
ポストコンサルのキャリアについてお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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