今回は、FAS(会計コンサル)から経営企画へのキャリアチェンジを目指す方に、
FASでの経験が経営企画部の業務上どのように役立つのか、実例を交えて解説していきます。
【目次】
FAS出身者が経営企画部で活かせるスキル M&Aアドバイザリー編
FASではM&Aアドバイザリーに必要な、多くの業務を経験できます。具体的には、中計の作成、M&Aによる提携戦略の立案、財務デューデリジェンス、バリエーション、経営会議資料の精査といった業務です。また精査した経営会議資料について、内容を確認後、必要に応じて修正を施す等、実際に企業側の立場で手を動かす作業も多くございます。
このような業務スキルは、経営企画部の業務においては即戦力として重宝されやすい特徴があります。また汎用性も高いのでどんな企業の経営企画部を目指すにあたっても役立つスキルだといえます。
もう少し具体的にお話しすると、経営企画が担うことの多い役割は、会社の中長期的な舵取りと短期的な目標管理の二つですが、前者はアウトプットとして中計の作成を、後者は予実分析・レポーティング結果を提出することが一般的です。
これらいずれの業務も、M&Aプロジェクトの過程で、会社を魅力的に見せ、かつきちんと経営できていることを示すために、実際にFASのスタッフが手を動かして対応することが多く、常に高いプレッシャーの中でアウトプットしていくため、多くのFASメンバーにとっては高度なスキルが自然と身についていきます。
また中計の作成時には、中計の裏側のロジックを精緻に構築し、事業に応じてKPIに細かくbreak downした上で数式を構成する等、事業性を数字の観点から深く洞察する能力が必要となります。
このような能力は、経営企画部に所属した際に行う、予算策定業務や予実分析といった業務でも必須の能力で、売上・営業利益といった数字だけに着目するのではなくその裏にあるKPI情報を通じて事業がうまくいっているのかそうでないのか、そうでないとすればその原因は何なのか、改善する施策は何か、といったところまで深く分析し仮説を立てる力が求められます。
こういった能力を養成する意味でもM&Aアドバイザリー業務にて経験を積むことは極めて有効で、同業界経験者が経営企画部に多く迎えられる点も頷けます。
このような能力は、経営企画部に所属した際に行う、予算策定業務や予実分析といった業務でも必須の能力で、売上・営業利益といった数字だけに着目するのではなくその裏にあるKPI情報を通じて事業がうまくいっているのかそうでないのか、そうでないとすればその原因は何なのか、改善する施策は何か、といったところまで深く分析し仮説を立てる力が求められます。
こういった能力を養成する意味でもM&Aアドバイザリー業務にて経験を積むことは極めて有効で、同業界経験者が経営企画部に多く迎えられる点も頷けます。
※転職事例
①30代前半/年収1,000万円
Big4系FAS
中期経営計画策定支援、合併基本構想策定支援、拠点再編計画策定支援 等
⇒
Tech系ベンチャー 経営企画/年収1,000万円
②30代半ば/年収1,800万円
Big4系FAS
投資評価基準策定、管理会計制度の構築、クロスボーダーM&Aの戦略策定、会計システム改修に伴う要件定義策定支援
⇒
中小系ベンチャー 経営企画(執行役員)/年収1,600万円
アライアンス戦略、マーケティング戦略
FAS出身者が経営企画部で活かせるスキル PMI編
FASで経験できる業務のもう1つに、PMIが挙げられます。PMIとはpost merger integrationの略で、M&Aによる買収後に企業同士を統合していく作業です。基本的には思想も文化も異なる会社同士であるため、社内のシステムや会計の勘定科目、営業管理や業績報告の方法まで全てが異なっています。
そのためPMI案件においては、まずは会計や業績レポーティングの領域にて、新株主が経営できるように統一の報告フォームを導入したり、見るべき切り口までbreak downしたレポートを作れる体制を整える等、会社ごとに合わせた仕組み作りを行います。
このような業務はFASの中でも担当のPMIチームがいることが珍しくありませんが、こういった案件を経て培った、仕組み構築ノウハウや会社の動かし方といったスキルは、経営企画部での業務において非常に大きな武器になります。
というのも経営企画部は基本的には部門横断のプロジェクトの実行推進を担う機会の多い部門ですが、そのほとんどが仕組み作りであり、各部のもつ様々な意見をひき出しながら、より良い仕組みを構築していく能力が問われるからです。
また部門横断ではなく実際に子会社のPMIを担うことも多いので、PMIの遂行経験のあるFAS出身者にかかる期待は少なくないでしょう。
筆者自身、経営企画部に転職後何より役立ったスキルといえばFAS時代に培ったこの仕組み作りノウハウで、内部統制の構築やERPシステムの導入、ある事業部門のレポーティング制度構築や子会社管理体制強化といった一見種類の異なる各種のプロジェクトを経験してきましたが、いずれもFAS時代に普遍的な仕組み作りノウハウを体得していたおかげで、大きな違和感なくチームに合流することが出来ました。
そのため特にFASを経営企画部転職への足がかりとお考えの方には、FASのM&AチームもそうですがPMIチームでの経験も積んでおくことをお勧めします。
※転職事例
①30代前半/年収900万円
Big4系FAS
大手日系企業のグローバルM&Aの進出支援、グループ業務改革、プロジェクトマネジメント
⇒
老舗日系メーカー 経営企画部マネージャー/年収1,000万円
経営管理、PMI、業務改革など
(参考)FASへの入社に必要なスキルとは
最後に、経営企画部入社を見据え、FASへキャリアを進める際の考え方についてお話しさせて頂きます。上述のようにFASから経営企画部は有力なキャリアパスとなっており、未経験の方が最も目指しやすい、一つの王道パターンだといえるでしょう。
というのも、経営企画へのキャリアに近いと一般的に言われる戦略コンサルティングファームやMBAについては、それ自体の門が極めて狭く、事前準備事項も多岐に渡り、準備期間が長期化するケースが多いためです。また新卒、第二新卒だと学歴を見られることも多く、経営企画部への足がかりとして狙うにはややハードルが高いといえるでしょう。
一方でFASであれば、公認会計士の資格試験合格者や簿記に明るい方には、年齢問わずチャンスが与えられる印象で、学びなおし後のキャリアとしても選択肢に挙げることができます。
特に簿記や会計士試験は、社会人の方が会社に所属しながらでも学習しやすい側面があり、興味を持ったタイミングですぐに準備に取り掛かることができます。そのためFASの検討を始めたら、まずは資格取得を目指し、取得後に資格を生かしてFASへの転職活動を開始する、といったプランで動くことをおすすめします。
尚、FASへの入社には、なんといっても入社後戦力となれるだけの会計知識が必要となります。稀に入社後OJTで身に着ける手助けをしてくれるファームもございますが、基本的には「知ってて当たり前」の環境下で仕事をすることになるので、正しく時間をかけて、しっかりと会計の勉強に打ち込んでから挑戦することをおすすめします。
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>経営企画へのキャリアに関する記事
【実話】経営企画に転職した元戦略コンサルにありがちな失敗とその対策
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/stconsulk
FAS M&Aアドバイザリーと経営企画のM&A業務でできることの違い
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/fasmanda_difference
経営企画部の業務に役立つ「資格」とは【おすすめの理由と実用方法・事例付き】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanninglicence
経営企画部の仕事内容とは<年次業務・月次業務別で解説>
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanningwork
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狭き門である経営企画部への転職。特に未経験の方々にとっては、近年競争が激化しており、多くの企業の中で最難関ともいわれるほど入社が難しくなっております。背景には業務の独自性と会社内での重要度の高さから、そもそもの募集ポジションが少なく、かつ業務に必要なスキルを持つ人材が労働市場全体を通して見ても、それほど多くないことが挙げられます。
実際に、経営企画部へのキャリアパスですが、FASから直接転職されるパターンもありますが、FASから戦略コンサルへ転職して数年経験を積んだり、MBAを取得後にチャレンジされる方も多い印象です。
直接チャレンジされるか、いくつかのステップを踏むかはその時の転職市場や、目指す企業の内情などにも寄りますので、ぜひ一度ご相談ください。
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