今回は投資銀行員の睡眠時間はどのくらいか、その実態をコンサルや資産運用会社と比較してご説明します。激務で知られる投資銀行ですが、若手はどれくらい眠っているのでしょうか。実際に投資銀行で働かれている方々の体験談を参考に解説します。
【目次】
- 投資銀行における「若手バンカー」の労働時間、睡眠時間
- 実際に投資銀行で働いていた人のコメント
- 投資銀行部門(IBD)の睡眠時間
- 「投資銀行の社員はオフィスで眠るのですか?朝の働き方はどんな感じでしょうか?」という質問に対する答え
- 「コンサル」と比較した場合の睡眠時間
- 「資産運用会社」と比較した場合の睡眠時間
投資銀行における「若手バンカー」の労働時間、睡眠時間
アメリカの若手バンカーの体験談によると「1年目のアナリストの勤務時間は週平均で98時間にのぼり、1日の平均睡眠時間は5時間、就寝時間は午前3時だった」ということです。
調査対象となった新人アナリスト全員が、長時間労働は「家族や友人との関係にネガティブな影響をもたらした」と回答。大部分が「こうした環境が半年後も改善されない場合は職場を去る意向を示した」事実は、某大手米系投資銀行のアンケートで有名になりました。レポートでは「金曜日の午後9時以降や土曜の終日は、事前に承認された例外的な場合を除いていかなる業務も期待されるべきではない」という従業員の訴えが紹介されるなど、ワークライフバランスを希求する若手の意見も散見されました。
企業の給与情報を調査する米ペイスケールによると、ゴールドマン・サックスの新人アナリストの基本給は9万1,000ドル(当時のレートで約990万円)ほどとのことです。米国は物価やインフレ率が日本より高いですから、これを日本円に換算すると今は円安で1,000万円を超えますが、新人の時代からこの金額をもらうということは、想像を絶するほど激務であることの裏返しでもあります。
ただし、忙しさの度合いは繁忙期やファーム、ディールの多さやピッチがあるかどうかによっても異なるものです。エグゼキューションにフォーカスしているプロダクトチームであれば案件の佳境の時期はかなりの忙しさに閉口することも多いですが、時期が過ぎれば少し落ち着き睡眠時間も確保できます。
他にもIBDではないものの、エクイティリサーチでも「朝早く夜遅い」生活がしばらく続くこともあります。その点ではいずれも激務ということで間違いありません。
実際に投資銀行で働いていた人のコメント
コメント①
私は20年以上、投資銀行員として働いていました。厳しい仕事をする他の人と同じように、できるだけ睡眠をとることが大事です。確かに若いバンカーだと、オフィスにいる時間がとても長いし、徹夜することもあります。また、バンカーは頑張って徹夜をした話をするのが好きなので、実際よりもよくあることのように思われるかもしれません。
しかし、ほとんどのバンカーは、クレイジーな労働時間のくり返しが、投資銀行業務において極めて重要な要素である仕事の質と精度に、悪い影響を与えることを認識しています。したがって、どれほど厳しいシニアバンカーでも、一生懸命働いている若手に「帰れ」「休め」と言う時期があります。
コメント②
必要なだけ眠る機会があるとしても、私は通常7時間以上眠りません。数日前の睡眠が浅かった場合は、8時間眠ることもありますが。帰宅時間が早い時期には、睡眠時間は自分で決められます。
経済が活況を呈し、M&Aディールが次々と行われていたころは、1週間に最大4〜5時間の睡眠が限界で、たまに徹夜することもありました。
コメント③
週によって違いますが、ディールがゆっくり進む場合には、必要なだけ睡眠をとることができます。今週は1晩平均4~5時間くらいだと思いますが、普段は必要なだけ(6~8時間)眠れるんです。
睡眠時間を減らすためのトレーニングは、もしあなたが本当にインベストメントバンカーになりたいからやっているのなら、愚かなことです。「友達ともっと遊びたいから」「日中にもっと仕事をこなしたいから」であればまだわかりますが。「インベストメントバンカーになりたい」という理由だけで、好んで睡眠時間を減らしてはいけません。
翌日に大量の提出物がある場合、体を鍛えていたりコーヒーを飲んだりしたためではなく、アドレナリンのために起きていることになります。ファイナル版の作成に向けてカフェインを詰め込むようなもので、必要なときにやればいいのですが、必要でないときはなかなか体がついてきません。
忙しくない週なら、夜4〜5時間しか寝られないということはなかったと思いますが、忙しい週は短時間の睡眠をせざるを得なかったので、その場合は何とかして体を適応させていました。
コメント④
人間は意外にも適応が非常に早いということを実感しました……。週100時間労働が1〜2ヶ月続いたと思ったら、突然週60時間労働。
睡眠時間を削って「長時間働く練習をしよう」なんて思わないでください。夜更かししてテレビを見るのと、夜更かしして書類に集中しようとするのと、仕事が終わるまで家に帰れないのとでは疲労の具合が全然違いますから。
コメント⑤
残業しようが、テレビを見ようが、12時前には寝られない。週末に寝坊しても睡眠時間は足りない。だから睡眠時間を確保するためには、前の晩に早く寝なければならない。そして15時間から16時間働いて、翌朝にはもっとやることがあるとか、自分のやったことがうまくいったかどうかが気になると、少なくとも午前2時まで起きていることになる。そして、アラームが鳴るはずの30分前に、自然に目が覚める。
投資銀行部門(IBD)の睡眠時間
純粋なIBD側の銀行業務では、閑散期には週65〜70時間程度の労働時間が予想されます。しかし、ディールが完了するまでの最も激しい時期には、100時間以上となる場合があります(週末と夜間を含む)。
では、投資銀行員は実際に週100時間働いているのでしょうか? 投資銀行員の平均的な労働時間は、週60時間から80時間程度と言われています。アナリストの場合、労働時間が週100時間に達したと報告されているケースもありますが、週100時間労働は、特に忙しく慌ただしい週でなければ発生しません。
結局のところ、投資銀行員はどのくらい眠っているのでしょうか? インベストメントバンカーは、アナリスト時代、週に平均90~100時間働いています。彼らは1日5時間ほど眠っていると推測できます。投資銀行のアナリストの勤務時間は、一般的に週80時間から110時間です。この地獄のアナリスト期間を2~3年ほど経験してはじめてアソシエイトに昇格できます。
ただしこのきつさに耐えられずに、投資銀行を去る人が多いのもまた事実です。このような状況を改善するために、日系の投資銀行などでは多くのジュニアを採用して分業体制にしているところもあります。外資系の場合はヘッドカウントを絞って稼ぐ分、必然的に報酬は上がりますが睡眠時間やワークライフバランスは悪化する可能性があります。
「投資銀行の社員はオフィスで眠るのですか?朝の働き方はどんな感じでしょうか?」という質問に対する答え
投資銀行は始業時間がかなり遅い点が特徴です。これは前日に遅くまで働いているためです。朝は通常、電子メールやテキストメッセージ、オフィスミーティングなどの業務に取り組みます。クライアント、同僚、シニアバンカーからのメッセージは、すべてのステータスレポート、プレゼンテーション、計算をダブル、トリプルチェックすることが求められるため時間がかかります。
ほとんどのIBDには休憩するための部屋があり、日中に15分から30分ほど睡眠をとることもでき、今はほとんどのインベストメントバンカーがオープンなプラットフォームで仕事をしています。「休憩時間を確保しないとミスをするうえ、周りの人々と仕事をするのがとても嫌になってしまう」という声もお聞きしました。
「コンサル」と比較した場合の睡眠時間
コンサルティングファームと比較した場合、投資銀行のほうが長時間労働になりやすいです。いずれもプロジェクトベースで仕事を進める点では相違がありませんが、短期間で案件が大事な時期にさしかかったり、複数の案件を平行して裁いたりする場合、仕事の負荷は多くなります。睡眠不足は仕事のパフォーマンスに大きく影響しますので、可能な限り睡眠時間を確保することが重要です。
コンサルよりも性格的に強い人や、アグレッシブな人が多いのも投資銀行の特徴です。睡眠不足が続くなかでいろいろと指摘され続けるため、精神的に疲れやすい人は注意しなければなりません。
「資産運用会社」と比較した場合の睡眠時間
資産運用会社はバイサイドのため投資銀行よりも業務負担の少ない点が特徴です。基本的にセルサイドである投資銀行ほどのタイトなスケジュール、クライアントからのプレッシャーに耐える必要はありません。
だからこそ、資産運用会社から投資銀行に転職する場合、今までより業務がハードになる覚悟が必要です。
睡眠時間についても資産運用会社のように市場のタイミングが決まっているわけではありません。そのため、ある程度まとまった睡眠時間をとれる期間があることに慣れていると、投資銀行の繁忙期に慣れるまでしばらく時間がかかるものです。その点もミスマッチがないか慎重に確認する必要があります(激務耐性やストレス耐性があればまだ大丈夫ですが)
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>投資銀行へのキャリアに関する記事
コンサルファームから投資銀行(IBD)への転職後、活躍できるコンサル・できないコンサルの違い
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/postconsulinvestmentbank
投資銀行におけるタイトル毎の「年収・スキル・働き方」
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/investmentbank_title
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今回確認したように、投資銀行は比較的長時間労働に陥りやすいものの、睡眠時間はしっかりとることを求められます。本当に忙しい時期はクライアントも遅くまで働くため、バンカーもしっかりと期待に応えようと、タフな時間を過ごすことになります。
しかしメリハリをつけて働くことが重要であるため、なるべく多く眠るのが理想的です。
特に若いうちには、なるべくオフィスの近くに住むことで通勤時間を短縮し、ストレスを減らすといった工夫が求められます。
今回は投資銀行員の睡眠時間はどのくらいか、その実態を、コンサルや資産運用会社と比較して解説しました。投資銀行へのキャリアをお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。
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