ご存じの方も多いと思いますが、コンサルファームではクライアントの業界別に組織(ユニット)を組成しています。クライアントへのサービス提供の際にはそのユニットを中心として、テーマに応じた最適な人材をアサインし、チーミングを行います。対医療業界についても同様で、外資・内資問わずほぼ全てのコンサルファームで医療業界向けユニットを整備しており、サービス提供を通じてクライアントが抱える経営課題の解決を支援しています。
【目次】
医療業界向けコンサルの具体的な業務内容は?
ところで、医療業界とは具体的にどのようなクライアントを指すのでしょうか。
すぐに思いつくのは製薬会社や医療機器メーカーかもしれません。
それに加え、病院や行政(中央省庁や地方自治体)、保険会社など、医療・ヘルスケア業界における主要プレイヤーも重要なクライアントです。さらに、最近では医療系のベンチャーに対してPJを提供するパターンも増えてきており、一口に医療業界と言っても、企業規模や業務内容などの点から見るとさまざまな性質のクライアントがいます。
これらのクライアントに、どのようなサービスを提供しているのかといえば、こちらもまた非常に多様です。
いわゆる”上流”と呼ばれる戦略・構想策定系プロジェクトで言えば、全社経営戦略や事業戦略の策定、新規事業の開発支援などが典型的なものになります。業務改革関連では、業務効率化を目指してサプライチェーンやMRの業務改革、管理会計の整備などが多く行われてきました。
さらに近年は、どの業界でも”DX”が声高に叫ばれ、医療業界も例外ではありません。基幹システムの更新・新規導入や、CRMやSFAなどの業務効率化や高度化を目的とした新たなデジタルツールの導入などのプロジェクトも多数推進されています。
このように、医療業界と言っても、対象となるクライアントも、提供するプロジェクトにもかなり幅があります。
「上流の戦略・構想のみに特化している」「システムや業務改革の実行に加え導入後支援までをセットにしていることが売り」「システム導入が特に強み」など、得意とする領域・クライアントが異なるのが特徴です。転職する際には、自分がどのような業務に携わりたいのか、明確にしてから応募するファームを選びましょう。
医療業界向けコンサルの働き方や年収は?
医療業界向けコンサルはどのような働き方をしているのでしょうか。
結論から言うと、基本的に他業界向けのコンサルと大きく異なる点はありません。
コンサル、特に外資系コンサルはコロナ前からリモートワークが日常的に行われていた稀有な業界ですが、コロナ禍を経て一層リモートワークが進み、基本的にはリモート前提の働き方が一般的です。
医療系業界のクライアントの多くは、病院への出入りや患者さんとの接触があるため、不必要なF2Fの打ち合わせを避ける傾向が強く、特にリモートへの切り替えがいち早く進められていた業界でもあります。
ただ、完全リモートへ切り替えてしばらく経った現在では、打ち合わせをクライアントオフィスなどのオンサイトで実施する、あるいはオンラインミーティングと併用するパターンも増えてきています。プロジェクトごとに、クライアントの方針や要望、社内メンバーの都合やプロジェクトの内容を考慮しながら判断していきます。
また、コンサルファーム内でも、オンラインのみだとメンバー間のコミュニケーション量が不足することが危惧され、作業やチームミーティングのために徐々にオフィスへの出勤を再開する傾向が高まってきています。コンサル業界は中途採用がとても多く、リモート下で入社した社員とのコミュニケーションや教育が十分にできず、社員の不安感や孤立感を招いてしまっていた、という反省もあるようです。
日常的な仕事の仕方については、一昔前のコンサルは激務の印象が強く、強靭な体力や精神力が求められているイメージがあったかもしれません。現在もプロジェクトが大詰めの時には多少忙しくなるものの、各ファームとも、過去の悪しきイメージを一掃すべく働き方改革には熱心に取り組んでいます。有給取得を積極的に推奨する、さまざまな休暇制度を導入する、勤務時間を確認して超過労働を抑止する、時短制度を拡充し働く時間・日数を多様化する……。優秀な人材を獲得し、長く自社で働いてもらうために、多様な働き方に応えるための仕組みが用意されています。
医療業界向けコンサルの年収については、やはり水準は他の業界向けコンサルタントと変わりません。
中途採用の場合は、前職の年収、スキル、年齢などさまざまな要素をもとに決定されますので、一概に金額を示すことはできませんが、いわゆる”Big4”の新卒の場合、平均年収が600万円前後です。したがって、この金額と同等もしくはそれ以上の年収からスタートすると想定されます。
外資系医療コンサルであることのメリット・デメリット
コンサルファームが外資である場合のメリットは、大きく3点あると考えられます。
①グローバルの知見が蓄積されておりプロジェクトに活用できる
プロジェクトを進める過程や最終成果物は1つ1つのプロジェクトで異なるものの、プロジェクトを開始するきっかけとなった背景・課題感や、解決手法などについては類似するプロジェクトがあるものです。国内だけでなく、グローバルの事例をリサーチできるということは、参考にできる資料が数倍、数十倍にもなり、プロジェクトの質を高めるのに役に立ちます。
②海外ファームのメンバーと切磋琢磨できる
外資系ファームの多くは、海外ファームと常日頃から連携している場合が多いので、プロジェクトの際に海外ファームのメンバーをアサインすることもよくあります。類似プロジェクトの経験値や語学力など、プロジェクトに必要なスキルを持つ優秀なメンバーと同じプロジェクトで働くことができますので、協働しながら自身のスキルや語学力などを伸ばす機会に恵まれます。
③グローバル案件に触れる機会が多い
外資系ファームは、グローバルネットワークを持っているという大きな強みがありますので、グローバルでプロジェクトを推進したいグローバルクライアントや、今後グローバル進出を目指すクライアントなどから選んでもらいやすく、結果的にグローバル案件が増えるという傾向があります。グローバル案件に積極的に関わっていきたい方にはぴったりの環境です。
一方のデメリットですが、外資系コンサルであることが医療業界向けのサービス提供において不利になることはほとんどないと考えて良いでしょう。
いずれのクライアントも、決して安くないフィーをコンサルに支払うことになりますので、「外資か内資か」よりも提案内容を徹底的に吟味した上で、自社に伴走してくれるファームを選択しています。
医療業界向けコンサルになるために必要な資格・スキルは?
現在、医療業界向けコンサルを検討している方の中には、「転職に何か必要な資格やスキルはあるのか?」と心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
実際、医療業界向けユニットでは、大学時代に医療系学部に所属しており、薬剤師や看護師、作業療法士などの資格を持つコンサルタントが多くいます。また、コンサルといえばMBA(経営学修士)、と想像される方も多いかもしれません。
ですが、実態として、これらの資格は必須ではありません。もちろん、資格を持っていれば、その資格を取得するために蓄積した知識や知見がプロジェクトで活きることもあります。すでに資格を持っているのであればしっかり活かしていきたいところですが、わざわざ転職のために取得する必要はありません。プロジェクトによって、必要とされる知識は毎回大きく異なりますので、プロジェクトにアサインされた際にキャッチアップする、という心構えを持つぐらいでちょうど良いかと思います。
なお、資格ではありませんが、特に外資系ファームにおいては入社時に一定の語学力を求められる傾向があります。TOEICやTOEFL、各ファームで求める試験や水準は異なりますが、語学系の試験は受験し、一定の点数を獲得しておいた方が採用試験で有利になるといえるでしょう。
資格以外に、医療業界向けコンサルタントになるにあたって求められるスキルは、やはりコンサルタントを目指す上で業界問わずに求められるものです。
「ロジカルシンキング力」や「コミュニケーション能力」などはコンサルタントに求められるスキルとして非常に有名なものかと思います。現職にいても磨くことができるスキルだと思いますので、今から磨くことをお勧めします。書店に行けば多くの書籍やトレーニングブックが販売されていますので、活用してみるのも一つの手です。
そしてこれらのスキルと並行して、コンサルとして持つべきマインドセットがあります。それは「プロフェッショナルマインド」です。
コンサルタントはクライアントから高額なフィーを頂きながら仕事をしますので、限られた時間の中で最大限の成果を上げる必要があります。クライアントが抱える困難な経営課題の解決に資するために、必ずプロジェクトを成功させる、そのために目の前のタスクを高いレベルでやり遂げる、など「プロフェッショナルとしての意識」を持つことが非常に重要です。
決して、自己犠牲を伴いながら働くということではありません。目の前の仕事に対して、常に高い意識を持って取り組むこと、これがプロジェクトを成功させることにつながり、結果的にコンサルタントの大きな成長にもなるのです。
テクノロジーの進化とともに医療業界はダイナミックに変化しており、医療業界向けコンサルタントとしてクライアントを支援することは、業界の変革を直接肌で感じることができると共に、自身の大きな学びにもつながります。
興味がある方は、是非チャレンジしてみて下さい。
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株式会社JDSC ヘルスケアユニット インタビュー/「社会課題の解決」と「経済性」の両立を目指したコンサルティングスタイル
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