マーケティングファネルの活用事例とテンプレート【消費者の行動を定量的に分析するためのフレームワーク】

AIDMAやAISAS、DECAXなど、消費者の行動プロセスをフレームワークにした考え方は複数ありますが、これらはあくまで一消費者の「プロセス」にフォーカスしています。

実際のマーケティングにおいては、それぞれのプロセスにおいてどの程度の消費者を捉えられているかが重要。購買まで漕ぎ着けた消費者が多ければ、それは売上の拡大=マーケティングの成功となるためです。

消費者の行動プロセスの総量を概念化したものが、今回紹介するマーケティングファネルです。マーケティングファネルを活用すれば、どのマーケティングプロセスが課題となっているのかを明らかにすることができます。

【目次】

  1. マーケティングファネルの基本的な考え方
  2. パーチェスファネルの4プロセス
  3. その他のマーケティングファネル
  4. マーケティングファネルの活用方法
  5. マーケティングファネルを活用してマーケティングを定量的に分析

マーケティングファネルの基本的な考え方

マーケティングファネルにはいくつか種類がありますが、最も基本的な「パーチェスファネル」は、次のような逆三角形の概念図で表されます。

パーチェスファネル

三角形の上方がマーケティングで捉えるべき消費者行動の始まりで、下の方へ向かうにつれて、消費者の行動が進み、最終的には購入に至るという考え方です。

また、この三角形はそれぞれのプロセスの消費者の「数」を表しています。通常、消費者の数は認知→興味・関心→比較・検討→購入と進むにつれて、一定数は抜け落ちていきますので、下のプロセスに進むほど消費者の数は少なくなると考えられます。

マーケティング上では、できるだけ多くの消費者に「認知」してもらい、その後の各プロセスにおける人数の減少を抑える工夫が重要となります。そうすれば、最終的な購入に至る消費者を最大化できるため、マーケティングの最も基本的な目的である「売上の最大化」が達成されるのです。

パーチェスファネルはAIDMAが土台となった考え方

パーチェスファネルの各プロセスの名称は、代表的な消費者の購買行動プロセスのフレームワークであるAIDMAと類似しています。これは元々、パーチェスファネルがAIDMAから発展して生まれたものであるためです。

大きく異なるのはAIDMAではDesire(欲求)やMemory(記憶)となっていた部分が、「比較・検討」に置き換わっている点です。商品の選択肢が多様化する中で、消費者が能動的にニーズにあった商品を選ぶようになった風潮を反映したものと言えます。

パーチェスファネルの4プロセス

まずは、マーケティングファネルの中で最も基本的な、パーチェスファネルの4つのプロセスについて紹介していきます。

認知

認知とは、まだ消費者が商品を知らなかった状態から、何らかの形で、その存在を知る段階を意味します。

マーケティングでは、CMや雑誌・新聞、電車の中吊りなどの広告やWeb広告、記事出稿などにより消費者に商品の存在を知らしめる活動が必要です。通常最も多くの人数の消費者がこの「認知」に至ると想定されることから、できるだけ多くのターゲットに情報を伝えなければなりません。

興味・関心

商品を認知した消費者の一定数は、商品に興味・関心を持ちますが、中にはそれが自分のニーズを満たす魅力的な商品に見えなかったために、退出していく人もいます。

マーケティングにおいては、商品にマッチしたターゲット設定、ターゲットが興味を持つようなコンテンツ発信がカギとなります。広告が溢れていて情報が埋もれやすい現代においては、ターゲットの興味・関心を掴むプロセスは非常に重要です。

比較・検討

従来は興味・関心につながるプロセスとして、欲求や記憶がありましたが、商品が多く、また情報収集の手段も多様化した現代では、消費者は興味のある商品を能動的に検討します。

競合商品や類似商品と比べて質が良いものなのか、金銭を支払うほどの付加価値を見込めるものなのかを吟味するプロセスです。

マーケティングにおいては、Webサイトにおける商品情報の紹介やブランディング、必要に応じてイベントや試供品提供など、さまざまな手段を通じて、消費者に商品の魅力を伝えることが重要です。特に競合商品より優れていること、金銭対比で付加価値があるものということが伝わるよう、マーケティングコンテンツを整理しなければなりません。

購入

消費者は商品が魅力的で、お金を支払うに足る付加価値をもたらすものだと判断すると、購入に至ります。

マーケティングの目的はできるだけ多くの消費者を購買に誘導することです。

しかし現代では、購入後の動きを別のマーケティングファネルで考えるようになってきています。詳しくはこの後紹介します。

その他のマーケティングファネル

近年のマーケティングでは、消費者が商品を購入した後の情報の拡散効果にも着目してアクションをおこなうのが主流です。SNSマーケティングなどはその典型例で、商品を購入した消費者による拡散が、新たな消費者をひきつける効果を狙っておこなわれます。

ここからは、このような近年のマーケティングの潮流をふまえたファネルについて紹介します。

インフルエンスファネル

インフルエンスファネルは消費者が商品を購入した後の行動を概念化したものです。

まず、消費者自身が商品を好感すれば、継続的に購入するようになり、売上が拡大していきます。やがて、満足度が高まって、知人などに「紹介」するようになれば、他の消費者をひきつけることとなるため、さらに顧客の増加が見込まれます。

また、消費者がSNSや口コミなどで商品の良さを発信すれば、不特定多数の消費者の目に留まり、高い集客効果が期待できます。

SNSマーケティングは、こうした商品を購入した消費者による情報拡散と、さらなる集客効果を意図しておこなわれます。

ダブルファネル

パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせて砂時計のような形状にしたものがダブルファネルです。

ダブルファネルでは消費者を捉えて購買に至らせ、そこから情報が拡散して別の多くの消費者の獲得につなげていく流れが概念化されています。

マーケティングファネルの活用方法

マーケティングファネルは、各プロセスの消費者の数を調べることで、どの程度の消費者が各プロセスに流れてきているのか、どこにマーケティングの課題があるのかを把握できます。

ここからは数値例も示しながら、マーケティングファネルの活用方法について紹介します。

ファネルをもとに流入する消費者の目標を設定

マーケティングの終着点は売上です。例えば新商品の購入者数を目標として設定します。ある商品について仮に1日に100人に売ることを目標としてみましょう。

最終的に100人を購入まで到達させるとしたときに、それぞれのプロセスにおいて何人程度の消費者を維持すればよいか、見通しを立てます。

基本的に上に行くほど人数は多くなるため、より多くの消費者を捉える必要があります。プロセスが進むにつれてどの程度人数が減っていくか、過去のマーケティング実績などもふまえながら、推測を立てて進めていきましょう。

上記はあくまで例にすぎませんが、このケースでは「1,000人に認知させなければならない」ことがわかったとします。各プロセスで目標とする人数の補足を目指して、マーケティング戦略を策定していきましょう。

目標と実績を比較して、マーケティングの課題を洗い出す

一通りマーケティング戦略を整えて実践してみました。半年ほど継続し、ある程度1日の売り上げが安定してきたところで効果測定をしてみることにしました。

効果測定においては「興味・関心」「比較・検討」に至った人数を何らかの形で定量的に知る必要があります。

今回の例ではWebマーケティングを想定して、下記の要領で測定したとします。

  • 認知:Web広告がGoogleに表示された回数
  • 興味・関心:広告のリンクをクリックした人の数
  • 比較・検討:Webサイトの「商品詳細」にアクセスした人の数

まず、広告が表示された回数は概ね目標通りとなりました。ターゲットをふまえて適切な広告設定ができていることを意味します。

また、興味・関心を持った消費者は想定を上回るレベルでした。未達よりは良いですが、もしかしたら「認知」させる人数はもう少し少なくても良かった可能性もあります。広告を打ち出す数が減ればコスト削減につながるため、より効率的な手法があったのかもしれません。

問題は興味・関心から比較・検討に移った人、つまり「詳細ページ」にアクセスして商品の詳細を調べた人が想定より少なかったことです。ここの剥落が大きかったために、最終的な購入者数も目標未達となっています。

これにはいくつかの原因が考えられます。

  • 広告のリンク先(いわゆるランディングページ)の魅力がイマイチ
  • 詳細ページへの動線が不十分
  • 目標設定に無理があった

最もシンプルなのは、興味・関心のプロセスに対するマーケティング策である「広告リンク先」のページの質が低く、そこで検討に進まず、商品を調べるのをやめてしまったというケース。ランディングページの内容を見直す必要がありそうです。

また「実は消費者はそれなりに興味を持っていたのに、詳細ページにたどり着けず、検討を進められなかった」というケースも考えられます。Webマーケティングであれば詳細ページとランディングページをリンクでつなげる、SEO対策で詳細ページを上位表示させるなど、アクセスしやすくする工夫が求められます。

最後に、そもそも目標設定に無理があったケースも考えられます。各プロセスで剥落する人数の規模は商品特性やターゲットによって異なります。そもそも、この商品は興味・関心→比較・検討に誘導するのが難しい商品なのかもしれません。

その場合は目標設定を再検討して、入口の「認知」をさらに増やす工夫が必要になるでしょう。

このようにマーケティングファネルをもとに目標・実績を設定することで、マーケティングの定量的な効果測定や課題の洗い出しが可能となります。

マーケティングファネルを活用してマーケティングを定量的に分析

マーケティングファネルは、これまで一消費者の行動プロセスとして整理されていたフレームワークに人数・規模の概念を取り入れたフレームワークです。定量的な数値を当てはめることで、マーケティングの目標設定や、効果測定、課題発掘などに役立てることができます。

マーケティングファネルをヒントに、マーケティング戦略を策定するプロジェクトにおいて、現状分析や課題と解決策の策定ができるようにしておきましょう。

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>マーケティングに関する記事

【AIDMAのフレームワークと具体例】消費者行動モデルの原点でマーケティングの基礎知識
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/aidma_marketing

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今回の記事では、マーケティングファネルの活用事例などについてお伝えしました。キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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