【未経験向け】戦略コンサルファームの中途採用ステップと対策方法を解説

今回の記事では、未経験から戦略コンサルティングファームへの転職をお考えの方向けに、戦略コンサルティングファームの採用ステップ、また書類選考、筆記試験、面接(ケース面接含む)の対策方法について詳しくご説明します。

【目次】

  1. 戦略コンサルティングファームの中途採用ステップは2パターン
  2. 書類選考の対策として「何が強みとして培われてきたか」といった「自己分析」がより重要に
  3. 筆記試験ではSPI関連書籍⇒判断推理・数的推理の順番で対策、Critical reasoningパートを2~3周で英語対策
  4. 面接対策では、結論ファーストの話し方がマスト。日常生活でも意識することが重要
  5. ケース面接は「フェルミ推定系」「ビジネス系」の2パターン、ロジックが「客観的」「リーズナブル」「一般的感覚とのズレが少ない」を意識
  6. (参考)リファラル採用について

戦略コンサルティングファームの中途採用ステップは2パターン

戦略コンサルティングファームへの中途採用のステップは、エントリー時にまず大きく二つに分かれます。

一つ目は、一般的なルート(公式ルート)で、エントリーシート提出→書類審査通過→筆記試験→面接複数回というステップを踏みます。

二つ目は、リファラル制度等を通じたルートで、戦略コンサルティングファーム在籍者が友人・知人を紹介するケース等を指し、一般的に、書類審査は軽め、場合によっては筆記も免除されて面接を複数回こなすステップを踏みます。

一般的なルートもリファラル制度を活用するルートも面接以降のステップは同じで、一次面接/二次面接はマネージャークラス、三次面接以降はパートナークラスが対応する事が多いです。三次面接以降は、往々にして2~3回(四次面接~五次面接)程度面接が実施されます。

書類選考の対策として「何が強みとして培われてきたか」といった「自己分析」がより重要に

次に、戦略コンサルティングファームの中途採用に向けた対策を、選考プロセスのゲート毎にご説明します。選考プロセスのゲートは、書類選考、筆記試験、面接審査の三つとなります。

まず、書類審査の対策としては自己分析をお勧めします。中途の書類審査で見られる視点は、志望者がどの様な人生観を軸にこれまでキャリアを構築し、社会人として培ってきた強みを如何に戦略コンサルタントして発揮し得るか、という視点です。戦略コンサルタントという職種は、非常に高い水準のアウトプットを求められます。新卒で入ろうが中途で入ろうが、プロフェッショナルとしての行動や結果をDay1から求められます。往々にして自分よりもその業界に精通しているクライアント企業の精鋭達と対峙し、彼等をインスパイアさせる示唆を出し続ける必要があるため、体力的にも精神的にもタフで常に自己成長を続けられる人材が求められます。過酷な状況下でも自己成長を続けるには、自身の行動の軸となる人生観が一つの重要な要素となり、書類審査(エントリーシート)だけでなくパートナークラスとの面接(三次面接以降)でも見られるポイントとなります。

従って、自分がこれまで築いてきたキャリアを中心に振り返り、何を自身の強みとし捉えながら戦略コンサルタントとしてバリューを出していくのかというストーリーと、そのバックボーンとなる人生観の認識/整理が対策として必要となります。このストーリーの作成、及び人生観の整理として、自己分析が有効な手段となると考えます。

自身のこれまでのキャリアを棚卸して、節目毎にどの様な判断軸でそのキャリアを歩んできたかを自問自答して考え、また結果としてどの様な点が強みとして培われてきたかを整理する事は有効と考えます。また、会社方針で社内異動等を繰り返してきた場合は、その異動を自身としてどの様に捉え意味付けを行い、自身のキャリアを構築してきたかを語れるようにする事をお勧めします。

筆記試験ではSPI関連書籍⇒判断推理・数的推理の順番で対策、Critical reasoningパートを2~3周で英語対策

次に、筆記試験の対策としては、SPI等、算数&国語の反射神経を取り戻す事、及び判断推理&数的推理に慣れてパターンを把握する事、英語の三つです。

筆記対策は一概に決まった対策はなく、戦略コンサルティングファームによって出題内容は様々です。
マッキンゼーが少し難しめのSPIを超短時間で解く必要があるのに対して、BCGは一般的なSPIをそれなりのスピードで解く、他方でベインはGMATのCritical reasoningと判断推理、ローランドベルガーは王道の判断推理&数的推理、Strategy&やATカーニーは判断推理&数的推理に加えて英語問題、というように千差万別となっています。
※2021年時点での傾向です。各戦略ファーム・戦略チームの試験内容の詳細について知りたい方は、ぜひご相談ください。

戦略コンサルティングファームは相当の狭き門であるため、中途で入社を希望される場合は、特定の戦略コンサルティングファームにフォーカスせず持ち駒を確保する方が得策です。筆記の他、面接でも持ち駒は削られていく事を覚悟した方が良いので各社包括的に筆記は対応できる様に対策を行うことを推奨します。
その場合、まずはSPI関連の書籍を1~2周程度行い頭の反射神経を戻しながら、徐々にマンネリ化したタイミングで判断推理・数的推理に移行すると良いでしょう。
特に、戦略コンサルティングファームでは数的推理よりも判断推理の方が圧倒的に出題されるため、時間が限られている場合は判断推理のみ対策する事も得策です。

判断推理は基本的にパターンを認識して(最悪暗記して)、出題されたら瞬時に回答できるようにしておくと良いでしょう。
判断推理の書籍は、実務教育出版の上・中級公務員向けの標準判断推理が良くまとまっており良書です。
英語の対策は、GMATの書籍の中でCritical reasoningパートを2-3周行うことが有効と考えます。英語が苦手な方は、Critical reasoningパートを中心に鍛錬しつつ、英語に慣れる意味で海外のニュースサイトの記事を1日5分読む習慣付けを行う事も良いかもしれません。
GMATの書籍は、アルク社のMBA留学GMAT完全攻略がCritical reasoningパートの分量は多少少ないものの良書の認識です。

面接対策では、結論ファーストの話し方がマスト。日常生活でも意識することが重要

最後に、面接審査の対策としては、話し方とケース面接慣れの二つに集約されます。
大抵のコンサル志望の方々は、コンサル特有のケース面接対策に注力する傾向があります。しかし、それと同等以上に話し方のトレーニングが必要不可欠になります。戦略コンサルタントは、ファームに入社後、頭脳もさることながらチームメンバーやクライアント先とのコミュニケーションにおいて円滑な話し方を求められます。特に、戦略コンサルティングファームが抱える案件のレベルであれば、対峙するカウンターパートもクライアント先の役員レベルの方々となり、日々戦略コンサルタントがコミュニケーションを取る相手も役員手前の管理職クラスであることが往々にしてあります。そのため、クライアント先で先々役員クラスに成り得る精鋭の方々と卒なくコミュニケーションが取れる事、シンプルに言えば、話し方が非常に重要になってきます。
また、頭脳は極論を言えば、パートナーの力や優秀なマネージャーを据えれば代替できますが、個々のコミュニケーション能力の代替は難しく、どんなに頭脳明晰でも話し方が一定水準を超えていなければ、内定を勝ち取ることは難しいと認識しています。

具体的に、話し方で意識すべきポイントは、コミュニケーション相手の問いに対して結論ファーストで話す事、に尽きます。コミュニケーション相手の問いが、クローズドクエスチョンであればYes or No もしくはA or Bです、と簡潔に答えます。オープンクエスチョンの場合は、問いに対する直接的な答え(結論)は何かを意識して、結論ファーストで簡潔に答えます。その上で、相手のリアクションを観ながら結論に至った思考プロセスや理由を求められている場合は、理由が三つあるのであれば、理由はX、Y、Zの三つあります、Xは具体的には○○、Yは具体的には○○、というロジックツリーの上から下に、階層毎に話すように心掛ける事が効果的と捉えています。
日常の会話でも、上記の話し方を意識して話すトレーニングを積むと成果は顕著に出てくるでしょう。

ケース面接は「フェルミ推定系」「ビジネス系」の2パターン、ロジックが「客観的」「リーズナブル」「一般的感覚とのズレが少ない」を意識

また、上記の話し方をベースにして、ケース面接(慣れ)の対策が戦略コンサルティングファームの内定獲得には必要となります。ケース面接とは、大きく分けると二種類あり、一つ目はフェルミ推定系のケース面接、二つ目がビジネス系のケース面接となります。前者は、日本国内にある美容院の数はどの程度か、といった類の質問です。後者は、ある経営課題を抱えた企業を想定し、あなたならどの様な解決策を提示するか答えよ、といった類の質問となります。

フェルミ推計系のケース面接の対策としては、フェルミ推定関連の書籍やNOTE等ウェブ上で紹介されているフェルミ推定の回答を参考に、身の回りの事柄をご自身で題材にして考えてみる事をお勧めします。考える際のポイントとして、推計する時のロジックが客観的に見てリーズナブルで推計値も一般的な感覚からずれていないか、を意識すると良いでしょう。例えば、美容院の数の場合、感覚値で50,000店舗という答えは論外で、50,000店舗に至るロジックが重要になってきます。具体的には、日本に住む人達のうち、美容院で髪を切る割合がどの程度いると仮定して、平均的な年間利用回数がこの程度であると仮定すると……と需要サイドからのアプローチで総需要を推計し、1店舗当たりのカットできる平均人数で割って店舗数を推計した、という様に、第三者が聞いても納得感があるロジックになっているかを意識する事が有効と考えます。また、最終的に推計した値が、一般的な感覚から的外れでない事(美容院の数が1億店舗あります、だと日本人1人当たり1店舗くらいになり的外れ)を確認する癖を持つと尚良いでしょう。

他方で、ビジネスケースの対策としては、自身が所属される企業の社長、もしくは業界の競合の社長の視座に立ち、自身なら何をするかを自問自答する事は、有効な手段の一つと考えます。シミュレーション時のポイントとして、自身が経営課題をどの様に捉え、その課題に対してどの様な解決策を導出するかを意識して、可能であれば社内の仲間と壁打ちを通して、自身の解を客観的に評価してもらい思考を研磨し続けると良いでしょう。ある程度、自身の馴染みのある企業・業界の社長としての視座に慣れてきたら、今後尽力したい業界の社長の視座に立ち同様の事を繰り返す事で、他業界の知識インプットのみならず自身の思考アプローチに対する気付きも得られ、対策に成り得るでしょう。

参考:
【ケース面接対策】代表的な4パターンと例題・解答まで【戦略コンサル転職希望者の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/casefour_pattern

ケース面接で「ボロボロ・失敗」になる理由と、その対策【戦略コンサル転職を目指す方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/case_interview_preparation

(参考)リファラル採用について

リファラル制度を導入する戦略コンサルティングファームは近年増加しており、背景として、独力で優秀な人材を定常的に確保(人材の流動性が激しいため、常に人材獲得はし続けなければなりません)しようとした場合の採用コストがかさんでしまう点や、採用後の人材の質のばらつきがある点(優秀だと思って採用したものの、なかなかワークできない欠点があった等)等が挙げられます。
リファラル制度を導入すると、戦略コンサルティング在籍者の紹介であれば転職エージェント経由よりも紹介コストを安くでき、かつ在籍者がある意味事前に紹介者の性格や能力をある程度掴んでいるため、採用後の人材の質のギャップを抑えられるメリットがあるからです。

但し、リファラルルートの方が、採用ハードルが極端に低いわけではなく、優秀な人材候補を選考プロセス(面接)に早く乗せるだけで、面接でしっかり吟味するため結果に大きな差は生じません。但し、リファラル制度の場合、紹介者の嗜好(どの様な業界でどの様な案件に携わりたいか等)を事前に収集しファーム内でマッチする・採用ニーズを有するチームのパートナーへ採用を託すことが多いので、面接時の採用判断は有利に働く事は否めません。

従って、志望する戦略コンサルティングファーム内に知り合いがいる場合は、リファラル制度を活用した方が無難です。採用プロセスを簡略化できるだけでなく、自身が希望する業界・案件を手掛けているチームにアプローチしやすいといったメリットがあります。

一方で、年収交渉などは自分自身で行う必要があり、知人のいる企業に直接声高な要求を通しにくいといった難点もあります。
年収については、相応のオファーが出ている他ファームと見比べた方がリスクが少ないため、リファラルメインでもエージェントから他ファームの情報を仕入れておくのがベストでしょうか。

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>戦略コンサルティングファームへのキャリアに関する記事

「戦略ファームの役員になれる」ITコンサル、「システム屋で終わる」ITコンサル
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/itconsultantst

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今回の記事では、未経験から戦略コンサルティングファームへの転職をお考えの方向けに、戦略コンサルティングファームの採用ステップ、また書類選考、筆記試験、面接(ケース面接含む)の対策方法についてお伝えしました。

戦略コンサルティングファームへの転職をお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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