一般的に入社・転職難易度が高いと言われている投資銀行ですが、外資系か日系かでも難易度にやや差があるようです。さらに合う・合わないもあるため、入りやすい企業、難しい企業は人それぞれ異なります。
この記事では、当社の独自調査に基づく難易度や選考フローおよび年収イメージについて紹介・解説していきます。
これから投資銀行業界にチャレンジしようと考えている人は、ぜひ参考になさってください。
【目次】
投資銀行の難易度・順位
投資銀行というと外資系金融機関の日本法人の他、日系証券会社にも投資銀行部門があります。形式上「総合職の一種」となっている場合もあるものの、新卒時点では部門別採用を行っていて、少なくとも当面は投資銀行業務に従事する仕組みになっている企業が多いです。
投資銀行はいずれも非常に難関ではありますが、おおまかな難易度の順位イメージは下記の通りです。
・米系大手(ゴールドマンサックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンなど)
・欧州系および米系その他(バークレイズ、UBS、ドイツ証券など)
・野村證券のIB部門
・その他大手4社のIB部門
年収水準も、各社や入社タイミング、日系の場合は残業時間によって差が出るものの、おおむねこの順序になると考えておいてよいでしょう。
外資系投資銀行の選考フロー
選考フローはおおむね外資系と日系で大きく異なります。外資系の場合はマーケット部門かM&Aなどを行う狭義のIB部門かでも異なる場合があります。まずは外資系の選考フローから見ていきましょう。
外資系の選考フローは大まかにまとめると下記のようになります。
・説明会
・筆記テスト
・面接
近年は面接回数が増加傾向にあり、パーソナリティなどの面でのマッチングを重視する投資銀行が増えています。なお、しばしば実施される選考フローについて列挙しましたが、一つの投資銀行で全てを行うとは限りません。
説明会
本選考に入る前に説明会のようなイベントが実施されるケースも多いです。
ほとんどの場合説明会が選考において重要な位置を占めることはないものの、社員と個別に相談ができたり、懇親会が開かれたりするイベントもあります。
その年の採用に関わる社員は固定されている会社が多いため、面接などでも同じ人が対応する可能性が高いです。
こうした場合は情報収集や社員とのコネクションを作るうえで役に立つでしょう。
筆記テスト
何らかの形でテストを課す企業が多いです。有価証券のトレーディングを扱う部署などでは数学や論理などの独自の筆記テストを課す場合などもあります。
その時には従来のテストのように、紙に記入したり、企業のPCでデータを打ち込んだりと、フォーマットはさまざまです。外資系投資銀行は採用人数が多くないため、かなりの倍率になる可能性があります。その場合はテストで相当人数が絞られる場合もあるので、充分に対策して臨みましょう。
面接
一概にフローが決まっている訳ではありませんが、面接についてはほぼ必ず実施されます。
採用を検討しているチームの中堅程度と面接するケースが多く、また複数回実施されます。多くの面接内容は、志望動機や強み・弱みなど一般的なものとあまり変わりません。
論理的思考力を問う質問がされたり、暗算を求められたりなどの事例もあります。また面接の途中で、突然英語で会話をさせられて、英語力をチェックされるなどのパターンも。ただし、これらはあくまでごく一部なので、まずは基本的な内容について説得力を持って受け答えできるようにしておくことが大切です。
なお、中途採用の面接では基本的にグループディスカッションが行われず、新卒では集団面接の一セクションとして実施されるケースがしばしば見られます。
日系投資銀行の選考フロー
日系の場合は下記の通りです。
・筆記テスト
・面接
・最終面接
投資銀行では日系でも人によってフローが変わる場合があります。多くの場合インターン経由・非経由で採用が大きく分かれています。
筆記テスト
外資系投資銀行の方が、通過ハードルが高い傾向があるため、外資系にチャレンジした人の場合はあまり苦戦せず通過したり、そもそも結果を流用できたりと、改めて受ける必要がない可能性が高いです。
面接
面接回数は企業や応募者数などによってさまざまですが、5回程度は実施されます。その間にも着々と人数が絞り込まれていきます。
新卒の場合、集団・個別のいずれかが行われ、内容は企業によっても回数によっても変わってきます。傾向としては初めの頃が集団、後半が個別というケースが多いですが、なかには最終面接まで全て集団面接だった事例もあります。
多くの面接は志望動機や強みなどを整理するオーソドックスなものですが、通常フローですとスキルセットを確認するタイミングが一切ないので、時折論理的思考力などを問うような小さなケース問題を問われることもあります。(ただし、どちらかというとレアケースです)
回を追うごとに面接官の年次が高くなる場合が多いです。
最終面接
最後は役員〜社長クラスの最終面接が行われます。一般の日系企業にもありがちですが、最終面接の段階ではかなり採用に近づいており、礼儀を守り適切な受け答えができれば通過率はかなり高い企業が多いです。
なお、1日のうちに最終段階の面接を2〜3回行うことで拘束時間を長くする企業もあります。その場合は役員→社長といったように後半の方が高ランクの人と面接をすることになります。
現代の5大日系投資銀行は、全てリテール証券会社と同じ会社のため、この段階にあるとリテール出身者と面接することも。リテール営業活動の付加価値に配慮して受け答えすることも意識しましょう。
外資系・日系投資銀行の年収水準は?
日系の証券会社の部門別採用は、雇用条件が大きく変化している状況です。足元は日系企業の賃上げが進んでいることもあり、実は若手の日系・外資系間の差が縮小しています。逆に差がつくのは30歳以降です。
未経験1年目の年収
最終学歴が学部卒だと、外資系の場合はゴールドマンサックスなど最上位クラスで1年目の年収(12ヶ月換算した場合)で900万円程度というところです。ある程度名の通った投資銀行で700〜800万円となります。なお院卒ではスタートが一つ上の役職「アソシエイト」になるため、スタートから1,000万円オーバーが見えてきます。
日系の場合、現代ではほとんど全ての企業が残業代+基本給という一般的な日系企業の給与体系となっています。ただし大和証券はみなし残業代30時間を含めて45万円で、30時間を超えた分も実額支給です。
また、日興証券は退職金を分割支給することで、初任給でも月額54万円超となっています。(いずれも2023年度の新卒採用)日興証券の方も残業代が含まれていると推測されますが、募集要項では「採用時に詳細を説明します」となっていて、明らかにされていません。
この辺りであれば、残業の度合いとボーナスの金額によっては700万円〜800万円程度まで年収が伸びる可能性が充分にあります。近年は新卒時点では外資系と日系の差がかなり縮まっているのが特徴です。
30歳までの年収
2年目以降の年収の伸びは外資系の方が早い傾向です。外資系では評価に応じて年々昇給しつつ、プロモーションすると一気に年収が上がる仕組みです。ゴールドマンサックスなど特に年収水準の高い企業は、アナリストでも後半(2〜3年目)あたりから1,000万円を超えてきます。
それ以外でも一つ上の役職にプロモーションすれば1,000万円越えとなります。3〜5年以内というところでしょう。日系の場合、役職名がついていても日系の総合職とバランスをとったテーブルになっているケースが多く、基本的に外資系ほど劇的には給与が上がっていきません。
ただし日興については例外で、以前のケースでは3年目ごろに投資銀行専門職としてのキャリアを選ぶと年収が高騰して、一気に1,000万円前後まで伸びる仕組みになっていました。2023年度の投資銀行採用者の給与パスがどうなっていくのかまだわからない部分がありますが、初任給の水準を見る限り、さらにハイペースで昇給していく可能性もあるでしょう。
なお「外資系に及ばない」といっても、ほとんどの投資銀行は20代後半〜30歳で1,000万円に到達するため、日本有数の高給取りとなることは間違いありません。
30代以降の年収
そもそも外資系の場合30代まで一貫してキャリアを築くこと自体が難しいものの、30代になれば年収は高く、かつ個人差が大きく広がります。最上級クラスのゴールドマンサックスなら30代前半のうちで5,000万円以上に到達するケースも。クビにならない範囲で平凡な水準でも、30代半ばごろまでに多くの投資銀行で2,000万円は超えます。
日系で見れば、30代以降の年収も日興証券が最も伸びやすく、やはり30代のうちに2,000万円越えは珍しくありません。また、総合職と同じ給与体系でありながら、野村證券でも成績次第では充分狙えます。
三菱やみずほなどでも、独自のプロフェッショナル採用に移行することでかなりの高年収が狙えますが、このあたりは少し水準が落ちて、トップクラスに匹敵するほど優秀であれば、30代で2,000万円に到達するといった具合です。
外資系・日系投資銀行のどちらも難易度は高いが魅力的な待遇
外資系も日系も投資銀行は難関職種の一つ。「日系でいい」と考えている人も、外資系からチャレンジしておくことがおすすめです。優秀さだけで決まる世界ではないので、意外に外資系で内定をもらえる場合もありますし、もらえなくとも日系の投資銀行を受ける良い訓練になります。
面接が重視される点において他業種と大きく差はありませんが、ライバルも多くが学歴、実スキルセットともに優秀なため、厳しい競争にさらされることになります。書類や面接の準備をしっかりと行い、万全な状態で選考に臨んでください。
外資系はもちろんですが、日系の投資銀行でも日本のビジネスパーソンとしてはトップクラスの高年収が狙えるため、チャレンジする価値があります。
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今回の記事では、投資銀行の難易度や選考フロー・年収について、外資系・日系の違いも踏まえてお伝えしました。
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