コンサルティングファーム、事業会社各社で”実行可能なDX”が叫ばれていることから、経営者の考える「ビジネス」とプロダクトである「システム」を繋ぐITアーキテクトのマーケットバリューが高まっております。
一方で、”ITアーキテクトからの”キャリアパスに関しては多種多様であり、それぞれに悩みや気を付けるべき点も異なってきます。
そこで今回は、直近ITアーキテクトの方からよくご相談いただく内容別に、転職・年収事例や企業選びにおける注意点などについてご紹介します。
【目次】
「サービス企画まで関わりたい」
ベンダーにおいてアーキテクト職として働きながら、クライアントの新規事業プロジェクトに関わったことから、サービスやプロダクト企画に関わりたいものの、
・現職には新領域に舵を切っていくほどの基盤や環境が少ない
・新領域にチャレンジする為のノウハウが分からない
・新しいことを学ぶ上でのロールモデルがいない
という悩みを抱える方が多い印象です。ご自身の現状持ち合わせる即戦的ITスキルを活かしながら、
・企画プロセスに関われる
・イノベーションを起こす為の新技術や新サービスに触れる機会を得たい
上記の志向に当てはまるという観点では、ベンチャー企業におけるプロダクトマネージャー、コンサルティングファームにおけるIT戦略ポジションがフィットするでしょうか。
特に、自らも手を動かし、サービスを実現してPDCAを回したい方はベンチャー企業がマッチするでしょうか。
直近では、サービスのグロースに課題感がある、ベンチャーとコンサルがコンペで競合する、という背景から「経営者への提案」などC-Levelとのビジネス経験もあるITアーキテクトのニーズが高く、数百万規模での年収アップでのオファー事例もあります。
(例)外資ベンダー(デジタル/IT戦略~アーキテクト)年収850万→AI系スタートアップ(プロジェクトマネージャー)年収1,100万円
一方で、大手ベンダーのアーキテクト職からベンチャー企業の企画ポジションに進まれた方の声として、
「スペシャリティのある優秀な人材が揃っているものの、ある意味「個人事業主」の集まり的なところもあり、ビジネス的に大きいことをしていくにはアーキテクトのスキルに固執するのではなく、戦略を描き組織を動かしていく経営やマネジメントスキルも求められる」
という声もございます。
また、コンサルティングファームに関しては、「様々なケーススタディに触れられる」「クライアント規模も大きく、大きな動きは絵を描ける」というメリットを語られる方が多いものの、
中には「プロダクトの結果まで追うことができないため、PDCAを回しにくい」といった声もございます。
手触り感のあるビジネス経験が積みたい方はベンチャー企業、ケーススタディを知りたい方はコンサルティングファームへのキャリアが最適でしょうか。
「経営者の意思決定に関与したい」
「業務課題の解決策の提案から関わりたい」というご志向を持つ場合、経営の上流から関われるコンサルティングファームを目指されるケースが多いです。
コンサルティングファームでも、直近ではテクノロジーベースで経営戦略を考えるIT戦略ポジションの採用が活況であり、同時に「実行可能な戦略」が求められているためビジネス面だけでなくシステム面を深く理解したアーキテクト職の方を積極的に採用しております。
さらにITアーキテクトからコンサルティングファームにおける転職のメリットは、「経営戦略の策定に関われる」点は勿論のこと、ファームにおけるIT人材のニーズの高まりから年収アップが見込める点も挙げられます。直近では200万円ほどの年収アップ事例もありました。
(例)28歳男性 大手日系事業会社(インハウスITアーキテクト)年収630万 →Big4系ファーム 年収800万
一方で、大手ファームに転職された方の中には、「経営者へ直接提案する機会が欲しかったが、組織規模が大きいため距離が取りにくい」という声もあります。
クライアントへの提案活動にどの程度関われるかはファーム毎、またファームのタイトル毎によっても異なるため、組織の情報について事前にファーム内にいる知人に相談する、業界に詳しいエージェントに相談するなどの挙動が必要でしょうか。
「領域を限定せず、あらゆるスキルを磨いていきたい」
特に”大手”ベンダーのアーキテクト職の方からは、
・「管理職へのプロモーション目前だが、昇格するとマネジメントやセリングを任され、ビジネス面にスキルが偏ってしまうのを危惧している」
・「一つのITソリューションしか知らないため、領域を広げたい」
というご相談もよく頂きます。
その場合、候補となるのがあらゆるソリューションから最適なITツールを選択するコンサルティングファーム。その中でも、大手ファームのスペシャリスト職。またはベンチャーファームのITコンサルポジションが挙げられるでしょうか。
ファームの”スペシャリスト”ポジションはITソリューションに関するアドバイザリー的な側面も大きく、同領域に関する本を執筆することが成績に繋がったりと、プロモーションしてもセリングだけでなくソリューションスキルを磨ける点が特徴です。
年収に関しては、外資ベンダーからの転職では同程度、一方で日系ベンダーからの転職では年収アップされる方も多い印象です。
(例)日系ベンダー(AIソリューションのアーキテクト~PM)年収650万円→外資系ファーム スペシャリスト職 年収730万円
また、IT系ベンチャーファームでは組織の人数が少ないためコンサルからアーキテクト、PMまで担当するケースが多いです。関われるフェーズの幅が広い点がメリットでしょうか。
外資系SIベンダーからIT系ベンチャーファームへの転職においても、マーケットバリューの高いAI、クラウドやセキュリティ領域の経験をアピールして年収を上げて転職されるケースがあります。
(例)29歳男性 外資系ベンダー(AI領域におけるアジャイル開発のアーキテクト構築経験など)年収630万円→大手IT系ベンチャーファーム 年収750万
一方で、ベンチャーファームでは管理職に昇格した場合、組織規模からセリング、アーキテクト、PMと役割の幅も広がるケースが多く、「デリバリーに加え、売り上げ目標も1億円持っており、一人では大変。」という声もございます。
セリングやオファリング経験は経営面のスキルも磨かれるため起業を目指す方にとってはメリットも多いためご自身のご志向次第でしょうか。
「CTOへのキャリアを歩みたい」
ITアーキテクト職の中でも、管理職や提案フェーズに関わった方からは、「CxOと渡り合った経験から、自分自身もゆくゆくは同じ道へ進みたい」という声も多く頂きます。特に、技術面でのカウンターパートとなるCTOへのキャリアを考えている方が多い印象です。
CTOへのキャリアパスとしては、創業期やスタートアップ時期にリードエンジニアやエンジニアマネージャーとして入社し、その後CTOポジション設立のタイミングで昇格するパターンでしょうか。一方で、アーキテクトからITコンサルなどを経てCTOに抜擢されるケースは、友人と起業すると同時にCTOに就任、といったパターン以外稀なのが実情です。
弊社の実例としては、
(1)40代後半女性 大手外資ベンダー(アジア地区の役員、アウトソーシングビジネス、提案活動から導入デリバリー)年収3,000万円→マーケティングリサーチ企業(CTO)年収3,500万円
(2)30代後半男性:GAFAにてアーキテクトチームのマネージャーを経験(チームリードからソリューションのセリングまで経験)年収1,900万円→Tech系ベンチャーへリードエンジニアとして入社、その後CTOに就任(アプリケーション開発~インフラ設計、エンジニア採用活動まで)年収2,000万円
などがあります。
特に、アーキテクト職からのキャリア事例が多い”CTO”として事業会社に入社する場合には、一般的にCTOに必要とされるチームマネジメント経験(採用~育成も含む)、幅広いITソリューションのナレッジ・導入経験等だけでなく、「その企業に導入されている、または検討しているインフラの知識を有しているかどうか」という点も重要なようです。
(例)AWSのソリューションアーキテクト(管理職)→インフラとしてAWSを導入しているベンチャー企業のCTO
そのため、CTOを目指す際には、
・ソリューションの幅を広げる
・自分が得意なソリューションを導入している企業に入社する
などの対策や、下調べも求められるでしょうか。
<ITアーキテクトのキャリアに関する記事>
AWSソリューションアーキテクト資格を取得したエンジニアのキャリアパス【転職事例含む】
ITアーキテクトの需要(ニーズ)と職位毎の仕事内容・求められるスキルについて
「ITアーキテクト」と「ITコンサルタント」の違い【年収~スキル・経験~キャリアパスまで】
=================
今回の記事では、”ITアーキテクト”のキャリアパスについてご紹介しました。
“ITアーキテクト”のキャリアパスについてさらに詳細を知りたい方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。
アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。
各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。