DX・IT化が各企業で急務なことから、事業会社の経営企画室ではデジタルやITのケイパビリティを持つITコンサルタントの採用が加速しています。
一方で、ITコンサルタントから事業会社・経営企画へ転職後、ITコンサルタントとして培ったスキルの中でも活かせるものと、入社後キャッチアップが必要なものの両方が存在します。
語学力などのコンサルタントに限らない汎用的なスキルは除き、特にITコンサルとしてのスキル・経験においてどのようなものが役に立つか、またはITコンサルタントであるがゆえに経験を積む機会の少なかったスキル、不足しがちな経験について、実際にコンサルティングファームから事業会社へ転職された方の意見なども参考にご紹介いたします。
【目次】
- 活かせるスキル①IT戦略を踏まえた計画化スキル
- 活かせるスキル②データ中心の考え方
- 財務モデル作成においては、「LBOモデル」作成のキャッチアップが必要
- キャッチアップが必要なスキル・経験①経理・財務関連の計画化スキル
- キャッチアップが必要なスキル②コミュニケーションスキル
- キャッチアップが必要なスキル③新規事業開発・営業経験
- (参考)元コンサルタントとして活かせるスキル①ロジカルシンキング
- (参考)元コンサルタントとして活かせるスキル②分析スキル
- (参考)元コンサルタントとして活かせるスキル③プレゼンテーションスキル
活かせるスキル①IT戦略を踏まえた計画化スキル
ITコンサルタントとして経験する業務の一つに、IT戦略策定があります。
このIT戦略策定でポイントとなるのは、経営目標および事業戦略を達成するためにどのようなIT導入・活用を実施するべきかを計画する、という点になります。具体的なアウトプットとしてはIT戦略やIT中期計画といった経営計画の一部となるものを作成することとなりますが、そのためには経営目標と事業戦略そのものを十分に理解する必要があります。これらを踏まえたうえでのIT戦略策定はITコンサルであるからこそ多く経験できることと言えます。
この経験は、「経営目標の達成と事業戦略の最適化の両面を実現できるIT戦略を策定することができる」「最適化されたIT戦略にもとづいた経営計画・事業戦略を策定することができる」という2点で活用ができます。
活かせるスキル②データ中心の考え方
企画・計画化を行うにあたりデータ主導の意思決定は非常に重要です。経営層への計画プレゼンの際のロジカルな理由付けのために必要である点はもちろんのこと、インプットとなるデータやリソースの種類と量が膨大となった昨今、その重要性は特に増しています。
ITコンサルタントとしてデータ解析基盤導入、BIツール導入などのプロジェクトを経験しているのであれば、データドリブン(データ中心)の重要性や知識についても十分有しており、それをもとにしたアウトプットの作成および意思決定の重要性などを経営層に向けてプレゼンテーションする、といった動きが可能となります。
活かせるスキル③特定領域におけるビジネス・システム両面での十分な知識
ITコンサルタントは、ビジネルの特定領域におけるシステム導入を担当することも多いです。
単なる一システムに関する知識はそれほど経営企画職で活かせることは少ないのですが、システム導入に当たってシステム・テクノロジーに関するスキルや経験だけでなく、ビジネス面での知識を得た場合は例外となります。特にビジネスの根幹となる業務に関連したシステム導入を行った場合は、将来的なビジネス・テクノロジー環境の変化に対してどのようなアプローチを取るべきかなどの示唆を経営層に与えることができるためです。
このようなプロジェクトを経験しているITコンサルタントであれば、ビジネス・システム両面での十分な知識を得ることができ、先に述べた経営目標・事業戦略に対して、ビジネス・システム両面でのアプローチや検討が可能となります。
中でもBPR(Business Process Re-engineering)やBPO(Business Process Outsourcing)といったプロジェクトを経験している場合は、特定領域だけでなく社内の業務・ビジネスに対して横断的に深い知識を得ることができるようになります。
キャッチアップが必要なスキル・経験①経理・財務関連の計画化スキル
先にも述べましたが、ITコンサルタントはIT戦略やIT中期計画策定といった計画化業務に携わる機会は多いため、計画化スキルそのものはある程度のレベルを保持しています。
一方で、経理・財務に関するスキル獲得機会はそこまで多くないため、経理・財務に特化したデータ分析や予算編成・管理・計画化といった作業と、それらの作業結果をインプットとした財務計画化策定業務についてはスムーズに実施できない可能性があります。
戦略・経営コンサルタントであれば、BS(貸借対照表)/PL(損益計算書)といったスキルについても十分に保持しており、これらの業務も問題なく実施できる場合がありますが、ITコンサルタントはこの点が不足しがちになるため、多くのキャッチアップが必要になりがちです。
キャッチアップが必要なスキル②コミュニケーションスキル
ITコンサルタントは、プロジェクトメンバー間およびプロジェクトに関連したマネジメント層とのコミュニケーションスキルは問題ないレベルで保持しています。
ITコンサルタントであるが故に、コミュニケーション対象のステークホルダーがシステムに関連した部署(情報システム部門やシステム利用部署など)に限られることが多いです。これによる特定領域の知識不足のため、経営計画策定における各部署へのリサーチやヒアリング、分析という業務についてはスムーズに実施できない可能性があります。
ただし、BPRやBPOといったプロジェクトを経験している場合は特定領域の業務知識を十分に有している可能性があります。この場合は特定領域の知識不足という問題はないため、コンサルタントとして基本的に培ったコミュニケーションスキルを活かしてスムーズな業務実施が可能になることがあります。
キャッチアップが必要なスキル③新規事業開発・営業経験
テクノロジーやシステムをあまり介さない新規事業開発や営業分野の業務スキル・知識は特にITコンサルタントでは不足しがちになるため、キャリアチェンジ時に最もキャッチアップコストをかける必要のある領域となります。
具体的には、エンドユーザー(顧客)や新規事業開発に伴う社内外の関係者と接する経験から得られる、経営環境への感度の高さやマーケティングに関する知識が特に不足しがちになります。
先に述べたコミュニケーションスキルのキャッチアップと合わせて、このような営業領域における知識・経験不足を補うことはキャリアチェンジ時にまず優先して行うべきことと言えます。
(参考)元コンサルタントとして活かせるスキル①ロジカルシンキング
社内外で保持しているデータやリソースをもとにした正しい分析を行い、一定の示唆(アウトプット)を出すための基本的なスキルとして、ロジカルシンキングは必須となります。経営企画職として行う業務すべてに関連するスキルのため、コンサルタントが保有しているスキルの中でも最も重要なものであると言えます。
コンサルタントとしてロジカルシンキングはキャリアの初期で習得するものですが、このスキルは経営企画職でも存分に活用できます。
(参考)元コンサルタントとして活かせるスキル②分析スキル
先に述べた「社内外で保持しているデータやリソースをもとにした正しい分析」を行うためのスキルとなります。
コンサルタントはアウトプット作成のために様々な分析手法を習得しているため、経営企画職でも存分に活用できます。
また、会社によってはTableauなどのBIツールを導入しているところもありますが、このようなツールを活用した分析スキルは経営企画畑の社員があまり得意としていないことが多いため、比較的コンサルタントが差別化した価値を発揮しやすい領域と言えます。
(参考)元コンサルタントとして活かせるスキル③プレゼンテーションスキル
経営戦略や施策方針、企画を経営層や社内全体に向けて発信することも経営企画として求められるスキルとなります。
特に前者の経営層に向けた情報発信、プレゼンテーションスキルはコンサルタントとして十分な経験を積んで習得しているものになるため、経営企画職でも存分に活用できます。
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>ITコンサルのキャリアに関する記事
“システム企画”に活かせる「資格」とその具体的な使い方
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コンサルタントとしての基本的なスキルやITコンサルタントとしてのシステム関連の計画・ビジネススキルは経営企画でのキャリアに役立つと言える一方で、非システム関連のスキル、特に経理・財務・営業関連スキルは多くのキャッチアップが必要になる可能性があります。
他の経営企画畑の社員では価値を出しづらいシステム・テクノロジー領域で価値を出しつつ、いかに早く非システム関連のスキルをキャッチアップするかを常に意識することが重要となります。
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