ITコンサルに必要なスキルの中には、SEとしての実務経験で既に身につけているものもあります。コンピューターや関連機器、ソフトウェア、通信、セキュリティなどの技術についての基本的知識以外にも、
・PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)に代表されるプロジェクト管理手法
・IT導入に係るドキュメンテーション技法
・業務プロセスやデータのモデリング技法
などが挙げられます。
また、クラウドや業務パッケージソフトの導入案件では、ITコンサルがクラウド運営事業者やパッケージソフトの開発元と交渉することが頻繁にあり、こうした時にも技術の知識が役立ちます。
さらに、SEとして担当していた業界、業務についての知識も、ITコンサルとして同じ領域のプロジェクトに携わった時に使えます。
今回の記事では、これらに加え、組織の一員としてのふるまい方、ドキュメンテーションとプレゼンテーションの基本スキル、論理的思考スキルが備わっている前提で、SEからITコンサルに転職した人が、1年目から活躍するために、新たに必要となるスキル等をご紹介します。
【目次】
経営を支点にした考え方~経営用語・理論
ITコンサルの仕事としてイメージされるのが、専門知識をもって顧客にアドバイスしたり、パワーポイントで作った見栄えのする資料を投影しながら顧客の経営層にプレゼンしたりする仕事でしょうか。しかし、実際にITコンサル転職後の1年目で行う仕事は、
・顧客へのヒアリングでの議事録作成
・顧客が採用候補に挙げている新技術、ソフトウェアプロダクトなどのリサーチ
・顧客が保有する既存ITシステムに係るドキュメントの分析
・顧客が導入したソフトウェアプロダクトの製品検証やデータ移行作業
といった地道な仕事が多いです。
SIerでPMでもコンサルティングファームに転職するとコンサルタント、シニアコンサルタントというメンバークラスのタイトルであり、ここで着実に成果を出せないと、その後のタイトルやプロモーションはまず見えてこないのが実情です。
こういったタスクを通して、1年目のITコンサルの方が痛感しやすいのが経営管理スキルの不足でしょうか。
ご存知の通り、ITコンサルは、顧客の抱える経営課題をITによって解決するのがミッションです。第一歩は経営課題を聞き出し、その原因とともに言語化することですが、当然ながら基本的な経営管理用語や、背景にある理論が必要となります。例えば、そのスキルや知識が不足していると、顧客の経営層が語る内容の重要度の重み付けができないため、先ほど挙げた基礎的な業務である「議事録の作成」に支障をきたしがちです。
よくあるケースが、その結果、議事録は抜けだらけになり、速記録のような読みにくいものになってしまうパターンです。次のアサインにも決定的なマイナスになるため、経営管理用語や経営理論に関しては転職してすぐに学ぶ必要があります。
また、「結論から話す」「数字で語る」といったことは、コンサルタントのビジネススキルとして喧伝されていますが、これらに加えてSE出身のITコンサルとして気をつけるべきなのは、ITではなく経営や業務を主語にする考え方・言動が挙げられます。
例えば、「XXXシステムはこんな機能があります」という話し方はSEの方によく見られますが、ITコンサルとして必要なのは「XXXシステムの・・・機能によって・・・が解決できます」といった考え方です。
自分の時間単価への意識
ITコンサル1年目に身に付けておきたいマインドセットについてもお伝えします。
一つ目は、自らの時間単価を常に意識することです。SEは人月ベースで顧客に料金を請求することが多く、請負契約の場合もある一方で、ITコンサルの場合、時間あたりの単価に時間数をかけた額が顧客に請求されるケースが大半です。たとえれば、顧客の目には、一人のITコンサルが「1時間あたりXX,XXX円」という値札をぶら下げているように見えるとも言えます。また、請求書にはITコンサルごとの稼働時間が表示されるため、そのITコンサルが出した成果が明確に見比べられます。
そして、一般的にITコンサルはSEよりも時間あたりの単価が高く、顧客の期待水準は高くなりがちです。顧客にしてみれば、ITコンサルはITに関して自分たちより多くを知っていて当然であり、顧客との会話で未知の用語が出てきても、ITコンサルは「それは知りません」と口にできないプレッシャーを常に受けます。
二つ目は、成果を出せばよいのではなく、「あらかじめ決められた時間内で成果を出す」という心がけです。決められた時間とは、顧客への見積書や請求書に明記されるITコンサルごとの稼働時間です。一方で、ITコンサルは勤務先(コンサル会社など)に労務管理上の稼働時間を報告しなければなりません。成果を出すのに実際に要した時間です。この時間が請求書上の時間を大幅に上回ると、ITコンサルは勤務先からマイナス評価を受けます。
三つ目は、素早く学び続けることです。ITコンサルでは、経営課題の解決が先にあるため、それを達成するための最新の技術、新たに発売されたパッケージソフト、顧客が属する業界のトレンドなどを常に知っておく必要があります。
顧客の社員との違いがわかるふるまい方
先ほどお伝えしたように、ITコンサルが参画するプロジェクトでは、ITコンサルごとに経歴とスキルが単価とともに顧客に明示されます。チームとして成果を出すことが求められたとしても、顧客は単価に見合った成果を出せるか、ITコンサル一人ごとに厳しい目を向けます。
ITシステムという目に見える成果物があるSEと異なり、ITコンサルにとっては、提出する報告書だけではなく、顧客の前での一挙手一投足が成果物と言ってもよいでしょうか。
例えば、ITコンサルが1年目に行う、議事録作成や技術のリサーチのような地道な作業は、顧客の目には、自社の社員でもできそうに映ることがあります。自社の社員よりはるかに高い単価を1年目のITコンサルに払うことに疑問を持たれるというケースもよくあります。
そこで、ITコンサルには、顧客の社員との違いがわかるふるまい方が必要となります。具体的には、顧客より高い視点で物事を捉え、課題を俯瞰的に把握し、日頃の顧客との会話の中で示す必要があります。例えば、顧客の業務フロー改善に向けてのヒアリングのまとめを報告する場合であれば、個々の業務フローについて語る前に、会社全体におけるその業務の位置づけ、他の業務との関連付け、その業務のコストの全社に占める割合などを話すことで、自分の担当業務に視野が限定されがちな顧客の社員とは違うということを示すといった挙動が必要になります。
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>ITコンサルタントへのキャリアに関する記事
SEとITコンサルが言う『上流工程』の違いと特色
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/se_cous/02.html
SEの転職先としてのコンサルティングファーム
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2018/0227/se_cous.html
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今回は、ITコンサルへ転職後”1年目”に必要なスキル・経験についてご紹介しました。
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