マネージャーが「30代コンサル未経験者」の早期立ち上げのためにすべきこと

コンサルティング業界への人気が高まり、様々なバックグランドの方からこの業界への転職に関するご相談をいただくケースが増えてきました。新卒はもちろん、第二新卒枠も盛んな一方、30代からチャレンジされるケースも増えております。
30代業界未経験で入社されるコンサルタントは、求められるスキルやスタイルが他業界とは異なる一方で年齢という側面から素早いキャッチアップが必要です。
さらに、これまでに培った経験・スキルを持っていることが大きな武器となります。

30代未経験者が活躍できるかはマネージャーにかかっています。
では、マネージャーはどのようなことを意識して、30代未経験のコンサルタントをマネジメントすべきなのでしょうか。今回の記事では、育成の上手なマネージャーに共通する主なポイントを、実際の声も参考にご紹介します。

【目次】

  1. 未経験でも活躍できるような仕事のルールを定める
  2. 30代コンサル未経験者の優れているポイントを活かす
  3. 早期キャッチアップを促進する

未経験でも活躍できるような仕事のルールを定める

プロジェクトワークを進める上で、優秀なコンサルタントがアサインされれば、マネージャーは非常に助かります。なぜならば、大まかな指示でタスクをどんどん主体的に進めてくれるためです。それを定期的または必要に応じてレビューして品質を担保し、方向性をすり合わせていけば、プロジェクトはそのコンサルタント主体で進められます。
一方、未経験者の場合、うまくはいきません。これまでの会社で培った仕事の仕方、スピード感、品質レベル等が、コンサルタントが行うそれと同じレベルかはわかりませんので、大まかな指示では品質や進捗が担保できるか不確かです。

しかし、30代ともなると、一定の自信やプライドを持っているケースが多いですし、コンサルティング業界へ転職する際にアピール材料としてきたような、大きな実績等を持っているケースもあります。そのため、マイクロマネジメントをすることは相手には辛いケースがあります。では、どうすればよいのでしょうか。

答えの一例としては、仕事および成果物作成時のルールをきっちりと定めることが挙げられます。作業依頼の前にルールを定め、一度作業を任せてからは、それに沿ってレビューするというプロセスを作ります。そうすれば、ルールに沿ってしっかり作業ができているか、とても明確かつ相手の自信やプライドも傷つけることのないレビューが可能となります。
例えば、業務改革プロジェクトの中で、現状業務の分析を行うとしましょう。業務フローを書き起こして業務整理を行うことが多いですが、業務フローを作成するためのルールとサンプルをマネージャーが事前にまとめ、それをベースに未経験者に作成してもらうのです。業務フローの縦軸/横軸には何をどの粒度で行うのか記載し、各業務の記し方もすべて凡例をつけた作成ガイドラインを作ります。あとは、担当スコープと期限について合意し、仕事を任せることで、作業は効率よく進むはずですし、仮に作業がうまく回っていない場合にも、レビューが大変しやすい状況を作ることができます。

このように、誰が担当しても一定のクオリティが担保でき、かつ軌道修正がしやすいルールを作ることで、30代未経験者であっても作業をうまく任せることができ、プロジェクトが生産的に進む可能性が高まります。

30代コンサル未経験者の優れているポイントを活かす

30代ともなれば一定の社会人経験を積んでいることが多いです。そのため、その人のキャリアの中でいくつか特色として挙げられるものがあるはずです。コンサルティング業界へ転職しても、それらをまずは軸として、プロジェクトで成果を挙げていくことがスムーズな立ち上がりに繋がります。プロジェクトで成果を挙げられなければ、その人のファーム内での評価は下がってしまうため、マネージャーはうまくプロジェクト内で活躍できるよう、その人の特色を見極め、活かす必要があります。

業界知識を活かす

30代コンサル未経験者でも、転職までに培ったキャリアの中で、どこかの業界に属して仕事をしてきています。そのため、実際に経験してきた業界については、コンサルタントが本やレポート等でキャッチアップするよりも、具体的で生々しい情報を知っているはずです。構造的な理解ができていればベストですが、そうでなくとも、マネージャーがうまく質問し情報を引き出して、クライアントの課題特定や打ち手の仮説構築に役立てることが必要です。

専門スキルを活かす

上記同様、転職までに担当した職種によって培ったスキルを持っているはずです。そのスキルが活かせる役割をプロジェクトで担当してもらうよう、アサインします
例えば、エンジニアの方であれば、プロジェクトによって専門性を最大限に活かすことが可能です。まずは自分の特性に合うエンジニアリング系のプロジェクトにアサインされ、専門性を発揮して成果物を作成しつつ、コンサルタントとしての基礎スキルを学んでいくことができます。また、リサーチ・資料作成系に長けている人も非常にスキルを活かしやすいです。主にマーケティング経験者、経営企画経験者に見られる傾向ですが、このスキルを持っている場合だと汎用性が高く、プロジェクトの成果物作成に貢献してもらいやすいです。

高いビジネス基礎スキル

新卒や第二新卒とは異なり、一定の経験を積んできているのが30代未経験者の特長でもあります。そのため、上記のようなプロジェクトに直結する専門知識やスキルがなくても、汎用スキルが大変高い場合もあります。議論のファシリテーション、プレゼンテーション、ロジ周りの調整、クライアントとの折衝・リレーション構築、Microsoft Officeの基本操作等、これらが上手であれば、プロジェクトの主となる成果物作成には届かなくても、十分にクライアントやプロジェクトメンバーから喜ばれるような仕事ができます。
例えば、営業担当者であれば、対人コミュニケーションが優れていることが多いです。特に銀行の法人融資経験者であれば、非常に丁寧なクライアントコミュニケーションを身に着けているケースもあります。そのため、現場の実行支援系のプロジェクトでは、クライアントとの折衝やベンダーコントロールを任せられることが多々あるのです。

上記はあくまで一例ですが、マネージャーが30代未経験者のプロジェクトアサイン、またはアサインされてからのプロジェクト内でのポジション配置を検討する際には、これまでにどのような強みを培ってきたのか、そこから1つでもしっかりと活かせるものを見つけることを強くおすすめします。
そうすることで、30代未経験のメンバーはプロジェクト内での自分の居場所が見つけられ、心理的安全性を保ちつつ、コンサルタントとしての仕事を覚えていくことができます。

早期キャッチアップを促進する

前述のように、30代未経験者が力を発揮する役割をアサインし、居場所を作ることが大きな方法の1つですが、実際にコンサルタントの仕事の仕方を覚えてもらうためにも直接アドバイスをすることが必要です。
アドバイスをする際には、主にどのようなポイントに気を付けるべきかを紹介します。

期待値を明確にする

こちらは30代未経験者に限った話ではなく、誰にも共通した話ではあると思うのですが、まずはプロジェクト終了までの長期的なゴールおよび足元の短期的なゴールは何かをお互いに設定します。

  • 今はどのような状態で、このプロジェクトを通して何がどれだけ達成できている状態を目指すのか
  • その達成に向けて、どのようなワークを担当していくのか
  • そのワークについて、直近では何を、いつまでに、どのようにして仕上げていくのか

主にこれらの観点で、最初にすり合わせを行います。

手本を示す

最初のプロジェクトですので、まずは自ら手を動かして成果物を作成することを担当してもらうことが多いです。
そのため、上記の期待値についても主に作業レベルの引き上げに関する話になることになります。その際、やはり30代未経験者の場合には前職までの経験が基準値として頭に強く残っていることが多いため、面談等を通してすり合わせを行っても、作業に着手するとズレが生じてしまうことがあります。
それを防ぐためにも、手本となるサンプル資料(アウトプットイメージ)を事前に見せる、類似作業もしくは作業の初動を一緒に行いスピード感や方法を示す等でコンサルタントがどのようなレベルで作業をこなすのかを具体的に理解してもらうステップを挟みます(対新卒のような見せ方になってしまいがちですので、そこは口頭等でフォローします)。
そうすることで、相手もイメージが湧き、自分の作業レベルの基準値を上げることができるようになります。

アドバイスは、自分だったらこうするスタイル

成果物のレビューや相手が相談してきた際に気を付けるべきことは、相手を高圧的に詰めたり、上から目線で伝えたりしないことです。相手は一定のビジネス経験をしてきており、コンサルティング業界に転職する上でアピールしてきた優れた実績を持っているケースが多く、自信やプライドを持っていることもあります。それを傷つけてしまってはお互いに良いことはありません。
そのため、アドバイスする際には頭ごなしに強く伝えることは避け、自分だったらこうするというスタイルで伝えることで、相手のことは傷つけず、相手に足りていないことや今後の道筋を示すことができます

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>マネージャーへのキャリアに関する記事

コンサルのマネージャーで「育成」に成功/失敗している方々の共通点
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consulmanager_trainingsuccess

何が違う?コンサルで「マネージャー昇格後」も「継続的に活躍する人」の共通点
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consul_difference

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コンサルティング業界では採用を積極的に行っており、30代未経験者がプロジェクトメンバーとなることは珍しくありません。一定の経験・実績を持っているため、アサインやコントロールの仕方次第では大いに力を発揮してもらえます。メンバーの特長を見極め、しっかり育成推進ができるよう、今回の記事が参考になれば幸いです。


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