“Oracle Master(オラクルマスター)”資格の価値・取得後のキャリア

IT業界における資格試験は、主に情報処理技術者試験に代表される国家資格と、コンピュータやソフトウェア、ネットワーク機器などIT製品を製造・販売するメーカが自社の製品の知識やスキルを認定するためのベンダー資格に分かれます。

ベンダー資格の中で比較的知名度が高いのは、データベース製品の中でシェアNo.1のOracle社が認定するOracle Master(オラクルマスター)資格でしょうか。エンジニアの方からもよく「Oracle Master資格の価値について教えて欲しい」「どの程度のレベルまで取得すればよいのか」といったご質問をよくいただきます。

今回の記事では、Oracle Master資格の概要、SlerにおけるOracle Master資格の価値、そして活用例について、実際に取得された方の声なども参考にお伝えします。

【目次】

  1. Oracle Masterは、データベースに関わる業務への汎用性が高い
  2. Oracle Masterは、開発におけるSQL使用者、データベース運用者向けの資格
  3. 「開発・運用業務で利用するのであれば、Goldまでの知識があれば十分」という意見が多い
  4. ITコンサル、監査法人へのキャリアにも繋がる資格
  5. (参考)Oracle Masterの概要(試験内容など)

Oracle Masterは、データベースに関わる業務への汎用性が高い

まずは、純粋にSIerにおけるシステム開発業務にて活用することが挙げられます。ご存じの通り、業務系システムでは、データベース製品の利用は必須であり、開発プロジェクトにおいてOracle社のデータベースが選定されるケースは非常に多いです。

また、Oracleデータベースはデファクトスタンダードともいえるシェアがあることから、ある意味RDBMSの基準として扱われています。もしOracle以外のデータベースを使う場合であっても、Oracleデータベースと比較してどのような特性があるか、ということを意識して開発作業を進めていくケースが多いです。

Oracle Master資格は、RDBMSの基礎・SQLの知識も得ることができるため、データベースを利用するアプリケーションでは必ず役に立ちます。そのため、「Oracle以外のデータベースが使われる場合であっても、資格取得で得た知識を役立てることができる」と言えます。プログラマ、システムエンジニア、システムアーキテクトなど、システム開発に関わる大体の職種・業務に関係してくる資格だと言えます。

特に、SIerの仕事の中でも官公庁案件などでは、入札条件にOracle Master資格保持者数が指定されているケースも目にします。他ベンダー資格と比べると、資格取得による知識・スキルが役に立つだけではなく、純粋に資格保持者そのものにニーズがあるのもOracle Master資格の特徴でしょうか。

Oracle Masterは、開発におけるSQL使用者、データベース運用者向けの資格

Oracle Master資格の試験では、Blonze、Silverではデータベース基礎やSQLなど、開発業務においてデータベースを使ったり、プログラム内にSQL文を埋め込んだりする際に役に立つ知識が問われます。

さらにGold、Platinumレベルでは、パフォーマンスチューニングやトラブルシューティングなど、DBA(データベースアドミニストレータ)寄りの知識が問われます。

そのため、あえて範囲を指定するとすれば、Oracle Master資格は、

・開発業務において、プログラミングを行う中でSQLを使ったり、データベースを直接操作する人
・運用業務において、データベースの運用(バックアップ・リストアや、障害発生時の解析、性能劣化時の原因分析)を行う人

向けの資格ということが言えそうです。

なお、ご存じの通り開発業務、特に新規システムの構築では、データモデリング(データベースのテーブル構造を設計する)を行う必要があります。

テーブルの正規化などの論理設計や、正規化くずしや物理データ配置など物理設計を行う知識については、DA(データアドミニストレータ)が担いますが、Oracle Master資格の試験ではそれらの知識は問われることは滅多にありません。

・データベーススペシャリスト(情報処理技術者試験)=DA(データアドミニストレータ)向け
・Oracle Master資格=DBA(データベースアドミニストレータ)向け

であることは認識しておいた方が良いでしょう。

また、DA(データベースアドミニストレータ)は、データベース設計をイチから行う新規システムの構築時に必要とされますが、新規システムの構築は、そんなに頻繁に行われることでは少なく、実際には、既存システムの改修を行う保守開発や、既にサービスインしているシステムの運用業務を行うケースの方が多いと思われます。

Oracleデータベースを使用しているシステムに関わる業務を行なっているエンジニアにとっては、Oracle Master資格はすぐに業務で役立てることができるため、「データベーススペシャリストとどちらを先に取得するか迷っている人には、Oracle Master資格をおすすめする」というエンジニアの声が多い印象です。

「開発・運用業務で利用するのであれば、Goldまでの知識があれば十分」という意見が多い

Oracle Master資格は、エンジニアの間でも比較的人気の高い資格であり、最上位レベルのPlatinumまで取得していると、ほぼ「データベースの専門家」と言っても良いレベルです。

しかし、Platinumまで取得するには非常に多額の費用がかかります。Platinum試験だけでも、受験費用で20万以上、受験の前提となる研修費用で50万円近くかかります。Blonzeからすべての資格に合格し、必要な研修を受講すると合わせて100万円近くの費用がかかります。

ある意味、個人が自身のスキルアップのために取得する資格の範疇を超えていると言えます。そのため、Platinumまで取得されている方のほとんどが会社の補助を受けている印象です。

また、実際には、「開発もしくは運用業務で利用するのであれば、Goldまでの知識があれば十分対応できる」という意見が多いです。

過去には、最下位のBronzeを取得するにも2つの試験に合格しなければならず、Bronzeに合格しなければSilverの受験資格は得られなかった時もありました。さらに、Gold取得にはSilver合格に加えて、1試験合格プラス、オラクル社指定の研修をひとつ受講する必要もありました。

そのため、Goldまで取得するのに総額30万〜40万円近くの費用がかかっていたのですが、2020年に試験体系が変更され、Blonzeを飛ばしてSilverから受験できるようになった上、Goldでの研修受講が不要になりました。

情報処理技術者試験と比べると費用はかかりますが、Goldまでであれば個人でも十分取得可能な範囲と言えそうです。

通常の業務でOracleデータベースを使っている程度であれば、まずはSilver、そして最高でもGoldまで目指せれば十分でしょうか。

ITコンサル、監査法人へのキャリアにも繋がる資格

Gold、Platinumなど上位のレベルに合格されると、「データベース専門家」としてのキャリアパスも視野に入ってきます。

例えば、業務系システムの中でも規模の大きなプロジェクトや、シビアなレスポンスが求められるシステムについては、本格的に開発をはじめる前にPoCを実施し、事前に懸念事項などをあぶり出す場合があります。そのような場面でデータベースの専門家として、ログやアーキテクチャ構成からシステム性能を検証したり、助言を行う立場へのキャリアアップも可能です。

他にも、既にサービスインしているシステムに対して、大幅な性能劣化や大規模な障害が発生した場合、保守を担当しているチームでは解決しきれない、などというケースもあります。そのような深刻な障害の際には、バックヤードにいる専門部隊に助けを求める場面もあります。それら障害原因の解析を行なったり、解決に向けてパフォーマンスチューニングを行なう際にも、学習した知識が活かせるという意見をよくお聞きします。

開発プロジェクト全般に関わるというよりも、どちらかと言えばコンサルタントに近い立ち位置になりますが、研究部門などが存在する大手SIerやシンクタンク、またIT系コンサルティングファームや、監査法人のデータ分析・IT監査チームなどでは非常にニーズの高い資格です。

Big4系監査法人におけるデータ分析チームの応募要件:

■資格
・下記資格があれば尚可
– 情報処理技術者試験(データベーススペシャリスト)合格
– MCITP:Database Administrator/Developer
– Oracle Master (Silver/Gold)
– DB2 Certified Database Associate (DB2、Cognos, SPSS等)
– SAS Base Programmer

■大手SIerにおけるソリューション研究チーム(エンジニア)

・できればOracle Master GOLDまで取得している方

また、資格取得のための研修トレーナーとしてのキャリアを歩まれる方もいます。

(参考)Oracle Masterの概要(試験内容など)

Oracle Master資格はRDBMS製品であるOracleデータベースの管理スキルを証明する資格です。Bronze・Silver・Gold・Platinumと4つにレベル分けされており、上位に行くほど難易度が高くなります(Platinumが最上位)。

元々、下位の資格を飛ばして上位を受験することはできないステップアップ型の資格でしたが、2020年よりBronzeを取得しなくともSilverを取得できるようになりました。

製品バージョンごとに認定対象の資格が存在し、最新のバージョンはORACLE MASTER Oracle Database 12cとなっています。新製品が発売されれば、次のバージョンの試験がリリースされますが、旧バージョン試験が失効するということはありません。

しかし、試験と製品のバージョンが対応された形となりますので、旧バージョンの資格を持っていたとしても、次第に価値を失っていきます。履歴書などに保有資格を記述する場合は、バージョンも含めて記載する必要があるでしょう。

もし新しいバージョンの認定試験を受験する際は、保有している資格のバージョンやレベルによって、移行試験が用意されたり、一部試験の受験が免除される場合もありますので、なるべく最新のバージョンを保持するようにしたいものです。

資格試験で問われる内容としては、データベースの基礎から基本的なSQLにはじまり、バックアップ・リストアやセキュリティ、パフォーマンスチューニングまで多岐に渡ります。

Bronze・Silverまでは、データベースの基礎知識やSQLなどがメインで問われるため、どちらかと言えばアプリケーション開発者に向けた内容となっています。Gold以降になると、バックアップ・リカバリやパフォーマンスチューニング、アーキテクチャからトラブルシューティングなど、運用担当者やスペシャリスト向けの内容になってきます。

データベース製品は、Microsoft社のSQL ServerやIBM社のDB2、オープンソースではPostgreSQLやMySQLなど、様々なものがあり、それぞれに資格試験も存在しています。

しかし、OracleデータベースはRDBMS製品としては高いシェアを誇るため、他のデータベース製品と比較するとOracle Master資格の人気は相対的に高いものとなっています。

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今回の記事では、Oracle Master資格の概要、SlerにおけるOracle Master資格の価値、そして活用例について、実際に取得された方の声なども参考にお伝えしました。

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