今回はPEファンドを目指すコンサル、投資銀行の方に転職するための対策(コンサル・投資銀行在籍中にしておくべきこと、面接に向けて準備しておくこと)についてご紹介します。
PEファンドの選考はシビアなものが多いですが、ある程度の対策を行っておけば通過の可能性は高まります。ここではコンサル出身者および投資銀行出身者の両者に分けて在籍中にしておくべきこと、および面接に向けて準備しておくべきことをお伝えします。
【目次】
- コンサルティングファーム出身者は、財務面での知見や、LBOモデリングテストの対策が必須
- 財務系コンサル(FAS)出身者はモデルテスト対策に加え、ケースメソッドやクリティカルシンキングのキャッチアップも必要
- 投資銀行出身者は、戦略仮説や顧客分析といったコンサルティングスキルをキャッチアップすることが大切
コンサルティングファーム出身者は、財務面での知見や、LBOモデリングテストの対策が必須
コンサルティングファーム出身者の方は、ビジネスDD、投資仮説の作成や戦略策定、PMIの経験がPEファンドの採用時には評価されやすく、これらの経験を得やすい日系ないしは外資系の戦略ファーム出身者が有利です。
コンサルタントは事業会社やPEファンドから財務やビジネスに関するビジネスデューデリジェンスの依頼を受けることが多く、実際にレポート作成する立場だったと思います。PEファンドに入社した場合、デューデリジェンスをリードし、検出事項をどのように財務モデルに反映させるか、投資実行にあたって事業面で問題になる点はないかということを慎重に検討します。
そのため、コンサルティングファーム在籍時には、ビジネスDD関連のプロジェクトにアサインされるようパートナーやマネージャーに相談するといった挙動が求められます。
また、PEファンドで働くにあたって、投資銀行出身者と同等のレベル感は入社時には求められていないものの、それなりの財務モデルの作成能力が期待されるため、コンサルティングファーム出身者であれば、面接前に財務に関する経験やスキルについて多少キャッチアップする必要があります。
具体的には、PEファンドではレバレッジドバイアウトにより買収の検討を行い、投資して儲かるかどうかを分析する際にレバレッジドバイアウトモデル(LBOモデル)を作成するため、LBOモデリングのスキルが必須になります。
財務分析に関しては、一朝一夕で身に付くものではないですが戦略系コンサルティングファームでも、ある程度の会計的な素養は必須であるため、現職の業務に加え、転職対策としてバリュエーションや財務的な側面をカバーすることが重要でしょうか。
PEファンドによっては採用時にLBOモデル作成のテストを行うところがあります。この点に関しては、ウェブでもモデリング講座等(Wallstreet prepなど。日本語の教材は少ない)は有料でも色々ありますので勉強していくなかで、モデルテスト合格レベルに持っていくことが重要です。
参考記事:
PEファンド投資検討時に必要なスキル・経験【コンサルタントの方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consulting_pe_investment
LBOモデル作成ステップをエクセルで解説【PEファンド/投資銀行への転職希望者向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/lbomodel_pefund_howto
PEファンドの選考内容(面接・モデリング)【コンサル/投資銀行の出身者が対策すべき点】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfund_selection
財務系コンサル(FAS)出身者はモデルテスト対策に加え、ケースメソッドやクリティカルシンキングのキャッチアップも必要
財務DDでは、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフローなど財務3表に関してM&Aで論点になる正常収益力やネットデット、運転資本等の項目を詳細に分析することになり、総合的な会計の知識が求められることが多いです。
また、バリュエーションで必要な財務分析以外でも、よりテクニカルな論点が出てくることが多いので、FASからPEに入社した後、FAS出身者の方はバリュエーション、財務デューデリジェンスといったスキルプラスアルファで鍛えていくことが可能です。
FASデューデリジェンスチームでの財務分析や税務ストラクチャーの検討経験が活かせると同時に、M&Aのディールで論点になる財務諸表や会計上の項目(EBITDAの調整項目やネットデットをどの範囲まで見込むか)でディール実行時の財務上のリスクを勘案することができ、提案資料や実際のディールで投資委員会向けの資料を作成する際にバリューを発揮することができます。
PEファンドでもピッチブックなどの提案資料を作成しますが、そのような時においても、財務分析とバリュエーション・財務モデリングは必ず必要になり、さらにパワーポイント等でのプレゼンテーション資料作成の経験がある方であれば、FASからPEファンド転職後に違和感なく業務を遂行できます。
税務ストラクチャーについては、ファンドが買収する際に税金によるキャッシュアウトを避けるために税制適格のストラクチャーを検討する必要がありますが、会社法や法人税法の細かい知識や組織再編税制に詳しいFAS出身者は投資銀行のみならずPEファンドにおいても活躍できるスキルセットがあると考えて良いでしょう。
FASのバリュエーションチームにいる方であれば、類似上場会社比較法、類似取引比較法、DCF法、市場株価法、人によってはLBOモデル等PEファンドの実務で使用するバリュエーション・財務モデリングのスキルや経験は一通り備えています。
(*実際にPEファンドにおけるアソシエイトクラスの行う実務では、バリュエーションや財務モデリング作成において類似上場会社のマルチプルを計算したり、基礎的な財務モデルの作成・LBOモデル作成することが非常に多いです)
以上より、FASで基礎及び応用のスキルセットを備えている方は、違和感なく業務遂行できると言えますが、戦略コンサルで行われているようなケースメソッドやクリティカルシンキングに関する経験は少ないのでその点は本などを読んで準備する必要があります。
FAS出身の方でも、一般的な投資銀行のスポンサーチームやエグゼキューションを行うアドバイザリーチームに比べてLBOモデルを作成する機会は少ないとおもわれますので、LBOモデリングの練習を行い、入社テストに備える必要はあります。
投資銀行出身者は、戦略仮説や顧客分析といったコンサルティングスキルをキャッチアップすることが大切
投資銀行出身者は財務モデル作成のスキルや、資料作成の点では、PEファンドにおいて期待されたパフォーマンスを発揮できると思いますので、準備するというよりは普段の業務をいかにしっかりと遂行するかがポイントです。
可能であればPEファンド関連のアドバイザリー業務に従事することができればベターでしょう。
PEファンドでも投資銀行同様に提案書(ピッチブック)を作成することがあります。そのためピッチブックやプレゼンテーション資料を作成した経験やスキルは、入社後もすぐに活かすことができます。
投資候補先にファンドの投資アングルや、過去の投資実績などを説得力のある内容でまとめたり、投資案件に応じてカスタマイズしたピッチブックを作成する際はクライアントに対してテーラーメイドで資料作成するアプローチと似ており、その点では投資銀行での業務と大きく変わりません。
対象会社の分析という点でも、財務分析に関しては、デスクトップDDのようなものを行い会計・財務的に投資可能なアセットかどうかということも並行して行います。
コーポレートファイナンス関連では、株主構成も調べて、どのようなストラクチャーが検討できるかということを考える必要がありますし、その点で投資銀行出身者は今までのM&Aアドバイザリー業務の経験を活かすことができます。
具体的には、投資対象企業が未上場会社であればオーナー経営者が何%保有しているか、ファンドがマジョリティの持分を取ることができるのかということも念頭に入れて分析する必要があります。上場会社に関しては、重要な少数株主はいないか、アクティビストファンドやエンゲージメントファンドなどの株主の有無、浮動株はどの程度あるか、株価推移は直近1-3年でどのような変化があるか、株のターンオーバーはどの程度かというところを分析することが多くなりますので、ある程度勘所を押さえてストラクチャー提案に活かせるように分析を進める等、投資銀行での業務と大きな差異はないものと想定されます。
投資銀行出身者は、戦略コンサルファーム出身の方に比して、戦略仮説や事業モデルや競合や顧客分析を通常のコンサルティング業務で行うことを主体的に行うことは少ないと思われます。そのため自分に足りない点は本を読むなどして対策しておくことが重要です。
実際のPEファンドの業務では、投資対象企業のメモやチームのシニアメンバーに共有・ディスカッションを行う重要な参考情報を集めることが求められますので、このような動き方は投資銀行とそこまで変わらないです。
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>PEファンドへのキャリアに関する記事
FASからPEファンドに転職して活かせるスキル・キャッチアップが必要なスキルとは
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/fas_pe
PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear
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PEファンドでは投資銀行およびコンサルティングファームでよく使用するようなビジネスDDのレポートや、経営戦略に関するプロジェクトで作成するようなビジュアルに分かりやすいスライドも作成します。
実際に投資対象となる企業が、なぜ投資に値するのか、LBOモデル分析やバリュエーション分析によりファンドにとってのリターンはどの程度出そうなのかを検証・プレゼンテーション資料にまとめていき、投資委員会資料作成に役立てることが重要になります。そのため投資銀行、コンサルティングファームのいずれにいるとしても、現職での業務をしっかり行うこと、可能であればPE関連のアドバイザリー業務に従事することが重要です。
戦略的なアサインメントも転職のための近道になるでしょうか。
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