PEファンド(プライベートエクイティファンド)の種類を解説【高年収を狙える可能性があるファンドはどこか】

PEファンド(プライベートエクイティファンド)と一口に言っても、種類は様々です。

ファンドへのキャリアを考えているものの、自身に合った事業内容や年収のファンドを見つけられずにいる人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、PEファンドの種類(バイアウトや再生ファンド、ヘッジファンド等)と各ファンドの特徴を解説します。
併せて、PEファンドへの転職志望者向けに、特に高年収を狙える可能性があるファンド、転職前にファンドに詳しくなりたい人向けの参考書籍2冊を紹介していきます。

【目次】

  1. PEファンド(プライベートエクイティファンド)の代表的な役割と仕組み
  2. PEファンド(プライベートエクイティファンド)の種類
  3. 高年収を狙える可能性があるPEファンドは日系のトップもしくは外資系と推定
  4. PEファンド(プライベートエクイティファンド)に詳しくなりたい人向けのお勧めの書籍

PEファンド(プライベートエクイティファンド)の代表的な役割と仕組み

まずPEファンドがどのような役割を果たしているのか、仕組みとともに見ていきましょう。

オペレーションの改善

オペレーションの改善とは、企業の余剰人員の活用、リソースの効率的な使用、不採算部門の廃止など、企業が短期的に財務状況を改善するためのあらゆる手段を指すことがあります。

ファイナンシャル・エンジニアリング

例えば、現状で会社が払い過ぎている支払い利息がある場合には、より低利の負債を使用することで、これまで損益計算書の重石となっていた高い支払利息で純利益率を改善できます。ほかにもリキャップという方式で資本構成を変えたり、配当リキャップという手法で早めに投資回収を行ったりするテクニックもあります。

経営戦略の変更

潜在的に高い価値を創造できる企業であっても、その経営戦略が誤っている可能性があります。
例として、メディア関連の企業で動画配信を一般的なストリーミング・モデルに変更することで、Netflixのようにユニコーンになることもあります。

投資対象

PEファンドは未上場の中小企業も含めて投資対象にしています。もちろん個人で経営している会社のみならず、大企業の一部門も買収の対象になります。

大企業の一部門の中には、グループ内ではノンコアとして扱われているものの、実際にはポテンシャルがあり、PEファンドが新たに株主になることによって企業価値が大きく向上するようなアセットも多くあります。

例えば、外資系の大手PEファンドが投資しているような大企業の一事業部門や、子会社等がそれにあたるでしょう。
いずれのPEファンドも、投資してからオペレーション改善により、エグジット時に期待通りのリターンが出せるようにしていますので、各PEファンドにおいてはオペレーションに詳しいコンサルティングファーム出身の人が少なからずいます。

投資期間

投資期間は一般的に3年後ないし5年後になります。3年後ないし5年後のエグジット時点(株式公開もしくは第三者への売却)の際に出資した金額が2倍から3倍になっていれば、PEファンドとしては当初期待したリターンが出せていることになります。エグジットがしづらいアセットですと投資期間は5年を超えることもあります。IRRはその計算式上、投資期間が長くなればなるほど低くなりますので、投資期間が短い方がリターンは高くなります。

PEファンドも買収をしたものの、当初思い描いていたような企業のバリューアップシナリオを実現できずに早期に売却した方が良いと判断する場合には、買収をしてから1,2年ですぐにエグジットの手続きに入ることがあります。PEファンドは投資期間が中長期に及びますので、投資チームのメンバーも投資からエグジットまで中長期の間にコミットして企業価値向上に心血を注ぎます。

PEファンド(プライベートエクイティファンド)の種類

まずはPEファンドの種類を見ていきましょう。

バイアウト・ファンド

バイアウト・ファンドとは、非上場企業の買収とバリューアップを目的として設立したファンドのことです。バイアウト・ファンドには通常、特定の名称(「XXXX・アジア・バイアウト・ファンド」など)が与えられ、投資対象の種類は、通常、地域、業界、企業規模、その他の業務上または財務上の特性によって定義されます。

最近では、経常収益や独自の自社技術、知的財産を含む特徴も増えています。バイアウト・ファンドは通常、割安と思われる資産や企業を買収することで価値を生み出します
そして、ファンドマネジャーが設定したリターン達成を可能にするために、企業に対して業務改善や財務上の変更を行います。その原動力は、オペレーションの改善、ファイナンシャル・エンジニアリング、そして経営戦略の変更です。

LP投資家としては銀行、年金基金、HNWI(富裕層)、保険会社などの投資家がいます。彼らは自分たちがプライベートエクイティ会社の株式を取得するのではなく、そのバイアウト・ファンドのLP投資家としてエントリーします。

それぞれのファンドでは、ファンドの投資戦略を効果的に実行するという考えで、独自のマネジメントが行われています。

包括的な投資戦略に加えて、各ファンドは、外部投資家(リミテッド・パートナーまたは「LP」)がプライベート・エクイティ会社(「ゼネラル・パートナー」または「GP」)と共に何に投資しているかを把握できるように、リターンの指標等の財務パラメータをあらかじめ定義しておくのが普通です。
これらには少なくとも、回収する資金の規模、目標リターン、リターンの分配方法、マネジメントフィー、パフォーマンスフィー、エグジットフィーが含まれます。

PEファンドが投資先の業績やリターンの改善を促すための手法として以下のようなものがあります。

再生ファンド

再生ファンド/ディストレスト・プライベート・エクイティでは、企業は破産または再建のプロセス中に企業を支配し、企業を立て直し、最終的に売却または株式公開するために、問題を抱えた企業の負債または株式に投資します。
普通のプライベート・エクイティと同様に、ディストレストPE企業もリミテッド・パートナーから資金を調達し、それを長期間保管し、資産や企業の買収に使用します。
実際には、経営危機に陥ったPE企業やPEグループのほとんどは、「貸借対照表が貧弱な優良企業」を探しているということです。

例えば、誰も欲しがらない製品やサービスを販売しているために会社に根本的な欠陥がある場合、それを短期間で修正することも困難です。しかし、その会社がまともな業界に属し、人々が購入する製品やサービスを販売しているにもかかわらず、訴訟、債務発行、買収統合などの間違いを犯した場合、それらの問題はより「修正可能」でしょう。

ヘッジファンド

ヘッジファンドは通称HFともよばれ、PEファンドとは異なり上場企業に対してポジションを保有します。2008年以来、信用収縮、トレーディング損失、投資家によるヘッジファンドからの資産の引き出し(つまり償還)により、運用資産(AUM)は急激に減少しましたが、それでも、ヘッジファンドは米国だけで2兆ドル近くを運用していると推定されています。

ヘッジファンドは一般的に非常に無駄のないリーンな組織であり、比較的少数の従業員で高レベルのAUMを管理できます。このため、ヘッジファンド業界への転職や新規参入は従来の投資銀行や資産運用会社よりもはるかに困難になっています。このような仕事は、魅力的な報酬が得られる可能性があるため、競争率も非常に高くなります。
ヘッジファンドのキャリアは通常、次の職種や役割で構成される点が特徴です。

・調査分析者
・トレーダー
・ポートフォリオマネージャー
・リスクマネージャー
・マーケティングまたは投資家向け広報
・最高財務責任者 (CFO) および最高会計責任者 (CAO)

ファンドの運用資産(AUM)が増加するにつれて、通常、社内の他の従業員を活用しながらファンド調査を行うアナリストを追加雇用することを検討しますので、追加的なAUMの増加がないと採用されるチャンスはありません。

高年収を狙える可能性があるPEファンドは日系のトップもしくは外資系と推定

当然の結果ながら、高収入を狙えるPEファンドは日系のトップティアか、外資系と言えます。キャリーが報酬に入っているかによりますが、アソシエイトクラスではキャリーの付与もないファンドもあります。

プライベート・エクイティ・アソシエイトは通常、プライベート・エクイティ会社の最下位の従業員です。アソシエイトは通常、投資銀行業務、コンサルティング、またはその他の取引関連の金融サービスの経験を持つ 20 代半ばから後半の候補者です。
高収入で有名なのはメガファンドですので、メガファンドにおけるアソシエイト報酬のベンチマークを見てみましょう。

タイトルでいうとアソシエイトの数が最も多いため(彼らはピラミッドの最下位にいます)、やめる可能性も他のシニアに比べて高いです。通常、従業員でもアソシエイトクラスはファンド内の利益の一部であるキャリーを受け取らない(受け取る権利がない)ため、現金とキャッシュボーナスを計算するだけで大体どの程度稼いでいるかが推定できます。

トップメガファンドに所属している場合、年間35万ドルから40万ドルの報酬が期待できると聞いたことがあります。

基本給:ほとんどのトップのプライベート・エクイティ・アソシエイトの基本給は125,000 ドルから 145,000 ドルの間と思われます。これが隔週の給与に反映されます。(日本円換算すると1,500万円~2,000万円前後でしょうか。インフレ率や物価も日本とアメリカは違うので、米国の方が若干給与水準は高いです)

ボーナス:ボーナスを標準化するのは非常に困難ですが、同僚の経験からすると、ボーナスの範囲は通常、基本給の 150 ~ 200% 程度です。これはファンドのパフォーマンス、グループのパフォーマンス、そしてあなた自身のパフォーマンスに大きく依存します。ボーナスは毎年現金一括払いです。外資系PEファンドのうち、日本で事業を展開している場合、基本的にはベースの100%はキャッシュボーナスを支払っている印象です。

オールイン報酬:基本給とボーナスを合計すると、オールイン報酬が得られます。これは少し控えめだと思いますが、アソシエイトとしての報酬総額は35 万ドルから 40 万ドルが適切な範囲でしょうか。つまり日本円で言えば3,000万円以上になりますが、あくまで目安とお考えください。

参考

年次昇給:プライベートエクイティ会社は、投資からどれだけの利益を生み出すことができるかに基づいて報酬を受け取ります。従業員には、「キャリー」として知られるこの利益の一部が与えられます。ファンドによってはシニアの従業員でないとキャリーを受けられないということもありますが、外資系のメガファンドでは一部アソシエイトクラスにキャリーを付与するようなファンドもあるといいます。

アソシエイトのポジションは比較的離職率が高く、来年かそこらで退職する可能性があるアソシエイトにキャリーを与えるのが煩わしいファンドもあり得ます。キャリー・ペイメントは数年にわたって均等に受け取るものではありません。短期的に離職するよりは、3年以上をめどに昇進しVP以上になって、キャリーの獲得を目指して頑張るのがいいでしょう。

プライベート・エクイティにとっても、すぐやめる可能性のあるアソシエイトクラスに対して、ファンドの運用している金額や管理報酬から出てくるキャッシュをキャリーとして渡すインセンティブがありません。アソシエイトは、すでに年齢に対してありえないほど高額な報酬を受け取っていますので、キャリーを付与する意味が特にないともいえるでしょうか。

とにかく、晴れてトップのPEファンドでアソシエイトとしてオファーを得ることができれば、35 万ドルから 40 万ドルを稼ぐことはできるでしょう。(もちろんアソシエイトクラスで仕事ができないと非常につらい目にあいますが)

PEファンド(プライベートエクイティファンド)に詳しくなりたい人向けのお勧めの書籍

入社前に役立つPEファンドの種類や概要などの知識を紹介してきましたが、正確かつ詳細な知識をインプットするには、関連書籍を読むことを推奨します。

以下がお勧めの書籍ですので、転職活動の合間にぜひご一読ください。

日本のLBOファイナンス

こちらは日本バイアウト研究所が出している、本邦LBOファイナンスの本格的な専門書です。
基本的な解説に加えて、日本での誕生から20年がたつLBOに関して活用機会、市場動向、課題についても解説しています。巻末に専門用語を平易に解説した「LBOファイナンス用語集」を収録しており、実務家にとって非常に役立つ内容です。特に優れているのはケーススタディがある点です。PEファンドの入社試験の練習にも役立ちますし、そもそものLBOファイナンスの歴史が詳細に書かれているので、読み物としても面白いでしょう。

カーライル流日本企業の成長戦略【日経BP】

この本は、カーライルの投資戦略や過去の投資事例をドキュメンタリー形式で解説したものです。
カーライルは友好的かつ効果的な手法で、既存事業を再構築・企業の株主やその他の投資家、経営者などのステークホルダーを満足させるPEファンドとしての評判を得ており、その背景が分かる良書です。

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>PEファンドへのキャリアに関する記事

PEファンド・VC・CVCの違い【ビジネスモデル・投資サイズ・採用要件など】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/pefund_vc_cvc

PEファンド未経験からの転職(コンサル・FAS・投資銀行の方向け)で採用時に求められるスキルと対策
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/pefund_skillandpreparation

PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear

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今回の記事では、PEファンド(プライベートエクイティファンド)の種類についてお伝えしました。

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