PEファンド・VC・CVCの違い【ビジネスモデル・投資サイズ・採用要件など】

今回は、「PEファンド・VC・CVCの違い」について紹介します。最近はプライベートエクイティファンド(PEファンド)、ベンチャーキャピタル(VC)、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)も数が増えており、実際にどのように違うのかわからない人も多いかと思います。これらのファンドの組織体制、投資目的、投資の仕組み、投資サイズの違いについて順に解説していきます。

【目次】

    1. ベンチャーキャピタル(VC)とは
    2. プライベートエクイティファンド(PEファンド)とは
    3. CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは

ベンチャーキャピタル(VC)とは

VCはハイリターンを狙い、企業のライフサイクルの初期にある企業に投資する会社(投資ファンド)のことで、主に高い成長率を有する未上場企業がターゲットです。例えばJAFCOは業界の草分け的な存在でしょう。

VCは投資するだけでなく、投資先の会社に対して経営コンサルティングのようなアプローチで投資先企業の価値向上を図る企業も存在し、担当者が取締役会などにも参加し、経営陣に対して監視・コントロール・指導を行うこともあります。

VCはファンドの運用報酬も収益源とする事業であり、投資した企業をIPOさせたり他のファンドなどに転売して利益を得ることもあります。この点でいえば、PEファンドと同様の投資の回収を行います。

投資が失敗したり、廃業してしまったり、上場できないベンチャーも多いため、一般的にはリスクが高いです。そのため各投資案件に対しては投資金額の3倍、5倍、10倍といったリターンを目標としているのが一般的です。つまり、成功の確率は低いが当たればデカいというようなスタンスで投資をしていると考えてください。

VCには、自己資金を未上場企業に投資するケースと、投資事業組合(ファンド)を設立し、投資家から資金を集めて、VCがそのGP(ファンドマネージャー)として投資の候補になる未上場企業に投資するケースがあります。このような類型のVCは、オルタナティブ投資の性質を有しており、ある意味PEファンドの一形態として位置づけられることもあります。

投資サイズは比較的小さく、数億から数十億程度になることが一般的。組織としてはPEファンドと同様に少人数が多いですが、創設者やその周りのシニアメンバーが投資委員会をかため、属人的な運営を行っていることが多いです。

プライベートエクイティファンド(PEファンド)とは

PEファンドも金融商品でいえば、オルタナティブ投資にあたります。自己資金を未上場企業に投資するケースと投資事業組合(ファンド)を設立し、投資家から資金を集めて、VCがそのGP(General Partner)として投資の候補になる未上場企業に投資するケースがあるため、その点はVCと似た姿をしています。

VCと異なるのは、投資する企業の成長やライフサイクルのステージが成熟期にあることです。最近ではグロース投資といって、比較的アーリーステージの会社に投資を行うファンドもありますが、ほとんどのPEファンドは地方の中小企業や、大企業のカーブアウトにより生じた企業など、それなりに成熟したステージの企業が投資対象になります。投資するセクターもインダストリアルや、ヘルスケア、テックなど特定のセクターにフォーカスしているファンドもあれば、様々なセクターの企業に投資するファンドもあります。

投資の仕組みで大きく違うのは、PEファンドはLBO(レバレッジドバイアウト)という手法で銀行からローンを調達し、ファンドのエクイティ出資額と合わせて投資すること。

VCやCVCはローンを調達してレバレッジをかけて投資するのではなく、自己資金やエクイティで出資することが中心であるため、この点がPEファンドの大きな特徴です。目標リターンはIRR20%以上、MOICで2x以上(投資期間5年)で高い水準になっている点も特徴です。VCほどのハイリスクな投資は、PEファンドはそこまで行わないですが、一方レバレッジをかけて投資を行うためファンドに出資しているLPの投資家に見合うリターンを実現する必要があります。

なお、PEファンドは投資の回収方法としては、投資した企業をIPOさせたり他のファンドや事業会社などに転売(トレードセール)したりして利益を得ることが一般的です。海外ではSPACを利用して上場させるエグジットもあります。

また、採用の話になりますが、PEファンドはVCよりも比較的、入社難易度が高いと言われており、入社する際も高いレベルのスキルが要求されます。主に投資銀行やコンサルティングファーム出身の人が採用されることがほとんどです。他にも、PEファンドは非常に少人数の組織であり、結論を言えばマネジングディレクターやパートナーといった社内の幹部と言われる人間に好かれるかも重要となります。

PEファンドにはマネジングディレクターを含めてシニアの社員と似たバックグラウンドの人が集まるため(外資出身者が多ければ、社員も外資出身の人を採用したがるなど)、そのようなプロフェッショナルファーム出身者が多くなります。

PEファンドでは、ファイナンススキルも大事ですが、投資仮説作成では戦略コンサルティングファーム並みの事業に対する理解、仮説設定スキルが求められるため両者をバランスよく兼ね備える必要があります。PEファンドは投資先の会社はVCと同様に未上場会社が中心ですが、投資サイズがスモールキャップのPEファンドでもなければそれなりに大きなサイズの投資を行います。

エクイティによる投資額では数十億が最低で、大きいサイズの投資を行う外資系のPEファンドであればエクイティの投資額はエクイティ出資額が数百億円になることも多いです。

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは

CVCは大企業が外部のスタートアップ企業やVCに直接投資する企業資金を指します。CVCの主な目的は「大企業が小規模だが革新的または専門的な企業の株式を取得し、専門知識や競争力を獲得できる」企業を発掘、投資することです。CVCで有名なものは米国ではIntel Capitalがあります。

CVC投資の2つの側面(戦略的目標と財務的目標)を組み合わせることにより、会社の投資目的とマッチした投資が可能となります。特に、投資会社の事業と投資対象のスタートアップ企業との間で財務的、戦略的な目標のため投資が促進されるのです。主な目的は、現在のビジネスの戦略を前進させること。CVCは、スタートアップ企業内の主要な成長分野を探し、それらを企業の戦略と組み合わせることで、企業戦略を推進することによって投資会社に利益をもたらすことができます。

CVCの特徴はセクターに特化していることです。特にライフサイエンスやヘルスケアのセクターでは欧米で多くのCVCがあります。

他にも日本では、味の素は、「食品やヘルスケアなどの事業領域において、自社にない先端技術やソリューション、ビジネスモデルを有するスタートアップ企業やVCとの協業を推進し、自社ノウハウや知見との融合を図ることにより事業モデル変革を牽引」するという目的のもとCVCを設立しています。オムロンもCVCを有していることで有名であり、組織や意思決定をオムロン本体とは切り離し、スピードを重視するため1回の投資委員会で意思決定できる体制となっています。投資委員会のメンバーは、オムロンのCTOとCFO、オムロンベンチャーズCEOとなっており、よりプロフェッショナルな要素や意思決定を行う体制を整えています。

他にも、M&A巧者として有名な日立製作所は、CVCファンド「HV Fund」の第2号ファンドを設立することを、2021年10月4日に発表しています。第2号ファンドでは、日立が注力する事業領域の一部である環境・ヘルスケアを中心とする成長分野において、イノベーションを牽引するスタートアップ企業への戦略的な投資をするとし、大企業グループでも、グローバルなネットワークや先進的な技術を行う企業に積極的に投資していることがわかります。

海外展開を志向するファンドであれば、2021年に旭化成は中国でCVC拠点を立ち上げています。欧米主体に進めてきた活動を世界第2のベンチャー投資市場に成長した中国へも広げ、米中デカップリングの進展が懸念される中、現地のエコシステムにて素材(マテリアル)やモノのインターネット(IoT)などの分野でイノベーションの種を早期に発掘することが目的とされています。

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>PEファンドやベンチャーキャピタルに関する記事

ベンチャーキャピタル(VC)とコンサル・投資銀行・PEとのスキル面での違い
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/venturecapital_howdifferent

“コンサル”と”PE・VCファンド”の違い【年収からキャリアパスまで】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consulfundcom

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このように、PEファンド、VC、CVCは主に未上場会社に対して投資を行う投資会社であるものの、その行動様式や投資方針には違いがあります。

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