PEファンドのバリューアップチームとは？【採用要件から年収、バックグラウンドまで】

今回はPEファンドのバリューアップチームについて、求められる人物像や応募要件の違い、年収、スキル、実際のメンバーバックグランドなどをご紹介します。

【目次】

1. バリューアップチームとは買収後に投資先企業の価値向上を担う組織
2. 在籍者のバッググラウンドは、戦略ファーム、総合商社の事業投資・経営、経営企画など
3. グローバルファンドの採用では外資系出身者が好まれる傾向に、また共通してコミュニケーション力などソフトスキルも見られる
4. 年収に関しては、投資チームに比較すると1ポジションダウンするケースも
5. ファイナンスよりもプロマネスキル、仮説構築・戦略実行などが求められる傾向に

バリューアップチームとは買収後に投資先企業の価値向上を担う組織

ご存じの通り、バリューアップとはPEファンドが企業を買収または出資した際に、投資先企業の価値向上を図るために行う各種の施策を指します。
最近はPEファンドによる企業買収も活発化しており、投資プロフェッショナルのみならず、投資先の経営支援や企業価値向上の支援を行える実務部隊を募集しているケースが多くなっています。有名どころとしては、ベインキャピタルのポートフォリオ支援チーム、KKRのキャップストーンチームなどがあります。

バリューアップチームでは、マーケティング支援、拡販支援、管理会計体制構築支援などを行い、基本的には戦略コンサルティングファームにおけるプロジェクトリード経験、PMO経験などに親和性があります。
PEファンドにより採用基準が異なりますが、グローバルファンドになると、採用基準も高く、トップクラスの戦略コンサルティングファーム出身者でかつマネージャー経験のある方が対象となるなど、年齢層と経験水準が高くなります。

ただし、日系のPEファンドであればポラリスキャピタルがバリューアップグループを擁していますし、ジェイ・ウィル・パートナーズなどのスモールキャップ案件を行うファンドもそのようなチームを有しています。
グローバルファンドでなくても国内系のPEファンドで投資先支援を行うチームも多くありますので、転職エージェントなどと密にコミュニケーションをとり、自分の希望やキャリアに即した投資先支援チームを探すのが重要です。

在籍者のバッググラウンドは、戦略ファーム、総合商社の事業投資・経営、経営企画など

メンバーのバックグラウンドに関しては、各社様々ですが、一般化していくと戦略コンサルファームにおけるPMO経験、プロジェクトマネジメント経験、総合商社における事業投資経験、特定のセクターにおける事業経営経験、事業会社の経営企画における実務経験を有している方が多いです。
また経験のみならず学歴面でも海外の有名大学におけるMBA取得をしている方が目立ちます。例をあげるとロンドンビジネススクール、ハーバードMBA、シカゴ大学ブーズMBAなどが代表的なものでしょう。

投資銀行出身者の方も中にはいますが、基本的に投資銀行やFASのようなコーポレートファイナンスに関するスキルセットがある方は、よほどバリューアップに関心がない限り投資プロフェッショナルチームに所属することが多く、実際に採用の際にも、ファイナンスバックグラウンドの方であればエージェントから投資チームの案件紹介が来るのが一般的です。

また、数は多くはないですが会計士でハンズオン支援を好む方も、このようなバリューアップチームに所属していることもあり内部統制構築支援や管理会計体制構築支援などの会計士としての強みを生かして活躍している人もいます。

グローバルファンドの採用では外資系出身者が好まれる傾向に、また共通してコミュニケーション力などソフトスキルも見られる

人物像についてはさきほど簡単に述べた通り、基本的には外資系戦略コンサルティングファームの出身者がボリュームゾーンを占めますが、実際に各PEファンドの投資先支援チームの主要メンバーを見てみると、このような経歴の方のみならず、総合商社出身の方、事業会社の経営企画の方などもいらっしゃいます。

応募要件はファンドにより様々ですが、グローバルファンドの投資先企業は海外展開により企業価値向上を図る投資スタイルが多いので、外資系の事業会社での経営企画の実務経験者や、外資系戦略コンサルティングファームで幅広いセクターの経営戦略立案やPMOなどの経験がある方が好まれ高い英語力が必須になります。

ただし外資系の投資ファンドでも中小規模の企業に投資することは数多くありますので、海外展開のみならず内部統制支援や管理会計、採算管理などの幅広い経営管理のサポートが必要になり、経営企画の経験や総合商社での経験がある方でも採用される可能性はあります。

実際に、弊社にバリューアップチームの採用要件には、

①戦略コンサルの知識・ご経験をお持ちの方
②公認会計士資格をお持ちの方
※商社での該当業務経験者歓迎

といった要件に加え、

①事業会社でCxO経験のある方
②事業会社の経営企画部門での管理職経験、または子会社/グループ会社のマネジメント経験（事業部門レベル以上）
③事業再生の現場でのマネジメント又はリーダー経験のある方

と記載されていることも多いです。
エクセルを使用した財務モデリングや投資委員会向けの資料作成などの業務を行うことは少なく、実際の投資先に赴き投資先の従業員や経営陣との円滑なコミュニケーション能力の方が好まれます。このように一般的にPEファンドにおける投資プロフェッショナルチームとはハードスキル面で求められる要素が異なります。

年収に関しては、投資チームに比較すると1ポジションダウンするケースも

ファンドにもよりますが、年収に関しては投資プロフェッショナルに比して1段階分低いケースもあります。
たとえばある日系PEファンドのバリューアップチームのマネージャーポジションでは、年収1500万までの相場ですが、実際にはこれは同じファンドの投資プロフェッショナルチームのアソシエイトクラスの年収に匹敵します。
マネージャーは投資プロフェッショナルチームでのヴァイスプレジデントに相当しますので、同じ役職でも一段階年収水準が異なるケースも見られます。
ただし外資系のグローバルファンドであれば、投資プロフェッショナルチームとは報酬体系は異なるものの高い水準の待遇が期待できるでしょうか。

ファイナンスよりもプロマネスキル、仮説構築・戦略実行などが求められる傾向に

スキルセットですが、投資プロフェッショナルチームには戦略コンサル出身者の方も在籍しているものの、基本的にはバリュエーションや財務モデリングなどのファイナンスに関するスキルセットが重要になります。
一方で、バリューアップチームは基本的にはそのようなファイナンシャルなスキルセットよりも、戦略コンサルティングファームで身に付けることができるプロジェクトマネジメントスキル、仮説構築と戦略実行を得意にする方が向いているでしょうか。
また、投資先のメンバーと関係値を築くための「人当りのよさ」なども重要です。

投資チームと異なりディールのオリジネーションや、契約締結時の交渉のサポートを行うことはなく、あくまで既存の投資先の業績改善やバリューアップに粉骨砕身することになりますので、投資プロフェッショナルとしてのキャリアを目指すよりも将来的に事業会社での経営陣のポジションや、プロ経営者としてのキャリアを歩みたい方に向いているでしょうか。

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＞コンサルからPEファンドへのキャリアに関する記事

“総合系コンサル”から”PEファンド・投資チーム”への転職のステップ
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consul_pefund_howto

＞コンサルからPEファンドへのキャリアに関する記事

PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear

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実際に投資先の経営支援を行う場合はCxOを外部から採用してバリューアップを進めることが殆どですので、ファンド投資先において直接的に経営に関わりたい方は、ファンド投資先CxOの募集などをエージェント等で探してみることをおすすめします。
投資後、経営陣を刷新する際、外部CxOの登用はファンドにおいて重要検討事項であり、ファンドとしても常にヘッドハンターと密にコミュニケーションをとり最適な人物を探しています。

また、投資プロフェッショナルチームとバリューアップチームを分けているファンドと、分けていないファンドがある一方で両チームを分けているファンドの場合は求められるスキルセットが異なることも多いです。内部の情報は外に出にくい業種でもあり、ファンドへの転職をご希望の方は、業界に詳しいエージェントや実際に中で働く知人などから情報収集することをおすすめします。

今回は、PEファンドのバリューアップチームについてご紹介しました。PEファンドへのキャリアをお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。