今回はプライベートエクイティファンド(以下、PEファンド)における女性活躍の実情や、実際の男女比、女性で活躍するファンドマネージャーの情報などをご紹介します。
【目次】
「向いていない」という声は一切なく、むしろ「女性ならではの観点」など、採用熱が高まっているのが実情
PEファンドは投資銀行やコンサルティングファーム出身の人が採用されることがほとんどです。PEファンドは、非常に少人数の組織であり、結論を言えばマネジングディレクターやパートナーといった社内の幹部と言われる人間に好かれるかということも大事になりますが、上記の職種は男性が多いので、必然的に採用される人は男性が多くなります。
しかしながら最近では外資系のコンサルティングファーム、投資銀行においてダイバーシティ観点から女性の採用をすすめているファームが多くなっています。その流れからか、外資系や日系の大手のPEファンドにおいて、女性の採用をしているファームはいくつか見受けられます。
認識している範囲では、外資系ではKKR、CVC、カーライル、ペルミラなど、日系大手はアドバンテッジパートナーズ、ユニゾンキャピタル、インテグラルなどがあります。
女性であるという理由でPEファンドが向いてないという声は一切なく、基本的には投資銀行やコンサルティングファームでハードワークをこなしてきたような方であれば、素質があれば入社可能性はいくらでもあるといえるでしょう。
特に男性比率が多かったファンドでは、女性を優先的に採用したいというファンドもあります。女性を採用したいというファンドがある背景としては、LPとの対応で人当たりがいいこと、また投資先の業界(とくに化粧品、コンシューマーなど)で女性ならではの観点や投資先の経営陣とのコミュニケーションで期待される点があるでしょう。
「女性がチームに5人いれば多い」という水準
男女比というのは、ファンドによって異なると思われますが、現在の日本のPEファンドでは女性がチームに5人いれば多い水準であると思われます。
女性で投資銀行や戦略コンサルティングファームに勤務している人がそもそも非常に少ないことから、採用の母集団が男性に比して非常にすくないため、このような結果になっています。
総合商社の投資部門の方も採用対象になる場合もありますが、総合商社において女性が投資部門で働いているケースは多くないので採用の際の母集団も投資銀行やコンサルティングファームと同様に少なくなります。
現在では投資銀行やコンサルティングファーム(主に外資系)が積極的に女性を採用したり、ダイバーシティを進めていることから、投資銀行やコンサルティングファームでは女性比率は徐々に日本でも増えていっていますが、PEファンドでは採用数の少なさや、そもそもPEファンドをネクストキャリアで選択する女性が少ないこともあり、まだまだ男性が圧倒的に多い比率になっている状況です。
一部のPEファンドではMBAを修了した方に対して門戸を開いており、MBAアソシエイトから、フルタイムへの採用も可能であると聞いたことがあります。
もしも、候補者の方で日本語よりも英語のほうが得意であり、欧米で暮らすことについても抵抗がないとのことであれば、日本のみで働くことを考えず、米国のPEファンドで直接働くのもありうる選択肢です。
米国のPEファンドのウェブサイトでチームの概要を見ると男性のみの投資プロフェッショナルというのは少なく、女性がいることもままあります。
女性で活躍するファンドマネージャーやメンバー
PEファンドは投資銀行やコンサルティングファーム出身の人が採用されることがほとんどであり、非常に少人数の組織であることを踏まえると、男女の差異というのはなく個人の能力や優秀さというのがキーになります。そのような点でいえば、女性でもアソシエイトとして働いている人は多くいますし、出世してパートナーになっている方もいます。
ここでは実際に弊社がご支援させていただいた方を一例として、そのキャリアや経歴をご紹介します(もちろん実名は伏せ、仮名ベースです)。
日系大手PEファンド パートナーA氏
同氏は、日系PEファンドにてパートナーとして辣腕をふるっています。もともとは米系投資銀行にてコーポレートファイナンス、M&Aアドバイザリー業務に従事しており、投資銀行バックグラウンドの方です。
外資系大手PEファンド B氏
B氏は、海外大学を卒業後、外資系戦略コンサルティングファームに入社、その後外資系大手PEファンドにて投資プロフェッショナルとして採用されています。
日系大手PEファンド C氏
同氏は、日系の金融機関を経て、米国の有名大学でMBAを取得、その後日系大手PEファンドにてアソシエイトとしてポジションを獲得し働いています。
外資系大手PEファンド D氏
同氏は、新卒で外資系投資銀行にてM&Aや資金調達に関するアドバイザリー業務を経験後、外資系有名PEファンドにてアナリストにてポジションを開始しています。
日系大手PEファンド E氏
同氏は、日系大手投資銀行にてM&Aや資金調達に関するアドバイザリー業務を経験した後に、日系大手PEファンドにアソシエイトとして入社しています。
外資系大手PEファンド F氏
同氏は、新卒で米系大手投資銀行に入社後、アソシエイトまで昇格。その後に、大手外資系PEファンドにてアソシエイトポジションで入社。
このような例はまだ一部であり、女性でPEファンドに入社されているケースは多くあります。ただし上記の例を見てわかる通り、大手や有名なPEファンドでそのような例が目立っており、中小規模の企業に投資するスモールからミッドキャップのサイズへ投資するPEファンドへの入社例はまだまだ少ないという印象です。また、彼女らが新卒で入社した業界や企業を見ても、外資系投資銀行や、外資系の戦略コンサルなどの有名かつトップティアのファームが多く、このあたりで相当のスクリーニングがされているという印象はあります。
そもそも、彼女らが活躍しているPEファンドは外資系ないし日系のPEファンドであり、経歴のいい人しか採用しないという点を鑑みると当然かもしれません。
日系でも大手や、外資系でもバルジブラケットと言われるような大手投資銀行では比較的サイズが大きい案件を扱うことが多く、そのような投資銀行に在籍していた女性はスモールからミッドキャップの案件を扱うPEファンドではなく、それなりにサイズ感のあるディールを扱う大手のPEファンドにて採用される可能性があるでしょう。
スモールやミッドキャップの投資をリジネーションは主に行うファンドは、投資先で中小企業の経営者とコミュニケーションをとる機会も多く、女性でそのような仕事を違和感なくできる人がそこまでいないこと、サラリー的にも大手投資銀行と中小の日系PEファンドでは見合わないことから、それなりに待遇もよく、女性を積極的に採用しているような大手でエスタブリッシュメントのあるPEファンドへ採用されることが多いとの推察がなされます。
まとめ
このようにキャリアとしてPEファンドを選ぶ女性がどれくらい多いのかという問題以前に採用ターゲットになる戦略コンサルティングファームや外資系・日系投資銀行のM&Aチームで働いている女性の絶対数がそこまで多くないので、いまだに同業界は男女比でいえば、男性のほうが多くなっていることがわかるでしょう。
ただし女性を積極採用しているファンドは多く、そのような傾向は外資系において顕著です。もしくはありうるとしても日系大手PEファンドでしょう。
アソシエイトのようなメンバーでも女性で採用されることはありますし、一度採用されれば長く働くことが期待されますので内部昇格でシニアポジションを勝ち取る女性もいます。
とはいえ、求められるスキルが男女で差異があるということはなく、その点は男女平等で高いレベルのスキルや経験が求められるので、現在戦略コンサルティングファームや投資銀行に在籍していて、将来的にPEファンドを狙う場合には採用の間口の段階では、書類が通りやすいという可能性がありつつもスキルチェックでは男性と同様に評価されることに念頭に置いて望む必要があるでしょう。
また、入社後のギャップをなくすために、中小規模のPEファンドでは結局中小規模の企業の投資や、投資先の経営陣とのコミュニケーションが必要になるなど、ある程度泥臭い側面があるので、期待している業務や投資規模が実現できるかどうかは事前によく調査することをおすすめします。
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>PEファンドへのキャリアに関する記事
コンサルから投資ファンドの転職で求められるスキルとは?
https://www.axc.ne.jp/media/column-career-change-case/investmentfund
公認会計士からPEファンドへのキャリアパス【入社前後に役立つスキル・経験】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/accountanttope
PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear
FASからPEファンドに転職して活かせるスキル・キャッチアップが必要なスキルとは
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/fas_pe
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今回はPEファンドにおける女性活躍の実情や、実際の男女比、女性で活躍するファンドマネージャーの紹介などをご紹介しました。
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