コンサルティングファームにお勤めの方から、IT系スタートアップベンチャーへの転職に関する相談をいただくことがあります。そこで今回は、ポストコンサルとしてIT系スタートアップベンチャーを選ばれた方に、実際に入社して驚いたことについてお話を伺いました。一例ではございますが、ぜひポストコンサル転職をご検討の際にご参考ください。
<プロフィール>32歳男性:大手総合コンサルティングファーム⇒30名程度のIT系スタートアップベンチャー
※年代は入社時
【目次】
- 意外とExcelなど昔からあるツールを使っている、そのため手作業や雑務が多い
- 業務の進め方が確立されていない、ルール自体が存在しない
- 「役員がサンダル半袖短パン姿で出社」など働き方が非常に柔軟
- バリューに共感してジョインしてくるため、成果へのコミットメントやモチベーションが総じて高い
- ベンチャーにも社内政治は存在する
意外とExcelなど昔からあるツールを使っている、そのため手作業や雑務が多い
まず驚いたのが、法人顧客の情報をExcelで管理していたことです。しかも綺麗に整えられたExcelではなく、ほとんどメモ書きのようなもの、、、
顧客の業種や規模、誰がキーマンでプロジェクトの進行状況はどうか、といった内容まで全てExcelで管理されておりました。
CRMツールを使っていれば簡単に抽出できるような情報も、探すのが一苦労でした。また入力に関しても、全て手作業で行わなくてはならず、単純な作業に時間を要してしまい苦痛を感じてしまいました。IT系のスタートアップベンチャーでは、社内の業務効率化よりも目の前の結果が重要、またお金・人材といったのリソースが豊富ではないといった理由から、多機能ツールを導入できていない、雑務の効率化・アウトソース化もなかなか進んでないというケースが多いでしょうか。
また、ITベンチャーでは役職に関わらず、自分で実際に手を動かさないといけない場面が他にも数多くあります。会議室の予約や準備、議事録の作成までをも、社長や役員が自ら行なっている、ということもザラにあります。そのような状況を見て、マネジメントを担う立場だとしても、プレイングマネージャーであることがITベンチャーでは求められるのだなと理解しました。
雑務が多いということは一見面倒臭いことのように思えますが、コンサル出身者にとってはむしろチャンスと捉えることもできます。
例えば、Excel。ITベンチャーでもExcelを用いる業務は多くあり、自動化・効率化の余地は大きいです。コンサル出身者は多くの場合Excelが得意だと思いますので、自分で積極的にExcelの関数やマクロを用いて業務の自動化・効率化を図ることが可能です。
コンサルティングファームですと、周りのコンサルタントも皆Excelが得意かもしれませんが、ITベンチャーですとそうとも限りません。むしろExcelが不得意なメンバーの方が多いこともあります。そのような環境ですと、少しExcelが得意なだけで、周囲のメンバーからすごく感謝され、実際に評価されます。
業務の進め方が確立されていない、ルール自体が存在しない
社内のルールというルールが曖昧、もしくはルール自体が存在しません。ドキュメントの中身が整備されていないのは当然、ドキュメントの格納場所も定まっておりません。コンサル時代はドキュメントの命名規則にも細心の注意を払っていたのですが、、、
ITベンチャーでは目の前の数字を積むことに手一杯で、業務の進め方の共有や統一といったことは後回しになりがちです。業務が属人化しているというのも、よくある話です。
このような状況は、【驚いたこと①:手作業・雑務が多い】と同様に、コンサル出身者にとってはチャンスでもあります。
私自身の例ですが、複数人が関わるとあるオペレーションにおいて、個々人によってスピードや品質がバラバラ、という課題がありました。
まずは関係者に現状のオペレーションについてヒアリングし、基本的な業務についてのフローを図に起こしました。
また、それぞれの個人がどの業務をどのようなやり方で遂行し、どの程度時間がかかっているのかを洗い出しました。
そして課題点と解決策を提示し、メンバーと一緒になって改善に取り組む、ということがありました。コンサル出身者からすると特筆するようなことではないかもしれませんが、ITベンチャーのメンバーには業務フロー図を描くだけで感謝されました。
ITベンチャーでは業務の進め方は思ったより手探りで、誰も全貌を把握せず課題が残ったまま物事が進んでしまいがちです。そのような状況で解決策を提示したりルールを作ったりドキュメント化したりするような場面では、コンサル時代に培ったスキルが役に立ちます。
「役員がサンダル半袖短パン姿で出社」など働き方が非常に柔軟
コンサルティングファームも国内の大企業よりは働く場所や時間の融通が利きやすいかもしれませんが、ITベンチャーの働き方はより柔軟です。
まず、自宅で作業する時間の割合がかなり大きくなり、驚きました。「午前中に病院に行くから、午後はそのままリモートワークで」といったようなこともよくありますし、何よりその連絡はチャットでの報告でOKです。子持ちのメンバーによるリモートワーク活用も多く、コロナ禍以前よりリモートワークが進んでおります。
オフィスに出社する場合でも、始業は10時。朝の通勤ラッシュを避けてゆとりをもって出社できます。さらに、服装の自由度合いにも驚きました。
印象的だったのは、夏の時期だったのですが、役員がサンダル半袖短パン姿で出社していたことです。コンサルティングファームではスーツ着用が当たり前だったので、その差に衝撃を受けました。もちろん、客先に訪問する際などフォーマルな場ではジャケットを着用しますが、社外の人に会う予定がなければ基本的に自由な服装で出社して構わないというスタンスです。そして、勤務時間自体もコンサル時代に比べて短くなりました。
ITベンチャーというと、コンサル同様ハードワークをイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、このご時世その様なITベンチャーは少数です。大手企業のような待遇を用意できない代わりに、柔軟な働き方を用意しているベンチャー企業が多いです。確かに、ハードワークをしようと思えば、実際できます。会社による監視なども特にないためです。休日返上で働くメンバーも、中にはおります。しかしながら、ハードワークを強要されるということはありません。
バリューに共感してジョインしてくるため、成果へのコミットメントやモチベーションが総じて高い
ITベンチャーの雰囲気はすごく良いです。基本的に働くことへのモチベーションが高いメンバーが多いです。ビジョンやミッション、バリューに共感してジョインしてくるため、成果へのコミットメントも総じて高いです。
ある業務をメンバーに割り振ろうとした際ですが、是非自分が担当したいというメンバーが多くて仕事が取り合いになることもありました。それくらいの熱量があります。
ITベンチャーのメンバーの平均年齢はコンサルと比較して若く、若いメンバーの熱い想いとその働きっぷりに刺激を受けることも多々あります。
ですので、仕事に真剣に取り組みたい人にとっては、すごく気持ちよく働ける環境が整っていると言えます。モチベーションの高いメンバーが多いためメンバー間の関係も良好で、人間関係でストレスを感じることも少ないです。
ベンチャーにも社内政治は存在する
一方、少し意外かもしれませんが、ITベンチャーにも社内政治は存在します。
コンサル時代はどちらかというとクライアントの社内政治を垣間見ることが多かったです。社内政治とは、どこかで大手企業特有のことかと思っておりました。しかし、そうではありませんでした。
社内政治というと大袈裟かもしれませんが、社長や役員にいかに支援してもらえるかという点は大事ですし、他部門との利害関係調整のための根回しも重要です。部下に信頼してもらえていないと、大きな仕事はできません。
30名程度の組織でもメンバー間の力関係は存在しましたし、派閥に近いものもありました。会社というものが組織である以上、程度の差はあれ、これらのことが存在するのは当たり前とも言えます。
だからと言って、ITベンチャーの風通しが悪いというわけではありません。
社長との距離は近いですし、よく一緒に仕事をする機会もあります。部門を跨いだ意見交換も活発で、上司と部下とは1on1のミーティングを毎週やります。社内の情報も極力共有されております。確かにITベンチャーにも社内政治は存在しますが、企業の文化・風通しという点では、特にコンサル時代にクライアントであった大企業とは大きく異なっており、驚きました。
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今回の記事では、コンサルからITベンチャーに転職して驚いたことをご紹介しました。
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