PEファンドへの転職は35歳が限界?30代以降でも転職可能な人の特徴

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PEファンドは求められる専門性の高さや特殊性を背景に30代以降の転職が難しく、35歳が限界という見方もあります。実際には、35歳以上で転職する事例も少なくありませんが、歳が上がるほど転職者に求められるスキルや経験のハードルが高くなるのは確かです。

今回は30代を中心にPEファンドの転職の年齢別の狙えるポジションや、高い年齢で転職するうえでのポイントを紹介します。

【目次】

  1. PEファンドの転職は35歳が限界という見方の真実
  2. PEファンドへの転職で35歳を限界にしないために必要なスキルとは?
  3. PEファンドで年齢ごとに狙えるポジションと年収とは?
  4. PEファンドに落ちやすい人の特徴
  5. PEファンドへの転職ではコンサルの専門性を活かせば35歳は限界ではない

PEファンドの転職は35歳が限界という見方の真実

実際には35歳以上でPE業界に入ってくる人もいますが、確かに年齢が高くなると転職のハードルは高くなります。
業界内には、PEファンドの転職は35歳が限界という考え方を持つ人は少なからず存在します。
まずは、35歳限界説の真相について見てみましょう。

未経験は35歳ではなく30代から制限されてくる

PEファンドでは基本的なコミュニケーション能力や資料作成能力のほか、ファイナンスに関する知識や業務経験、マネジメントもしくはコンサルタントの経験など、ハイレベルな知識もしくは経験を要求します。

これらの全てが備わっていなくとも、転職するからにはいずれかの領域で強みを持っていなければ転職のハードルは高くなるでしょう。

汎用的なコミュニケーション能力などをもとに採用するいわゆる「ポテンシャル採用」は35歳どころか、30代になれば厳しくなってきます。ポテンシャルを強みとして転職するのであれば、確かに35歳は限界と言ってもあながち誤りではないでしょう。

そもそもスキルや経験に対するハードルが高い

PEファンドには難関大出身者で、コンサルや投資銀行経験者などが数多く在籍します。弁護士資格や公認会計士資格など難関の国家資格を持つ人材などにもPEファンドにチャレンジする人は少なくありません。

PEファンドで必要とされるスキルや経験は、以上のような人が持ち合わせている傾向があるため、必然的に高学歴・ハイクラス人材が集まってくるのです。

強みがあれば35歳にはハードルは存在しない

35歳のハードルはあくまで、PEファンドの業務に直接関わるスキルや経験を持ち合わせていないポテンシャルベースでの転職のケースです。PEに求められる専門性を持ち合わせている場合には、35歳以上でも転職できる余地は充分にあります。

特に企業でのマネジメント経験はより高い年齢の方が、経験がある人が多いと言えます。マネジメント経験は、投資先のバリューアップをハンズオンで行う際には、投資先の経営者として業務をこなす上で役立ちます。企業の部長やトップ経営層の経験者は、30代後半どころか、40代でも転職のチャンスはあるでしょう。

なお、コンサルタントは他の業種と比べてPEファンドへ転職するうえで優位に立つチャンスが豊富に存在します。ファイナンスやM&Aの知識、企業価値向上のためのコンサルティング能力など、PEファンドで必要なスキルを培うことができるためです。

PEファンドへの転職で35歳を限界にしないために必要なスキルとは?

PEファンドの転職は35歳が限界とされるのは、要求されるスキルのレベルが高いためです。
ここからは、PEファンドへの転職で要求される専門的なスキルについて紹介します。自分の強みや能力をアピールする際の参考にしてみてください。

ファイナンスに関するスキル

PEファンドはおもに上場されていない株式へ投資を行って投資収益の獲得を目指すファンドです。基本的な手法としては非上場の株式を買い取って投資をはじめ、投資先の価値を高めて上場や売却などを行います。

非上場の株式を発行する企業は、市場価値が定まっていないため、PEファンドは自ら価値評価を行なって、投資先の価値を算出してその上で投資判断を行わなければなりません。そのためには財務モデリングや企業や資産の価値評価といった高度なファイナンスの知見が必要となります。

30代以上になると、例えば大学の講義や資格などで知識があるだけではアピールに欠けます。投資銀行や戦略コンサルファーム、FASなどで実際に業務で使用した経験がなければ、ファイナンスのスキルを活かして選考を優位に進めるのは難しいでしょう。

M&Aのスキルや経験

PEファンドでは、投資開始時点、バリューアップ、売却時(IPOではないEXITの場合)にM&Aをしばしば活用します。

PEファンドによる出資は、制度上は資本提携やグループ企業への組み入れと似たスキームとなります。また、運用中には企業価値を高めるために、他企業を買収したり、不要な事業を売却したりといったアクションをしばしば取ります。

M&Aは先に紹介した価値評価の知見に加えて、取引先の選定やディール交渉、契約締結やPMIなど多岐にわたる業務が発生し、かつそれぞれに非常に高い専門性が要求されます。

戦略コンサルや投資銀行、M&AブティックなどでM&Aビジネスの経験があれば大きなアドバンテージになるでしょう。そのほか、弁護士や会計士の中で、M&A分野を専門的に扱っている人なども、経験が役に立ちます。PMIの知見もアピール材料として有効です。

逆にこれらの人材に匹敵する専門性がなければ、M&Aを強みとするのは難しいでしょう。

事業再生や総合的なコンサル経験

バリューアップの局面ではコンサルタントの経験が役立ちます。

投資する企業の状況や業種などはファンドの意向によって異なりますが、例えば経営状況の悪い企業へ投資してバリューアップするファンドであれば、事業再生系のコンサル経験が役立ちます。

そのほか業務効率化や事業戦略の策定、マーケティング戦略など、コンサルタントにおける様々な領域をPEファンドのバリューアップの側面で活かすチャンスがあります。

これらは戦略・総合・ITに限らず様々なコンサルタントが強みとする領域です。自分がこれまで携わったプロジェクト経験をどのようにPEファンドの投資先のバリューアップに役立てるのか整理しておきましょう。

マネジメント経験

投資先の企業の経営者をPEファンドから輩出して、直接的に企業経営の改善を目指す場合も少なくありません。この場合PEファンドの傘下といえども、事実上組織のトップとして企業をマネジメントすることになります。

すなわち、企業や組織のマネジメント経験があると、PEファンドにおいてハンズオンで投資を行う場合に役立ちます。マネジメント経験については、相対的に高い年齢の人が持つ傾向があります。

そのため、一定の規模の組織や企業をマネジメントした経験があれば、より高い年齢でもPEファンドへの転職を成功させるチャンスがあるでしょう。

ファンドや投資に関する法制度への理解

ファンドビジネスは投資家への説明や、投資家の資金管理、投資先や運用状況の情報開示など、様々な部分で厳しい規制が敷かれています。投資家が公平に投資判断を行うことができて、理解が及ばないほどの過度なリスクを負うことがないように法制度が整備されているためです。

こうしたファンド関連や資産運用関連の法制度について理解がある人も、PEファンドにおいては優位に選考を進めるチャンスがあります。

例えば、資産運用会社でPEではないファンド投資やファンドの営業活動を行っている金融マンなどは、PEファンドへの転職を成功させやすいでしょう。また、弁護士で法制度について助言ができるほどの知識と経験がある人も適しています。

PEファンドで年齢ごとに狙えるポジションと年収とは?

PEファンドはコンサルと同様に、役割ごとに役職が与えられていて、年功序列で昇進していく訳ではありません。
ただし、経験年数が重視される傾向があるため、コンサルに比べると、長期で在籍することで昇進するチャンスが高まる場合もあります。

PEファンドの主な職階と年収イメージ
PEファンドの職階と年齢層、年収イメージは次のとおりです。なお、外資系を想定して記載しています。
アナリスト〜アソシエイト:800-1,500万円
ヴァイス・プレジデント:1,200-2,000万円
ディレクター: 1,500-3,000万円
マネージングディレクター:3,000万〜

それぞれの職階の年収イメージについて詳しく見ていきましょう。

アナリスト〜アソシエイト

最も若手に属するのがアナリスト〜アソシエイトです。PEファンドは少数で運営されている場合も多いため、アナリストとアソシエイトに分かれていないファンドもあり、その場合はどちらかの職階だけが設定されています。

最も若手といっても、PEファンドは新卒採用の門戸が限られているため、アナリストでも20代半ば〜、アソシエイトになると30代前半までは珍しくはありません。30代半ばごろには次の職階に上がっていたいというところです。

地道なデータ分析や資料作成を行います。投資判断における財務モデルの作成や投資先もしくはEXIT先の候補選定なども行うことから、若手でも高い専門性が要求されます。ただし、この職階はほぼ唯一ポテンシャルベースでの転職の余地があると言えます。

アソシエイトの年齢上限が30代半ば〜後半あたりになるケースが多いため、未経験・専門スキルなしの転職上限も35歳と言われているのです。

ヴァイス・プレジデント

一つ一つのディールや投資プロジェクトの中心的な役割を担うのがヴァイス・プレジデントです。アソシエイト以下が分析・作成した資料や売買候補先についてチェックして、投資先の選定をしたり、投資先へのコンサルティングを行なったりします。

ハンズオン型のファンドの場合は、投資先の企業の経営層として駐在するケースなどもあります。対投資家ではIRや運用状況の報告などでプレゼンテーションを行う中心的な役職になりますし、資金調達においては銀行などとの融資交渉を行うこともあります。

年齢層としては、若いケースでは30歳前後で昇格するケースもありますが、30代半ば〜40代というあたりのプレーヤーが多いと言えます。PEファンドは全体としてコンサルよりも高齢の人材が多い傾向があります。

ヴァイス・プレジデントの判断がファンド投資の成否を握っていることから、この役職になると専門スキルのない人がいきなり転職をするケースは稀です。

ディレクター

ファンド全体の投資先や資金の流入・流出の状況など全体をマネジメントするのがディレクターの役割となります。大口投資家への説明や、投資先のコンサルティングにおける重要な意思決定などにおいてはディレクターが参画します。

また、コンサルと同様で新規開拓は比較的シニア層が担当する傾向があります。将来のファンド設定の方向性や、潜在的な投資資金ニーズ、投資案件の開拓などを行い、案件が具体化してきたら、次号の新規ファンド設定へと進むことになります。

この辺りからは昇進タイミングにかなり差が出ます。PEファンドは小さい組織が多く、ポジションが空いたかどうかが昇進タイミングに影響を与えやすいためです。平均を取れば40代前後以降で昇格する人が多いと考えられます。

マネージングディレクター

コンサルタントにおけるパートナーの位置付けです(実際にパートナーと呼ぶファンドもあります)外資系の場合は日本支社の役員〜支社長クラスまでが該当します。

どちらかというとPEファンドを経営して行く立場であるため、具体的なファンドビジネスへの関わりは減っていきますが、中長期的な方向性、投資判断などに対する意思決定の中で、ファンドの成否に関わる重要な局面では対応します。

そのほかでは日本の役員クラスのイメージで、大口投資家の経営者層や融資先の経営者層などとコンタクトをとりリレーション構築に努めます。日本支社におけるリソースの増減や採用などの最終判断もマネージングディレクターが行うケースが多いです。

マネージングディレクターはそもそもなれる人が限られていますが、50代から60歳近い人も多いなど、コンサルや他の外資系企業と比べると高齢な傾向があります。

PEファンドに落ちやすい人の特徴

PEファンドは難易度が高い転職先であり、少しでも適性に問題があったり、スキル不足と判断されたりすると落ちてしまいます。
次のような特徴の人は、落ちるリスクが高くなるでしょう。

モデリングやケース問題の失敗

若手を中心にPEファンドの転職採用では、モデリングやコンサルのケース問題のような選考を課すケースが少なくありません。比較的基本的な内容にとどまる分、ここで失敗すると挽回できない可能性が高くなります。

若手向けの転職の場合は、実務経験がなくとも、市販の本などでキャッチアップできるレベルにとどめられていることが多いと言えます。暗に「未経験でもこれくらいは勉強しといて」というメッセージでもあるので、しっかりと対策は行っておきましょう。

コミュニケーション能力の低さ

PEファンドは、ほとんどの部署が対投資家もしくは対投資先企業と密なコミュニケーションを取りながら運用を続けていきます。時には厳しい質問に答えたり、難しい要求に対応したりと、高いコミュニケーション能力が求められます。

面接の場で質問に対する答えが的確でない、話が矛盾している、要点が見えないなど、コミュニケーション能力で不安を持たれたら、致命傷になるリスクが高いです。たとえ高いスキルを持っていても、一気に評価が下がる恐れがあります。

PEに対する興味や意欲が低い

PEは金融の中でも比較的ニッチな職業で、小さい組織が多い領域です。そのためPEに関する専門的な情報を集めるのも苦労してしまう人が多いのです。その中でもPEに対する深い知見と興味があり、転職意欲が高い人を選好します。

逆に浅い知識で面接に臨んできた人は選考に通りにくいでしょう。PEに関する付け焼き刃的な知識だけでなく、ファンドごとの特徴や過去の投資案件、主要な投資家層などの特性を整理した上で、ファンドを志望する理由を、他ファンドとも差別化しながら答えられるようにしておきましょう。

PEで長期的なキャリアを築く考えがない人

PEファンド業界は外資系の中では長期にわたり在籍する傾向が強い業種です。あまりに成績が悪いと解雇されたり、そもそもファンドの日本法人ごと撤退したりといったリスクもあるにはあります。

しかし、一つのファンド運営は数年以上にわたるため、そもそも「失敗・成功」が明らかになるまで長い時間がかかります。そのため、長期的なキャリアを形成して、各投資案件にじっくり取り組むスタンスの人が多く、転職者に対してもそのようなスタンスを求める傾向があります。

PEファンドで投資先企業の経営に参画したのち、いずれは企業の経営者になりたいといったキャリアビジョンを描く人もいます。しかし、少なくとも表向きはPEファンドビジネスにキャリアを通じて携わるスタンスを示さないと、選考においては不利に働く恐れがあります。

PEファンドへの転職ではコンサルの専門性を活かせば35歳は限界ではない

PEファンドの転職における35歳限界説は、PEで活かせる専門性を持ち合わせておらず、アソシエイトやアナリストでの転職を目指す場合の話です。

コンサルタントであれば、今回紹介したようにPEファンドで役立つスキルを実務経験とともに培っていることから、35歳以上でヴァイス・プレジデントやそれ以上の役職での転職のチャンスも充分にあるでしょう。
年齢における限界を気にせずに、ぜひ転職にチャレンジしてください。

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>PEファンドへのキャリアに関する記事

PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear

PEファンドのバリューアップチームとは?【採用要件から年収、バックグラウンドまで】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/pefund_what_valueup

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今回は、PEファンドへの転職における35歳限界説の真相と実態をお伝えしました。

PEファンドへのキャリアをお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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