今回はプライベートエクイティファンド(PEファンド)のワークライフバランスの実情についてご紹介します。また、投資銀行やコンサルティングファームと比べた際の残業時間や激務度についても具体的にご説明します。
【目次】
- PEファンドと投資銀行の残業時間やワークライフバランスの比較
- PEファンドとコンサルティングファームの働き方:残業時間やワークライフバランスの比較
- 激務を避けてプロモーションしている方の特徴やコツ・ワークライフバランスの工夫について
PEファンドと投資銀行の残業時間やワークライフバランスの比較
投資銀行からPEファンドへ転職するという方は毎年それなりの数がいますが、実際にワークライフバランスはどのように変わるかについて解説していきます。
結論から言うと、PEファンドの方が投資銀行よりも残業時間が少なく、かつワークライフバランスも改善し得る傾向にあります。
ただしどのような属性のPEファンドに入るか、PEファンドでの仕事のフェーズか(投資検討段階か、デューデリジェンスの段階か、投資後の100日プロジェクトなのか)によって変わることは意識しておきましょう。
投資銀行とPEファンドの違いは、時間の使い方がクライアントに左右されるか、自分たちでコントロールできるかという点にあります。PEファンドは一般的にバイサイドと言われる職種ですので、セルサイドと言われる投資銀行に比べてクライアント都合で仕事のスケジュールが振り回されるということは少なく、比較的自分たちで時間軸をコントロールしやすい点がワークライフバランスの改善につながっています。
残業時間については、投資検討の段階や提案の段階では比較的落ち着いていますが、実際に投資を検討しデューデリジェンスや投資委員会向けの資料作成の時期は業務量が増え忙しくなり残業時間も増加する傾向にあります。ただし作成する資料は投資銀行でよく作成する財務モデルやピッチブックと呼ばれる提案資料になりますので、スキルセットが既にある投資銀行出身者であれば、そこまで時間をかけず作成できるので、時間を取られすぎることはあまりないでしょうか。
また、投資直後の100日プロジェクトにおいては、実際に投資先に赴くことになりますので、業務量がやや増加してくる傾向にあります。ただ、PEファンドでは実際に資金を運用し良い投資先に投資しリターンを上げるという職種になるため、「多少忙しさが増しても将来的にボーナス等によって自分の懐に入ると思えば多少は苦ではなくなる」という声もよくお聞きします。
なお投資案件が少ないPEファンドは、必然的に業務量も少なくなるところもあり、ワークライフバランス・残業の点で格段に改善しやすいです。なお、日系・外資系問わずそれなりに投資案件があり、投資検討・実行している企業が多い場合は比較的忙しい傾向にあります。ただ、それでも「投資銀行のように毎日深夜ということはないので楽」という声もお聞きします。
ただ実績や経験を積むという点では、投資銀行ほどの激務度ではないにせよ多少の忙しさがある方が、将来的なキャリアを考える上ではプラスになると思われますので、激務な職種を超えた後で精神的・体力的にきつすぎないバランスのPEファンドがキャリアの視点からは良いでしょうか。
PEファンドとコンサルティングファームの働き方:残業時間やワークライフバランスの比較
コンサルティングファームも投資銀行と同様に激務で知られる業界、かつ投資銀行と同様にクライアントに時間軸を握られプロジェクトもタイトなタイムラインを指定されることが多いです。
そのため、先ほども述べたようにPEファンドでは自分たちで時間軸やプロジェクトのタイムラインを握ることが多いので、一般的にはコンサルティングファームよりもワークライフバランスや残業時間は少なくなる傾向にあります。
PEファンドでは投資銀行出身の方に加えて戦略コンサルティングファームに在籍していた方も多いですが、コンサルティングファーム出身の方は、投資銀行出身の方と異なりファイナンスのバックグラウンドというよりは業務改善や経営戦略といった、投資検討時のバリューアップ計画、投資後のハンズオン支援やバリューアップ支援に役割を多く振られることが多いので、投資後の100日プロジェクトでは投資先の企業や従業員をコミュニケーションを取りながら進めるなど、それなりに業務量・残業時間は増える傾向にあります。
ただし、「コンサルティングファームのようにクライアントに上から詰められたりすることや、タイトなタイムラインに追われるプロジェクトにアサインされるというよりは、実際に投資案件を検討する中で知的好奇心を刺激されながら経営戦略やバリューアップ戦略を考えるのは非常に面白い」という声もあり、精神的なストレスが減るという点ではPEファンドの方が戦略コンサルティングファームより良い環境という意見もあります。
激務を避けてプロモーションしている方の特徴やコツ・ワークライフバランスの工夫について
PEファンドではアソシエイト(ファームによってはアナリスト)、シニアアソシエイト、ヴァイスプレジデント・ディレクター・マネージングディレクター(ファームによってはパートナー)といった順に職階が分かれています。職階によって責任の範囲も異なりますが、各職階でワークライフバランスのコントロールや残業時間を増やしすぎないようにするなど、実際にPEファンドで働かれる方がどのような工夫をしているかについてご紹介します。
アナリスト・アソシエイト・シニアアソシエイトクラスでは、主にディールの検討時の資料作成や財務モデル作成、投資委員会向けの資料作成が主要な業務になります。投資銀行やコンサルティングファームほどの激務ではないですが、業務内容はそれらのプロフェッショナルファームとそこまで大きく変わりません。そのためワークライフバランス改善や残業時間を減らすには、投資銀行・コンサルティングファーム時代のスキルを維持し磨きをかけていくなどハードスキルの熟達が必須です。また簡単なミスをしないことや、上席や投資委員会のレビューに堪えうる資料作成を徹底することが作業量や業務量の減少につながりワークライフバランス向上に寄与すると言えるでしょう。
ヴァイスプレジデントやディレクタ―のクラスでは、アソシエイト等とは異なり実際にパワーポイントやエクセルによる財務モデルを作成するというよりは、ディールのマネージャーを行ったり、投資委員会や案件検討の資料のレビューをすることが主要な業務になります。それに加えて投資先の経営陣とのコミュニケーションも増えてきます。
ただし投資銀行やコンサルティングファームと異なり常にクライアントからハイクオリティのアウトプットやアドバイスを求められるというよりも、投資先に経営や企業価値向上に資するような知見、また二人三脚で経営改善をサポートしていくというファンドという立場もあります。そのため投資銀行やコンサルティングファームのようにクライアントサービスに追われるわけではないので、ワークライフバランスや残業時間という点では、そこまで多く意識しなくても増えすぎないことが想定されます。
なお、資料のレビューや海外とのカンファレンスコールなどは状況によって存在しますので、忙しい時は単発的にありますが時間軸はコントロールすることができますので普段からチームや投資先と密にコミュニケーションを図ることが重要になります。
パートナーやマネージングディレクターという職階になるとファンドの経営を担う職種になりますので、残業時間という概念は少なくなります。それよりもファンドとしての責任を負うのでいかに自分でスケジュールをマネージしていくということが重要になりますので、「プロモーションした結果、ワークライフバランスはコントロールしやすくなった」という声をお聞きすることが大半です。
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>PEファンドへのキャリアに関する記事
コンサルから投資ファンドの転職で求められるスキルとは?
https://www.axc.ne.jp/media/column-career-change-case/investmentfund
PE(プライベートエクイティ)パートナーに聞く「投資先CxO」選考時に注視するポイント
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityrecruit
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今回はプライベートエクイティファンド(PEファンド)のワークライフバランスの実情についてご紹介します。また、投資銀行やコンサルティングファームと比べた際の残業時間や激務度についても具体的にご説明します。
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