商品企画とは何か?【仕事内容から進め方まで】

販売活動の対象となる商品をデザインする仕事を「商品企画」と呼びます。ほかの企画業務と違って企画の最終的なアウトプットが現実に流通する物であるということから、具体的なイメージがつかみやすい業務といえるでしょうか。

しかし、目的とする商品の性質によって商品企画の作業の自由度がかなり違うものになります。一般的にBtoBのビジネスでは商品のライフが長く、技術的な要素の重要性が高い商品ほど商品企画は組織だった作業が求められる一方で、アパレルやエンターテインメント系の商品では企画担当者のクリエイティビティに関わるところが多くなります。

実際には商品の企画に関する部分のみで独立した業務となっていることは少なく、その前後の業務を含めて商品企画という職務の範囲とされる業務です。今回は、商品企画の仕事の目的とその内容について、仕事の進め方に沿ってご説明します。

【目次】

  1. 商品企画とは:新商品のイメージを具体化して直観的に理解できるものにする
  2. 商品企画の仕事・業務内容①市場分析
  3. 商品企画の仕事・業務内容②企画の構成
  4. 商品企画の仕事・業務内容③企画立案
  5. 商品企画の仕事・業務内容④プレゼンテーション
  6. (おまけ)商品企画の「よくある失敗」と「成功のコツ」

商品企画の仕事とは:新商品のイメージを具体化して直観的に理解できるものにする

商品企画とは、新しい商品を市場に投入するにあたり、その商品のイメージを具体化して直観的に理解できるものにするプロセスを指します。

【商品企画の仕事の具体例】

・イノベーティブな商品を投入して世の中に新たな価値を提供する
・既存商品の足りないところを改良して新たな顧客を開拓する
・他社とのコラボレーションによって事業の垣根を超えた提案を行う

抽象的な表現の「新製品」について、それは具体的にどのような性能、デザインのいくらぐらいのものなのかということを目に見えるものとして明確にします。

商品企画によって新商品の導入に関係するすべての当事者の目的意識を一つにすることができます。これをもとにしてこの商品のセールスポイントは何か、どれが重要な特徴でどのようなお客様が購入してくれるか、といった戦略を具体的に進めることができるようになります。

「商品企画」という言葉は「商品開発」とセットで使われることが少なくありません。商品企画がアイデアを具体的なイメージにするというプロセスであるのに対し、商品開発は商品を現実のものとして現出させるプロセスであるという違いがありますが、両作業はお互いに重なった部分が多く、それぞれを別々の業務だと考えるのは無理があります。組織が別になっている場合は両者の緊密な協調が必須です。

商品企画の立場から見れば、商品開発において企画の要素が達成される程度が商品企画の成否を決定します。また、商品開発の立場からすれば企画の時点で新商品の構成要素の軽重が討議されてていなければ実作過程において優先順位を決める基準が存在しないことになります。新しいプロダクトの商品化という流れのなかで、商品企画はその商品が顧客や社会にリリースされるまでの業務領域全体を見通した作業でなければなりません。

商品企画の仕事・業務内容①市場分析

商品企画は市場に投入するための新商品をデザインする活動ですので、まずは、どのようなお客様を顧客とするかという点を確定しなければなりません。商品企画が始まる前の時点で、何らかの形でターゲットの絞り込みがされているのが普通です。狙うマーケットセグメントや顧客タイプ、ベースとなる自社の既存製品や事業、想定される競合製品などの条件から、関連すると思われるマーケットを性格付けます。

この一次的な想定市場セグメントの中の構造を理解するために市場分析を行います。社内で懸案とされている新商品に関連する市場領域・製品群の特性について、3C4Pを切り口に市場の言葉で理解しなおしていくようなイメージです。新商品を投入することになるであろう領域とその周辺の状況を全体的につかんでおきます。

業務のアウトプットが最初から商品の社外での価値評価にフォーカスしているという点で、商品企画はマーケティングの一つの形と見ることもできます。この時点では新商品のアイデアや同じフィールドでのよく似た他社製品にあまり気を奪われないように、むしろ自分が知らない部分や見えていない市場について、正しく理解する機会として客観的に分析したほうが、広い視野を持つことができます。

商品企画の仕事・業務内容②企画の構成

マーケット視点で全体感のある理解を得たら、次に投入する新製品の有り方を決定する要因となる外部条件を洗い出していきます。アイデアだけで実際は作ることができないような企画はNG。作ってみたいというだけで売れないような製品では企画の価値はありません。開発スタッフの意見や営業の前線の生の情報を入手する必要があります。こういった社内の当事者は企画を実現させるまでの間、ずっと活動を協調させていくパートナーになります。これまでに面識がない場合にはしっかり人間関係を作っておくと、後々の活動にスピード感を持たせることができます。

購入してもらえそうな顧客がすでに特定できるなら、直接会って話を聞くのが有効です。この時、自社の製品を購入していないお客様の意見を聞く機会があると、大変有効な情報を入手できます。流通チャネルやサービスなど、製品以外の部分の要素が付加価値になって商品選定のキーになっていることもあります。

お客様が入手する全体的な価値という視点からみて、自社が提供できるものと開発しなければならないものを新商品の構成条件として抑えておく必要があります。商品企画のアイデア出しをする際に、自社の保有する技術やノウハウだけでどこまでできるのかを知っておくのです。新商品の価値をどこに置いて訴求するのかを顧客視点で構成するために必要な情報にアクセスできるようにしておくと後の段階で役に立ちます。

商品企画の仕事・業務内容③企画立案

商品企画にあたってはターゲットとするお客様での価値という点から、新商品としてどのようなものを提供するかということを考えます。社内での視点の置き方としては商品企画を営業企画と結びつけていくイメージですが、その延長線上で常に会社の外に焦点をおくようにします。企画のもとになるアイデアについては巷間に知られる発想法や思考法も利用するべきでしょうか。柔軟性のある思考と業界に関する経験に基づいた知識と洞察が必要です。

新商品の狙う顧客層が既存顧客の新たな需要喚起であればお客様の考えていることは理解しやすいでしょうが、新規顧客の拡大を狙う場合や新たなマーケットへの進出を目的とする場合には注意が必要です。企画担当者自身も社内の価値観の中で作業しているので、商品企画について自社がそもそも前提としている価値観がターゲットとする顧客タイプの求めるものとずれている可能性も想定しておくべきでしょうか。

商品企画にマスマーケティングの要素を重視しすぎると、パッケージやロゴなどによるメッセージングに関する思いつきに気を取られがちです。また、技術商品の場合に次世代技術の導入や高度な生産技術の採用などをメインテーマにおいて製品開発を重視すると、ターゲット顧客を非常に狭い範囲に限定してしまうことに繋がりかねません。

このような新商品は、社内の一部の関係者の都合で企画されていることに注意してください。こういった商品をリリースした場合、一時的にお客様の目を引いてもすぐに元の競合品に戻ってしまったり、既存顧客の一部が新商品に切り替えただけで新しい需要はほとんど増えなかったりといった事態が懸念されます。

このような失敗は事前の情報に基づいて予見が可能です。個人の達成感が商品企画の目的になってしまわないように、事前に行った調査と構成を冷静に受け止めた上でアイデアの実現可能性を現実的に評価し、シャープでアトラクティブな企画へと仕上げていきます。

商品企画の仕事・業務内容④プレゼンテーション

商品企画を実現に結び付けるには、通常上位のマネジメントの承認が必要なため、プレゼンテーションを行うことになります。事業部レベルの会議体に製品開発やマーケティング、営業といった部門のスタッフを含めた場が用意されることが多いようです。

プレゼンの内容は商品自体の説明に加えて、商品を軸とした戦略を描き出すようにします。企画商品がお客様や世の中にもたらす価値を説明し、必要な性能や特徴をこれに関連付けて記述し、競合品との比較やコンセプトの違いなどを明確に。そもそも現在存在しないものについて説明するのですから、プレゼンには完成度の高い表現が求められます。あいまいな記述や説明しにくいところを省略したようなプレゼンは不完全な企画と評価されます。観念的な物語にならないように、何が狙いでそのためにどういった商品が必要、という思考の筋道を関係者と共有したうえで合意する必要があります。

各部署での業務が把握できるように、想定される顧客のタイプや必要な用途開発、商流やサービス体制についても言及しておく必要があります。商品パッケージというのはお客様が購入し、受け取る全ての価値のことです。製品そのものよりも、サービス体制やソフトウェアなどの補完材の方が重要な意味を持つこともあります。エンドユーザーに近い商品では、社外とのパートナーシップやサードパーティ対策が商品企画の重要な一部となることも珍しいことではありません。

(おまけ)商品企画の「よくある失敗」と「成功のコツ」

商品企画においてよく見られる失敗が、社内の一部の声を重視してその人が作りたいものを作ってしまうことです。企画担当者の思い込みや技術者の個人的なこだわり、営業の既存顧客に対する執着などを実現するための機会として企画を作り、あたかもその意に沿う新商品が広く求められているかのようなストーリーを描いてしまいがちです。
これを避けるためには企画策定に先行する市場調査や商品戦略の条件の見極めが重要な指針となります。なぜ競合他社がそのような商品をすでに開発していないのか、という質問を自分に問いかけることが必要です。

また、商品企画で記述された新商品が顧客にどのように使われ、どのような価値をもたらすのかということについて十分に時間をかけて調査・説明するべきでしょうか。この点の合意が不十分な場合、商品開発のステージで企画書に記載された特徴のいくつかやりやすいものだけを取捨選択して実現した商品になってしまうことがよくあります。なんとなく目新しいけれど顧客にとってはかえって使いづらく、コストが却って高くなるような製品が商品化されると、企業の商品開発力そのものが弱いという評価が下されます。

新たな顧客、市場を開拓するために新商品を投入するなら、何か新しい価値を作り出す必要があります。この新しい価値は顧客の目でみた価値でなければなりません。今自社ですでに実施されている事業能力を少し乗り越えたところにある事業機会の開発を可視化し、そこへ向かうマップとドライブを戦略的に提案するべきでしょうか。優れた商品企画は関係部署の潜在的な能力に目を向けさせて、そのモチベーションを作り出してくれます。

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<企画職に関するコラム>

【転職事例から見る】営業企画から「事業企画」へのキャリアパス
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/salesplanningcareer

「事業企画」と「経営企画」の違い【キャリアパス~年収~必要なスキルと経験まで】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/planposition

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今回は、商品企画の仕事の目的とその内容について、仕事の進め方に沿ってご説明しました。

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