専門コンサルタントとは?専門コンサルの定義・必要な能力・種類などを解説

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コンサルタントの仕事に興味を持ち、または転職したいと考えて調べ始め、あらゆる種類の専門コンサルタントの存在を知ったものの、それぞれがどのような仕事をするのか、何が自分に向いているのか、イメージが湧かない方は多くいると思います。

そこで、
「専門コンサルティングファームの定義や仕事内容は何か?」
「業務に必要な知識やスキルはどのようなものか?」
「どんな種類の専門コンサルタントがいて、その業務・待遇の違いは?」
といった疑問にお答えしていきます。

自身も未経験から大手総合コンサルティングファームへ転職。
その後コンサルティングファームへの転職とポストコンサルの転職を支援するエージェントで勤務した経験を持つ筆者が、専門コンサルタントの定義と必要な能力、種類別の仕事内容や待遇について解説します。

【目次】

  1. 専門コンサルタントとは?専門コンサルタントの定義
  2. 専門コンサルタントに必要な知識とスキル
  3. どんな専門コンサルタントがいるのか?種類ごとの業務内容と待遇

専門コンサルタントとは?専門コンサルタントの定義

専門コンサルタントとは専門的な知見を持つ課題解決のプロ

専門コンサルタントだけでない全てのコンサルタントに共通する役割は、クライアント企業からの要請を受けて、彼らが抱えている経営課題の解決に向け、戦略・解決方法などを提示し、実行支援を行っていくことです。

コンサルタントは多くの場合、コンサルティングファームに所属して業務にあたりますが、そのコンサルタントは大きく分けると「専門コンサルタント」と「総合コンサルタント」のいずれかに該当します。

その中でも専門コンサルタントは、それぞれの分野や業界について豊富で専門的な知見を持ち、クライアントである企業や個人が抱える専門性の高い課題についても対応できるプロフェッショナルのことを指します。

以前と比べると、コンサルティングファームに経営課題の相談をすることが一般化し、コンサルティングファームが対応する領域が広がった一方で、コンサルタントに求められる業界・技術などの知見は専門性を増しているため、各領域での専門コンサルタントが増えています。

総合コンサルタントとの違い

では、専門コンサルタントと総合コンサルタントとの違いは何でしょうか。
総合コンサルタントは、クライアント企業の顧問に近い存在で、テーマを絞らずにあらゆる側面から経営改善に向けてアドバイスを行うコンサルタントです。

そのため総合コンサルタントは、クライアント企業の業界について、幅広い知識と経験を持っていることが必要とされます。

例えば、業務効率化や業務改革はもちろん、マーケティング・製造・人事や組織改革、時には海外進出など、扱うテーマは多岐にわたります。

専門コンサルタントに必要な知識とスキル

専門コンサルタントとして活躍できるようになるためには、全コンサルタントに期待されている共通の能力と、専門コンサルタントだからこそ求められる能力の両方を保有していることが求められます。
順番に解説していきましょう。

全コンサルタントに必要な知識とスキル

①クリティカルシンキング能力
全てのコンサルタントは、問題解決のエキスパートであることが求められます。
答えのない経営課題について、課題を特定し、その課題の理由・背景や対応する打ち手について仮説を立て、クライアント企業が腹落ちできる方向性を示すことが必要です。
クリティカルシンキングはその全てのフェーズで必要とされるため、全てのコンサルタントにとって重要な能力であり、専門知識より重要視される基礎力と言えます。

②コミュニケーション能力
次に重要になるのが、コミュニケーション能力です。
クライアントの立場や状況まで配慮したコミュニケーションができると、信頼関係を作ることができ、本音で経営課題についてヒアリングすることができます。
経営課題に関する具体的な事象や課題解決のヒントを、ヒアリングを通じて集めることができると、クライアントが納得せざるを得ない提案や課題への打ち手を作ることができます。
またコミュニケーション能力は、クライアントへの提案時にも必要となります。
提案の中には、クライアントにとっては耳が痛い、避けたいことについても言及しなければいけない場面が多くあります。

クライアントも感情を持つ人間であるからこそ、その感情や立場に配慮しながら、納得できる形で伝えられる能力が重要となります。
かつ、アサインされるプロジェクト次第では、クライアント企業に常駐し頻繁に接する可能性もあります。
現場のメンバーを含むクライアントと、良好な関係を作ることができるコミュニケーション能力も必要です。

③やり切る力
多くのコンサルティングファームは、提案した内容や課題解決の実行支援まで行い、具体的な成果につなげることを重視しています。
その過程において、クライアント企業における役員クラスから現場クラスの関係者、プロジェクトメンバーを巻き込み、プロジェクトを前に進めなければなりません。
想定外の問題などがあっても必死でタスクを終わらせ、期限内にアウトプットまで作り上げる仕事の仕方はコンサルタント独特のものであり、やり切る力・気力も求められます。

専門コンサルタント特有の知識とスキル

専門コンサルタントだからこそ求められる能力とは、専門とする領域に関し、クライアントの信用を得ることができる、または期待に応えることができるだけの知識・経験があることです。
知識・経験の例を挙げると、まずは専門分野に関する資格です。
財務・会計コンサルタントであれば、公認会計士・税理士といった資格で、ITコンサルタントであれば、ITストラテジストや応用情報技術者といった資格が該当します。

次に、専門分野に関する幅広い知識です。
業務に関する知識はもちろん、その業界におけるトレンドや最新技術動向、未来予測など、正解がなく、常にアップデートが必要な知識も含みます。

必須ではありませんが、専門とする領域の実務経験があると、クライアントの状況を想像することができたり、クライアントへの説得力が増したりと、ご自身の強みになります。

筆者が経験した組織・人事コンサルの領域では特にその傾向が強く、クライアントの経営課題について仮説を構築するときや、具体的な打ち手を検討するときに実務経験が活き、より本質的な提案につながることが多くあります。

どんな専門コンサルタントがいるのか?種類ごとの業務内容と待遇

専門コンサルタントは、特定の業界についての専門知識を持つものと、業務機能や特定のテーマについての専門知識を持つものがあり、その種類はビジネス環境やクライアントからのニーズの変化に応える形で増えています。
主要な専門コンサルタントの種類を列挙し、コンサルタント業務未経験の方でも採用されることが多い4つの専門コンサルタントについては詳細を解説します。

主要な専門コンサルタント一覧

戦略コンサルタント:経営戦略、組織改善、業績向上など、戦略策定の支援
ITコンサルタント:IT戦略・システム設計や改善などを通じた支援
組織人事コンサルタント:人事制度の構築、人材育成など、人材や組織関連の支援
財務・会計コンサルタント:資金調達、財務戦略など、財務や会計・税務関連のアドバイザリー
マーケティングコンサルタント:マーケティング・ブランド戦略やマーケット調査などマーケティングに関するサービスの提供
製造コンサルタント:製造業に対して、業務改善支援や製品管理に関する支援
医療コンサルタント:医薬品・医療機器メーカーや病院に対する支援
中小企業コンサルタント:中堅・中小企業に対して幅広いテーマの支援
企業・事業再生コンサルタント:事業の再生に携わるコンサルティング業務
環境コンサルタント:環境アセスメントなど環境に関する課題解決・支援
Webコンサルタント:Webサイトなどオンライン基盤の構築・推進
リスクマネジメントコンサルタント:企業内部のリスクを洗い出し対策の支援

未経験者の採用が特に多い専門コンサルタントの業務内容と待遇

戦略コンサルタントの業務内容と待遇など詳細
戦略コンサルタントの業務内容は、事業戦略や中長期の事業計画、その他経営戦略や経営課題についての提案・助言を行うことです。
コンサルタントの1人ひとりが幅広い業界のクライアントの支援に従事することができ、扱うテーマも幅が広く、クライアント企業の長期的な経営戦略・計画はもちろん、新規事業開発、海外事業展開、企業買収、組織人事変革、マーケティング、IT戦略立案などを担当することも多くあります。

マネージャー以上になると、評価基準に営業実績が加わり、より強く成果を求められますが、その分戦略コンサルタントの給与は魅力的な金額であることがほとんどです。

コンサル未経験者がなることが多い役職の給与の例を紹介します。
・アナリスト(コンサル歴0~3年):400~900万円
・コンサルタント(コンサル歴3~5年):900~1,300万円
・マネージャー(コンサル歴5年~):1,300~2,000万円

ITコンサルタントの業務内容と待遇など詳細

ITコンサルタントのミッションは、IT技術を活用しながらクライアント企業の経営上の課題解決を実行していくことです。
具体的には、クライアント企業の経営課題と、その課題の原因を調査・分析し、IT技術・システム導入でどのように効果的に課題解決できるかを軸に打ち手を検討し、クライアントに提案します。
かつ提案内容を実行することをクライアントが決めた場合は、提案した内容のITソリューションの導入・実施・実施後の改善まで行い、クライアントの経営課題の解決や具体的な成果の創出まで伴走します。

SIerの業務と混同されることが多いITコンサルタントの業務ですが、クライアントの要望に沿ったITソリューションを構築することがミッションのSIerと比較し、ITコンサルタントはその前の工程である経営課題の明確化や、その打ち手となるITソリューションの提案、そのソリューションの要件定義なども対象とするため、かなり上流工程からクライアントを支援できます。
具体的なプロジェクトのテーマとしては、IT戦略の立案・IT関連組織の立上げといった上流工程に関わるもの、業務効率化の打ち手としてのERP・SRM・SCMといったシステムの導入・実施・実行支援のプロジェクトの管理(PMO)、IT業務のアウトソーシングなどが挙げられます。
ITコンサルタントの待遇は、ファームによって差があるものの、他のIT関連職種と比較してもかなり高い金額であることがほとんどです。

コンサル未経験者がなることが多い役職の給与の例を紹介します。
・アナリスト(コンサル歴0~3年):500~700万円
・コンサルタント(コンサル歴3~6年):700~900万円
・マネージャー(コンサル歴6年~):900~1,400万円

組織人事コンサルタントの業務内容と待遇など詳細

組織人事コンサルタントは、人事・組織戦略の立案・制度構築・人材育成などの一般的なテーマだけでなく、クライアント企業が直面している組織・人事に関連する幅広い経営課題について対応します。

筆者が経験した業務を例に挙げます。
ハード面のテーマだと、海外の人材や優秀なIT人材の獲得・維持ができる組織や制度(評価や給与体系含む)の設計、海外支社におけるローカルスタッフの評価制度の構築などが挙げられます。
ソフト面のテーマだと、働き方改革・ダイバーシティ推進・戦略立案ができる次世代経営層のリーダーシップ開発、マネジメント層の意識変革、チームビルディング研修などです。

その他にも、離職率低減やM&Aに伴う人事制度統合、タレントマネジメント、採用戦略立案など、クライアント企業の状況・課題にあわせて施策を提案・実施していきます。

他の専門コンサルタントと比べ、課題の特定が難しい場合や、複数の課題が複雑に絡んでいる場合が多く、関係者・従業員へのヒアリングをした後に提案する課題の定義・打ち手の内容が、当初クライアントから提示されていた課題をもとに作成した提案書と、かなり異なる場合もあります。

組織人事コンサルタントの待遇は、ファームによってかなり差があり、例えば人材育成に特化した国内独立系コンサルティングファームだと、大手総合コンサルティング数百万単位で年収が下がることも多くあるため、確認するようにしましょう。

コンサル未経験者がなることが多い役職の給与の例を紹介します。
・アナリスト(コンサル歴0~3年):500~600万円
・コンサルタント(コンサル歴3~6年):600~900万円
・マネージャー(コンサル歴6年~):900~1,200万円

医療コンサルタントの業務内容と待遇など詳細

医療コンサルタントは、医療分野に特化してコンサルティングサービスを提供するプロフェッショナルであり、主に病院・介護施設・ヘルスケア関連企業(製薬会社・医療機器メーカーなど)の経営面での課題解決の支援を行います。

その業務内容は、病院・介護施設を対象にする「医療機関向けコンサルティング」と、ヘルスケア関連企業を対象にする「医療関連企業向けコンサルティング」で異なるため、それぞれ説明します。

病院などの医療機関向けコンサルティングの業務内容は、大規模病院の経営コンサルティング(中長期戦略の策定・業務改善・コスト削減・システム導入・人事制度策定など)や、開業を希望する医師の開業支援・開業後のクリニックの運営支援(経営計画の策定・マーケティング支援・会計や税務のアドバイザリーなど)などです。

病院などの医療機関では、経営に関する知見のある人材が少なく、経営課題に直面することがあり、そのような困難に直面した機関からの要請でコンサルティングを行い、経営課題を特定し、資金調達からシステム導入まで幅広く支援を行います。

製薬会社など医療機関向けコンサルティングでは、クライアント企業の収益改善のための戦略や、マーケティング支援などを行います。

製薬会社の営業先は病院などの公的機関が多く、他業界で一般的に行われているマーケティング・集客とは異なる部分が多いため、医療分野での知識・経験が必要とされます。
また最近増えているのは、ヘルスケア領域に参入を検討している企業の事業開発支援です。

医療分野での事業開発・新規参入の障壁は高く、複数の観点から対応が必要であり、医療コンサルタントの支援が必要になる場合があります。
医療コンサルタントの待遇は、ファームによって差はあるものの、外資ブティック系のコンサルティングファームに所属する場合、給与水準は高めです。

コンサル未経験者がなることが多い役職の給与の例を紹介します。
・アナリスト(コンサル歴0~3年):500~800万円
・コンサルタント(コンサル歴3~6年):800~1,300万円
・マネージャー(コンサル歴6年~):1,200~2,000万円

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>コンサルタントに関する記事

コンサルタントの自己研鑽。何かいい資格はないか?と考える前に取り組むべきこと
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consultantskillup

何が違う?コンサルで「マネージャー昇格後」も「継続的に活躍する人」の共通点
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consul_difference

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今回は、専門コンサルタントの定義・必要な能力・種類などについてお伝えしました。

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