RFM分析の活用事例をわかりやすく解説【顧客分析でマーケティング効果を高める】

マーケティングにおいて顧客分析は重要なプロセスの一つ。しかしながら、地域や性別、職業といった一般的な属性による顧客分類をもとにしても、思うようにマーケティング効果が出ない場合も少なくありません。

顧客分析に役立つフレームワークの一つにRFM分析があります。顧客の購入態度をもとにセグメント分けする方法で、うまく活用すれば、顧客の購買行動にあったマーケティングが行えるようになります。

【目次】

  1. RFM分析の基本
  2. RFM分析を活用したマーケティングの進め方
  3. RFM分析のロールプレイング:活用事例
  4. RFM分析を活用して効率的なマーケティング戦略を導入しよう

RFM分析の基本

RFM分析は、顧客の購買行動をもとに分類をおこなう顧客分析フレームワークの一つです。具体的には顧客を次の軸でセグメント分けします。

  • R:Recency(最近いつ購入したか?)
  • F:Frequency(どのくらいの頻度で購入したか?)
  • M:Monetary(どのくらいの金額で購入したか?)

これらを軸に顧客を分類することで、顧客に優先順位を付けて、それぞれに適したマーケティングをおこなえるようになります。

通常はR・F・Mそれぞれについて、3〜5段階程度のランク付けを行い、顧客の重要性を分けていきます。優先順位の高い顧客から対応して、速やかに売上につなげていくのが基本ですが、あえて休眠顧客や小口の顧客にアプローチして優良顧客化し、売上拡大につなげる戦略がとられる場合もあります。

ここからは、RFMそれぞれの軸について、詳しく紹介していきます。

R:Recency(最近いつ購入したか?)

一般的には購入タイミングが最近の顧客であるほど、まだ商品を検討し、購買に至った時の記憶が鮮明である分、リピーター化する期待値は高いと考えられます。逆に購買から日数が経っても再購入を検討していないということは、気持ちがその商品から離れていると考えられるため、更なる売上につなげるのは容易ではありません。

通常はR1〜R3もしくはR1〜R5などRの記号を付けたうえで3〜5段階程度にセグメント分けします。最近購入した顧客には、アフターサービスや類似商品、付属商品などのセールスにより、短期間での更なる収益化を狙います。

一方、購入から日数が経っている顧客には、新規顧客に近いアプローチが求められます。特性を伝えて商品を改めて認知させ、興味を持ってもらわなければなりません。

F:Frequency(どのくらいの頻度で購入したか?)

購入頻度は、高いほど優良顧客であると考えられます。F○と付番してセグメント分けするのが一般的です。

ただしあまりにも購入頻度が高い顧客に対しては、セールス活動を積極化してもそれ以上の売上拡大が見込めない場合もあります。その場合には、購入頻度が中〜低の顧客にあえて積極的にアプローチして、売上の拡大を狙うこともあります。

Fの数値はあくまで参考であり、最終的には自社のマーケティング方針によって、注力すべきセグメントは変わってくる点にも注意しましょう。

M:Monetary(どのくらいの金額で購入したか?)

これは非常にシンプルですが、購入金額の高い顧客は「大口顧客」となり、優先度が高いと言えます。やはりM○と付番して管理するのが一般的です。

オーソドックスな手法としては大口顧客に対して、今後も継続的な購入を促すようなマーケティングを行います。

一方で、商品特性や購入金額、頻度などをふまえて更なる売上拡大が見込みにくい場合には、あえて売上金額は小さいが伸びしろのありそうな顧客からあたって、売上拡大を目指すこともあります。

RFM分析を活用したマーケティングの進め方

RFM分析の結果をうまくマーケティング戦略に活かすためには、適切な順序でマーケティングを進めていかなければなりません。ここではRFM分析を用いたマーケティングの進め方を紹介します。

マーケティング課題を明確にする

まず、今回解決すべきマーケティング課題を定義します。RFM分析の結果の活用方法はマーケティング課題によって変わってくるためです。

優良顧客に効率よくアプローチするなら、RFMのスコアが高い顧客を優先的にあたることになりますが、規模の小さい顧客の育成や、休眠顧客の再開を目指すなら、よりスコアの低い顧客に着目することになります。

まずは課題を定義して、RFM分析をどのように活かしていくのか明確にしましょう。

データを定量的に集計する

課題が明確になったら、顧客の購買情報を集計します。属人的になったり、漠然とした集計になったりしないよう、データはエクセルなどに整理していきましょう。

RFM分析をおこなうためには、少なくとも顧客の購入頻度・直近の購入日時・購入金額のデータが必要です。性別、年齢、居住地域や職業などの情報があると、更に詳細な顧客分析をおこなえて、後々マーケティング戦略を立てるうえで役立ちます。

データ分析をおこなう

データを集計したのち、まずRFMそれぞれについて、どのような基準で段階分けするかを明確にします。商品や対象顧客、今回解決を目指す課題などによって切り分ける基準は変わってきます。実際集計した顧客のR/F/Mの分布状況も見ながら、うまく顧客属性を切り分けられるように、区分けを工夫することが大切です。

課題解決につながるマーケティング施策を検討する

顧客のRFMに基づく評価結果をもとに、課題解決につながるマーケティング施策を検討します。

課題の内容によってもここからの進め方は変わってきます。例えば優良顧客のロイヤリティを高めたいなら、RFMスコアの高い層の属性や特性を分析して、彼らに好感されるマーケティング施策を考えます。

逆にRFM分析のスコアが低い層の属性を確認して、彼らに魅力を訴求するマーケティング施策を打つことで、大きく売上拡大を狙う方法もあるでしょう。

複数の評価軸をクロスして活用することもできます。例えば、購入頻度(R)の評価が高いわりに、購入金額(M)が伸びない層がある場合、この層の客単価を高めるための施策を打つ、といった具合です。

このように解決したい課題によってRFM分析の結果の活用方法は変わってきます。そのため、最初にマーケティング課題を明確にしておく必要があるのです。

RFM分析のロールプレイング:活用事例

ここからはA市という地域にあるリーズナブルなアパレルショップを想定して、RFM分析を導入してマーケティング戦略を策定していきます。実際にRFM分析を導入する際の参考にしてください。

①課題の定義

今回は次のような課題意識があるとします。実際にどの課題を優先的に解決するかは、RFM分析をふまえながら決めていくことにしました。

マーケティング部門が抱く課題

  • 客単価が競合より低い
  • 一部の優良顧客に売上が集中しているため、顧客層を広げたい
  • 定期的に発行しているクーポンのマーケティング効果を高めたい

②顧客データの収集

続いて顧客データを収集しました。このショップはアプリによる会員システムがあるので、会員情報をもとに下記の通り顧客情報を収集していきました。

上記は一部の抜粋で、実際には全会員顧客に対してこちらのリストアップをしたものとします。

③データ分析の実施

続いて、RFMそれぞれのランク分けをすることにしました。今回は売上高や購入頻度などもふまえて、次の基準で3ランクに分けていきます。

例えば先ほどのリストに当てはめると、次のような評価となります。なお仮に本日を2022年7月15日とします。

これを全アプリ会員に対しておこなっていきます。

④課題解決をふまえた解決策の検討

RFMの集計をしたところ、次のようなことが判明しました。

  • F1に属する顧客層のM1該当者が期待したほど多くなく、1回あたりの購入金額がF3の半分程度と低い
  • F1の大半が30代女性・A市在住だった
  • 会員はA市が40%と多いものの、近隣のB町、C市も30%程度ずつ分布
  • クーポン利用者はF1・F2が多く、R3・F3にはほぼ皆無だった

このような状況をふまえて、以下のマーケティング部門が抱いていた課題を照らし合わせて解決策を検討してみましょう。

  • 客単価が競合より低い
  • 一部の優良顧客に売上が集中しているので、顧客層を広げたい
  • 定期的に発行しているクーポンのマーケティング効果を高めたい

⑤客単価が競合より低い

客単価については、リピート頻度の高いF1層の購入金額底上げが解決の糸口になりそうです。複数商品の購入や一定金額の購入によりお得になるキャンペーンを定期的におこなうことで、F1層の客単価を改善させられます。

⑥一部の優良顧客に売上が集中しているので、優良顧客層を広げたい

F1が30代・A市在住の女性に集中しているという状況が浮かび上がりました。別の年齢層の女性、男性を取り込むには、販売する衣服のデザインなどから再考することになるため、ハードルが高そうです。

一方、会員の分布状況をふまえるとB町やC市在住の会員顧客の来店頻度を増やす施策が有効でしょう。地域を絞ったクーポン配布や、遠出しやすい休日を狙った広告発信などの施策が考えられます。遠出のついでに寄りやすい周辺のカフェ・レストランなどとのコラボレーション企画も一案です。

⑦定期的に発行しているクーポンのマーケティング効果を高めたい

マーケティング部門が懸念していた通り、クーポンはF1~F2の来店を促すことには役立っているものの、休眠顧客の需要喚起にはほとんど効果を発揮していませんでした。

これまではアプリ会員に画一的なクーポンを配布していたのですが、クーポンの値引率が、休眠顧客の再来店を促すにはインパクト不足だった模様です。

そこで休眠顧客に対してのみ、より大胆な値引きをおこなうクーポンを発行したうえで、来店頻度に応じてお得になるプログラムを導入することで、再来店→来店頻度の向上を目指すこととしました。

以上の3つの解決策を検討してみたところ、B町・C市の会員の優良顧客化の伸びしろが大きいと判断。そこで、このアパレルショップはB町・C市のF2顧客に、アプリを通じて積極的にアプローチをかけることにしました。

RFM分析を活用して効率的なマーケティング戦略を導入しよう

今回紹介したRFM分析は顧客の購買状況をもとに分類し評価する方法です。最近の購買タイミングや購買頻度、購買金額をもとに、データ分析をおこなうことで、自社のマーケティング課題に対する解決策を検討できるようになります。

顧客の購買行動によってターゲットを絞ったうえで、適切なマーケティング施策を実行すれば、効率よく優良顧客層や売上の拡大につなげられるでしょう。

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>マーケティングに関する記事

【AIDMAのフレームワークと具体例】消費者行動モデルの原点でマーケティングの基礎知識
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/aidma_marketing

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今回の記事では、顧客分析に役立つフレームワークの一つRFM分析をご紹介しました。キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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