【保存版】「シニアコンサルタント」からマネージャーに昇進・活躍するまでのAtoZ

「マネージャー」というタイトルは、コンサルタントのキャリアにとって一つのマイルストーンと考える方も多いのではないでしょうか。その一方で、マネージャーにプロモーションするには高いパフォーマンスを残す必要があり、「100人に5人など」狭き門とも言われています。
そこで今回は、「シニアコンサルタント」からマネージャーに昇進・活躍するまでに注意したい点・意識したい点を、マネージャー経験がある筆者が解説します。
Index
マネージャーとしてプロモーション候補に上がるための条件・重要要素
実際にマネージャー以上にプロモーションした方の共通点やパートナー勢からの声をまとめると、候補に上がるための主な条件・重要事項は以下の通りでした。
- 「受注を生み出す」経営層へのコミュニケーションスキル
- アグレッシブに社内外での存在価値を高める
- 貪欲に学ぶ謙虚さ
多くのマネージャーが、
「コンサルクラスに必要なデリバリースキルだけでなく、経営層に気に入られるような高いコミュニケーション力が求められる」
と語っています。
また、マネージャー昇格にともない、マネジメントや採用の業務も担当するようになります。そのため、社外はもちろんのこと、社内でもしっかりとネットワークを形成できる方が、プロモーション候補に上がりやすく、また、昇格後も活躍しやすいようです。
また、あるシニアコンサルタントに「マネージャーに昇進する条件は何か?」とうかがったところ、
「端的にマネージャーとしてクライアントに売れるかどうか。例えばシニアコンサルタントとしての単価が月額300万だったとして、「マネージャーになったので明日から単価が月額500万になります」とクライアントに説明した時、それでも雇ってもらえるか」
とのことでした。
また、別のマネージャーにお聞きしたところ「自分の1日のパフォーマンスが単価に見合うものかいつも確認していた」そうです。ただ、クライアントの社員が出すパフォーマンス以上のものを常に求められるのは当然ですが、クライアントの社員が目の前に抱える問題を解くだけだといわゆる「高級派遣」になりがちです。「お客さんの気づいてないことを提案し、解決する」ことで、自分の価値をさらに高める挙動が求められます。
コンサルティングファーム転職直後の場合、ファーストアサインは「Will」より「Can」を優先し、キャリアカウンセラーへのアピールも忘れずに
そのファームに転職直後だった場合には、ファーストアサインは「Will」より「Can」を優先するというのが鉄板のようです。例えば、「折角転職をしたからには新しいことにチャレンジしたいと考え、未経験プロジェクトを希望していたが、声がかかったのは前職での経験を活かせるプロジェクトだった」という場合です。
確かに、自身の志向とはマッチしないかもしれません。しかし入社後にスムーズに活躍されている方に話を聞くと多くは「ファーストアサインは経験を活かせるプロジェクトを選んだ」と回答されます。
プロジェクトの進め方や人間関係・社内ナレッジなど、あらゆるものが前職とは異なる環境でパフォーマンスの発揮が求められます。まずは、ファーストアサインは「Will」より「Can」を優先し、社内信頼を獲得するというのも選択肢ということでしょうか。
また、多くのファームでは、試用期間が終了し本採用に切り替わるタイミングでキャリア面談が設定され、採用時の役職が実力値とマッチしているか再検討がなされます。このタイミングで共通して試用期間中に「プロモーションをしたい」とキャリアカウンセラーにアピールすることも大切です。
実際に、キャリアカウンセラーにお聞きしたところ、「試用期間中にプロモーションをしたいと言ってくるメンバーはほぼいないので、自ら言ってくる骨のあるメンバーのことはつい助けてあげたくなる」とのコメントもありました。
当然、試用期間の成果によってはタイトルダウンするケースもあります。成果を出すのは当然として、それにプラスしてプロモーションをアピールすると思い描いたキャリアへと一歩先に進める可能性が高まるようです。
シニアコンサルタントは年齢的にいつまでにマネージャーに昇格すれば順調なキャリアなのか
多くのシニアコンサルタントの方から「いつまでにマネージャーに昇格すれば順調なキャリアだと言えるのか?」というご質問をいただきます。
近年ではコンサルというビジネスが社会的に認知されたことによりニーズが高まり成長拡大などの影響から、各ファームで慢性的な人材不足が発生しています。その結果、現在では飛び級を含め2年でのタイトルアップもよく見られるようになりました。以前は早くて3~4年周期でのタイトルアップが一般的で、マネージャーへの昇格は30歳前後だと順調というのが一般的でしたが。しかし近年では、マネージャーへのプロモーションを加速するファームが増えています。
リミットとして多くの方が口にするのは、マネージャーへの昇進期限の目安は「おおよそ35歳」という説でしょうか。同ファームに長年在籍しているのにも関わらずシニアコンサルタントからタイトルアップできない場合、現職のファームがマネージャー候補に求めているものと実際のスキルや経験がマッチしていない可能性が高いと考えられます。
後述するように、実は一口にファームのマネージャーと言っても、ファームごとに求められる資質は大きく異なります。ITソリューションを得意とするコンサルファームでは、ITの分野においてプレゼンスの高い人材が評価されます。同じスキルを持つコンサルタントが戦略ファームにいた場合、求められるスキルが異なるので評価は相対的に低くなるでしょう。
つまり、コンサルファームが得意とするソリューションや、メインストリームに沿ったスキルセットを持った人物でないと評価されない傾向にあります。
実際に、まったく同じスキルを持った人材でも、働くコンサルファームを変えただけで肩書、年収が大きく変わるケースや事例は弊社でも数多くあります。
実例)30代半ば「シニアコンサルタント・年収900万円」から他ファームの「マネージャー・年収も1,200万円」で転職 など
キャリアアップできなかったから「ファームの仕事そのものに対して自分には適性が合わない」「ファームが合わないから安易に事業会社だ」と飛びつくのは非常に危険です。一度選考に落ちてしまうと一定期間再受験することができなくなってしまいます。まずは志向性を整理し、どの企業を受けるかを冷静に検討いただくことをおすすめいたします。
マネージャー以上への早すぎるプロモーションは、キャリア上のリスクになりうることも
一方で、外資系総合ファームのシニアマネージャーにお聞きしたところ、「早すぎるプロモーションにより苦労している方が一定数いるのが現状」とのことでした。
理由としては、マネージャー以上になるとシニアコンサルタントまでに課されなかったセリングやリレーション、チームマネジメントなど新しい責務が急に増えることが挙げられます。その結果、シニアマネージャーの方曰く「ゆっくり、じわじわ成長するタイプ」のコンサルタントは伸び悩んでいるそうです。
マネージャーに昇格すると年収水準も1,000万円を超えるなど魅力的な面も多くあります。しかしその分期待値も上がり、また1~2年で能力を見極められるなどキャリア上のリスクも増えます。プロモーションの候補に上がったと思われた場合には、一度立ち止まって現状のスキルや経験を棚卸しすることが大切です。「自分は現職マネージャーのロールにふさわしいのか、まだ早すぎでないか」と客観的な分析をした方がその後のキャリア形成にも好影響を及ぼすでしょう。
シニアコンサルタントからマネージャー昇格にともなう、ロールと年収の変化
シニアコンサルタントからマネージャーに昇格すると、任せられるロールや責任が増える分、年収も大幅にアップします。1,000万円を越える企業がほとんどであり、年収の上がり幅が1.5倍を超えることもあります。
(例)
- A社 SC:500~900万円 → M:1,000~1,400万円
- B社 SC:750~950万円 → M:1,000~1,350万円
- C社 SC:600~900万円 → M:1,000~1,300万円
また、当然それまでのデリバリーに加え、PJの予算達成、マネジメント、さらにクライアントとのリレーションなど、求められる能力が一気に増えます。さらに、ファームによってはマネージャー以上からセリング(営業目標)の予算が付きます。
ファーム毎さらには部門ごとに異なる為、あくまで目安になりますが
- マネージャー:1億円
- シニアマネージャー:1.5~2億円
程度でしょうか。
コンサルファーム毎にマネージャーのロールや求められる能力は大きく異なる
一方で、コンサルファームによっては同じ「マネージャー」というタイトルでも任される業務や、その割合が異なります。
大きく以下の3つに分かれるでしょうか。
- マネジメント力が重視されるケース・・・30人~50人規模のチームをマネジメントできるか?
- デリバリー力が重視されるケース・・・難易度の高いプロジェクトを推進・完遂できるか?
- セリング力が重視されるケース・・・営業力があるか?仕事を取ってこられるか?
またマネージャーのプロジェクトへの関わり方もファームによって異なります。たとえば、案件があった際にマネージャークラスのコンサルタントがストーリーを決めて目次を作り、各々にタスク分解して資料を作るケース。マネージャーより下のスタッフクラスで案件に対する提案資料を作成し、マネージャーはレビューを行い、提案を仕上げていくファームなど、求められる能力だけでなくプロジェクトへの関わり方・仕事の内容も異なります。
自分の強みによってマネージャーとして活躍できるファームも異なるので、一度キャリアの志向性や強みを棚卸することをおすすめします。
マネージャーとして「ファームtoファーム」転職した際には「KPI」と「業界内の評判」に注意
ファーム毎にマネージャーのロールが異なるということは、求められるKPIの比重も変わるということになります。
(例)
- A社:営業活動のKPI比重が高いことから、マネージャークラスは案件獲得への意識が高い。結果としてデリバリーの現場に関わることが少なくなる。
- B社:A社とは反対で、セリングよりもデリバリーの質が重視されるので、マネージャーはプロジェクトに目を光らせていることが必要。
また、マネジメントする社員の属性によって、デリバリーの質やマネジメント方法も変化してゆきます。
(例)
- 「プロパーor中途が多い」
- 「戦略orITに明るいメンバーが多い」
- 「グローバルプロジェクトに対応できるメンバーが多いor少ない」
マネージャーとして「ファームtoファーム」の転職をする際には、各ファームのKPIを事前に抑えておくことをおすすめします。
また、主要ファームでコンサルタントの人数は25,000人。さらに、マネージャー以上のクラスになると5,000人ほどになります。この限られた人数が同じ業界を移動するので、「あのマネージャーが今度はこのファームに転職した」という評判はすぐに広がります。「思っている以上に業界は狭い」ということを心掛け、日ごろからビジネスパーソンとして襟を正して仕事をすることをおすすめします。
マネージャーに昇格してから新たに発生する悩みと対策
上記のように、求められる能力が一気に増えるマネージャーというタイトルですが、ファームでは働き方改革が進む一方で、若手中心のコンサルタント~シニアコンサルタントの採用と比較すると、ミドル層のマネージャーの候補者は絶対数が少なく、各ファームでマネージャーが足りないという状況になりがちです。
マネージャーに昇格するとクライアントとデリバリークラスのコンサルタントとの板挟みになるシーンが増える、未経験層の採用のコンサルタントへの育成の時間配分が増えるなど、新たな様々な悩みや苦労も発生します。
特にマネージャーではまだデリバリーで評価される面も多く、分析や資料作成を行うシニコン以下の育成が重要な仕事となってきます。ありがちなのが、デリバリークラスのメンバーがまだ仕事ができず、「自分でやった方が早いから」と本来下に任せるべき仕事を引き受けてしまうパターンです。結果的に部下が育たず、自分の業務量も逼迫し、二重苦に追われその後の昇進にも響いてくるというケースです。
それを避けるためにも、採用の時点から積極的に関わり、コンサルとしてポテンシャルのある方を見極めた採用を行う、また自分との相性を確かめるなどの対策が有効のようです。
さらに、物事を正確に理解し、不必要な作業を省き、本当に自分がやるべき仕事か、これは任せた方が良いのかなど、必要な仕事を見極める挙動がより求められます。
(ご参考)マネージャー以外にもスペシャリスト職というキャリアパスも
また、専門領域に特化したい方向けに、現在ではデリバリーのスペシャリストを目指すポジションを各ファームで新設しています。
内情をお伝えすると、
■組織マネジメントの責任を外すケース。
多くの会社でミッションから外れ、クライアントの課題解決にコミットしやすい
■営業の責任を外すケース。
これは企業ごとに大きく異なりますが、営業目標を達成しなくても評価で減点されることはなく、案件を獲得出来たら加点されるファームもあれば、PMのプロフェッショナルとして一切セリングに関わらないファームもある。
ただし、スペシャリスト職のトップを目指すには
- 「日銀総裁とコネクションを持っている」
- 「特定領域の有名人で定期的に講演会の依頼が社内外から入る」
といったレベルのコネクションやスペシャリティが必要とされます。
(ご参考2)事業会社に行くには?タイミングはSCそれともM?などエグジットについて
多くのシニアコンサルタントの方から「事業会社へエグジットするタイミング」や、コンサルのスキルが活かしやすい部署についてご質問を頂くケースが多いです。
(ご参考3)フリーランスになるという選択肢も
フリーランスに関するご相談をシニアコンサルタントの方からいただく機会が年々増えております。具体的には、どのようなスキルがフリーランスとして活かせるのかという質問です。
求める人材の要件を見てみると、「BPRプロジェクト経験、IT企画書・計画書作成経験」など、意外にも、コンサルタントが普段の業務の中で何気なくやっている業務がフリーランスでは基本的な要件として求められています。このような業務スキルにプラスして、「SAPプロジェクトのフル工程経験」など市場的にもニーズのあるスキルがあると、報酬が上がる傾向にあります。
ファーム在籍者が独立してフリーコンサルとなった場合、求められるスキルや業務内容がそのままスライドで変わらない場合でも、年収は1.2~2倍になるケースが多いです。当たり前の話ですが、独立すると、組織に残さなければいけない利益がないため、それがそのまま自分の給与の増加分となります。
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今回の記事では、「シニアコンサルタント」からマネージャーに昇進・活躍するまでのAtoZについてお伝えしました。
次のキャリアを模索・検討されている方はぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。