今回は、投資銀行部門(IBD, Investment Banking Division) に第二新卒で入社する方法についてお伝えします。
具体的には第二新卒(25~26歳、卒業後2~4年)においてコンサルティングファーム/事業会社/金融機関それぞれで、どういったチーム・部門に所属すべきか、そして、そこでどのようなスキルを身に付ければ、第二新卒枠で転職できるのかということについて詳しくご紹介します。
【目次】
コンサルから投資銀行を目指す人
コンサルティングファーム出身者で採用可能性があるのは、外資系の戦略コンサルティングファームもしくは、会計系(特にBig4)のFASに所属しているコンサルタントになります。
戦略コンサルティングファームから投資銀行に転職する方は若手ではいらっしゃいますが、投資銀行と戦略コンサルティングファームでは求められるスキルや社風も異なるのでその点に注意しましょう。
特に財務3表のモデリングの知識、コーポレートファイナンスの知識やバリュエーションのスキルがないと入社後に苦労する可能性があるので、面接前はもちろん内定後も勉強しておきましょう。
コンサルティングファームでは投資銀行での実務に生かせるような経験が望ましいです。戦略コンサルティングファームではビジネスDDやプライベートエクイティファンド向けのコンサルティングプロジェクトを経験していることで、対象会社のビジネスを理解する能力や、簡単な財務分析を行うスキルが鍛えられるでしょう。
FASにいる方は会計士の人など、DDやTax等の投資銀行にはないサービスラインの経験はしていても、投資銀行が行うようなM&Aアドバイザリーのチームで経験を積んでいるかどうかは重要なポイントです。DDのみですと投資銀行への転職可能性は低くなりますし、少なくともバリュエーションの経験は必須です。
基本的にFASのチーム構成は日系投資銀行と同様に人数が多くなりがちですので、投資銀行に転職するために必要な経験を積めるようなチームにアサインされたい場合は、毎週行う案件会議やアサイン会議で、プロジェクトごとのアサインメントの調整を行いますので、アサインの希望を通す、もしくは関与案件の数を相談することで関連性の高い経験を積むようにしましょう。
FASではM&A以外にも会計関係のプロジェクトもありますので、ジュニアやVPの段階ではアドバイザリー業務以外のプロジェクトにアサインされることもありますので注意が必要です。
外資系のように少数精鋭でチーム編成を行いディールを年間何件も行うことはFASではあまりなく、海外オフィスと連携してエグゼキューションを行うことも中々ないというのもFASのM&Aアドバイザリーチームの特徴ですので英語力に自信がない場合にはある程度訓練しておくことが肝要です。
FASでは投資銀行のように延々とエグゼキューションとピッチが交互に続くという環境はあまりないので、エグゼキューションが佳境でない限り毎日深夜まで働くことは少ないと思われます。ただし、FASのM&Aアドバイザリーチームでも、外資系投資銀行出身者のシニアが多く揃っているようなチームでは、社風が外資系投資銀行のような環境になる可能性もありますので、FASのM&Aアドバイザリーチームでも、所属するチームでいろいろと案件の経験を積めば、投資銀行への転職可能性は高まります。FASから投資銀行に転職する際には、極力ディール経験を積んでおくことが大事です。
事業会社から投資銀行を目指す人
事業会社から投資銀行に転職できる人は本当に一握りですが、可能性があるとすれば総合商社でM&A関連の仕事をする部署にいる、メーカー等で高い英語力、経営企画等の部署におりM&Aを担当しているなど、M&Aに関連する業務経験があれば転職可能性はあります。
スキル的にはコンサルティングファームに所属している人よりもキャッチアップすべき事項が多く、ポテンシャル採用で若いうちにアプライするのが現実的でしょう。年齢的には25歳前後で応募して新卒と同じ扱いでゼロからスタートするのが大事になるので、ある意味で謙虚さや自頭の良さがポイントになります。
金融機関から投資銀行を目指す人
金融機関に所属している人は、基本的に証券会社において法人営業ないし、日系証券の投資銀行部門に所属している方が対象になりますのでこれらの部署に所属し、基礎的なファイナンスの知識やコーポレートファイナンスの知識がある人が望ましいです。
ただし、スキルが足りないとすれば、エクセルのショートカットやパワポの資料作成のスキルが足りないケースがあると思います(特にジュニアでアナリスト採用される方)。そのような場合はハードスキルを鍛えることが重要です。日系の金融機関の社内の研修できっちりとバリュエーションや財務モデリング、M&Aのプロセスなどを行うところは日系投資銀行部門以外では稀なので自助努力で学習することがポイントです。
例えば、エクセルでバリュエーションを行う際にもバリュエーションのメソッドを良く知らないと作業が遅れてしまい、どうしても入社後につらい状況になってしまいます。クライアントへのプレゼンテーション資料を作成する際にはパワポのフォーマットや、上司やチームでディスカッションした内容を上手く織り込めていないとレビューが何度も発生して遅くまで業務をすることになってしまいますので、選考を受ける時点から、エクセル、パワポ、財務分析、バリュエーションの知識等のハードスキルをカバーすることで採用可能性は高まります。
他にも、投資銀行では普段から多忙ななか、パラレルに仕事を処理していく能力は適性もありますので、その点でこれらの仕事のスタイルで苦手意識がある人はキツいかもしれません。
投資銀行のように同時並行的に業務が降ってくることが少ない職場にいる場合には最初は苦労することを覚悟して、いきなり投資銀行にいかずにFASに行くか、比較的研修が充実している日系投資銀行への挑戦を検討することが大事です。
外資系ではバルジブラケットと言われる大手や、少人数で回しているブティック系の外資系投資銀行ではカルチャー的にもアグレッシブな人の多さや、パワポ資料のビジュアルに対するこだわりの強さがある人が多いのでその点は留意しましょう。
※参考:投資銀行部門(IBD)の業務内容について
一般的な投資銀行部門では資金調達(キャピタルマーケット)やM&Aアドバイザリーサービス(プロダクトチーム)やカバレッジチームがあります。これらの部門では、M&AプロダクトチームではM&Aエグゼキューションに関する財務分析、M&Aプロセスにおけるエグゼキューション全般、資料作成、株式譲渡契約書の交渉、財務モデリング、バリュエーション等の総合的な業務を行うチームです。カバレッジチームは案件獲得のために 営業資料(ピッチブック)を作成し、M&Aや資金調達のニーズを探りつつマンデートをとることを狙うチームです。
投資銀行のM&Aアドバイザリーチームでは日系、外資系問わず、大手であればカバレッジチームとプロダクトチームを分けているところもあります。一方で一部の外資系投資銀行では収益性を意識してプロダクトをM&Aとデットに絞り、比較的M&Aをプロダクトとして注力しているチームもあり、カバレッジもエグゼキューションも境目なく行う投資銀行もあります。証券会社系の外資系投資銀行でこのようなチーム体制であるファームはブティック系外資投資銀行と同様にM&Aのプロダクトを中心に行っていることが多いです。
投資銀行によっては収益性の高い案件に注力する所も多いですし、ディールフローの多い投資銀行であればジュニア、シニア問わず、新規案件の仕込みで行うピッチが続いたり、エグゼキューションを行っている案件が佳境になっていれば相当タフな業務量になることもあります。
M&Aアドバイザリー業務はディールサイズに関わらずクライアントビジネスであるため、ディールのエグゼキューションがある時には恒常的に忙しいケースが多いですし、ラージキャップと呼ばれる大型案件ではチームの人数が比較的多くなります。スモール〜ミッドキャップ案件では1件あたりのディールチームが数人になりますので業務の負荷は重くなりがちです。ディールによりますが、デューデリジェンスの時や、セルサイド案件の際にはインフォメーションメモランダム等の作成の際には非常にタフなワークロードになります。
モルガンスタンレーやゴールドマンサックス、UBSのような大手投資銀行は1000億超の大型案件を扱うことが多いですが、中規模からやや小規模の案件であれば日系投資銀行ないしはブティック系外資投資銀行が行うこともあります。
まとめ
このように投資銀行ではピッチ作成やエグゼキューションが続き忙しくなることが多く、求められるスキルセットも財務分析やDCF法によるバリュエーション、類似上場会社比較法、類似取引比較法などの会計やファイナンスに関するスキルがポイントとなります。
なお、ハードスキルを鍛えることに加えて、M&Aアドバイザリー業務の全体像を早めに把握することで入社後にキャッチアップが早まるでしょう。将来的にプライベートエクイティファンドを見据えた転職を行う場合は、M&Aのプロダクトチームにおいてバリュエーションや財務モデリング、英語やドキュメント作成のスキル等を磨く必要があるので若いうちは未経験でも入社可能性があると考えどこでも書類を出して受けてみることが大事です。
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>投資銀行へのキャリアに関する記事
FASから投資銀行M&Aアドバイザリーに転職して活かせるスキル・必要なキャッチアップとは
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今回は、投資銀行部門(IBD, Investment Banking Division)に第二新卒で入社する方法についてお伝えしました。
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