近年のグローバル化に伴い、日本国内企業のシステム開発のプロジェクトにおいても英語圏の外国人と関わる機会が増えてきました。
プロジェクトマネージャーはシステム開発におけるプロジェクト全体の責任者であり、当然ながら数多くのプロジェクト関係者とコミュニケーションを取る必要があります。
プロジェクト関係者のグローバル化に伴い、プロジェクトマネージャーには果たしてどの程度の英語力が求められるのでしょうか。また、国内企業でプロジェクトマネージャーとして働いている限り、英語力は必要ないのでしょうか。
現在プロジェクトマネージャーの役割を担っている方、目指している方の中には、プロジェクトマネージャーに英語力が必要なのかという疑問を持たれる方がいると思います。
今回の記事では、大手SIerにて長年ご活躍のベテランのPMの方々からお聞きした情報をもとに、プロジェクトマネージャーとして英語力の必要性、英語力が必要となる場面と、英語力があることで得られるメリットをご紹介します。
【目次】
- プロジェクトマネージャーの英語力の優先順位は低い
- 「ステークホルダーとのコミュニケーションが英語に限られる場合」などは英語力が必要に
- 必要なのは「プロジェクトを進めるためのビジネス英語」
- 英語力が備わることで得られるメリット①仕事の幅が広がる
- 英語力が備わることで得られるメリット②年収が増える
プロジェクトマネージャーの英語力の優先順位は低い
最初にお伝えすることは、プロジェクトマネージャーにとっての英語力はプロジェクトの推進に必要な能力に比べて、優先度が低いということです。
プロジェクトマネージャーの役割は、プロジェクトのゴールを設定しゴールに向けて推進を行うことです。その業務を遂行するためには以下のような幅広いスキルが必要です。
・スケジュール・コスト・スコープといったプロジェクトのゴールを定める計画策定力
・プロジェクトの状況を的確に把握する状況把握力
・課題・トラブルを解決に導く問題解決力
・指示や考えを的確に伝えるコミュニケーション力
・担当するシステムや顧客業務の知識
この中の一つでも欠けると、プロジェクトの推進に支障をきたします。
一方で、英語力は英語のコミュニケーションが必要な場面に求められますが、メールやドキュメントの読み書きに関しては翻訳ツールを利用して代替できます。また電話・対面の打合せにおいては、英語のスキルが高いメンバーにサポートしてもらうことでコミュニケーションをとれます。
そのため、プロジェクトマネージャーとして成功するためには、英語でコミュニケーションを行うことよりも本来の役割を遂行するための能力が優先されます。
例えば、英語のコミュニケーション力は高いが状況把握・問題解決が行えないプロジェクトマネージャーと、英語が全く話せなくても状況把握・問題解決スキルが秀でたプロジェクトマネージャーであれば、後者のほうがプロジェクトを成功に導けるはずです。
まずは、英語力を高めるよりも、プロジェクトマネージャーとして備えておくべき能力にかけているものを伸ばすことを優先するとよいでしょうか。
「ステークホルダーとのコミュニケーションが英語に限られる場合」などは英語力が必要に
先程は、プロジェクトマネージャーにとって英語力の優先度が低いと説明しましたが、一方でどのような場面でプロジェクトマネージャーに英語力が必要になるのでしょう。それは、プロジェクトマネージャー自身が英語を使ったコミュニケーションを行わないと、プロジェクトの推進に支障をきたす場合です。
具体的には、顧客の意思決定者・取引先の責任者や社内のプロジェクトの承認を行う上長など、プロジェクトの重要なステークホルダーとのコミュニケーションが英語に限られる場合です。
プロジェクトを円滑にすすめるためには、重要なステークホルダーに対して直接プロジェクトマネージャーが自分の意思を伝え、交渉を行う必要があります。
このような場合には、ステークホルダーとの信頼関係を築くためにも、プロジェクトマネージャー自身が英語でコミュニケーションを取ることが求められます。
プロジェクトマネージャーとして英語のコミュニケーションが必要となるプロジェクトを担当する予定があったり、今後担当を希望したりする場合には、英語力の習得するとよいでしょう。
必要なのは「プロジェクトを進めるためのビジネス英語」
また、プロジェクトマネージャーに英語が必要となる場面では、どのような英語が求められるのでしょうか。端的に言うと、プロジェクトマネージャーに必要な英語力はビジネス英語です。
プロジェクトマネージャーが英語でコミュニケーションを行う目的は、英語を上手に話すことではありません。ステークホルダーとの意思疎通を図りプロジェクトを進めることです。
そのためには、5W1Hといったビジネスで必要十分な事項を、的確に相手に伝える英語力が必要です。日本語の会話でありがちな遠回しな表現や曖昧さを避け、簡潔に結論を述べる事が重要です。
一方で、ネイティブレベルの流暢な発音や、数多くの言い回しなどを身につける必要はありません。プロジェクトマネージャーとして英語力の習得を行う際には、以下の点に注意が必要です。
・点数向上でなく、英語力の目安を図るツールとしてTOEICなどのスコアを利用する
・英語で的確に自分の意思を相手へ伝えられるよう、業務上のシーンを想定した練習をする
・担当プロジェクトの顧客企業や業界固有の単語はあらかじめ覚えておく
また、ビジネス英語に限った話ではないのですが、実践に勝る学習はないため、学んだことを積極的に業務の中で使っていくことで、習得のスピードも質も向上します。プロジェクトマネージャーに必要な英語力を身につけたいと考える方は、上記の点を注意しながらビジネス英語を集中的に学びましょう。
英語力が備わることで得られるメリット①仕事の幅が広がる
プロジェクトマネージャーに英語力が備わると、どのようなメリットがあるのでしょうか。1つ目のメリットは、選択できる仕事の幅が広がる点です。
近年、国内企業が自社で開発した製品・ITサービスを海外へ展開することが増えています。また、顧客の大半が日本国内である企業においても、重要なサービスを持つ海外の会社を買収したり取引を行うケースや、ITサービス開発の委託先が東南アジア・インドなど英語圏の国を採用するなど、プロジェクトのグローバル化が進んでいます。
つまり国内企業で働くプロジェクトマネージャーに対して、英語力が求められるプロジェクトが増えてきました。英語力を備えたプロジェクトマネージャーになることで、上記のようなグローバルに展開するプロジェクトを担当できる可能性が増えます。
また、現在働いている企業で身につけた英語を活かすポジションがない場合は、転職を視野にいれるのも一つの手です。もちろん転職市場においても、英語が使えることで選択肢が広がります。
外資系企業だけでなく国内企業でも「英語が使えるプロジェクトマネージャー」を条件にしている募集案件が増えてきており、このような案件にも応募できます。
このように英語が使えるプロジェクトマネージャーになることで、仕事の選択肢が多くなります。その都度担当するプロジェクトの顧客・業界に対する英語の知識の習得が必要になりますが、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアの幅を広げることができます。
英語力が備わることで得られるメリット②年収が増える
2つ目のメリットとして、英語力があるプロジェクトマネージャーは、社内でも転職市場でもそうでないプロジェクトマネージャーと比べて希少価値が高いため、より高い年収を得られることです。
国内企業でもグローバル化を進めている企業では、英語のコミュニケーション力を昇進・昇給の判定基準に採用しているケースがあります。また、グローバルなプロジェクトは、メンバーや商習慣が多様化するため、国内に閉じたプロジェクトに比べて難易度も高く、成功させることで企業内の評価も高まるでしょう。
加えて、国内企業に比べて年収が高い、グローバルで展開している外資系企業で働くことも可能になります。ただし外資系企業の場合は全てのコミュニケーション・ドキュメントが英語で求められるなど、備えるべき英語力のハードルは高くなります。
英語のコミュニケーション能力を高めることで、より難易度の高いグローバルなプロジェクトに携わることや、グローバル展開している企業で働くことでき、その結果ご自身の年収を上げることができるでしょう。
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今回の記事では、大手SIerにて長年ご活躍のベテランのPMの方々からお聞きした情報をもとに、プロジェクトマネージャーとして英語力の必要性、英語力が必要となる場面と、英語力があることで得られるメリットをご紹介しました。
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