中小企業診断士は未経験からのコンサル転職に役立つ?それ以上に役立つ資格とは

中小企業診断士はコンサル領域の唯一の国家資格といわれることもある資格です。文字通り中小企業の経営を支援、アドバイスするために必要な知識を持っていることの証明となります。

今回の記事では、コンサル転職における中小企業診断士の有効性や、これ以外にコンサル転職に役立つ資格について紹介していきます。

【目次】

  1. 中小企業診断士とは?
  2. 中小企業診断士は難易度が高いが未経験のコンサル転職で大きなプラスにならない
  3. 中小企業診断士の保有者でコンサルファームに転職する人は少ない
  4. 中小企業診断士以外でコンサル転職に役立つ資格とは?
  5. 一つの資格を強みに未経験のコンサル転職を進めるのは容易ではない
  6. コンサル領域の「強み」を出すなら知識よりも経験が重視される

中小企業診断士とは?

中小企業診断士は、一般社団法人 中小企業診断協会が管理している国家資格で、その名の通り中小企業の経営状況を診断し、コンサルティングをおこなううえで役立つ知見が備わっていることを証明する資格です。

二つの試験と試験合格後3年以内に15日以上の実務補習を受講もしくは実務従事で取得できます。しかし一次試験の合格率が30%程度、二次試験が20%程度と狭き門です。

コンサルティングに役立つ知見を培うことができるため、しばしばコンサル転職に「役立つ」といわれる資格です。

中小企業診断士は難易度が高いが未経験のコンサル転職で大きなプラスにならない

選考を進めるという観点で見ると、残念ながら中小企業診断士は、難易度が高いにもかかわらず大きなプラスにはなりにくいのが現状です。

より正確にいうと、Big4や外資系戦略コンサルのような「大手コンサル」では役に立ちにくいといえます。

コンサルに関する強みという観点では実務経験が何よりも重視される

その理由の一つは、コンサル転職において重視されるのが「実務経験」があるかどうかのため。たとえ未経験の人が知識だけを培っていても、その知識自体がプラスになる部分は多くありません。

むしろ未経験であっても、プロジェクトベースで課題解決をした経験などのコンサル「的な」働き方を経験している人や、コンサルとは異なる領域の知見で、ファームの専門性を深めてくれるような「業界の専門知識・ノウハウ」がある人の方が未経験の転職においては評価されやすいでしょう。

アナリスト・アソシエイトクラスの若手の場合は、交渉能力や問題解決能力など、より汎用的な能力であっても「ポテンシャルベース」で採用される可能性もあります。これらのポテンシャルが見出されれば知識が不足していても転職は成功しますし、逆にこれらの能力の不足を中小企業診断士という資格で補うのは容易ではありません。

大手のコンサルファームは中小企業をあまり顧客としない

二つ目の理由は、特に外資系をはじめとした大手コンサルファームに当てはまるポイントです。大手のコンサルファームになるほど、フィー水準が高くなるため、クライアントも大手になっていきます。

中小企業診断士は「中小企業向けの」コンサルに関する知識をつける資格であるため、大手を相手とするコンサルファームにおいては評価されにくいのです。

ただし、この点は中小企業で経営コンサルタントとして活動し、仕事相手も中小企業を想定している場合には当てはまりません。その場合には、大手ファームと比較すると中小企業診断士の資格保有がプラスに働く可能性はあるでしょう。

入社後には知見が役立つ場合もあるとの意見も

コンサルの転職活動においては、大きなプラスになりにくいとの見方が強い中小企業診断士ですが、実際には全てのプロジェクトで大手企業の経営問題だけを扱うわけではありません。中には中小企業の案件もありますし、大手企業から依頼される形で子会社・孫会社のプロジェクトを扱うケースも考えられます。

そもそも大企業のプロジェクトだからといって、中小企業と「180度違う」アプローチを必ず要求されるわけではありません。中小企業診断士を取得するうえで培った知見やノウハウが役立つ局面は少なからずあるでしょう。

選考においてはあくまでファームのメイン領域である「大企業のコンサル」として役立つかどうかを見られます。しかし、入社後のアサインにおいては中小企業のコンサルに関する知識を強みとして、プロジェクトで付加価値を発揮していきキャリアを築くのもいいかもしれません。

中小企業診断士の保有者でコンサルファームに転職する人は少ない

中小企業診断協会では、中小企業診断士の資格保有者の進路をヒアリングして集計しています。

集計結果に基づくと、中小企業診断士の進路は次のような分布となっています。

  • 金融機関以外の民間企業:37%
  • プロコンサル経営者:34%
  • 金融機関:12%
  • コンサルファーム:4%
  • その他:13%

参考 https://www.j-smeca.jp/contents/enquete/p02.html

このように、実態として中小企業診断士を保有している人の中でも、コンサルファームへ入社する人は少ないという現状があります。

例えば独立してフリーランスのプロコンサルタントになることも視野に入れているなら、中小企業診断士を取得したうえで、足がかりとしてコンサルファームに入社するのも一つの選択肢です。

しかしながら、中小企業診断士の難易度も踏まえると、コンサルファームへの転職を有利にすることを主目的に中小企業診断士にトライするのは必ずしも有効ではありません。

中小企業診断士以外でコンサル転職に役立つ資格とは?

残念ながら、中小企業診断士は、コンサル未経験から転職選考を通過するという観点からは大きなプラスになりにくいといえます。ここからは、コンサルファームに未経験から転職するうえで役立つ資格を紹介します。

公認会計士

公認会計士と次に紹介する弁護士は、おそらくコンサル転職を未経験からおこなううえで明らかにプラスに働く稀有な資格といえるでしょう。

大手でも中堅以下でも、コンサルファームに寄せられるプロジェクトにおいて財務や会計周りがテーマになることは非常に多いです。

直接的には財務領域の案件ではない経営戦略の案件でも、企業の財務状況を分析することで最適な戦略を策定できるケースもあります。会計や財務に関する知識はコンサルファームにおいて非常に役立つ知見なのです。

会計に関する知見を証明するうえでは、公認会計士に勝るものはありません。特に監査法人を出自にもつBig4では、財務・会計の案件が多い(監査法人とタッグを組んで案件を進めることも少なくない)ため、さらに公認会計士資格は有利に働きます。

実際に、Big4には公認会計士を取得したコンサルタントが数多く在籍しているのです。

弁護士

コンサルファームでクライアントの経営を効率化するときに、しばしば法令や制度が障壁となります。法令や制度を守るために、余計なビジネスフローや効率的な経営という観点から過剰な資金・設備面での対応が必要になることもあるのです。

経営やビジネスプロセスを適切に変革する場合には、常に法令や制度に対する深い理解が欠かせません。

また、よりダイレクトに社内のルール変更や社規の変更などにおいてリーガルチェックが必要となる場合もあります。こうした時にも法令に関する知見が重要な付加価値となるでしょう。

これらはほんの一例ですが、コンサルファームにおいては、プロジェクトを円滑・適切に進めるために法令関連の専門家を雇っておく必要があるのです。そのため、弁護士資格の保有者は、公認会計士と並んで重宝されます。

実際に、弁護士保有者でコンサルファームに入社する人も数多くいます。

海外MBA

海外の大学でのMBA修了も転職においては有利に働きます。MBAについては、知識を評価されるというよりは、海外MBAを修了する過程で培われるグローバルな人脈の形成や、英語を中心としたコミュニケーション能力を期待されているためです。

MBAを修了するとなると、ネイティブにも負けないほどの英語での交渉能力やディスカッション能力が必然的に身につきます。クロスボーダー案件などになると、こうしたグローバルなコミュニケーション能力や人脈がとても重宝されるため、たとえ未経験でもMBAを保有していれば有利に働くでしょう。

なお、一つ注意しておきたいのは、同じMBAでも、国内の大学のMBAでは、選考に与える効果は小さくなる可能性があること。グローバルなコミュニケーション能力などは身につけにくく「資格」としての優位性は低くなるためです。さらに国内と海外のMBAでは難易度に大きな開きがあると見られている点にも注意が必要です。

ただし、国内MBAだとしても、修了までの期間で、経営に関して稀有な専門性を習得できた場合には、それが転職でのアピール材料になる可能性はあります。

一つの資格を強みに未経験のコンサル転職を進めるのは容易ではない

そもそもコンサルファームは難関の転職先の一つです。未経験で入社しようとするのであれば、転職のハードルはさらに高くなります。

そのようなハードルを簡単にクリアさせる魅力的な資格は、なかなかないのが実情です。後半で紹介した弁護士やMBAのような高難易度の資格に限られます。

すでにこれらの資格を保有している人は、選考において積極的にアピールするのがおすすめ。一方で、今からコンサル転職を有利に進めるためだけにこれらの資格を取りにいくのは現実的とはいえないでしょう。

資格により転職を有利に進めることを期待するよりも、「自分にとってコンサルとして役立つ能力が何か」「これまでの業務の中でその能力を活かしてどのように優れた実績をあげたか」を整理してアピールするのが、コンサル転職における近道となります。

コンサル領域の「強み」を出すなら知識よりも経験が重視される

中小企業診断士は、ファーム入社後に活かす余地はある一方で、未経験からのコンサル転職を有利に進めるうえでは大きなプラスになりません。それよりもコンサルでも役立つプロジェクトベースの働き方のような「経験」の方が選考においては有効です。

中小企業診断士の保有者の進路を見ても、同資格はプロ・フリーランスでのコンサルビジネスを営むうえで役立つ資格だとわかります。かなりの難関資格でもあるため、大手コンサルファームへの転職を成功させるためだけに取得を目指すのは有効ではありません。

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コンサルタントの転職やキャリアアップに有利な資格一覧【IT・MBA・英語・公認会計士まで】
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/0713/2644.html

コンサルタントの自己研鑽。何かいい資格はないか?と考える前に取り組むべきこと
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consultantskillup

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今回の記事では、コンサル転職における中小企業診断士の有効性や、これ以外にコンサル転職に役立つ資格について紹介しました。

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