近年、世界規模で宇宙関連ビジネス市場が飛躍的な成長を見せています。それは日本国内においても例外ではなく、2050年の日本における宇宙産業の市場規模は59兆円ほどと言われています。
参考:「宙を拓くタスクフォース」の取りまとめについて|総務省
実際に、弊社でも、民間の宇宙開発関連企業へのキャリアについてご質問いただく機会も増えてきました。そこで、今回の記事では、日本発の「民間宇宙開発」関連ベンチャー企業の特徴を20社に厳選してご紹介します。
【宇宙関連ビジネスのベンチャー企業一覧:目次】
- AeroEdge株式会社
- 株式会社アストロスケール
- Space BD株式会社
- 株式会社メルティンMMI
- 株式会社デジタルブラスト
- 株式会社アクセルスペース
- 株式会社天地人
- 株式会社SPACE WALKER
- インターステラテクノロジズ株式会社
- PDエアロスペース株式会社
- 株式会社スペースシフト
- 株式会社インフォステラ
- 株式会社ispace
- 株式会社ALE
- 株式会社Synspective
- 合同会社Space Cubics
- 株式会社ワープスペース
- 株式会社QPS研究所
- 株式会社ASTROFLASH
- スペースワン株式会社
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業①AeroEdge株式会社
世界の航空業界でナンバーワンを追求しているベンチャー企業であり、2015年に栃木県足利市の老舗企業である菊地歯車株式会社が親会社となって立ち上げられました。
菊地歯車にて航空宇宙部門を立ち上げ、GEnxプログラムやB747-8など数多くの航空宇宙事業を推し進めた経歴を持つ森西淳氏が、代表取締役社長を務めています。
同社は世界でも数えるほどしか存在しない、チタンアルミを安定的に加工して製品化する技術を持っている企業です。
そのため航空機エンジン製造大手の仏企業Safran Aircraft Engines社からは、次世代航空機用エンジンLEAP搭載タービンブレードの国内初長期量産サプライヤーに選ばれています。
公式サイト:https://aeroedge.co.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業②株式会社アストロスケール
宇宙機の安全航行確保を目指し、スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去サービスの開発に取り組む世界唯一の民間企業です。
2024年2月には世界で初めて、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」のミッションにおいて、デブリを近距離で撮影した画像を公開しました。
設立者は大蔵省(現在の財務省)主計局に勤務経験を持ち、マッキンゼー・アンド・カンパニーでの経営コンサル経験も持つ岡田光信氏です。
2013年の設立以来、不要人工衛星除去サービス(EOL)や既存デブリ除去(ADR)サービス、衛生寿命延命措置(LEX)や宇宙区間上での宇宙状況把握(SSA)実現のため開発を続けています。
創業はシンガポールにて行いましたが、現在ではR&D拠点を設立した日本をはじめ、英国や米国などにおいてもグローバルに事業を展開している宇宙開発関連企業です。
公式サイト:https://astroscale.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業③Space BD株式会社
「宇宙における総合商社」として、日本発の世界を代表するメガベンチャーを目指している宇宙開発関連企業です。
三井物産株式会社にて鉄鋼製品貿易事業や鉄鉱石資源開発事業に従事し、独立後は教育事業開発を中心に様々な事業を手掛がけてきた永崎将利氏が、2017年に設立しました。
具体的な事業内容は、衛星打ち上げサービスや国際宇宙ステーション(ISS)利用サービス、宇宙機器輸出入サービスなど多岐に渡っています。
同社は2019年10月に合計3.8億円の資金調達を行い、宇宙開発事業の要である超小型衛星打ち上げサービスにおいて世界トップグループに入るべく体制強化をしました。
今後も、技術の利用に特化した事業展開が期待できるベンチャー企業でしょう。
公式サイト:https://space-bd.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業④株式会社メルティンMMI
義体やBMI(能と機械をつなぐインターフェース)を含むサイボーグ技術を開発することで、「全ての人が何不自由なく幸せに生活できる世界を創る」ことを目指す企業です。
日本ロボット学会研究奨励賞受賞や、VR空間内の体と現実の体を生体信号でシンクロさせる手法の開発など、ロボット分野で活躍する粕谷昌宏氏が2013年に設立しました。
2018年3月には、人間の手の動きを再現することを重視して造られた世界初の技術を搭載するロボット「MELTANT-α」を発表し、JAXAと共同で、ロボット遠隔操作による宇宙飛行士の作業代替を目指す初期実証を実施しました。2020年1月23日には、首相官邸で開催された「総合科学技術・イノベーション会議」にも登場し、実機可動デモンストレーションを行っています。
公式サイト:https://www.meltin.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑤株式会社デジタルブラスト
宇宙開発分野におけるビジネスコンサルティングや宇宙生体情報追跡サービスの開発、宇宙メディア・イベントを活用したプロモーション提供等を行う宇宙開発関連企業です。
野村総合研究所や日本総合研究所等でデジタルテクノロジーを活用した新規事業、マーケティング戦略立案・実行に従事した経歴を持つ堀口真吾氏が、2018年に創業しました。
同社は2020年2月5日よりスペースアド事業を開始し、宇宙産業にお金が流通する仕組み・仕掛けづくりを支援しています。
また、2020年9月8日には宇宙情報発信メディア『SPACEMedia(スペースメディア)』をローンチするなど、「宇宙広告代理店」として積極的な活動を続けています。
公式サイト:https://www.digitalblast.co.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑥株式会社アクセルスペース
超小型衛生の柔軟性や低コスト性を活用し、地球全土をカバーする情報の取得・蓄積をかつてない高頻度で行う「AxelGlobeプロジェクト」を推進しているベンチャー企業です。
東京大学在学中に3機の超小型衛星の開発に携わり、同大学の工学系研究科航空宇宙工学専攻での特別研究員を経験した中村友哉氏が2008年に設立しました。
PARIS-1やGRUS-1、WNISAT-1Rなど様々な超小型衛星のプロジェクトを進めています。
今後、軌道上の衛星機数増加につれて観測頻度が向上し、データ蓄積が進むことで、農業、海洋監視、局地気象予報、都市計画等の新しいアプリケーション開発の可能性が期待されています。
公式サイト:https://www.axelspace.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑦株式会社天地人
宇宙ビッグデータの活用で独自開発した「天地人コンパス」を用い、土地情報を解析・可視化してまだ誰も気づいていない土地の価値を明らかにすることを使命とするベンチャー企業です。
マインドスコープ株式会社や株式会社
同社にはリモートセンシングを専門とするエンジニアが複数人在籍しており、地表面温度や降水量、CO2やNO2等、様々なデータを駆使した土地評価サービスを提供しています。
2020年度には内閣府宇宙開発戦略推進事務局「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」のタイプ2に2年連続で選ばれました。
公式サイト:https://tenchijin.co.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑧株式会社SPACE WALKER
スペースプレーンの設計、製造、運航サービスや宇宙関連イベントの企画・提案などを主な事業とし、2017年に創業された宇宙開発関連企業です。
東京理科大学嘱託教授を務める米本浩一氏や監査法人での勤務経験を持つ眞鍋顕秀氏、J-REIT運用やM&A業務経験のある保田晃宏氏が共同設立しました。
東京理科大学理工学部機械学科、宇宙システム研究所と共同開発をしており、科学実験と小型衛星打ち上げ、宇宙旅行の3分野における研究・開発を行っています。
直近では2020年2月末までの間に1.55億円の新たな資金調達を実施し、サブオービタルスペースプレーンの技術実証機「WIRES」の設計、開発、製造資金を用意しました。
公式サイト:https://www.space-walker.co.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑨インターステラテクノロジズ株式会社
「宇宙をもっと身近に。もっと気軽に。誰もが宇宙に手が届く未来を。」の言葉を掲げ、小型で低価格のロケット製造をミッションとする宇宙開発関連企業です。
2003年に設立され、現在は東京工業大学大学院に在学中からハイブリットロケットの開発・打ち上げに取り組んできた稲川貴大氏が代表取締役を務めます。
同社はホリエモンこと実業家の堀江貴文が、取締役となり出資している宇宙開発関連企業としても知られている企業です。2024年時点で18のロケット製造・打ち上げ実績、44のパートナー企業を持ち、順調に事業を展開しています。
公式サイト:http://www.istellartech.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑩PDエアロスペース株式会社
「宇宙をもっと身近に」との言葉を掲げ、宇宙輸送の分野での活躍によって豊かで平和な世界の実現に貢献している宇宙開発関連企業です。
三菱重工で次期支援戦闘機の開発に携わり、JAXAでは有人閉鎖環境実験に参加した経験も持つ緒川修治氏が、2007年に設立しました。
地球環境の把握と宇宙環境の利用を促進するために、低コストかつ利便性の高い宇宙輸送インフラの構築を中心的な事業としています。同社は、高度 100km 到達および帰還が可能な「完全再使用型無人サブオービタル機」 の開発を続けています。
宇宙機開発のため2020年4月時点で総額 1.0 億円の第三者割当増資を実施し、資金調達額は総額で7.4億円に到達しました。
公式サイト:https://pdas.co.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑪株式会社スペースシフト
「AI×宇宙で世界をひもとく」をテーマに地球観測衛星からのデータをAI活用にて解析し、あらゆるものの総量把握や生産量把握が可能なソフトウェア開発を行うベンチャー企業です。
神戸大学在学中にITベンチャーを起業し、その後も音楽業界やIT業界でのキャリアを重ねていきた金本成生氏が、2007年に起業しました。
同社が開発した超小型衛星開発キット「アートサットキット」は、2016年にクラウドファンディングサービスで販売され目標額の100万円を達成しました。
また、2020年9月には報道ベンチャーの株式会社JX通信社と衛星データとSNS情報の解析技術を融合させた「総合インテリジェンスシステム」を共同開発することに合意しています。
公式サイト:https://spcsft.com
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑫株式会社インフォステラ
全ての周回衛星要地上アンテナが1つの大きなネットワークに接続されている世界を目指して、新しい宇宙ビジネス向けの革新的かつ先進的な製品開発を行う企業です。
宇宙産業で10年以上の経験を持ち、衛星地上システムエンジニアとして複数の衛星プロジェクトに従事した経歴を持つ倉原直美氏が、2016年に設立しました。
同社の製品「StellarStation」はクラウドベースの地上局アグリゲーターです。地上局の所有者に余剰時間の収益化機会を与え、衛星運用者が世界中のさまざまな地上局から衛星と通信できるようになります。
2020年4月には総額3.8億円の資金調達を実施し、累積資金調達額は12.4億円になりました。
公式サイト:https://infostellar.net/about-jp
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑬株式会社ispace
「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界を目指す」宇宙開発関連企業であり、2010年に設立されました。
米ジョージア工科大学大学院で航空宇宙工学博士号を取得し、経営コンサルティング会社での就業経験も持つ袴田武史氏が創業し、現在も代表取締役を務めます。
月面に純民間開発ロボット探査機を着陸させ着陸地点から500m以上移動させること、高解像度の動画や静止画データを地球に送信することをミッションに掲げるスタートアップ企業です。
ミッション実現のため、2017年12月には、シリーズAにおける日本のスタートアップ企業としても宇宙分野企業としても最高額となる101.5億の資金調達を実施しました。
公式サイト:https://ispace-inc.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑭株式会社ALE
「科学を社会につなぎ 宇宙を文化圏にする」をミッションに掲げ、宇宙が持つ美しさや面白さを人々に届け、好奇心を刺激することで宇宙開発のきっかけを作るスタートアップ企業です。
東京大学大学院在学中にサイエンスとエンターテインメントの会社を設立し、創業後はゴールドマン・サックス証券に努めた経歴を持つ岡島礼奈氏が2011年に創業しました。
同社は東北大学と共同で世界初の「人工流れ星衛星」を開発し他企業としても知られています。
2019年1月18日には人口流れ星が、AXA革新的衛星技術実証1号機を構成する他の6機の衛星とともにイプシロンロケット4号機によって打ち上げられました。
公式サイト:https://star-ale.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑮株式会社Synspective
サテライトデータによるソリューションサービスや、合成開口レーダー(SAR)の開発・運用事業をメインに行っているスタートアップ企業です。
アメリカ系コンサルティングファームにて5年間で15を超えるグローバル企業の新規事業や戦略策定、内部統制強化などを手掛けた新井元行氏が、2018年に設立しました。
SARは電波を使って地表観測を行うため、雲の有無に左右されずデータを取得できる点が特徴です。そのため、情報が途切れることがなく、常に安定的・継続的なデータ解析が可能となります。
今後もSAR衛星を打ち上げ、最終的には25機を打ち上げることで、常時地球全体を観測できるシステムの構築を目指しています。
公式サイト:https://synspective.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑯合同会社Space Cubics
月にホテルが建ち、誰でも月に行ける世の中を目指し、安価で高性能な宇宙用コンピューターの開発をビジョンに掲げている宇宙開発関連企業です。
組み込みCPUボードの開発に従事した経験を持ち、宇宙用ドローンの統括ソフトウェア開発にも携わった荘司靖氏が2018年に創業しました。
国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」に多くの採用実績のある民生コンピュータの開発者と、JAXA職員の共同設立型JAXAベンチャー企業です。宇宙開発産業を拡大させ、参入が難しい宇宙開発を「もっと安く」「もっと手軽に」することを目標にし、宇宙開発産業の拡大活動を続けています。
公式サイト:https://spacecubics.com/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑰株式会社ワープスペース
「超小型衛星の技術を活用して新し宇宙開拓時代をリードする」をミッションに掲げ、世界初の低軌道人工衛星向け衛星間光通信ネットワークサービスの実現を目指す企業です。
2016年に創業され、現在のCEOは主にITベンチャーなど4社の立ち上げに参加し、経営戦略やブランディング、法務などを担当した経験をもつ常間地悟氏が務めています。
同社は宇宙への高い専門性からJAXA等様々な研究機関とパートナーシップを結んでおり、常間地氏が在籍していた筑波大学にも認定ベンチャーとされているスタートアップです。
現在は、宇宙空間での光通信ネットワークを構成する小型光中継衛星の開発・技術実証を2022年までに完了させることを目標としています。
公式サイト:https://warpspace.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑱株式会社QPS研究所
「世界を驚かそうぜ。そして世界をより良くしようぜ。」をミッションとし、九州大学における20年以上の小型衛星研究・開発を基盤とした技術開発を行う2005年設立のベンチャー企業です。
約4年間に渡ってQSAT-EOSプロジェクトリーダとして衛星開発・打ち上げを指揮し、10以上の大学や企業での衛星プロジェクト参加実績を持つ大西俊輔氏がCEOを務めます。
同社は日本でも有数の小型衛星の開発・設計・製造・打ち上げまでを一貫して行う企業です。直径3.6m、重量15kgの大型、超軽量パラボラアンテナは海外宇宙機関や国内の大学、世界最大手の宇宙産業企業より取引や開発打診を受けています。また、同社が開発・製造した小型SAR衛星「イザナミ」が、2020年12月以降に打ち上げられる予定です。
公式サイト:https://i-qps.net/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑲株式会社ASTROFLASH
超小型人工衛星を活用して「宇宙を全ての人にとって身近にすること」を目指す、東京大学発の宇宙スタートアップ企業です。
東京大学航空宇宙工学の中須賀船瀬研究所に所属している勝山杜都氏が、東京大学を母体として2019年に立ち上げました。
「宇宙に夢と商いを」をスローガンとし、地上から肉眼で確認できて誰でも明るさや色を調整できる衛星開発を進めて、エンターテイメント分野での活用を目指しています。
また、同社は2020年9月に経済産業省が実施する令和2年度の「産業技術実用化開発事業費補助金(宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業)」の補助対象事業者に採択されました。
公式サイト:https://www.astroflash.co.jp/
宇宙関連ビジネスのベンチャー企業⑳スペースワン株式会社
契約から打ち上げまでの「世界最短」と打ち上げの「世界最高頻度」を目指す、小型ロケットによる打ち上げサービスをサポート・提供するベンチャーです。
通商産業省にて環境立地局長や機械情報産業局長、商務情報政策局長を経験し、特許庁長官を務めた経歴を持つ太田信一郎氏が代表取締役社長となり、2018年に設立されました。
新世代小型ロケットや関連機器の開発・製造・販売事業や、人工衛星の打ち上げ事業、ロケット射場の開発・事業を中心としています。
2019年には、和歌山にて国内初の民間企業ロケット打ち上げ射場の整備を決定し、2021年度には運用開始に成功しました。
2024年10月には株式会社ラグラポと打ち上げ輸送サービス契約を結び、広尾学園中学校・高等学校の衛星「ISHIKI」打ち上げに向けて事業を展開。同衛星はスペースワンにより、同年12月14日にカイロスロケット2号機での打ち上げを予定しています。
公式サイト:https://www.space-one.co.jp/
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今回の記事では、今回の記事では、日本発の「民間宇宙開発」関連ベンチャー企業の特徴を20社に厳選してご紹介しました。
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