コンサルのマネージャーで『タスク設計・進捗管理・品質管理』が得意な方々の共通点

コンサルタントは様々なプロジェクトにアサインされ、アウトプット作成・問題解決・ミッション達成に向けて動いていきますが、どのプロジェクトにも共通して必要となるのがタスク設計・進捗管理・品質管理です。

システム導入等のITに関するプロジェクトでは特に意識され、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を設置し、専任でプロジェクト全体のタスク・進捗・品質を管理するケースが多いです。

一方で、クライアントの中期経営戦略・計画を策定するプロジェクトにおいても同様で、リサーチ1つ取っても、リサーチを完了するまでのタスク設計、進捗管理、品質管理があります。

それではプロジェクトマネージャーが上記3つの要素を満たすためには、どのようなことが必要なのでしょうか。今回の記事では、タスク設計・進捗管理・品質管理を得意とするマネージャーの代表的な共通点をご紹介します。

【目次】

    1. 「タスク設計」における共通点
    2. 「進捗管理」における共通点
    3. 「品質管理」における共通点

「タスク設計」における共通点

プロジェクトのマイルストンについて顧客と共通認識を作る

タスク設計はプロジェクトを推進・管理していく上で非常に重要な工程です。その中でも、まず実施すべきなのが、タスク設計の前提ともなるプロジェクトのマイルストンについて顧客と共通認識を作ること

プロジェクトのゴール達成までに必要なマイルストンは何かを明確化せずに、タスク設計とプロジェクト計画作成は不可能です。
まずは明確かつ具体的に、プロジェクトのマイルストンを設計・合意することが必須です。

例えば、業務改革プロジェクトにおいては、まず業務改革完了の期日を設定した後、

①As-Is業務分析
②To-Be業務設計(システムが関係する場合には要件定義等も含む)
③To-Be業務に必要なツールやルール等の作成・整備(システム改修を伴う場合はシステム開発)
④業務/システム移行……

と①~④以降の単位等でゴールまでのマイルストンを設計していきます。

どのような成果物・アクションが必要かを検討する

次に、各マイルストンを達成するために必要な成果物・アクションを検討します。
例えば、①As-Is業務分析では、どのようなアクション・成果物が必要となるのでしょうか。
主な成果物としては、対象業務のAs-Is業務フロー、各業務の定量情報(業務工数等)、利用システム/ツール、課題一覧と対策方針等が挙げられるかと思います。
それらに必要なアクションの例としては、

プロジェクトメンバーでドラフト作成
⇒対象業務のオーナー部門へのヒアリング
⇒ヒアリング結果を基にドラフトの精緻化
⇒オーナー部門との修正内容確認・合意

となるのではないでしょうか。
そして、実際のタスクに落とし込むには、更に詳細にタスクをブレークダウンしていきます。最初の工程であるドラフト作成のために標準フォーマットを作成し、ルールを定義。
タスクを洗い出し、順序を決め、必要なタイムラインを引きます。

このようにして、プロジェクトを俯瞰した際の大きなマイルストンから足元で必要なタスクまで、明確になるまで落とし込んでいきます。

誰が何に対して責任を持って遂行していくかを明確化する

次に、成果物・アクションが明確になったら、誰が何に対して責任を持って遂行していくかを明確化します。これが曖昧だとプロジェクトの成果に対する責任の所在が不明確になり後々揉める火種となります。

当事者意識も薄くなるため、タスク遂行の品質も落ちやすくなってしまいます。口頭のみの確認ではなく、プロジェクト計画書等に明確に文書として残しておくことをおすすめします。

よくある方法としては、タスク毎にRACI(R=Responsible 実行責任者、A=Accountable 説明責任者、C=Consulted 協業先、I=Informed 報告先)を設定することです。

RACIは一例ですが、ポイントとしてはタスク毎のオーナーは誰かを明確化することです。

タスクのアプローチや考え方をすり合わせた後は部下に任せる

最後に、チーム内におけるタスク割り振りについてです。ありがちなのは、上司のタスクを部下に切り出して渡し、上司が全てレビューした上でアウトプットすること。ただ、これでは本来、上司が1人でできることを2人でやっているに過ぎませんし、チームとしての価値を発揮し切れていません。

あるべき状態としては、上司が部下とタスクのアプローチや考え方をすり合わせた後は部下に任せることです。アウトプットの品質についても、全てチェックするのではなく、サンプルチェック程度に済ませることです。そうすることで部下は当事者意識や責任感をしっかり持つようになります。上司としても、部下をコントロールする一方で自分の時間も多くかける必要はなくなります。

この方法をうまく実行するポイントは、部下のレベル感を適切に把握し、それに見合ったタスクを渡すことです。背伸びしすぎるタスクでは機能しません。バランスを取ったコントロールをするためにもチームメンバーのことをよく知る必要があります。

「進捗管理」における共通点

タスク設計が終わって実行に移していく段階では、各タスクが予定通り順調に進捗しているか把握することが重要です。進捗管理をうまく実施するポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

外してはいけないマイルストンを押さえる

まずは、管理対象のタスクを実行する上で、外してはいけないマイルストンを押さえることです。例えば、前述の業務改革プロジェクトにおけるAs-Is分析であれば、As-Is分析結果をプロジェクトマネージャーやオーナーに説明し納得してもらうことが大きなマイルストンになります。そして、その報告に間に合わせるためのドラフト作成の期日、現場の合意を取る期日、報告書作成の期日等があります。それらの期日をきっちりと押さえ、それに向けて担当メンバーがタスクをこなしているかを確認します。

単純に、毎日朝晩、作業進捗を報告させたり、日報を書かせたりすることが管理ではありません。ポイントを押さえた管理を行うことでプロジェクトが締まりますし、部下もメリハリをつけた仕事が可能となります。

進捗の定量化と可視化を行う

日々のプロジェクト進行に関わる管理は上述のような形で行いますが、ステークホルダーへの報告は少し異なります。
報告することを意識した際には、進捗の定量化と可視化がポイントとなります。
基本として、進捗管理はWBS(Work Breakdown Structure)を用いて行います。WBSの管理に数値とビジュアルを用いることで定量化と可視化ができます。

例えば、タスク1つ1つの進捗については、未着手=0%、着手中=25%、ドラフト完了=50%、レビュー中=75%、完了=100%等とステータス毎に定量的に表すことができます。

全体のタスク数が100あった際に、完了タスクが80あれば、「タスク進捗率80%」と報告することが可能です。
ガントチャート等を使い全体タスクを表で表し、完了したタスクをグレーアウト等で見せれば可視化されます。
このような方法でステークホルダーに進捗を伝えることで、非常にわかりやすい報告ができるためおすすめです。

「品質管理」における共通点

アウトプットについての5Wを把握する

品質管理を適切に行うためには、まずアウトプットについての5Wを把握する必要があります。これを知らずに、適切なレビューは行えません。

・Why
アウトプットを作成する目的。作成することになった背景まで把握できるとベストです

・What
目的に沿って、どのような内容が盛り込まれているべきか。MECEに把握することが大切です

・Who
誰向けの資料なのか。相手がWhy、Whatに対して、どのような意見を持っているか、どうしたいと思っているのかまで把握できているとベストです。また、文字ベースとビジュアルベースの資料のどちらを好むか等、相手の情報があればあるほど良いです

・Where
どのような場で使用されるアウトプットなのか(プレゼンなのか、持ち回りなのか等)。更にはスクリーンや画面投影なのか、プリントアウトなのか(カラーまたはモノクロどちらか等)まで把握していると、その場に最適なものをアウトプットすることができます

・When
いつまでに必要なアウトプットなのか。さらには最終的な期限までに、どのようなプロセスを経る必要があるのか。例えば、社長報告・決裁が目的であれば、その前に管掌役員や部長への報告・合意が必要であり、その前に課長にレビューしてもらう必要もあるかもしれません。それによって資料の作成スピードが変わってきます

5Wの情報がどれか欠けていると品質管理も中途半端になってしまいます。担当者に5Wの情報を把握してもらうところからスタートすることが必要です。

アウトプットを作る際の考え方を確認する

次に、アウトプットを作る際の考え方を確認します。
まずは、インプットが適切だったか確認します。インプットが間違っていると、アウトプットが適切なものにはなり得ません。そして、アウトプットに至るまでの自分なりのロジックはどのようなものか。それに抜け漏れや矛盾はないかを確認します。

最終的に何を伝えるべくしてアウトプットを作成したのかが不明瞭なアウトプットは品質が高いとは言えません。ぱっと見で、何を伝えたいのか、何が重要なポイントなのかがわかるアウトプットを作成することが非常に重要です。

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>マネジメントに関する記事

コンサルが何気なくやっている「プロジェクトマネジメント」がフリーランスのmustスキルであるという話
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/freeconsulskillpm

同僚コンサルタントから見た「ファームのパートナーに共通する挙動と特徴」
https://www.axc.ne.jp/column/media/careertips/partnerfeature

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プロジェクトを成功させるためには様々な要素が必要となります。中でも、どのプロジェクトでも必要となるのがタスク設計・進捗管理・品質管理です。最初に記載したようにシステム導入等のITに関するプロジェクトでは当たり前のように実行されますが(管理品質が高いかはさておき)、今回ご紹介したように、どの仕事にも共通するものだと言えます。それらの重要ポイントを押さえることでプロジェクトを成功に導ける可能性を高められます。
読者の皆様が今回の記事を通じて、そのヒントを得られたのであれば幸いです。


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