日系ITベンダーと外資系ITベンダーの違い、転職した際に躓きやすいポイント

今回の記事では、日系ITベンダーから、外資系ITベンダーへの転職を目指す方向けに、日系企業と外資系企業での違いや、転職した際に躓きやすいポイントについてお伝えします。

【目次】

  1. 英語①基本的に英語の情報
  2. 英語②横文字、独自の略語
  3. 思考プロセス①結論ファースト
  4. 思考プロセス②ロジカルであること
  5. 思考プロセス③ルールは柔軟に変えていくという発想
  6. 商習慣の違い①文化的背景を理解させる大変さ
  7. 商習慣の違い②主張が重要
  8. 働き方①休みをと取りやすく、家族優先、在宅しやすい
  9. 働き方②コンプライアンス厳守
  10. 給与体系①ボーナスではなくインセンティブ

英語①基本的に英語の情報

日経ITベンダーから外資系ITベンダーへ転職した際の大きなポイントは、何と言っても英語です。本国(多くの場合が米国や欧州系)からダイレクトに情報が届くのですが、基本的に英語の一次情報が社員に共有されます。

社内ミーティング時や、英語が得意な同僚から大まかな内容が共有されますが、英語を話せるまでいかなくても、読み書きができた方がよく、その方が情報へのアプローチが早いため得をするのは間違いありません。

頻度は会社によりますが、実際に英語でレビュー資料を作成したり、直接本社に確認をするケースがあります。また、プロモーションがあるとレポートラインの上長は本国の人になる場合があります。したがって、英語ができるとより多くのチャンスが掴めると言えるでしょう。

一般社員レベルであれば英語なしで問題なく働けますが、外資系IT企業は実力の世界です。著しい結果を残したり、英語を話せて社内で評価されるような何かしらのポジションを確立する必要があるでしょう。

英語ができず、アレルギーを感じるという方は事前に学習しておくことで、転職後に躓く可能性を減らせるはずです。

英語②横文字、独自の略語

外資系IT企業では横文字や3から4文字の略語が頻出します。入社時に、よく使われる略語や、社内用語などを教える時間があったり、社内用語辞典がある会社もあります。

それくらい横文字や独自の略語を使っている会社が多く、横文字に慣れてしまうと社外でも当たり前のように使ってしまう場合があるので注意も必要です。

例えばASAP(as soon as possible)は通常のビジネスシーンでも利用する場合もありますが、それを「ASAPでこの仕事を対応して」などという感じで使われると最初は戸惑うかもしれません。

以上のように英語について触れましたが、実際はほとんど英語を話せない英語が苦手な社員も多い外資系ベンダーもあります。英語が苦手な人が多い外資系ITベンダーの場合は日本にビジネスがすでに根付いており、権限も日本に移譲されているケースが多いです。

ただし、外資系ITベンチャーなど歴史が浅く、日本でのビジネスをこれから大きくしていくようなフェーズの会社は、法務や経理やオペレーション業務も本国にしかない場合があります。

上記を踏まえ、どの外資系ITベンダーを選ぶかに依存しますが、英語ができるに越したことはないでしょう。

思考プロセス①結論ファースト

外資系ITベンダーであれば、「結論ファースト」、「重要なことはXつあります」、など相手にメッセージングすることを意識づけされます。欧米系の文化が色濃く反映されていることが多いため、社内研修でも結論ファーストの考え方が徹底されます。

だらだらと話すこと、明確に話せない人は敬遠される傾向があります。明快に、わかりやすく、シンプルに、コンパクトに話す人が好まれるのです。日系ITベンダーにも結論ファーストで話をする人はたくさんいますが、結論ファーストを好む人、重んじるという風潮は外資系ITベンダーに多い印象です。

これは英語と日本語の構造を考えれば理解が深まりますが、英語の場合、質問に対し Yes or No を明確にするところから回答が始まります。また、文頭からI’m sorry…やFortunately、といったように、大体後に続く内容がイメージできるような構造になっています。

さらに、会話の中に必ず主語が入る英語に対し、主語がなくても会話が通じる場合が日本語にはあります。したがって明確に、クリアに話すという点においては英語圏の文化のある外資系ITベンダーの方が、5W1Hを意識したコミュニケーションが重視されます。

結果としてコミュニケーションにおいて認識の齟齬を防げますし、物事をはっきりとさせることはビジネスの上で重要になります。

思考プロセス②ロジカルであること

外資系ITベンダーの場合、社内外で常にロジカルでいることを求められます。無駄なことはできるだけ省き、プレゼンテーションもビジネスレターもコミュニケーションにおいてもロジカルであることを特に要求されます。

それこそ理不尽なことや説明のつかない論理展開はとことん追求されます。理由は単純で「意味がわからないことは気持ちが悪い」と思う人が多いからです。

したがって、コンサルティング会社ほどではないですが、フレームワークで物事を考えることを教えられ、営業プロセスも細かいルールが決まっている場合が多いです。

思考プロセス③ルールは柔軟に変えていくという発想

ロジカルであることに関連しますが、既存のルールは絶対ではなく、変化する時代のトレンドや顧客のニーズに合わせて変えていこうという柔軟性があります。

前例のない例外承認を取る際、リクエスト内容に明確な理由があり、なぜその例外承認が必要かを説得できれば、意外と簡単に申請した内容が承認されることがあります。

ルールは柔軟に変えるスタンスであり、必要であれば、それがお客様のためと説得できるかがポイントです。

ただ、あくまでビジネスですので、その承認をする代わりに、今期にXXの数字をやる、この承認がとれれば、XXのディールをクローズできるといったビジネスジャッジを求められることも多いです。

現場の課題があり、その課題をクリアしないと顧客のニーズに応えられないという場合、自社のビジネスにどのくらいインパクトがあるか、現在取り組んでいる商談サイズや将来のビジネスのポテンシャルを踏まえ、新たにルールを作るというマインドセットが重要です。

商習慣の違い①文化的背景を理解させる大変さ

外資系IT企業の場合、会社の歴史にもよりますが、ハンコ文化など日本特有の商慣習が理解されない場合もあるためその都度説明が求められます。

例えば現代であれば電子署名の法的有効性も認められており、政府も後押ししているにもかかわらず、いまだに契約書は原本保管、ハンコしか対応しないという会社があります。

外資系IT企業の場合は、このような商習慣を理解させるために一苦労することがあります。

日本に対応できる権限を持った担当者がいればこのようなやりとりはしなくとも済みますが、そうでない場合は、一つ一つルールを理解させ、日本のルールを根付かせ本社のメンバーに味方になってもらう必要があるでしょう。

逆もまたしかりで、本国からセールスキャンペーンなどのプログラムが降りてくる場合ですが、日本の商習慣を理解していない場合があります。英語圏の文化では受け入れられると思って期間限定のキャンペーンを行ったとしても、日本のお客様には全く評価されないような内容があります。その場合は、残念ながら日本のお客様向けにはそのキャンペーンを紹介せずに終わることがあります。

無論、本国の先進事例や利用方法など、参考になる情報はたくさんありますので、ITのトレンドを話すこと自体は日本のお客様にも受け入れられることが多いです。

商習慣の違いを理解した上で、社内外のビジネスやオペレーションを推進することが重要です。

商習慣の違い②主張が重要

日系ITベンダーももちろん変わってきていますが、上司の声が大きく、いまだに従う人は多いかと思います。反論の余地は残されていない場合もあり、仕方ないと諦めている人もいるでしょう。

外資系ITベンダーの場合は、理解できないこと、納得できないことは役職関係なく手をあげ主張する人が多いです。これは非常にフラットでいい文化で、双方の理解や尊敬がビジネスをする上で重要だということを感じる瞬間です。

例えば、日本の新卒社員であれば自身の初任給が20万だとした場合、その内訳を事細かく聞く人はほとんどいないでしょう。ただし、外資系の場合、なぜ自分の初任給がその金額なのか、どういう基準で決まるのか、どうしたらプロモーションできるのかという疑問があればなんの躊躇いもなく聞くことができ、上司もそれを回答してくれます。

初任給はあくまで例えですが、疑問に感じることを解消することが是とされる前提があり、なぜそれを聞くのか?と訝しがる人はいません。あらゆる決定事項には裏付けがあり、そのルールについて説明してくれることは当たり前の状況です。

もちろん回答できないことは答えられないとはっきり言われる場合もありますが、疑問を解消できるよう、意見を述べる、質問するといった、ディスカッションの場がオープンであるのが特徴です。

働き方①休みをと取りやすく、家族優先、在宅しやすい

外資系ITベンダーの場合、本国の人々がそもそも家族優先で休みを取る人が多く、役員以上のポジションの人でもサマーバケーションやクリスマス休暇を積極的に取ります。

その他、家族が体調不良の場合などでも休みを優先しています。本当に重要な打ち合わせや会議がある場合はその時間だけ出席する人がいますが、基本的にバックアップメンバーを用意しておき、何かあった時に困るというオペレーションを避けるよう設計されています。

働き方改革が日本でも浸透してきており、日系ITベンダーでも柔軟性は出てきていますが、日系ITベンダーの場合、外資系ITベンダーほど休みは取りやすくないと聞いています。

また、コロナ以前から出社することが義務付けられていない会社も多く、何かあった時はリモートワークができる環境を準備している外資系ITベンダーは比較的多いです。

働き方②コンプライアンス厳守

コンプライアンス意識について、外資系ITベンダーは非常に重んじています。多国籍かつ多様な文化がある欧米社会の場合、多様性が重要視されています。

入社研修でLGBTQや機微情報の取り扱い、ハラスメント関連の研修が製品研修と同じような位置付けで実施されます。

セキュリティの研修については四半期、半期ごとに必須で行われる会社も多く、会社として社員が平穏に働ける環境や、権利が守られています。

こうしたコンプライアンスを侵した場合のペナルティも重く、程度によっては解雇相当の処分が下ることもあります。

給与体系①ボーナスではなくインセンティブ

外資系ITベンダーの特徴として、年功序列ではなく、インセンティブ設計の給与体系をとっている会社が多く存在します。

基本給が設定されており、その上で自分の業績や成果に応じてインセンティブが支払われる給与体系の場合、そのインセンティブを得るべく社員は働きます。誰もが年次によって昇給し、給与が上がっていくという制度をとっている日系ITベンダーは多いですが、外資系ITベンダーの場合、業績をクリアした社員は年次に関係なく設定されたインセンティブが貰えますので、モチベーションが上がります。

特に営業の場合、自身が数字を達成しインセンティブをもらえることで評価されていることがわかるため、やりがいを感じることができます。

業績が関係なく一定の基準を元にボーナスが支払われるケースと、達成率に応じてインセンティブが支払われるケースとどちらがいいかは個人の考え方によって好みが分かれます。

しかしながら、外資系の狩猟採集的な考え方、日系の農耕型の考え方はそれぞれ良さがあり、カルチャーを反映していると言えるでしょう。

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>ITベンダーへのキャリア関する記事

ITベンダーに転職するコンサルタントのマネージャーやシニアマネージャーが増えている理由と、 転職で有利に働くスキル
https://www.axc.ne.jp/column/media/careertips/itvendormsm

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今回の記事では日系ITベンダーと外資系ITベンダーの違いを踏まえ、転職した際に感じる点について触れました。

基本的に働いている人は外資系ITベンダーでも日本人が大多数です。しかしながら日系ITベンダーと異なり、本国のカルチャーや考え方が多分に反映されています。

また、最終意思決定件が日本にない場合もあり否応無しに本国とのコミュニケーションが発生します。

したがって、英語、思考プロセス、商慣習など総合的に理解した上で順応していく柔軟性が求められます。日系か外資系か向き不向きはカルチャーフィットに依存しますが、外資系ならではの考え方は日系ITベンダーが参考にすべき部分も多いでしょう。

外資系ベンダーへの転職をお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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