クライアントニーズの多様化により、領域特化型のファームや大手ではできないきめ細やかなソリューションを提供するベンチャーファームが増えています。大手では得難いメリットもある一方で、当然ながら注意点も存在します。
そこで、今回は、キャリアパスとしてベンチャーファームを選ぶ際の留意点や、大手ファームと比較したメリット・デメリットについてご紹介します。
【目次】
年収は同タイトルでは大手ファームに劣るも、早期昇格や希少ポジションなども狙いやすい
大手ファームとベンチャーファームの年収差ですが、同タイトルでも大手ファームがベンチャーファームを100万円~200万円ほど上回るケースが多いようです。
職位別に見ると、以下のレンジが目安でしょうか。
・コンサルタント:
大手ファーム 600万円~700万円/ベンチャーファーム~600万円
・シニアコンサルタント:
大手ファーム 700万円~1,000万円/ベンチャーファーム ~900万
・マネージャー:
1,000万円~1,300万円/ベンチャーファーム 900万円~1,200万円
・シニアマネージャー:
1,300万円~1,700万円/ベンチャーファーム 1,200万円~1,500万円
・ディレクター・パートナー:
1,700万円~/ベンチャーファーム 1,500万円~
これはファームに限らずですが、大手の方がベース給や制度面での待遇は良いケースが多いものの、ベンチャーでは結果を残せば飛び級やスピード昇進といったケースも多く、早くしてタイトルを上げ、高年収にたどり着く方もいらっしゃいます。
年齢で見ると、ベンチャーファームの方が2~3年ほど早く上位のタイトルに昇格している方が多い印象です。
(例)28歳男性:SCクラスで入社後、3年でSMまで昇格
年収700万→1,500万円
さらに、組織立ち上げといったポジションであれば、大手ファームを上回るオファーを獲得できるケースもあるようです。
(例)大手IT企業のコンサル組織立ち上げポジション(ディレクター)
年収1,800万+サインボーナス300万
二次受け案件なども一定数存在するが、スペシャリティを生かした独自案件が多い
ベンチャーファームには、領域やクライアントを限定したコンサルティングサービスを提供するファームが多く、該当のファームでしか経験できない案件も多数あります。
(例1)AI・IoTなどの最先端技術を駆使し、経営・業務・ITの側面からスポーツビジネスの価値を最大化するスポーツチーム向けコンサルティング
(例2)決済関連事業に特化した戦略立案、サービス企画(UI/UX、マーケティング)、システム開発、業務設計までを総合支援
(例3)●●製の自動車販売会社に対して総合的にコンサルティングを行う 等
スペシャリティを磨きやすい一方で、特に立ち上げフェーズでは創業者が前職から案件を受託するケースもあることから、二次受けや三次受けの案件にアサインされ、上流でのコンサルティング経験が積みにくいといったケースも一定数存在します。
入社前に、案件事例についてもしっかりと確認しておくとよいでしょう。
業界のトッププレイヤーから直で学べ、専門性が身につきやすい。その分、他領域へのトランスファーはしにくい
上記でもお伝えしましたが、ベンチャーファームの成り立ちとして、大手コンサルティングファームのパートナー、大手企業の新規事業責任者など、特定の領域のスペシャリストが立ち上げたケースが多いです。
(例)インフキュリオン・グループ代表 丸山弘毅様:JCB新規事業担当→決済サービス領域に特化したコンサルティングファームを設立
https://infcurion.com/business/professionals/
(例)ディルバート代表 金山 泰英様:ベイカレントコンサルティング 5年連続セールストップ
https://www.dirbato.co.jp/about/
また、メンバーが少なく、プロジェクトチームのトップが代表といったことも珍しくないため、大手ファームに在籍するよりもトッププレイヤーと接する機会も多いようです。
(例)全社14名の組織では、社長以下が全員フラットで、タイトル等がない。
一方で、トップが設立と同時にソリューションを限定するケースもあり、同領域のクライアントを相手にしたコンサルティングスキルは高まるものの、他領域にスキルトランスファーしにくいといったリスクもあります。
プロダクト開発の経験等によりポストコンサルに繋がりやすい。ただし、大手ファームへの転職はアンマッチとなりやすい
ベンチャーファームでは、コンサルティング業と並行して、自社でプロダクトの開発や、コンサルティングで稼いだ資金を自社ビジネスに投資しているケースもよく見られます。
(例)Techビジネス(先端Technologyを活用したサービス開発)/アカデミー(書籍、コラム、登壇)/アセットビジネス(カフェ、コワーキングスペース) 等
アプリケーションやサービスの開発工程に関わり、セールスまでを含めたPDCAを回すチャンスがあるため、ポストコンサルで事業会社の開発部門や、経験を生かして起業される方もいらっしゃいます。
(例)ベンチャーファームにてマーケティングツールの開発担当→大手ベンチャー企業のBizDev
一方で、自社ソリューションの提案営業としての仕事も多く、コンサルティングスキルの幅が広がらないというリスクもあります。
さらに、大手ファームに転職する際には、クライアント規模の違いから、コンサルティングの視点が大きく異なるといった理由で見送られるケースもございます。また採用されても0からのキャッチアップが必要になるケースも多いようです。
大手ファームへのキャリアチェンジを考えている方は、事前にクライアント規模を確認するか、ベンチャーファーム内でも大手クライアントの経営層に提言するPJに積極的にアサインされるよう心掛けるなどの工夫が必要となります。
裁量が大きく投資先のCEOになるというケースも。ただし、その分個人に求められる負荷は高まる
設立当初は人数規模が小さいため、良い意味でも悪い意味でも個々の結果が会社の利益に結び付きます。
例えば、立ち上げ当初は売り上げを安定的に確保するためといった理由から、個々に求められるアウトプットも高く、労働時間も長くなる傾向があるでしょう。
一方で、先述した通り、自社でプロダクト開発や、投資事業を行うなど、実ビジネスに取り組むベンチャーファームも多いため、目に見える結果を残しているメンバーであれば、いきなり投資事業のトップや、投資先のCEOといった裁量の大きいポジションに抜擢されやすいといった側面もあります。
社内プロジェクトとして会社の組織づくりにも関われる。ただし、仕組みが整っていない分自走力が求められる
社内の階層が少ないため、入社後数年でCxOや取締役といったキャリアを歩む方も実際にいらっしゃいます。
(例)デジタルエージェンシー系コンサルティングファーム 経営戦略室→ベンチャーファームにてマーケティング統括ポジションとしてジョイン、2年で同社取締役に就任
また、ベンチャーファームの場合は、コーポレート部門が設立されていない、人数が少ないといった理由から、大手ファームではコーポレート部門が行う採用活動や広報なども、コンサルタントが担当するケースがあります。
(例)営業部や経理部のような組織はなく、「社内プロジェクト」と呼ばれる間接機能を担うプロジェクトが存在し、全ての社員が何らかの社内プロジェクトに所属している。
参考:「ベンチャーファームだからこそ”組織を作り上げる経験”ができる」パクテラ・コンサルティング・ジャパン マネージャー 坂本怜様インタビュー
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/pacteraintv3
一方で、コーポレートのメンバーが少なく、教育・研修といった制度も整備されていないケースがあるため、OJTなどで数か月研修後、いきなり現場に一人で立たされるといったことも珍しくないようです。
あらゆるベンチャー企業に共通ですが、自発的に学び取る挙動がより顕著に求められます。
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今回のコラムでは、ベンチャーファームのメリット・デメリットについてご紹介しました。
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