独立系コンサルファームの特徴とは?大手・外資系との違いや主要ファームも紹介

independent-consulting-firm

独立系コンサルファームは、暗に特定の大手企業に属しておらず、コンサルビジネスを主軸とする国内のコンサルファームを指します。比較的中堅〜小規模なコンサルファームが多く、中堅企業をターゲットとしているファームが増えている傾向にあります。

また企業全体の経営戦略などよりも、業務プロセスの改善などによる現場レベルの課題解決を得意とするファームが多いのも特徴です。この記事では独立系コンサルファームの特徴とファームの具体例について見ていきましょう。

【目次】

  1. 独立系コンサルファームとは?
  2. 独立系コンサルファームのビジネス面での特徴
  3. 働き方における独立系コンサルファームの特徴
  4. 代表的な独立系コンサルファームの紹介

①独立系コンサルファームとは?

独立系コンサルファームの「独立」とは特定の企業グループに属していないことを意味するものですが、コンサルファームの場合は「日本発祥の」国内系コンサルファームに用いられます。また、特に中小のコンサルファームを指す場合が多いのも特徴です。

例えば、次のような企業が独立系コンサルファームの代表例としてあげられます。中堅以下のコンサルファームが多数含まれる分、大手や外資系と比較すると非常に数が多いのが特徴です。

  • 船井総合研究所
  • リブ・コンサルティング
  • タナベコンサルティンググループ(旧タナベ経営)
  • イグニション・ポイント

制度上の定義があるわけではないので、独立系コンサルファームに属するファームの考え方は人によって差がありますが、ここでは一般的な特徴をまとめました。

国内発祥のコンサルファームである

単に「独立している」という意味では、Big4を除く外資系コンサルファーム、例えばマッキンゼーやボスコンなども「独立」しているように見えます。しかし外資の場合は、監査法人にルーツを持つBig4を除くと、そもそもコンサルビジネスを主ビジネスとしているファームが多いため、あえて「独立系」とつけることはありません。

そのため「独立系コンサルファーム」という場合、暗に国内発祥のコンサルファームの一角を指しているケースが多いです。特に外資系コンサルファームを志望している人の場合「独立系」とWebなどで検索しても適切な情報に辿り着けない場合も多いので注意しましょう。
今回の記事や転職エージェントからの情報を参照し、正確な情報を収集するのがおすすめです。

特定の企業グループをルーツとしていない・属していない

二つめの特徴として、国内の特定の企業グループに由来していない、もしくは現在も属していないコンサルファームを指します。日本には特定の大手企業を発祥とするコンサルファームが多く存在するため、逆に特定のルーツを持たないコンサルファームを「独立系」と総称するようになったのです。

【大手企業のルーツを持つコンサルファームの例】

  • 大和総研:大和証券グループの一角
  • 三菱総合研究所:旧三菱財閥の共同出資で設立
  • 野村総合研究所:野村證券からの分社化
  • 日立コンサルティング:日立の100%出資

また、アビームコンサルティングのように、現在は独立していて発祥は日本でも、特定の監査法人や外資系コンサルファームなどから独立した場合も「独立系」には含めない傾向にあります。なおアビームコンサルティングは、1980年代に等松・青木監査法人(現有限責任監査法人トーマツ)から独立したコンサルファームです。

中堅もしくは小規模なコンサルファームである

慣例的に中堅もしくは小規模のコンサルファームを指すケースが多く、たとえ日系で特定の企業ルーツがなくとも知名度の高い大手ファームは含めない傾向にあります。

例えば、経営共創基盤やドリームインキュベータなどは、どちらも創業者がかつて特定のコンサルファームや機構に属していただけで、日系企業と資本関係があったり特定企業の傘下・ルーツだったりということはありません。しかし、こうした大手の日系コンサルファームは独立系コンサルファームの文脈の中に含まれていないケースが多く見られます。

②独立系コンサルファームのビジネス面での特徴

独立系コンサルは企業の成り立ちや規模のほか、ビジネス面でもほかのコンサルファームとは異なる特徴を持っています。どのタイプのコンサルファームを志望するか考える際には、ビジネスの特徴にフォーカスするのも一つの考え方でしょう。

中小企業をターゲットにしている

独立系コンサルファームは、クライアントも中小企業をメインターゲットにしている例が多く見られます。中小企業はフィーが高額な大手コンサルファームを利用しにくいケースが少なくありません。また、大手コンサルファームは戦略や経営、マーケティングといった全社的かつ長期的な課題や事業戦略を好んで手がける傾向にある一方で、中小企業には現場レベルで解決できる課題が多いのも特徴。そのため、大手コンサルファームの強みが中小企業のコンサルティングには充分に活かせないケースも多いのです。

独立系コンサルファームはこのような、大手ファームのターゲット外になりがちな中小企業の小規模な案件を多く手掛けています。中小機構のデータによると、中小企業は日本企業全体の99.7%を占めていることから、実は独立系コンサルティングのビジネス機会は豊富に存在していると見ることもできます。

現場レベルの課題への対処やエデュケーションで差別化

中小企業は、中長期的な経営課題よりもまず、足元のビジネスを改善して業績を安定させることが重要課題となっているケースが多く見られます。また、組織の規模が小さいほどリソース不足に陥りがちなため、中長期的なベネフィットを見込んで先行投資する余地が限られている企業も多いと言えます。

中小企業をメインターゲットとする独立系コンサルファームでは、このような企業向けに現場レベルでの競争力強化に強みを持っています。例えば業務プロセスの改善や、コスト削減、新たなツール・システムの導入による業務の効率化といったような領域を得意としています。DXと呼ばれるような全社的で大掛かりなものよりも、「すぐに使える、効果の出る」システム導入を手掛けるなど、あくまで「現場の効率化・コスト削減」にフォーカスを当てて進められるものが多いです。

また、まだ経営年数の少ない経営者なども多いため、教育(エデュケーション)コンテンツの発信をマーケティングツールとしたり、それ自体を収益源の一つとしたりするファームも。経営者向けのセミナーやミーティングの実施、雑誌やWebを通じた情報コンテンツにおけるエデュケーションなどを積極的に行っています。

「先生」の役割を果たす顧問契約も多い

大手のコンサルファームはプロジェクト単位で受注してフィーを獲得するビジネスモデルが一般的ですが、独立系コンサルファームの場合は月額・年額などでフィーを徴収しながら、継続的なアドバイスを行う「顧問契約」で仕事をしている案件も多く見られます。

単発の経営課題を解決するというよりも、まだ組織体制が成熟していない中で、継続的に企業の状況を見てもらい、適宜改善できるポイントについてアドバイスしたり、クライアントと共に解決策を検討していったりするスタイルが多くなっています。その意味では税理士や会計士、顧問弁護士のように「先生」のような位置付けでクライアントに信頼されるコンサルタントも少なくありません。

③働き方における独立系コンサルファームの特徴

コンサルタントの働き方においても、大手や外資系と独立系では大きな違いがあります。それぞれに特徴はありますが、一概にどちらが優れている、というものではないので、自分のキャリア指向を踏まえてより魅力に感じる方を志望するのがよいでしょう。

一人もしくは小さいチームで取り組む案件が多い

基本的にコンサルはコンサルタントの人数を割くとフィーが高くなります。また、組織の規模が小さいコンサルファームが一つの案件に多くの人を割くと、取り組める案件数が自ずから小さくなります。

このように、クライアント側、ファーム側双方の事情により独立系コンサルファームの案件は、小さい人数で行う案件が多くなります。そもそも先に紹介したような「顧問」形式であれば、一つのクライアントに対して普段は一人、というケースが多いです。もし何らかの課題に対応するためにチームアップするとしても、数人程度の少人数チームで進めます。

コンサルタントの視点からすれば、チームの人数が少ない分、自分で多くの事をこなさなければなりません。課題が難解な時、プロジェクトが難航する時などにはハードな状況に置かれるリスクもあるでしょう。

一方で、プロジェクトチーム内の階層構造が、大手のコンサルファームほどは複雑ではないので、若手のうちからプロジェクトにおける裁量が大きくなるチャンスがあります。早いうちからプロジェクトマネジメントの経験を積める可能性も高いでしょう。

中小企業診断士の優位性が高い

大手のコンサルファームで役立つ資格である公認会計士や弁護士などは、中小企業の課題解決にも役立ちます。そのため、円滑にプロジェクトを進めたり、キャリアアップしたりする上で有効です。

強いて言えば、クライアントによってはMBAの資格は「難易度ほどは有効性を発揮しない」可能性があります。クライアントが地方の地場企業の場合、MBA資格はコンサルタントの付加価値を示す上でアピール材料にならない場合も少なくありません。また、MBAで学ぶようなマネジメント、経営戦略、ファイナンスなどは中小企業には適さないため、知識としても活用する余地も限られるでしょう。

「全く役に立たない」とは言えませんが、MBAの取得難易度を加味すると、外資系や大手のコンサルファームの方がマッチする資格でしょう。

一方で、独立系コンサルファームだからこそ力を発揮する資格は、中小企業診断士です。中小企業の課題解決のためのコンサルティングを行う能力を証明する資格であり、独立系コンサルファームのターゲットとするクライアントにとてもマッチした資格と言えます。

キャリアパスの面では独立後に付加価値を発揮しやすい

コンサルタントとしてのキャリアパスについては数点、違いがあります。まず、ファームで長期的に働く場合ですが、独立系コンサルファームはあくまで日本企業なので、昇進・昇給などはかなり日本的な特性を残しているファームが多い印象があります。

案件の規模が小さいため若いうちからリードしやすいという特徴はありますが、社内のポジションは年齢とともに着々と上がっていくイメージです。

外にオポチュニティを求める人の場合、大手や外資系のコンサルファームと選択肢が大きく変わることはありません。独立系から大手・外資系を含む「広い意味での」同業他社への転職を目指す人もいれば、事業会社のマネジメントなどに移る人もいます。独立系の場合は中小企業とのシニアレベルとのリレーションが築かれやすいため、中小企業の若手経営層として参画するケースも少なくありません。

そのほかでは「独立」という選択肢を取る人も多くなっています。現代ではフリーコンサルタントのマッチングビジネスが発達しつつあるため、能力のある人は自分で案件を開拓した方が、自分の収入はすぐに高くなるチャンスが多いでしょう。

こうした小規模のコンサルビジネスも大手より中小の方が積極的に活用する企業が多いため、中小のコンサルタントとしての知見がある独立系コンサルタントは、むしろ独立したあとに付加価値を発揮しやすいという側面もあるのです。

④代表的な独立系コンサルファームの紹介

最後に、代表的な独立系コンサルファームについていくつか紹介します。コンサルファームを選ぶときの参考にしてください。

船井総合研究所

大阪を拠点とする総合コンサルファームで、独立系としては幅広くビジネスを手掛けていて、大規模なファームでしょう。

総合系として不動産、小売、飲食・サービスなど幅広い業種の企業に対してコンサルサービスを提供しています。一方で、プロジェクトベースの案件だけでなく、顧問業のように毎月継続的に訪問・情報交換しながら経営課題に対してアドバイス・修正を施していく独立系ならではのスタイルを取り入れているのも特徴です。

※参照:https://www.funaisoken.co.jp/

リブ・コンサルティング

こちらは都内の経営コンサルティング会社ですが、タイにも拠点を構えているのが特徴です。タイをハブとした海外戦略の支援事例も見られます。

中堅・ベンチャー企業をメインターゲットとしていて、DXや経営戦略のほか全方位的なコンサルサービスを提供。プロジェクトベースではなく企業のさまざまな経営課題に全方位的に対応していく「カンパニーベース」での支援を基本としており、継続的に支援を行うビジネスモデルとなっています。

※参照:https://www.libcon.co.jp/

タナベコンサルティンググループ(タナベ経営)

一つの企業に存在する複数の課題それぞれに対してチームアップを行うことで、プロジェクトチームベースで取り組みつつも、全方位的に企業の経営課題を解決できるのが同社の特徴です。独立系でありながら、「Domain(業種・事業領域)」×「Function(経営機能)」×「Region(地域)」それぞれについてスペシャリストを擁しており、高い専門性を活かした支援を行うことができます。

相対的に競合の少ない売上高500〜1,000億円の中堅企業をメインターゲットとしていて、近年は大手企業への支援例も増えつつあります。全国主要10都市に拠点があるため、地方の中堅企業や、成長の過程で拠点が増えつつある企業への支援にも柔軟に対応できるようになっています。

※参照:https://www.tanabeconsulting.co.jp/

イグニション・ポイント

コンサルビジネスのほか新規事業開拓(イノベーション事業)、事業投資(インベストメント事業)など、多面的な特性を持つファームです。コンサルビジネスとしてはDXをはじめとしたデジタル領域の支援に強みを持っています。5つのユニット(部門)に所属するコンサルタント、デザイナー、エンジニア、データサイエンティストが連携し合って、経営課題に対応していきます。

また、課題が新規事業創出や資金調達の場合には、イノベーション事業やインベストメント事業と共同して、成長を後押しすることも可能に。イノベーション事業では、イグニション・ポイントが持つナレッジ/リソースを活用して、付加価値が高く持続可能な事業の創出を実現します。さらに、スタートアップを中心にベンチャーキャピタル、コーポレート・ベンチャーキャピタルとして投資を行い、事業成長を加速させることも可能です。

※参照:https://www.ignitionpoint-inc.com/

⑤若くしてリードマネジメントを取りたいなら独立系が有効な選択肢の一つに

独立系は日系で中規模のコンサルファームが多く、同業といっても外資系や大手とは異なる特徴を有しています。社内の昇進という意味では、独立系コンサルファームは日系企業と似ていて、年齢や経験年数とともに着実に昇進するイメージです。一方で、中小企業をターゲットとするファームが多い分、若いうちから案件をリードできるチャンスが多いのが特徴となっています。

キャリアパスとしては、外資系や大手を含むほかのコンサルファームへの転職のほか、独立して自らコンサルビジネスを開拓していくという方向性もあります。若いうちから自分でマネジメントを行いたい人や、中小企業の成長支援に特に興味がある人には、独立系コンサルファームはおすすめの志望先です。

=================

>コンサル転職の成功に関する記事

【転職事例】ベンチャーから日系ファームへキャリアチェンジ、その後外資系ファームへ。コンサル業界で高いパフォーマンスを残すための処世術に迫る。
https://www.axc.ne.jp/column/career-change-case/18.html

=================

コンサルへのキャリアをお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

新規会員登録はこちら(無料)

カテゴリー、タグで似た記事を探す

こちらの記事も合わせてご覧下さい

アクシスコンサルティングは、
プライバシーマーク使用許諾事業者として認定されています。


SSL/TLSとは?

※非公開求人は約77%。求人のご紹介、キャリアのご相談、
企業の独自情報等をご希望の方はぜひご登録ください。

新規会員登録(無料)

※フリーランスのコンサルタント向けキャリア支援・
案件紹介サービス

フリーコンサルの方/目指す方。
×