こんにちは。アクシスコンサルティングの久保です。
最近、「会計×IT」スキルをお持ちの方からご相談をいただくことが増えてきました。お話を伺っていると、どの方も、非常に希少性が高いスキルセットである分、それ特有のお悩みを多く抱えていらっしゃいます。
今回は、同様のバックグランドを持つ方への何らかの示唆になればと思い、よくいただくお悩みと対策案をまとめました。
【目次】
「会計×IT」の専門性を持つのは、コンサルタントの100人に1人程度というパートナーの声も
先日、大手外資系コンサルファームの会計チームのパートナーと話す機会があったのですが、その中で、「会計の知見を持つ人材が足りない」という悩みをいただきました。
また別の外資系コンサルティングファームのインダストリーチームのパートナーも、「ユニットに200名以上のコンサルタントがいるが、会計×ITの高い専門性を持っている人は2,3人しかいない」とのこと。
弊社に登録いただいているコンサルタントの方々のデータベースを見ても、会計バックグランドを持っている方は全体の数%程度でした。
中には、会計×ITの人材を多く抱えるファームもありますが、社会的な背景からニーズも高くなっており、希少価値が増しつつあり、今のマーケットにおいては多数のオファーを獲得される可能性が高いですが、安易な転職はおすすめできません。以下、直近キャリアチェンジされた方のお悩みの事例を記載いたします。
「上流フェーズよりも、パッケージ導入という“制約の範囲内”で、顧客のサポートを行う方がシンプルで楽だった」
元々、経営管理パッケージ導入を行うシステムベンダーに所属されていた方の事例です。「より上流フェーズから業務に携わってみたい」というご希望から、外資系コンサルティングファームの会計チームに転職し、年収は約2倍にアップ。
しかし、転職後、「全く知らない業界のクライアントの業務にキャッチアップすることが大変」「パッケージ導入という“テクノロジーの制約の範囲内”で顧客のサポートを行う方がシンプルで楽だった」とのことから、自分はベンダーのキャリアに戻りたいと感じている、という方がいらっしゃいました。
一般には、上流を目指すことが良しとされていますが、これは必ずしもすべての方に当てはまるわけではありません。ご自身の特性と業務内容の親和性をぜひご確認ください。
「事業会社に転職したが、経理や財務の実務はほとんどタッチしていなかったことを痛感。キャッチアップに苦労している」
元々外資系コンサルティングファームの会計チームに所属。自ら推進する側に回りたいと思い、事業会社に転職された方の声です。
「現在、事業会社にて会計システムの導入を推進しているが、経理社員と同じレベルで会話できるくらいの経理の細かい知識などが求められ、その点キャッチアップが大変」「コンサル時代は経営層との会話が中心で、現場の経理部や財務部の社員の実務についてはほとんどタッチしていなかったことを痛感し、コンサルと事業会社の業務のギャップを感じている」「またプロジェクトワーク以外のルーティンワーク(月次レポートの作成)の存在が非常に退屈である」
事業会社では、主な会話相手が経理担当などとなり、より実務的な話が増える傾向にあります。会計システムだけでなく、会計そのものの知識も必要となるシーンが多いでしょうか。
ただ、「コンサル時代と比べてワークライフバランスは抜群に良いため、業務外のネットワーキング/自己研鑽に時間を十分に使える」などの声もあり、キャッチアップの機会は確保できるケースが多いようです。
「会計の知識を深めたいと思っていたはずが、いつの間にかSAP導入コンサルになってしまった」
最後の事例として、事業会社の社内SEとしてSAPの導入に従事されていた方のケースをご紹介します。
より会計業務の知識をつけたいと思い転職活動を開始。結果、大手外資系コンサルティングファームのSAP導入コンサルと、日系中堅ファームの会計コンサルのポジションの両方で内定を獲得されました。最終的に当初のご志向とは裏腹に、ブランドと年収で前者のSAP導入コンサルを選択。
転職後は、SAP導入のキャリアが継続しており、会計業務の知識は身につかないまま。。前職の社内SEのときとほぼ同じ業務内容で、「いつの間にかSAP導入コンサルのキャリアが長くなってしまった。このまま事業会社の社内SEには戻りたくない」と、新たなお悩みが発生しています。
現在、SAPはいわゆる2025年問題に直面し、採用ニーズが急騰しています。しかし、2025年以降には状況が変わることが確定的です。SAPの例に限らず、目の前の年収だけではなく、ぜひ中長期的な視点でご選択ください。
(ご参考)「「第一志望の企業からのオファー金額が低い」際に持つべき視点」https://www.axc.ne.jp/column/media/careertips/incomepoint
(ご参考)「会計×IT」人材の具体的なキャリアの選択肢
上記のとおり転職によるメリットもデメリットも双方存在するため、冷静なご判断が必要です。一方で、現状維持がベストな選択とはもちろん限りません。計画的なキャリア形成を行っていただくうえで、現在のマーケットでの可能性と将来のキャリアについて記載させていただきます。
■to SAPコンサル
主に年収を上げたい場合の選択肢になるかと思います。かなりインパクトのある事例ですが、下記のようなオファーが今年発生しています。
年収770万円→年収1160万円(+400万円オファー)
(ご参考)「【20代・30代・40代別】SAPコンサルは今、キャリアチェンジすべきか否か?」https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/sapcareer
■to インダストリーコンサル
SAP導入のキャリアから、インダストリーの専門性を身に付けることで将来的なキャリアパスを社内SEではなく経営人材に切り替えたい方の選択肢になるかと思います。
とあるファームの金融ユニットのパートナー様曰く、「我々は金融機関が抱える、AI等のデジタル技術の活用、M&A、異業界とのアライアンス、タレントマネジメント、サイバーセキュリティ対策…などのすべてのボールを一旦打ち返すことが求められる」というお話されていたのが印象的です。このようなスキルセットを持っているコンサルタントは当該インダストリーから経営人材として召集される可能性が高まります。
■to FAS
将来的にCFO寄りのキャリアを形成したいといったご意向がある場合は有用な選択肢です。(FASのネクストキャリアとしてPEファンドのキャリアも見えます。)
英語力×ファイナンススキルが一定程度認められれば採用可能性ありです。ただし、20代後半以降になってくるとかなり狭き門になる点はご留意ください。
(ご参考)「コンサルからベンチャーCFOへ。よくある見送り理由とその対策」https://www.axc.ne.jp/column/media/change-jobs-knowhow/ctcfo
■toベンダー
コンサルからベンダーに移ることでワークライフバランスの改善に繋がるケースがございます。(某外資経理パッケージベンダーのシニアマネージャーの方は平均退社が18時というお話をされていました)
顧客に提案できる選択肢がコンサルと比較して狭まることを懸念する方もいらっしゃいますが、その方が逆にシンプルという考え方もあるかもしれません。また某CRM系パッケージベンダーを受験される方がおっしゃるのは、「自社のパッケージがNo.1だ、という誇りを持っている集団だったので、その誇りを持った集団の中で働くのは悪くは無いかも」という感想でした。
(ご参考)「ITベンダーに転職するコンサルタントのマネージャーやシニアマネージャーが増えている理由と、 転職で有利に働くスキル」https://www.axc.ne.jp/column/media/careertips/itvendormsm
■to事業会社
コンサルよりはワークライフバランスは良くなるケースが多いでしょうか。その反面、物足りなさを感じる方が多い印象があるため、プロジェクトワークとルーティンワークの比率はご確認頂いた方が良いかもしれません。パッケージシステム導入というポジションが豊富にあるわけではないため、「パッケージ×業界・業務知識×英語などの専門性のかけ合わせを作る」などの対応をしておくことが事業会社の選択肢を増やす印象です。
■toフリーランス
こちらも年収、働き方の柔軟性(自分がやりたいプロジェクトだけに入る)という点に重きを置いた選択肢になります。大手ファームでSAP経験を数年積んでいる方であれば、20代でも150万円~200万円ぐらいの月額単価が得られる可能性があります。
(ご参考)「ファーム在籍者が意外と知らない「フリーコンサル」のメリット」https://www.axc.ne.jp/media/careertips/freemerit
以上簡単ではございますが、「会計系コンサルタント」特有のお悩みとその対策案をご紹介いたしました。キャリアのステージに応じたプランニングをしつつ、自身のキャリアにプラスとなる環境を見つけられることを願っています。
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今回の記事では、「会計系コンサルタント」特有の悩みとキャリアパスについてお伝えしました。
キャリアでお悩みの方は、ぜひ一度アクシスコンサルティングにご相談ください。
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