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「スタートアップ・ベンチャー転職における企業選びの際には、何をモチベーションや心の拠り所にすればいいのか」
コンサルタントの方から、アーリーステージのベンチャーに興味があるのだが、「何を基準にどのように選べばいいのか?」「何をモチベーションの拠り所にすればいいのか?」とご相談をいただくことがあります。
ご存知の通り、とにかく変化が激しいのがスタートアップ企業。急成長や状況変化に伴い、想像以上にあらゆることが起こりうるのが現実であり、入社前に拠り所にしていたものがなくなるケースも往々にしてあり得ます。
今回のコラムでは、スタートアップに転職しようとするコンサルタント向けに、スタートアップへ転職した後もモチベーションを失わずにいる方法についてお伝えします。
文化や組織、会社の雰囲気は100%変わる
例えば、その会社の雰囲気や文化に惹かれたとしても、それは、現時点での文化や組織でしかありません。ベンチャー企業ではフェーズが変わる毎に、非連続的に文化や組織が変わっていきます。むしろ、成長に合わせて変われないと成長が止まってしまいます。
「この雰囲気が好きだ」という理由でベンチャー企業を選ぶと、順調に成長する企業ほど上記のようなことが起こるため、そのたびに転職する必要が生じるかも知れません。
自分の役回りや職種、役職も変わる。降格もあり得る
例えば、「経営企画」として採用されたとしても、それの職種は恒久的なものではありません。営業が採用をやり、逆に採用が営業をやるといった例もよくあるパターンですが、小さな組織では役割はしっかりと区分けすることが難しく、逆に決めてしまうとバリューを発揮しにくいケースが多いでしょう。
また、会社の状況が変わるごとに、必要とされる挙動も大きく変わります。優秀なメンバーが毎月どんどん入ってくるため、ふと気がつくと、新メンバーと自分の役割とがかぶったために今までの役割がなくなり、居場所がなくなる…ということも。
また、場合によっては後から入ってきた人が上司になるということもあるため、そこで今までの自分の居場所やコンフォートゾーンを守ろうとしてしまうと厳しい状況に陥ります。環境の変化にめげず、そのときの会社に必要と思われるよう、自分にできることを再設定すること日々が求められます。
ピボットにより、事業やプロダクトも変わることも
数億円近く調達しても、残念ながら実は市場がなかったなど、仮説が間違っていたがゆえに仕切り直しが必要になることもあります。
実際に、2018年にも多くのスタートアップが市場から撤退しています。
参考:「2018年に市場を去ったスタートアップたち」
https://jp.techcrunch.com/2018/12/26/2018-12-24-remembering-the-startups-we-lost-in-2018/
その際には、いわゆるピボット(事業転換)をすることになり、入社時にいいな!と思っていた事業がなくなる、もしくは変わってしまうということも起こりえます。
有名所で言えば、Instagram、YouTubeといった大手ソーシャルメディアも、かつては異なる目的でプロダクトをリリースしていましたが、見事にピボットを果たしたことでここまで成長してきました。
参考:「奇跡の事業転換。世界を変えたWebサービスの成功事例10選」
https://www.find-job.net/startup/pivot-case-of-web-services
スタートアップ企業ではプロダクトそのものが変わることもあり得るため、プロダクトそのものへの想いが強すぎると、入社後にそのプロダクトがなくなりモチベーションのよりどころがなくなるケースもあるでしょう。
事業やプロダクトだけでなく、「ビジョン」も変わることも
入社理由として一番多いのが、その会社の「ビジョン」に惹かれて…というものでしょうか。
しかし、これはかなり稀ではありますが、そのビジョンが変わってしまうこともあります。
例えば、外部から資金調達をしたベンチャー企業の場合が分かりやすく、これは会社の価値を上げることを外部投資家に約束している状態です。この状態にあると、ビジョンを変えずに事業を微調整しても、マーケットにフィットしなかった場合には、次に取る一手は、ビジョンを変えてでも市場がある事業を探すという挙動になります。
ここまで大きな変化は稀ですが、可能性はゼロではありません。
トップに惹かれても、社長や経営陣とのコミュニケーション頻度は下がる。場合によっては一新されることも
トップに惹かれて…という理由も次点でよくある理由でしょうか、
しかし、「社長と話してみて、相性が良かった」「社長の人柄に惚れた」とトップとの関わりによりスタートアップに飛び込んだとしても、会社の成長が順調なほど、組織は拡大し、そのトップとの距離感は広がっていき、コミュニケーション量は確実に下がっていきます。
そこをモチベーションの拠り所にしてしまうと、将来的には確実に少なくなることが確定しているものを拠り所にしてしまうこととなるため、どこかで無理が生じるかもしれません。
また、プロダクトやビジョンを変えても売り上げが伸びない場合や、会社のフェーズの変化といった理由によって、VCや株主主導による社長交代という大鉈が下されることも稀にあり得ます。
「すべてが変わり得る」ため、「自分の機嫌は自分でとる」ことが必要
やや極端なものも含まれていますが、上記のようにモチベーションの拠り所にしているものが簡単になくなってしまうことは実際に起こりえます。
それが何であれ、モチベーションの拠り所を外部に求めてしまうと、それがなくなったときに心が折れてしまうため、いわゆる「自分の機嫌は自分でとる」ことが必要となります。
ベンチャー企業においては、それができないと、手のかかる自走できない人材とみなされることが多いです。当たり前のことですが、会社が変化するスピードと同等もしくは同様のスピードで自分も変わることが求められています。
ベンチャーであればあるほど、ハイリスク・ハイリターンであることは間違いがなく、全員にフィットする場ではありませんが、状況の変化を好み楽しめる人にとっては、ベンチャーは格好の場となります。「将来はどうなるか分からない。それでも今、この会社に飛び込みたい」と思える会社を見つけたときには、ぜひチャレンジしてくださいませ。
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今回の記事では、「すべてが変わり得る」スタートアップ・ベンチャーへの転職時に、心の寄りどころにすべきものはあるのか?についてお伝えしました。
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