今回は、2019年9月に設立された株式会社NTTデータ経営研究所 M&Aグループのパートナーである人見健様より、チーム設立の背景や特徴、人見様のご経歴、今後の方針やオポチュニティなどについてアクシスコンサルティングの梅本がお聞きしました。この記事は2019年10月時点のものです。
- 目次
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- M&Aチーム設立の背景は、当社がCEOアジェンダを扱うファームとして更なる進化を遂げるため
- M&Aグループの立ち上げを担うパートナー人見健様のご経歴:ディールアドバイザー、経営戦略コンサルタント及び事業会社M&A責任者としてのハイブリッドな経験
- 今後M&Aチームとして日本企業の復活・再生に向けた、「オープンイノベーションを促進するM&A・アライアンス」、「事業ポートフォリオ改革」や「セカンドフェーズPMI」にコンサルティングに注力。中期的には「インテグレーションマネージャー」を目指す
- 他ファームとの違いは、M&A全工程のコンサルティングをPMI視点で手掛けられる点
- M&Aチームでは、PMIフェーズに強みを持つ「真のM&Aプロフェッショナル」になれるチャンスがある
- M&Aの成功企業は皆、経営者の強い「信念」を貫いている。「日本経済を再生・復活させたい」など高い志を持つ方を求めている
M&Aチーム設立の背景は、当社がCEOアジェンダを扱うファームとして更なる進化を遂げるため
梅本
2019年9月に立ち上げられたM&Aグループですが、設立の背景について教えていただけますでしょうか。
人見様
M&Aグループは、今年の9月に事業戦略コンサルティング部門内に設置されました。NTTデータ経営研究所も設立30年目を控え(注:設立は1991年)、企業・社会の「真の変革パートナー」として、あらゆるCEOアジェンダに対応できる組織を作りたいという狙いがありました。
M&A、特にPMI(M&A後の統合)は、企業の経営そのものに関わる活動であり、事業の成長、組織文化の融合、オペレーションの改善、経営管理の高度化、ハイクラス人材の登用・育成など、さまざまな経営課題に直面しますが、その課題は複雑かつ高度化しています。そのような中、経営戦略コンサルタント兼M&A専門家としてM&A戦略立案からエグゼキューション、PMIまで一気通貫で経験してきた私が組織の立ち上げ役として今回ジョインすることとなりました。
梅本
チームの特徴や、今後の方向性についても簡単に教えていただけますか。
人見様
私の前職までの経験を生かし、PMIという下流工程において起こりうる課題を事前に予見してアドバイスできる点が本チームのコンサルティングにおける最大の付加価値だと考えています。
また、日本におけるオールドエコノミー産業は成長の壁に直面しており、企業として飛躍するためには古い価値観やルールを打ち破っていくことが求められます。その起爆剤となるのが、M&Aやアライアンスを通した大企業とベンチャー企業間のオープンイノベーションです。そういった案件に数多く関わることによって、オールドエコノミーの企業が、復活し、次の再成長ステージで飛躍できるように支援したいと思います。
NTTデータ経営研究所の強みは、先端技術やテクノロジー分野の知見です。私が築いてきたM&A分野の経験に当社コンサルタントの事業・技術知見を掛け合わせることで、日本の新しい産業の創出、大企業・伝統的な産業の変革の実現に貢献したいと考えています。
M&Aグループの立ち上げを担うパートナー人見健様のご経歴:ディールアドバイザー、経営戦略コンサルタント及び事業会社M&A責任者としてのハイブリッドな経験
梅本
人見様のご経歴を教えていただけますか。
人見様
大学卒業後はメガバンクに入行し、中堅・中小企業の法人営業を経験する中で事業承継に立ち会う機会が多くありました。従業員の一生をも左右するM&Aの重大さを感じ、また「株を売るべきかどうか」というオーナー経営者の苦難葛藤に触れる中で、一生一代の決断にもっと深く携わりたいと思い、KPMG(現KPMG FAS)のM&A部門に転職しました。
当時のKPMGではクロスボーダーM&Aの経験とスキルを日本に持ち込んだ第一人者の方々に直接ご指導頂き、大変恵まれた環境でした。ただ、多くの案件に関わる中で、M&A成功の本質は、ディールの成立(契約の締結)ではないことに気づき始めました。
M&Aにおける契約締結フェーズは長い道のりのあくまでも一工程に過ぎません。今でこそ当たり前のように言われていますが、M&Aの成功とはPMIの成功です。大手のアドバイザリーファームでは、M&A戦略立案、M&Aアドバイザー、財務デューデリジェンス、税務、企業価値評価、PMIなど、各分野の担当が細かく決まっており、一人でM&Aの全ライフサイクルを経験することは極めて稀です。「私の仕事が本当にお客様の役に立っているのだろうか」と自問自答している時に、タイミング良く社内でPMI部門を立ち上げる話があり、異動して最初のリーダーを務めました。
ただ、PMIを経験させて頂けるようになって、今度は別の疑問が浮かびました。やっていることはあくまでもプロセス管理だということです。PMI支援と謳いながらも実際の作業は、事業、経理、人事、ITなど、膨大な統合のタスクを洗い出してエクセルに落とす、その工程管理をしているだけだったのです。もちろん、PMIの実務ではプロセス管理も大事なのですが、もっと大事なのは経営視点で課題の優先順位付けをすることです。
お客様はPMIを事業経営そのものである見ているのにも関わらず、自分がプロセス管理しかしてないことに違和感を覚え、より経営課題の本質に関われるようなバックボーンを身につけられないかと考えていた時に、戦略ファームのローランド・ベルガーで仕事をするチャンスに巡り合いました。
ローランド・ベルガーでは今まで自分が培ってきたM&Aアドバイザリーとしての経験と、戦略コンサルとしての経験を組み合わせ、主にクロスボーダーM&A案件においてディールの前工程からPMIまで一気通貫でコンサルティングをすることができました。
その後、EYではM&A後のガバナンス構築案件に数多く携わることができました。グループ企業をどのようにマネジメントするか、CEOに権限をどう与えていくかといった内容です。
実はPMIの肝の一つは「権限」です。日本企業の中には、海外の会社に遠慮してガバナンスをあいまいにしてしまう会社もありますが、買収後、最初に「自分のボスは誰なのか」、「自分にはどの程度の裁量が与えられるのか」を明確にすることは、子会社の社長にとってもフェアであり、当たり前のことです。このように、クロスボーダーのM&Aでは海外の会社のCEOにどこまでグリップし、どの程度の裁量と自由度を与えるかのバランスの匙加減が肝になります。
このように、主にコンサルティングファームでの経験を通して、PMIに関わる戦略・組織・経営管理・ガバナンス・財務等の領域のコンサルティンを一通り経験することができました。
その後、新進気鋭のコンサルティングファームであるフロンティア・マネジメント(FMI)にお誘いいただき、PMIチームの立ち上げをしました。
FMIでは、海外案件のPMIに加え、企業のM&Aの実行力を高めるためのマニュアルづくりや人材育成を含むM&A組織の構築に深く関わることができました。
さらに、直近ではパナソニック株式会社オートモーティブ社の事業開発部門で責任者をしておりました。自動車メーカーとパナソニックとの車載用電池に関わる合弁会社設立プロジェクトを担当させていただき、これまでのコンサルティング経験を事業において実践し、実務面においても同領域のスキルを極めることができました。
同時に、事業会社ならではの現場の丁寧なコミュニケーションやものづくり品質を重視する価値観を学ぶことができました。その中で、会社の方針と個人の生き方の相違に葛藤を感じる方々と多く向き合うことができたのは貴重な経験となりました。
NTTデータ経営研究所では、「サラリーマンの葛藤」を知っているM&Aコンサルタントとして日本企業の復活・成長のためのサポートをしていきたいと考えています。
梅本
直近のパナソニックでは今までとは異なり事業会社でM&Aに関わったとのことですが、改めて学んだことについて詳しくお聞かせいただけますか。
人見様
二つあります。まず、M&Aコンサルの中で最も現場に入り込む仕事がPMIです。コンサルティングファーム在籍時は、国内海外を問わず、現場の社員や経営者と直接話す機会を設け、現場で感じる当事者の心理や企業文化の相違をとても大切にしてきましたが、パナソニックでは今まで大切にしてきた「現場感」の重要性を再確認できました。
パナソニックでのもう一つの大きな気づきとして「自己責任」という考え方が挙げられます。同社では部下が失敗した場合、上司の指導が不十分であったということでまず必ず上司が謝る文化があります。これは、日本企業の組織でも人と人の繋がりが希薄になっている中、創業者の時代から受け継がれた素晴らしい文化だと思います。
実は日本におけるPMIの失敗の原因の多くは部門間の縦割や責任のあいまいさといった組織上の問題に起因するケースが多いです。社内の価値観、自分たちの組織の中で当たり前とされてきたルールや価値観を相手に押し付けてしまうことが、PMIが失敗する大きな原因のひとつなのです。そのため、「この失敗は自分たちに何かを教えてくれている必然的な経験である」と「自己責任」の原則で考え、失敗を教訓とし、改善行動を取ることで、PMIにおける多くの問題が解決できるのではと考えています。
今後M&Aチームとして日本企業の復活・再生に向けた、「オープンイノベーションを促進するM&A・アライアンス」「事業ポートフォリオ改革」や「セカンドフェーズPMI」のコンサルティングに注力。
中期的には「インテグレーションマネージャー」を目指す。
梅本
少し大きな話にはなりますが、今のM&Aの背景にあるマーケットについて人見様はどのように捉えていらっしゃいますか。
人見様
M&Aの市況感としては、昨年のような何千億から何兆円レベルの金融マーケットの調達力を前提とした巨額の買収案件はしばらく落ち着いてくる可能性があると思います。また、米中経済摩擦の影響を受けた企業の業績落ち込みに伴う事業撤退などの案件も増えてくる可能性はあります。しかし、一方で、投資規模数億円から数百億円程度のミドルマーケットのM&A、大企業とベンチャー企業のオープンイノベーションやアライアンスは、日本企業の復活と再生のために必須な動きであり、引き続き堅調に推移すると考えています。
買収・売却の割合では、売却が増えてくる可能性があります。それは大企業でも、終身雇用の維持が難しくなる中、ポートフォリオを改革・再編するという考え方が定着してきたことの現れです。
また、グローバルの視点では、景気、外貨規制や先進諸国との経済摩擦等の影響により中国企業の買い手としてのプレゼンスが下がっており以前のように突然出てきて高値で買っていくことはないでしょう。これによって相対的に日本企業のプレゼンスが上がりますが、だからといって高値掴みすることはなく、慎重な姿勢は崩さないと思います。
梅本
そういった外部環境の中でM&Aチームを立ち上げられて約1か月が経ちました。今後のマーケットの展望も踏まえ、リーダーである人見様からチームの方針などをお聞かせいただけますか。
人見様
冒頭で申し上げましたが、アライアンスやジョイントベンチャーも含め、「オープンイノベーション」の促進に力を入れます。我々のチームは日本の大企業をクライアントに持つことが多いですが、大企業を改革するには古いルール、組織を変える必要があります。
そこで、スタートアップ企業の新しい風を取り込むオープンイノベーションをテーマとした案件の戦略立案やPMIなどを支援したいと思います。その際、当社のコンサルタントの持つ先端技術やテクノロジー分野の知見も活用していきます。
しかし、大企業による組織の自己変革のスピードには時間を要するため、結果的に買収した会社の自主経営を重視したマイノリティ出資のスキームも益々増えていくのではと予想しています。100パーセント買収ではないので、買収先の経営をコントロールするのは難しいですが、国内外のアライアンス、ジョイントベンチャー設立や企業文化の融合を支援した経験を活かしベンチャー企業と大手企業が組める方法を提案していきます。
さらに、買収後、数年経過後に当初計画したパフォーマンスを達成できず、業績向上のモメンタムが衰えてきた場合、事業を再成長軌道に乗せるための「セカンドフェーズPMI」のコンサルティングニーズも増えています。その場合、業績低迷の原因を分析し、戦略再構築、組織・オペレーション統合、ガバナンス体制の変更などの打ち手を提案します。
将来的には、一定期間企業に常駐し、成果を出す「インテグレーションマネージャー」が目指すべき姿です。最近、日本でも「ターンアラウンドマネージャー」や「プロ経営者」が定着しつつありますが、それに近い人材像をイメージしています。既に欧米では、コンサルタントまたは事業会社の経験者が、インテグレーションマネージャーとして各企業を渡り歩いており、我々も経営視点を持ちつつ、現場で結果を出せるPMIコンサルタントを目指しています。
他ファームとの違いは、M&A全工程のコンサルティングをPMI視点で手掛けられる点
梅本
BIG4などにはすでにM&AチームやFASといった組織があります。競合となる企業とのコンサルティングの違いや、人見様が率いるチームの強みについて詳しくお聞かせいただけますか。
人見様
我々のチームが得意とするのは、私の経験を生かしたM&A戦略からPMIまでの一気通貫でのコンサルティングです。中でもクロスボーダーのPMIでは、プロフェッショナルファームに専門人材が少なく相対的にも付加価値が出せる分野ではないかと考えております。大手ファームでは組織内部の事情により、テーマによって異なる専門チームを投入しなくてはならないため、一貫した方針に基づくプロジェクト運営に苦労されているようです。
我々としては、全フェーズでのコンサルティングを一人ないしワンチームで可能にしながら、M&Aにおいて最も失敗することの多いPMIでしっかりと付加価値を出すことで、最もお客様に貢献できるチームにしたいと考えております。
梅本
NTTデータ本体との連携もチームの特徴を出すために重要になるかと思います。今後、連携は増えていくのでしょうか。
人見様
NTTデータとの連携は強化していきます。ご存じの通り、NTTデータも国内外でM&Aやアライアンスを継続しており、今後、業務上の連携も増えることが予想されます。
梅本
一方で、現状の課題感についても教えていただけますか。
人見様
一番は、お客様や社会への認知度だと思います。現在、当社では、外資系コンサルティング会社出身者など、業界で一定の経験や実績があるコンサルタントを積極的に採用していますが、私が当社に入社した理由の一つがまさに「NTTデータ経営研究所」としてのブランディングや認知度向上のためです。
お客様から見ると、当社はNTTデータグループということもあり、これまではITの関わるテーマやデジタル戦略立案などの案件の割合が多く、カウンタパートはIT部門やデジタル部門の場合が多いようです。しかし、冒頭申し上げた通り、今後はM&Aという機会を利用して、クライアントからCEOアジェンダへも対応できるファームであるとの認知・信頼が高まり、ゆくゆくは大企業のCEOのトップアジェンダを任される企業にしていきたいです。
M&Aチームでは、PMIフェーズに強みを持つ「真のM&Aプロフェッショナル」になれるチャンスがある
梅本
今後さらに採用を強化させていくと思いますが、このチームにおける「キャリア」面での特徴についてもお伺いしてもよろしいでしょうか。
人見様
3つあります。2つは私個人の経験値と関係します。
まず1つ目は、このチームで経験を積めば「真のM&Aプロフェッショナル」になれる点です。先ほど申し上げた通り、M&Aに関わる専門家の業務が細分化しており、戦略立案からディール実行、PMIまで、しかもコンサルティング会社と事業会社の両方で全フェーズに関わってきた専門家は非常に少ないです。しかし、全フェーズを経験した上でコンサルティングをしないとM&Aのバリューは引き出せない、つまりお客様に貢献できないと思います。それは、戦略立案、ディール実行、PMIはシームレスなプロセスで、戦略立案段階からPMIの青写真を描き、その仮説をデューデリジェンスで検証し、PMI計画に落とし込んでいくことがPMI成功の出発点となるからです。
これは「言うは易し」ですが、実際には社内の組織の縦割り、部門間の利害の対立、通常業務とのリソースのコンフリクト、全体最適視点で助言できるアドバイザーの不在等の問題があり、経験値がある人が強い意志を持ってプロジェクトを推進していないとなかなかできないことです。
私たちチームにジョインし、一緒にプロジェクトに関わることで、ディールの成立や部分最適なコンサルティングではなく、M&Aの成功を握るPMIの成功にフォーカスした本当にお客様にバリューを出せるM&Aコンサルタントとしてのキャリアが歩めます。
2つ目は、私を含めシニアメンバーはハンズオンでのプロジェクトスタイルを徹底します。
プロセス管理や知識を提供するスタイルのコンサルティングでは、パートナーなど、シニアなコンサルタントは、クライアント先に出向く頻度は少なくてすみます。しかし、M&Aは定型的なプロセスでは対応しきれない有事のイベントです。特にPMIでは、人の心理や意識が刻々と変わり、突発的なリスクの顕在化など緊急で意思決定しなければならない機会も多く、シニアメンバーの対応が必要です。
シニアメンバーが経営視点と現場視点でアドバイスする、つまり、プロセス管理ではなく、事業運営を上手く進めるための視点でプロジェクトに参画することが2つ目の特徴です。この経験を経て事業会社のM&A部門などに進むキャリアもあり得ると思います。
3つ目ですが、前述の通り、テクノロジーやデジタル分野でのM&Aやアライアンスに注力したいと考えています。ただし、テーマとなるオープンイノベーションは世の中の流れとしてはホットですが、PMIの難易度としては極めて高いです。やはり大企業とベンチャーではカルチャーが合わないためWin-Winの関係を築くことが難しいのです。当社は、そのプロフィール(NTTデータグループ企業)から、ITやデジタル分野のM&Aプロジェクトに関わる機会が多くあります。M&A/PMIの中でも特に難しい案件にチャレンジすることで、真の「共同創造」に貢献することができます。
M&Aの成功企業は皆、経営者の強い「信念」を貫いている。「日本経済を再生・復活させたい」など高い志を持つ方を求めている
梅本
現状チームの人数は人見様だけとのことですが、今後は何名体制にするのでしょうか。
人見様
中期の目標として、3年後に20名から25名の体制にしたいと考えています。
梅本
現状採用された方がいましたら、経歴やケイパビリティなどについても教えていただけますか。
人見様
40代半ばの現職は金融機関でプリンシパル投資に従事される方です。コンサルティングファームや事業会社、ベンチャーキャピタルなど幅広い業界でのM&A経験もお持ちの方です。
梅本
現在、求めている方の特徴などについても教えていただけますか。
人見様
2つあります。まず、この領域で結果を出してきたシニアメンバーはもちろん組織を運営する上で必要ですが、このチームではオープンイノベーションやテクノロジー領域の案件を積極的に手掛けていくので、新しい知識の吸収と自己成長に貪欲な方がフィットすると思います。
もう一つのポイントは、「自分のため」ではなくて「お客様ないし社会のため」にコンサルティングをできることに喜びを感じる方。
何故かというと、まずPMIは経営の根幹を決めるフェーズであり、PMIが上手くいかないとその後のビジネスが立ち行かなくなります。しかも扱うのは「事業」です。M&Aのプロセス管理や知識だけでコンサルティングをして成功するテーマではありません。そのため自分の人間力や経営知識を総動員しても足りないぐらいの難しさがあります。
何故ここまで厳しいことを言うのかというと、PMIに成功している企業は必ず「信念」を持っているからです。PMIの現場では、たとえ上手に人間関係を構築しても、親会社のポリシーや仕組みの導入の際には反発を受けることがあります。ここで多くの企業は方針徹底の手を緩めてしまいがちです。それでも「どうしてもグローバルで浸透が必要だ」と考える経営思想については信念を持ち、ぶれない軸を貫き通していく企業がM&Aで成功しているのです。
ダイキン工業が良い例です。日本国内の高齢化によって熟練の技術者が減少していることを重要な社会かつ自社の課題とし、世界の主要地域にマザー工場や研究組織を作って、ノウハウをグローバルで展開していく試みをしています。この例でも分かるように、M&Aはもともとその企業グループが抱いている信念を貫き通す実現手段として入ってきているだけなのです。
同様に、私たちコンサルタントもクライアントと同様の強い志を持っていないと、とても付加価値を出すことはできません。
新しい知識を覚えたい、M&Aをやっておくとキャリア上有利といった感覚でPMIに取り組む人ではとてもお客様に貢献することができません。
過去の経験は人によって違うと思いますので、シニアメンバーがサポートをします。「社会や日本企業を良くしたい」「日本経済を再生・復活させたい」という志を持った方こそが、自ら高い目標を掲げ自己研鑽を続けられる人です。そのような志のある方を求めています。
梅本
人見様が仰った“信念”をお持ちの方であれば、コンサル未経験の方でもターゲットになるのでしょうか。
人見様
コンサル未経験の方でも信念があり、コンサルをするにあたって求められる仮説構築力やコミュニケーション力が備わっている方であれば十分活躍できる可能性があります。
梅本
ありがとうございます。最後に人見様から読者へのメッセージを頂戴できれば幸いです。
人見様
私は、日本企業の復活・再生のためにM&Aコンサルティングの仕事に取り組んでいます。日本企業の成長を通して、日本社会に貢献していきたい方はぜひ応募していただけますと幸いです。