今回は、2019年7月にPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)の金融サービス事業部(以下、FS)に新しく設立されたGrowth & Innovation(以下G&I)チームにてご活躍されるディレクターの岩上雄一郎様、シニアマネージャーの飯田康平様、マネージャーの関口知栄子様より、設立の背景、クライアントニーズの変化、チームで求められる人材やキャリアパスなどについて、アクシスコンサルティングの長谷部・久保がお聞きしました。 ※2019年9月時点のインタビュー内容となります。
G&Iの設立目的、それは金融機関・金融サービスの成長とイノベーションを加速すること
長谷部
まずは今年7月に新設されましたPwCコンサルティングG&Iチームについて、設立の背景やミッションなどについてお聞きしてもよろしいでしょうか。
岩上様
私たちはこれまで金融業界における銀行や証券・保険業界においてクライアントに寄り添い、それぞれのクライアントに対する深い理解に基づいてクライアントの課題を解決する戦略を取ってきました。
しかし、昨今では、先行事例の少ない新しい課題対応や、進化を続ける先進的なソリューションに対するニーズも高まってきています。そこで、今期より私たちFSは、これまでのクライアントに対する深い理解に加え、新しいニーズにも応えられるよう、いくつかのキーオファリングを設定しました。その一つが、トップラインの成長とイノベーション創出をテーマとした「Growth & Innovation」です。そして、知見と経験を集中的に蓄積するために立ち上がったのが、私たちG&Iチームとなります。
このオファリングでは、戦略に基づくさまざまな施策の構想策定(プランニング)にフォーカスし、施策実行まで一貫した支援につなげることでPwCのStrategy through Executionを拡大・加速することを目指します。これにより、クライアントの悩みに対して戦略策定、施策のプランニング、施策の実行のどの断面からでも支援できるようになります。
岩上雄一郎 様(ディレクター)
長谷部
ここ数年でクライアント側の環境やニーズにも変化を実感していらっしゃいますか。
岩上様
これまではオペレーション改革やIT、ファイナンス、規制対応など大規模なトランスフォーメーションの実行に強みを持っていましたが、この2年ほどでそれらに加えて新規事業創出や顧客体験の強化、新しいテクノロジーを活用した変革に関する相談が増え、金融業界におけるマネジメントコンサルティングに対する期待が顕著に変化してきている感覚です。
飯田様
クライアント側の変化として、企画から実行して成果が出るまでの期間が短くなっていると感じます。外部環境の変化に対して、従来であれば一定の時間を設けクライアント自身で対応していたような課題も、早期の解決や効果的な推進につながるのであれば外部知見を活用する傾向が強まっているように思います。
飯田康平 様(シニアマネージャー)
関口様
一方で、さらなる成長を目指すためには従来の業務だけではなく、新しい領域へ挑戦する必要があるという意識があらゆるクライアントに共通しており、例えば異業種と協業することにより新しい価値を生み出していこうというニーズが強まってきたという印象です。
関口知栄子 様(マネージャー)
飯田様
まさに経済環境として、金融ビジネス自体の在り方が旧態依然では通用しない時代にきています。そこに対してさらにテクノロジーや異業種ということがキーワードになっているのだと感じます。
そういったマーケットの変化から、デジタルテクノロジーを活用したイノベーション施策の立案から実行の支援に係る戦略領域のクライアントサービスに特化したチームとしてG&Iが設立されたといってもよいでしょう。
プロジェクト内容は、成長を促進する構想策定が主。原資の創出~資源の配分~新規事業立ち上げ支援までがスコープ
長谷部
現在G&Iチームが提供されているサービスや、実際に扱われているプロジェクト内容についてお伺いできますでしょうか。
飯田様
戦略に基づくさまざまな施策の構想策定・プランニングをテーマに、戦略から実行までの一貫した支援の実現を志向しています。
成長領域の識別、成長領域での施策具体化、施策の実行という3つのオファリングがありますが、その過程で、事業ポートフォリオ最適化や事業構造の改革、新規ビジネスの構想策定やインオーガニック成長の方針検討といった個別のビジネス構想に加え、クライアント内で新しいビジネスアイディアを創出しスケールさせていくための仕組み作り、施策の実行そのものをテーマとしたコンサルティングを行います。
一例として私が経験したプロジェクトをご紹介すると、事業ポートフォリオや資源配分を考えるための基準の一つとして経営ビジョンを再定義するというものがありました。今後長期的に起こり得る社会や業界の変化の中で会社・ビジネスがどうあるべきかを、クライアントとPwCによるワークショップを通して可視化しました。
クライアントの課題認識を踏まえ、PwCからはPwCコンサルティングのメンバーだけでなくエクスペリエンスセンターやPwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)のメンバーも加わってワークショップを作り上げました。グループ内の他エンティティや他業界のチームと協力しながらプロジェクトを進める機会が多いのも特徴だと思います。
G&Iの強みはシームレスなコラボレーション
久保
他ファームでもエクスペリエンスセンターのような新しい試みが盛んになってきましたが、PwCだからこその強みや高い評価を受けているポイントはどのような部分でしょうか。
岩上様
グローバルで展開しているBXT(Business、eXperience、Technolog)はG&IのみならずPwCの新しい強みの一つになっています。BXTはソリューションでも、方法論でもなく「way of working」という位置付けです。これはG&Iのオファリングに限らず、クライアントの課題に対峙(たいじ)するときに、一つの断面だけではなくこの三要素で多面的に課題を捉えることで、真の課題を浮かび上がらせ、それに対するインパクトのあるソリューションを提案するという発想です。
飯田様
コラボレーションが活発なことは強みの一つです。提案段階からデリバリーまで、組織やエンティティの枠を超えた知見の共有を行い、クライアントサービスに生かされることが日常的に行われています。こういったコラボレーションが自然と行われているところは当社の特徴といえると思います。
関口様
実際にプロジェクト入っていて感じることですが、PwCの誰かに聞けば欲しい情報や人にたどり着くという点も強みだと思います。私がその専門ではないと分かっていたとしても、クライアントから「こういうことに困っていて、誰かいますか?」という相談をよく受けることがあります。PwCに聞けば最適な専門家までたどり着けるということを実感していだいているのではないかと感じます。
長谷部
G&Iチームならではの強みについてはいかがでしょうか。
岩上様
私たちはFS内でG&Iという業種横断のオファリング軸のチームですが、Banking & Capital MarketsとInsuranceのインダストリー軸のチームともシームレスにつながっています。
FS外でもエクスペリエンスセンターやテクノロジーなど業界横断のソリューション部門と連携するほか、さらには異業種連携のテーマではヘルスケア、ハイテク、通信等の金融以外のインダストリー部門と協業する機会も増え続けています。また、インオーガニック成長になると、PwCアドバイザリー合同会社やPwC税理士法人、PwCあらたともエンティティの枠を超えてチームとして協働します。特に業種・業界の垣根がシームレスになっていく中、こうしたコラボレーションを積極的にすることで新しいコンサルティングサービスの機会、付加価値を創れていると感じます。
関口様
国内だけではなくて海外とのコラボレーションもシームレスだと思います。現在関わっているプロジェクトでも、国内に事例がなければ海外のメンバーとすぐにチャットなどがはじまる環境にあります。採用活動を通してもPwCのグローバルネットワークは強みとして浸透しているようで、志望理由の一つとして挙げられる方も多くいます。
岩上様
特に海外のメンバーファームとのネットワークには目を見張るものがあると思います。最近のプロジェクトでも、あるテーマについて海外のメンバーファームの知見を集めるために英国と米国のパートナーに「これに関する専門家と会話がしたい」と相談したら、数日のうちに英国、米国、香港、タイから10人弱のコンタクトを得られました。グローバルレベルの専門家の層の厚さだけでなく、そこにつながるスピード感も強みですね。
長谷部
G&Iチームの今後の展望やビジョンについてお話しいただけますでしょうか。
岩上様
まずはオファリングに関する知見の集約を徹底し、どの方向からでも提案できるようにしようとしています。
現在は15人強のチームですが、3~4年間で50人規模の方が活躍するチームにしていきたいと思っています。
飯田様
チームとしてPwCのStrategy through Executionのハブになることを意識しています。社内の知見をつなぎ、クライアントを全方位からご支援できるようになるための大事なポジションを担えることが面白みであると感じています。
「他者との協力ができるか」「過去の経験に頼りすぎないか」など、柔軟性や変化を厭わないマインドセットを歓迎
久保
G&Iチームで今求められている人材についてお伺いできますでしょうか。
岩上様
Strategy&やエクスペリエンスセンターを含むPwCコンサルティング内の連携や、監査法人、アドバイザリー等とのX‐LoSでのコラボレーションがPwCのカルチャーなので、尖った知識や経験も重視しますが、それだけに頼らず多くの人と知恵を出し合ってコンサルティングをするマインドセットも重要なポイントと考えます。
飯田様
多くの人と知恵を出し合う上で、各自の考えを発信することが歓迎されます。「自分で全てをやり切る」という気概、コミットメントも重要ですが、それだけではなくファームとしてクライアントに提供できるより良い選択肢がないかを常に考える姿勢も大切にしています。
関口様
クライアントファーストでありピープルファーストであるという姿勢を大切にしており、基本的なところですが、やはりきちんとクライアントの立場に立って話ができるか、そして一緒に働くメンバーを尊重できるかということは見られています。
また、柔軟性や変化を厭わないマインドセットを備えているかということも大切です。それがあれば、現時点のスキルや経験だけではなく、今後の成長に期待するという考え方です。
長谷部
最後に、G&Iチームに興味をお持ちの方へ向けてメッセージをお願いいたします。
岩上様
日本の金融サービスを変革するクライアントのサポートを本気でしたい方とぜひ一緒に働きたいと考えています。
コンサルティング業界未経験の方でも、知恵や知識と同様に重要なのは強い『思い』であるということをお伝えできればと思います。本当に強い思いがあれば、苦労は多いと思いますが経験面のギャップは乗り越えられます。
飯田様
私たちがご支援させていただく金融機関や金融サービスに対する思いや課題認識を持たれていることも大切だと思います。そういった思いを背景に、PwCコンサルティングで何かを実現しようという方と働けたらと思います。
関口様
岩上のメッセージにもありますが、知的体力にもつながる強い『思い』は大切です。考え抜くということは必ず『思い』がないとやり切れません。
その上で、より良くしたい、お客様に対してもっといい価値を提供したいというマインドの強い方はフィットするのではないかと思います。
またコラボレーションカルチャーが根付いた環境で、最良のチームワークでクライアントに価値を提供したいという方には最適だと思います。